電験3種(法規)で出題される「漏洩電流1mA以下」とされている理由について詳しく解説します。
電技省令第58条(低圧電路の絶縁抵抗)
低圧電路の絶縁抵抗については、電気設備に関する技術基準を定める省令第58条で以下のように規定されています。
(低圧の電路の絶縁性能)
第58条 電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の表の上欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる値以上でなければならない。
| 電路の使用電圧の区分 | 絶縁抵抗値 | |
|---|---|---|
| 300V 以下 |
対地電圧(接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧をいう。以下同じ。)が150V以下の場合 | 0.1MΩ |
| その他の場合 | 0.2MΩ | |
| 300Vを超えるもの | 0.4MΩ | |
上記のとおり、使用電圧の大きさによって、低圧電路の保つべき絶縁抵抗の大きさが異なります。
解説第58条
「電気設備に関する技術基準を定める省令の解説」第58条で以下のように解説されています。
第58条【低圧の電路の絶縁性能】
〔解 説〕 省令第5条第1項に規定された内容のうち低圧の電路に関する絶縁性能を規定している。電気使用場所の低圧電路の絶縁性能にかかわる絶縁抵抗値について、測定の際の利便性を重視し、電路の使用電圧に応じて一律の値としたものである。この値は、低圧電路に1mA程度の漏れ電流(対地電圧100Vの回路において、絶縁抵抗値0,1MΩは、漏れ電流1mAに相当する。)があっても人体に対する感電の危険はなく、この程度の漏れ電流では、仮にこれが1箇所に集中したとしても過去の経験に照らして火災の発生のおそれはない。
絶縁抵抗値測定の際、測定結果に対する良否の判定を下すための目安となる値を設けておくことは、保守上利便が多いので、開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに規定の絶縁抵抗値を要求することとしている。
ここで「低圧電路の電線相互間の絶縁抵抗」というのは、電気機械器具内の電路を含まず、電気機械器具を取り外した状態における線間の絶縁抵抗をいい、また「低圧電路と大地との間の絶縁抵抗」というのは、電気機械器具が接続されている場合は、電気機械器具(ただし、省令第5条で除外した大地から絶縁しないで使用する電気使用機械器具を除外する。)内の電路の大地との間の絶縁抵抗をいうのである。すなわち、絶縁を要する電気機械器具を接続した状態の電路と大地との間の絶縁抵抗をいうのである。
絶縁抵抗の値は時期によって大きく変動するもので、特に梅雨期には著しく小さい値を示すことが多いが、最低の場合においても、規定値を保たせなければならない。
【解釈第14条】低圧絶縁抵抗を測定できない場合(漏洩電流が1mA以下であるか確認)
絶縁抵抗の測定が困難な場合(停電できないなど)は、電気設備の技術基準の解釈第14条第1項により、漏えい電流が1mA以下であることを確認することで、絶縁性能が保たれているとすることができます。
【低圧電路の絶縁性能】(省令第5条第2項、第58条)
第14条 電気使用場所における使用電圧が低圧の電路(第13条各号に掲げる部分、第16条に規定するもの、第189条に規定する遊戯用電車内の電路及びこれに電気を供給するための接触電線、直流電車線並びに鋼索鉄道の電車線を除く。)は、第147条から第149条までの規定により施設する開閉器又は過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。
一 省令第58条によること。
二 絶縁抵抗測定が困難な場合においては、当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が、1mA以下であること。2 電気使用場所以外の場所における使用電圧が低圧の電路(電線路の電線、第13条各号に掲げる部分及び第16条に規定する電路を除く。)の絶縁性能は、前項の規定に準じること。
解釈の解説
電気設備の技術基準の解釈の解説では、以下のように解説されています。
第14条【低圧電路の絶縁性能】
〔解 説〕 電路絶縁の原則(→省令第5条)により電路は大地から絶縁しなければならないが、この場合、電気設備の絶縁性に関する信頼度の判定が必要である。その判定方法として、現在一般に行われている方法には、絶縁抵抗試験と絶縁耐力試験がある。絶縁抵抗試験は、絶縁抵抗計などでその絶縁抵抗を測定する方法であるが、この試験方法では省令で定めている絶縁のレベルについて、必ずしもその目的を完全に達し得るとはいえない。絶縁のレベルの判定は、絶縁耐力試験における電圧値と時間によることが最も理想的である。しかし、絶縁抵抗試験による方法は、低圧の配線、電気使用機械器具の電路や電線路に関してはその測定が簡単であり、漏電による火災事故の防止に十分な目安となるものであるので、一般的にこれによる方法が採られている。第1項は、省令第58条の解釈として、電気使用場所における低圧電路の絶縁性能について規定している。省令第58条は、いわゆる電気使用場所の屋内配線、屋外配線の絶縁抵抗値を定めているもので、電路絶縁の原則から除外した部分(→第13条)、 第16条で規定する変圧器、回転機、整流器、燃料電池、太陽電池モジュール、器具等の電路は、対象外である。また、遊戯用電車内の電路及びこれに電気を供給する接触電線(→第189条)、直流式電気鉄道用電車線(→第205条)、鋼索鉄道の電車線(→第217条)は、それぞれの条文において特別の規定があるので、いずれも本条の対象から除かれている。
第一号は、省令58条によることとしている。
第二号は、一般家庭では停電して行う屋内配線等の絶縁抵抗測定が困難になってきたため、停電せずに絶縁性能を判定する漏えい電流(I0)による絶縁性能基準を明確にしたものである。漏れ電流計により測定する「漏えい電流測定」は、①対地絶縁抵抗による電流(I0r)の他に対地静電容量による電流(I0C)が含まれること、②接地側電線の絶縁状態が確認できないこと等により、必ずしも絶縁抵抗値に換算できない。しかし、対地静電容量による電流の影響を含めた漏えい電流が1mA以下の場合は、対地絶縁抵抗による電流は基本的にこの値より小さくなり、省令第58条で定める絶縁抵抗値の基準と同等以上の絶縁性能を有しているものとみなすことができる。 また、「令和2年度電気設備技術基準関連規格等調査」において、対地静電容量による電流を除去した値が1mA 以下の場合は、省令第58 条で定める絶縁抵抗値の基準と同等の絶縁性能を有しているものと判断することの妥当性が確認された。これらの値は、低圧電路に1mA程度の漏えい電流があっても人体に対する感電の危険はなく(人体に通じる電流を零から漸次増していくと1mA前後ではじめて感じる。)、この程度の漏れ電流では、仮にこれが1箇所に集中したとしても過去の経験に照らして火災の発生はほとんど考えられないという理由に基づいて定められたものである。
第2項は、発電所や蓄電所、変電所など電気使用場所以外の場所における低圧電路についても、絶縁性能の判定に絶縁抵抗試験による方法が適用できることを示したものである。
【一覧表】配線用遮断器の動作時間
配線用遮断器の動作時間は、定格電流と比較したときのの大きさによって異なります。
| 定格電流 | 動作時間(定格電流の1.25倍以上) | 動作時間(定格電流の2倍以上) |
|---|---|---|
| 30A以下 | 60分 | 2分 |
| 30A超かつ50A以下 | 60分 | 4分 |
| 50A超かつ100A以下 | 120分 | 6分 |
※動作時間・・・大電流が流れ始めてから配線用遮断器が「断」になるまでの時間
※定格電流の1倍(定格20Aなら20A)では自動的に動作しないこと。

【練習問題】
低圧電路に使用する定格電流30 Aの配線用遮断器に60 Aの電流が継続して流れたとき、この配線用遮断器が自動的に動作しなければならない時間[ 分 ]の限度はいくらか。
解説
定格電流が30A以下の配線用遮断器に、定格電流の2倍の電流が流れた場合、2分以内に自動的に動作します。
関連ページ




コメント