電験3種(法規)の頻出論点である「架空電線の風圧荷重(甲種・乙種)および電線の弛度(たるみ)・安全率・引張強さの計算」について解説します。
架空電線の風圧荷重および弛度・安全率・引張強さ
電験3種の法規科目では、架空電線路の風圧荷重と弛度に関する計算問題が頻出します。
主な根拠条文は電気設備の技術基準の解釈第$58$条(架空電線路の風圧荷重)です。
あわせて第$66$条(高圧架空電線路の電線の強さ等)も出題の根拠となります。
出題形式はB問題の計算問題が中心です。
小問(a)と(b)に分かれ、風圧荷重の算出や地方別の適用判定が問われます。
電線の引張強さに対する安全率や弛度の計算式も繰り返し出題されます。
特に問われる論点は、甲種風圧荷重と乙種風圧荷重の算出方法です。
氷雪の多い地方における低温季の風圧荷重の採否ルールも頻出します。
海岸地等では甲種と乙種のうち大きい方を適用します。
内陸の豪雪地帯では乙種をそのまま適用します。
電線の安全率は硬銅線で $2.2$ 以上、その他で $2.5$ 以上が規定値です。
風圧荷重の種類と算定基準
電気設備の技術基準の解釈第$58$条に基づく、風圧荷重の種別と算定基準を整理した表です。
| 荷重の種別 | 基準風圧力(単導体電線) | 想定される物理状態 | 垂直投影面積の算定式 |
|---|---|---|---|
| 甲種風圧荷重 | $980\text{ Pa}$ | 強風時(風速 $40\text{ m/s}$ 相当)の風圧を受けます。氷雪の付着は考慮しません。 | $S = D \times L$ ($D$ は電線外径 [$\text{m}$]、$L$ は電線長 [$\text{m}$]) |
| 乙種風圧荷重 | $490\text{ Pa}$ (甲種の $0.5$ 倍) |
電線の周囲に厚さ $6\text{ mm}$、比重 $0.9$ の氷雪が付着した状態で風圧を受けます。 | $S = (D + 0.012) \times L$ (厚さ $6\text{ mm}$ を両側に加算) |
| 丙種風圧荷重 | $490\text{ Pa}$ (甲種の $0.5$ 倍) |
人家が多く連なっている場所等において、風圧が緩和される状態を想定します。 | $S = D \times L$ (氷雪の付着は考慮しません) |
地方区分および季別による風圧荷重の適用基準
解釈第$58$条第$2$項に基づく、地方区分および季節に応じた風圧荷重の適用ルールを整理した表です。
| 地方の区分 | 高温季の適用荷重 | 低温季の適用荷重(人家が多く連なっていない場所) | 低温季の適用判定ルール |
|---|---|---|---|
| 氷雪の多い地方以外の地方(普通地方) | 甲種風圧荷重 | 甲種風圧荷重 | 通年で甲種風圧荷重を適用します。 |
| 氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方 | 甲種風圧荷重 | 甲種風圧荷重または乙種風圧荷重 | 甲種と乙種を比較し、いずれか大きい方の荷重を適用します。 |
| 氷雪の多い地方のうち、上記以外の地方(内陸部の寒冷豪雪地等) | 甲種風圧荷重 | 乙種風圧荷重 | 低温季には乙種風圧荷重をそのまま適用します。 |
架空電線の弛度・張力および安全率の算定体系
電線の設計における弛度、許容引張荷重、および安全率の計算関係を整理した表です。
| 項目・指標 | 計算式・関係式 | 記号の定義 | 法令上の基準・留意事項 |
|---|---|---|---|
| 安全率 $R$ | $$R = \frac{T}{T_{\text{a}}}$$ | $T$:電線の引張強さ [$\text{kN}$] $T_{\text{a}}$:電線の許容引張荷重 [$\text{kN}$] |
高圧架空電線路の硬銅線は $2.2$ 以上、その他の電線は $2.5$ 以上(解釈第$66$条) |
| 許容引張荷重 $T_{\text{a}}$ | $$T_{\text{a}} = \frac{T}{R}$$ | $T$:引張強さ [$\text{kN}$] $R$:規定の安全率 |
電線に許容できる最大張力です。弛度が最小のとき張力は許容値に達します。 |
| 電線の弛度 $D$ | $$D = \frac{W S^2}{8 T_{\text{a}}}$$ | $W$:電線の合成荷重 [$\text{kN/m}$] $S$:支持物間の径間 [$\text{m}$] $T_{\text{a}}$:水平引張張力 [$\text{kN}$] |
弛度は合成荷重および径間の$2$乗に比例し、張力に反比例します。 |
| 合成荷重 $W$ | $$W = \sqrt{W_{\text{o}}^2 + W_{\text{w}}^2}$$ | $W_{\text{o}}$:電線の自重(垂直荷重) $W_{\text{w}}$:風圧荷重(水平荷重) |
垂直方向の自重と水平方向の風圧荷重をベクトル合成します。 |
試験で頻出の引っかけパターンと対策
過去問で出題される紛らわしい計算論点や誤りパターンを対比整理した表です。
| 着眼項目 | 正しい算定方法・規定内容 | よくある誤り・引っかけの手口 |
|---|---|---|
| 海岸地等の低温季荷重 | 甲種と乙種を計算し、いずれか大きい方を採用します。 | 低温季だから無条件に乙種を適用すると誤認する手口(小径電線では乙種が大きくなり、大径電線では甲種が大きくなります) |
| 内陸豪雪地の低温季荷重 | 乙種風圧荷重をそのまま適用します。 | 甲種と比較して大きい方を選ぶと混同する誤り(解釈第$58$条の地方区分を厳密に区別する必要があります) |
| 乙種の氷雪加算外径 | $D' = D + 2 \times 6\text{ mm} = D + 12\text{ mm}$ | 厚さ $6\text{ mm}$ を片側のみ加えて $D + 6\text{ mm}$ とする計算ミス(両側に付着するため $+12\text{ mm}$ です) |
| より線の外径算定 | $19$本より線の外径は素線径の $5$ 倍です($D = 5d$)。$7$本より線は $3$ 倍です($D = 3d$)。 | より線の層数計算を誤り、中心を含めずに $4d$ や $2d$ とする誤り |
| 硬銅線の安全率基準 | 硬銅線の引張強さに対する安全率は $2.2$ 以上です。 | 他の電線基準である $2.5$ や支持物の安全率 $2.0$ と混同させる誤り |
| 最小弛度と引張荷重 | 最小弛度を与える張力は最大許容引張荷重 $\dfrac{T}{R}$ です。 | 張力に安全率を乗じた式($T \times R$)やすすけた複雑な式を選択する誤り |
【令和5年上期・問13】氷雪の多い地方における高圧架空電線の低温季風圧荷重および乙種適用限界外径の計算
人家が多く連なっている場所以外の場所であって,氷雪の多い地方のうち,海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方に設置されている公称断面積 $60\text{ mm}^2$,仕上り外径 $15\text{ mm}$ の $6\,600\text{ V}$ 屋外用ポリエチレン絶縁電線($6\,600\text{ V OE}$)を使用した高圧架空電線路がある。この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,電線に対する甲種風圧荷重は $980\text{ Pa}$,乙種風圧荷重の計算で用いる氷雪の厚さは $6\text{ mm}$ とする。
(a) 低温季において電線1条,長さ $1\text{ m}$ 当たりに加わる風圧荷重の値 [$\text{N}$] として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $10.3$
(2) $13.2$
(3) $14.7$
(4) $20.6$
(5) $26.5$
(b) 低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる電線の仕上り外径の値 [$\text{mm}$] として,最も大きいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $10$
(2) $12$
(3) $15$
(4) $18$
(5) $21$
解説
(a)の正解は(3)、(b)の正解は(2)です。
本問は、電気設備の技術基準の解釈第$58$条(架空電線路の風圧荷重)に基づきます。
小問(a)について計算します。
設置場所は、氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方です。
解釈第$58$条第$2$項の規定により、この地方の低温季には甲種風圧荷重と乙種風圧荷重のうち、いずれか大きい方を適用します。
電線の仕上り外径は $D = 15\text{ mm} = 0.015\text{ m}$ です。
長さ $1\text{ m}$ 当たりの甲種風圧荷重 $W_{\text{A}}$ を求めます。
甲種風圧荷重の基準圧力は $980\text{ Pa}$ です。
$$W_{\text{A}} = 980 \times 0.015 \times 1 = 14.7\text{ N}$$
次に、長さ $1\text{ m}$ 当たりの乙種風圧荷重 $W_{\text{B}}$ を求めます。
乙種風圧荷重では、周囲に厚さ $6\text{ mm}$ の氷雪が付着した状態を想定します。
氷雪付着後の外径 $D'$ は、両側に厚さを加えて計算します。
$$D' = 15 + 2 \times 6 = 27\text{ mm} = 0.027\text{ m}$$
乙種風圧荷重の基準圧力は甲種の半分であり、$490\text{ Pa}$ です。
$$W_{\text{B}} = 490 \times 0.027 \times 1 = 13.23\text{ N}$$
双方の数値を比較します。
$W_{\text{A}} = 14.7\text{ N}$ は $W_{\text{B}} = 13.23\text{ N}$ より大きな値です。
したがって、大きい方である $14.7\text{ N}$ を適用します。
小問(a)の正解は(3)です。
小問(b)について計算します。
低温季に乙種風圧荷重が適用される条件は、$W_{\text{B}} \ge W_{\text{A}}$ です。
電線の仕上り外径を $D\text{ [m]}$ と置きます。
甲種風圧荷重は $W_{\text{A}} = 980 \times D$ です。
乙種風圧荷重は $W_{\text{B}} = 490 \times (D + 0.012)$ です。
不等式を立てます。
$$490 \times (D + 0.012) \ge 980 \times D$$
両辺を $490$ で割ります。
$$D + 0.012 \ge 2D$$
移行して整理します。
$$D \le 0.012\text{ m} = 12\text{ mm}$$
仕上り外径が $12\text{ mm}$ 以下のとき、乙種風圧荷重が甲種以上となります。
選択肢の中で条件を満たす最大の外径は $12\text{ mm}$ です。
小問(b)の正解は(2)です。
【令和4年下期・問11】高圧架空電線路における硬銅線の安全率および最小弛度を与える許容引張荷重の算定
高圧架空電線において,電線に硬銅線を使用して架設する場合,電線の設計に伴う許容引張荷重と弛度について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,径間 $S\text{ [m]}$,電線の引張強さ $T\text{ [kN]}$,電線の重量による垂直荷重と風圧による水平荷重の合成荷重が $W\text{ [kN/m]}$ とする。
(a) 「電気設備技術基準の解釈」によれば,規定する荷重が加わる場合における電線の引張強さに対する安全率が,R 以上となるような弛度に施設しなければならない。この場合 R の値として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $1.5$
(2) $1.8$
(3) $2.0$
(4) $2.2$
(5) $2.5$
(b) 弛度の計算において,最小の弛度を求める場合の許容引張荷重 [$\text{kN}$] として,正しい式を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $\dfrac{T}{R}$
(2) $T \times R$
(3) $\dfrac{W}{S \cdot R}$
(4) $S \times W \times R$
(5) $\dfrac{T}{S \cdot W \cdot R}$
解説
(a)の正解は(4)、(b)の正解は(1)です。
本問は、電気設備の技術基準の解釈第$66$条(高圧架空電線路の電線の強さ等)に基づきます。
小問(a)について検討します。
解釈第$66$条第$1$項第一号において、高圧架空電線の強度要件が規定されています。
硬銅線を使用する場合、電線の引張強さに対する安全率は $2.2$ 以上でなければなりません。
その他の電線を使用する場合は、$2.5$ 以上と定められています。
本問の対象電線は硬銅線であるため、安全率 $R$ の基準値は $2.2$ です。
したがって、小問(a)の正解は(4)です。
小問(b)について計算します。
安全率 $R$、電線の引張強さ $T\text{ [kN]}$、および許容引張荷重 $T_{\text{a}}\text{ [kN]}$ の間には次の関係が成立します。
$$R = \frac{T}{T_{\text{a}}}$$
この式を変形して許容引張荷重 $T_{\text{a}}$ を求めます。
$$T_{\text{a}} = \frac{T}{R}$$
電線の弛度 $D\text{ [m]}$ は、電線の水平引張張力を $T_{\text{h}}\text{ [kN]}$ とすると次の式で表されます。
$$D = \frac{W S^2}{8 T_{\text{h}}}$$
弛度 $D$ が最小となるのは、水平張力 $T_{\text{h}}$ が許容される最大値に達した状態です。
電線に加えることのできる最大張力は許容引張荷重 $T_{\text{a}}$ に等しくなります。
したがって、最小弛度を与える許容引張荷重の式は $\dfrac{T}{R}$ となります。
小問(b)の正解は(1)です。
【平成30年・問11】海岸地方の高圧架空電線路における低温季風圧荷重および乙種風圧荷重適用境界外径の計算
人家が多く連なっている場所以外の場所であって、氷雪の多い地方のうち、海岸その他の低温季に最大風圧を生じる地方に設置されている公称断面積 $60\text{ mm}^2$、仕上り外径 $15\text{ mm}$ の $6\,600\text{ V}$ 屋外用ポリエチレン絶縁電線($6\,600\text{ V OE}$)を使用した高圧架空電線路がある。この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、電線に対する甲種風圧荷重は $980\text{ Pa}$、乙種風圧荷重の計算で用いる氷雪の厚さは $6\text{ mm}$ とする。
(a) 低温季において電線1条、長さ $1\text{ m}$ 当たりに加わる風圧荷重の値[$\text{N}$]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $10.3$
(2) $13.2$
(3) $14.7$
(4) $20.6$
(5) $26.5$
(b) 低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる電線の仕上り外径の値[$\text{mm}$]として、最も大きいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $10$
(2) $12$
(3) $15$
(4) $18$
(5) $21$
解説
(a)の正解は(3)、(b)の正解は(2)です。
本問は、電気設備の技術基準の解釈第$58$条(架空電線路の風圧荷重)に基づきます。
小問(a)について計算します。
設置場所は、氷雪の多い地方のうち、海岸その他の低温季に最大風圧を生じる地方です。
解釈第$58$条第$2$項の規定により、この地方の低温季には甲種風圧荷重と乙種風圧荷重のうち、いずれか大きい方を採用します。
仕上り外径は $D = 15\text{ mm} = 0.015\text{ m}$ です。
長さ $1\text{ m}$ 当たりの甲種風圧荷重 $W_{\text{A}}$ を算出します。
$$W_{\text{A}} = 980 \times 0.015 \times 1 = 14.7\text{ N}$$
次に、長さ $1\text{ m}$ 当たりの乙種風圧荷重 $W_{\text{B}}$ を算出します。
氷雪の厚さ $6\text{ mm}$ を考慮した見かけの外径 $D'$ を求めます。
$$D' = 15 + 2 \times 6 = 27\text{ mm} = 0.027\text{ m}$$
基準風圧力 $490\text{ Pa}$ を乗じます。
$$W_{\text{B}} = 490 \times 0.027 \times 1 = 13.23\text{ N}$$
甲種荷重 $14.7\text{ N}$ は乙種荷重 $13.23\text{ N}$ を上回ります。
大きい方の値を採用するため、適用荷重は $14.7\text{ N}$ です。
したがって、小問(a)の正解は(3)です。
小問(b)について計算します。
乙種風圧荷重が採用される条件は、$W_{\text{B}} \ge W_{\text{A}}$ です。
電線外径を $D\text{ [m]}$ と置きます。
不等式を立てます。
$$490 \times (D + 0.012) \ge 980 \times D$$
両辺を $490$ で除します。
$$D + 0.012 \ge 2D$$
整理します。
$$D \le 0.012\text{ m} = 12\text{ mm}$$
仕上り外径が $12\text{ mm}$ 以下の範囲で乙種風圧荷重が適用されます。
選択肢の中で該当する最大外径は $12\text{ mm}$ です。
したがって、小問(b)の正解は(2)です。
【平成26年・問11】鋼心アルミより線(ACSR)を使用した高圧架空電線路の高温季および低温季風圧荷重の計算
鋼心アルミより線(ACSR)を使用する $6\,600\text{ V}$ 高圧架空電線路がある。この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
なお、下記の条件に基づくものとする。
① 氷雪が多く、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方で、人家が多く連なっている場所以外の場所とする。
② 電線構造は、各素線、鋼線ともに全てが同じ直径(素線の直径 $2.0\text{ mm}$、鋼線の直径 $2.0\text{ mm}$)の単層より線とする。
③ 電線被覆の絶縁体の厚さは一様で $2.0\text{ mm}$ とする。
④ 甲種風圧荷重は $980\text{ Pa}$、乙種風圧荷重の計算に使う氷雪の厚さは $6\text{ mm}$ とする。
(a) 高温季において適用する風圧荷重(電線1条、長さ $1\text{ m}$ 当たり)の値[$\text{N}$]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $4.9$
(2) $5.9$
(3) $7.9$
(4) $9.8$
(5) $21.6$
(b) 低温季において適用する風圧荷重(電線1条、長さ $1\text{ m}$ 当たり)の値[$\text{N}$]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $4.9$
(2) $8.9$
(3) $10.8$
(4) $17.7$
(5) $21.6$
解説
(a)の正解は(4)、(b)の正解は(3)です。
本問は、電気設備の技術基準の解釈第$58$条(架空電線路の風圧荷重)に基づきます。
はじめに電線の仕上り外径 $D$ を計算します。
中心に直径 $2.0\text{ mm}$ の鋼線が$1$本配置されます。
その周囲を直径 $2.0\text{ mm}$ のアルミ素線が取り囲みます。
導体部の直径は素線径の $3$ 倍になります。
$$D_{\text{c}} = 3 \times 2.0 = 6.0\text{ mm}$$
導体部の外側に厚さ $2.0\text{ mm}$ の絶縁体が被覆されています。
電線の仕上り外径 $D$ は両側の絶縁体厚さを加算して求めます。
$$D = 6.0 + 2 \times 2.0 = 10.0\text{ mm} = 0.010\text{ m}$$
小問(a)について計算します。
高温季においては甲種風圧荷重を適用します。
基準風圧力 $980\text{ Pa}$ に垂直投影面積を乗じます。
$$W_{\text{A}} = 980 \times 0.010 \times 1 = 9.8\text{ N}$$
したがって、小問(a)の正解は(4)です。
小問(b)について計算します。
設置場所は、氷雪が多く、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方です。
低温季には甲種風圧荷重と乙種風圧荷重のうち、大きい方を適用します。
甲種風圧荷重は小問(a)より $W_{\text{A}} = 9.8\text{ N}$ です。
次に乙種風圧荷重 $W_{\text{B}}$ を算出します。
電線周囲に厚さ $6\text{ mm}$ の氷雪が付着します。
氷雪付着後の外径 $D'$ を求めます。
$$D' = 10.0 + 2 \times 6 = 22.0\text{ mm} = 0.022\text{ m}$$
基準風圧力 $490\text{ Pa}$ を乗じます。
$$W_{\text{B}} = 490 \times 0.022 \times 1 = 10.78\text{ N} \fallingdotseq 10.8\text{ N}$$
数値を比較します。
$W_{\text{B}} = 10.78\text{ N}$ は $W_{\text{A}} = 9.8\text{ N}$ より大きな値です。
大きい方の値である $10.8\text{ N}$ を適用します。
したがって、小問(b)の正解は(3)です。
【平成22年・問13】特別高圧硬銅より線架空電線路における高温季および低温季(乙種適用地方)の風圧荷重計算
氷雪の多い地方のうち,海岸地その他の低温季に最大風圧を生ずる地方以外の地方において,電線に断面積 $150\text{ mm}^2$($19$本/$3.2\text{ mm}$)の硬銅より線を使用する特別高圧架空電線路がある。この電線1条,長さ $1\text{ m}$ 当たりに加わる水平風圧荷重について,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし,電線は素線径 $3.2\text{ mm}$ の素線が中心に$1$本,第1層に$6$本,第2層に$12$本撚り合わされた$19$本より線構成とする。
(a) 高温季における風圧荷重[$\text{N}$]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1) $6.8$
(2) $7.8$
(3) $9.4$
(4) $10.6$
(5) $15.7$
(b) 低温季における風圧荷重[$\text{N}$]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1) $12.6$
(2) $13.7$
(3) $18.5$
(4) $21.6$
(5) $27.4$
解説
(a)の正解は(5)、(b)の正解は(2)です。
本問は、電気設備の技術基準の解釈第$58$条(架空電線路の風圧荷重)に基づきます。
はじめに硬銅より線の外径 $D$ を求めます。
素線数$19$本のより線は、$2$層構成の同心より線です。
中心に$1$本、第$1$層に$6$本、第$2$層に$12$本が配置されます。
外径は素線径 $d = 3.2\text{ mm}$ の $5$ 倍になります。
$$D = 5 \times 3.2 = 16.0\text{ mm} = 0.016\text{ m}$$
小問(a)について計算します。
高温季には甲種風圧荷重を適用します。
単導体電線の基準風圧力は $980\text{ Pa}$ です。
長さ $1\text{ m}$ 当たりの垂直投影面積は $0.016 \times 1 = 0.016\text{ m}^2$ です。
風圧荷重 $W_{\text{A}}$ を計算します。
$$W_{\text{A}} = 980 \times 0.016 \times 1 = 15.68\text{ N} \fallingdotseq 15.7\text{ N}$$
したがって、小問(a)の正解は(5)です。
小問(b)について計算します。
設置場所は、氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生ずる地方以外の地方です。
解釈第$58$条第$2$項の規定により、この地方の低温季には乙種風圧荷重を適用します。
甲種との比較は行わず、乙種風圧荷重そのものを採用します。
電線周囲に厚さ $6\text{ mm}$ の氷雪が付着します。
氷雪付着後の外径 $D'$ を計算します。
$$D' = 16.0 + 2 \times 6 = 28.0\text{ mm} = 0.028\text{ m}$$
乙種風圧荷重の基準圧力は $490\text{ Pa}$ です。
風圧荷重 $W_{\text{B}}$ を計算します。
$$W_{\text{B}} = 490 \times 0.028 \times 1 = 13.72\text{ N} \fallingdotseq 13.7\text{ N}$$
したがって、小問(b)の正解は(2)です。
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