【電験3種・法規】頻出問題「変圧器のB種接地工事・D種接地工事における接地抵抗値・混触時対地電圧および接地線電流の計算」

電験3種(法規)の頻出問題である「変圧器のB種接地工事・D種接地工事における接地抵抗値・混触時対地電圧および接地線電流の計算」について解説します。

「変圧器のB種接地工事・D種接地工事」の攻略ポイント

電験$3$種の法規科目において、「電気設備技術基準の解釈」第$17$条(接地工事の種類及び施設方法)、第$24$条(高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設)、第$29$条(機械器具の金属製外箱等の接地)および第$36$条(地絡遮断装置の施設)に基づくB種・D種接地工事の計算問題は、A問題・B問題を問わず最頻出の計算分野です。本分野を攻略するためには、遮断時間に応じたB種・D種接地抵抗値の上限規定、非接地式高圧配電線路の$1$線地絡電流の算定ルール、およびテブナンの定理を用いた接地線電流・地絡時対地電圧の等価回路計算という$3$つの論点を正確に整理しておく必要があります。過去問の解説を読む前に、以下の表で法令上の規定値と計算公式、引っかけの傾向を確認してください。

B種・C種・D種接地工事の接地抵抗値と施設基準

第$17$条および第$29$条では、高圧・特別高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側中性点(または一端子)に施すB種接地工事と、低圧機械器具の金属製外箱に施すC種・D種接地工事の接地抵抗値の上限が規定されています。自動遮断装置の動作時間によって許容される接地抵抗値の上限が大きく変化するため、遮断時間ごとの計算式と数値を対比して整理した表です。

接地工事の種類 適用箇所(代表例) 原則の接地抵抗値上限 自動遮断装置施設時の緩和規定(接地抵抗値上限)
B種接地工事(第$17$条第$2$項) 高圧または特別高圧電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側中性点(または$300\text{ V}$以下の一端子) $\dfrac{150}{I_1}\text{ [}\Omega\text{]}$ 以下
(混触時対地電圧上限 $150\text{ V}$)
・$1$秒を超え$2$秒以内に高圧・特別高圧電路を自動遮断:$\dfrac{300}{I_1}\text{ [}\Omega\text{]}$ 以下(上限 $300\text{ V}$)
・$1$秒以内に高圧・特別高圧電路を自動遮断:$\dfrac{600}{I_1}\text{ [}\Omega\text{]}$ 以下(上限 $600\text{ V}$)
C種接地工事(第$17$条第$3$項・第$29$条) $300\text{ V}$を超える低圧機械器具の金属製外箱等 $10\text{ }\Omega$ 以下 地絡時に$0.5$秒以内に低圧電路を自動遮断する装置を施設する場合:$500\text{ }\Omega$ 以下
D種接地工事(第$17$条第$4$項・第$29$条) $300\text{ V}$以下の低圧機械器具の金属製外箱等、高圧計器用変成器の$2$次側電路 $100\text{ }\Omega$ 以下 地絡時に$0.5$秒以内に低圧電路を自動遮断する装置を施設する場合:$500\text{ }\Omega$ 以下
地絡遮断装置の省略(第$36$条第$1$項) 使用電圧$60\text{ V}$超の低圧機械器具(金属製外箱)に接続する電路 地絡遮断装置(漏電遮断器等)の施設が原則必須 C種またはD種接地工事の接地抵抗値が $3\text{ }\Omega$ 以下の場合、乾燥した場所、簡易接触防護措置、絶縁変圧器($300\text{ V}$以下・非接地)等の場合は省略可

高圧配電線路の1線地絡電流算定と接地線電流・地絡計算の公式

B種接地抵抗値の上限計算に用いる高圧側の$1$線地絡電流 $I_1\text{ [A]}$ の計算式や、低圧電路の対地静電容量 $C\text{ [F]}$・絶縁抵抗 $R_G\text{ [}\Omega\text{]}$ を介してB種接地線に流れる電流 $I_B\text{ [A]}$、および低圧機器の地絡事故時における外箱対地電圧 $V_d\text{ [V]}$ の計算手順を整理した表です。

計算テーマ 基本公式・等価回路の考え方 計算上の注意点・引っかけパターン
架空高圧配電線路の$1$線地絡電流 $I_1\text{ [A]}$ $I_1 = 1 + \dfrac{\dfrac{V}{3}L - 100}{150}\text{ [A]}$
($V$:公称電圧を$1.1$で除した電圧 $\text{[kV]}$、$L$:同一母線の電線延長 $\text{[km]}$)
・三相$3$線式($1$回線)の場合、電線延長 $L = 3 \times \text{こう長}\text{ [km]}$ となる点に注意
・計算結果の小数点以下は切り上げ、$2\text{ A}$未満となる場合は $I_1 = 2\text{ A}$ とする
中性点B種接地方式・一相絶縁低下時の接地線電流 $I_B\text{ [A]}$ $I_B = \dfrac{E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + (6\pi f C R_B R_G)^2}}\text{ [A]}$
($E$:相電圧、$R_G$:劣化相の絶縁抵抗、$R_B$:B種接地抵抗、$C$:$1$相当たり対地静電容量)
テブナンの定理より、故障相から見た3相分の対地静電容量 $3C$ とB種接地抵抗 $R_B$ が並列となるため、角周波数 $\omega = 2\pi f$ に対して $3\omega C = 6\pi f C$ となる(二乗すると $36\pi^2 f^2 C^2$)
一端子B種接地方式・常時流れる接地線電流 $I_B\text{ [A]}$ $I_B = \dfrac{E}{\sqrt{{R_B}^2 + \left(\dfrac{1}{6\pi f C}\right)^2}} \approx 6\pi f C E = 2\sqrt{3}\pi f C V\text{ [A]}$
($V$:線間電圧、$E = \dfrac{V}{\sqrt{3}}$:相電圧)
接地点を開放した際の対地電圧は相電圧 $E = \dfrac{V}{\sqrt{3}}$ であり、内部インピーダンスは3相分の対地静電容量 $3C$ によるリアクタンス $X_C = \dfrac{1}{6\pi f C}$ となる
低圧機器の完全地絡時における外箱対地電圧 $V_d\text{ [V]}$ と人体電流 $I_H\text{ [A]}$ ・人体接触前の外箱対地電圧:$V_d = E \times \dfrac{R_D}{R_B + R_D}\text{ [V]}$
・人体抵抗 $R_H$ との並列時:$V_d = I_H R_H$、$I_B = \dfrac{E - V_d}{R_B} = I_D + I_H$
外箱の対地電圧を $V_{\text{limit}}$ 以下にする条件では、計算上の境界値(例:$33.3\text{ }\Omega$)を超えると電圧超過となるため、選択肢からは上限以下の最も近い値(例:$30\text{ }\Omega$)を選ぶ

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【令和8年上期・問12、平成21年・問11】対称三相3線式低圧電路(中性点B種接地)の一相絶縁抵抗低下時におけるB種接地線電流の計算

令和8年上期・法規問12.png

図に示すような、相電圧 $E\text{ [V]}$、周波数 $f\text{ [Hz]}$ の対称三相$3$線式低圧電路があり、変圧器の中性点にB種接地工事が施されている。B種接地工事の接地抵抗値を $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$、電路の一相当たりの対地静電容量を $C\text{ [F]}$ とする。
この電路の絶縁抵抗が劣化により、電路の一相のみが絶縁抵抗値 $R_G\text{ [}\Omega\text{]}$ に低下した。このとき、次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、上記以外のインピーダンスは無視するものとする。

【回路構成】
・変圧器二次側:Y結線(各相の相電圧 $E\text{ [V]}$)、中性点と大地間にB種接地抵抗 $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$(接地線電流 $I_B\text{ [A]}$)を接続
・三相$3$線式低圧電路:各相と大地間にそれぞれ対地静電容量 $C\text{ [F]}$ が存在し、そのうち一相のみと大地間に劣化した絶縁抵抗 $R_G\text{ [}\Omega\text{]}$ が並列に接続された回路

(a) 劣化により一相のみが絶縁抵抗値 $R_G\text{ [}\Omega\text{]}$ に低下したとき、B種接地工事の接地線に流れる電流の大きさを $I_B\text{ [A]}$ とする。この $I_B$ を表す式として、正しいのは次のうちどれか。
ただし、他の相の対地コンダクタンスは無視するものとする。

(1) $\dfrac{E}{\sqrt{{R_B}^2 + 36\pi^2 f^2 C^2 {R_B}^2 {R_G}^2}}$
(2) $\dfrac{3E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + 4\pi^2 f^2 C^2 {R_B}^2 {R_G}^2}}$
(3) $\dfrac{E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + 4\pi^2 f^2 C^2 {R_B}^2 {R_G}^2}}$
(4) $\dfrac{E}{\sqrt{{R_G}^2 + 36\pi^2 f^2 C^2 {R_B}^2 {R_G}^2}}$
(5) $\dfrac{E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + 36\pi^2 f^2 C^2 {R_B}^2 {R_G}^2}}$

(b) 相電圧 $E$ を $100\text{ V}$、周波数 $f$ を $50\text{ Hz}$、対地静電容量 $C$ を $0.1\text{ }\mu\text{F}$、絶縁抵抗値 $R_G$ を $100\text{ }\Omega$、接地抵抗値 $R_B$ を $15\text{ }\Omega$ とするとき、上記(a)の $I_B$ の値 $\text{[A]}$ として、最も近いのは次のうちどれか。

(1) $0.87$
(2) $0.99$
(3) $1.74$
(4) $2.61$
(5) $6.67$

解説

(a)の正解は(5)、(b)の正解は(1)です。

問題文の記述は、中性点にB種接地工事を施した対称三相$3$線式低圧電路において、一相の絶縁抵抗が低下した際の地絡回路計算(鳳・テブナンの定理またはミルマンの定理の適用)に関する問題です。

(a) B種接地線に流れる電流 $I_B\text{ [A]}$ を表す式の導出
絶縁抵抗が $R_G\text{ [}\Omega\text{]}$ に低下した相(これをa相とし、相電圧を $\dot{E}_a = E$ とします)の絶縁劣化箇所(端子間)に鳳・テブナンの定理を適用します。

$1$. 絶縁抵抗 $R_G\text{ [}\Omega\text{]}$ を切り離した状態(無故障時)において、各相の対地静電容量 $C\text{ [F]}$ は三相平衡しているため、変圧器の中性点電位および大地電位は等しく $0\text{ V}$ です。したがって、切り離した端子間の開放電圧 $\dot{V}_0$ はa相の相電圧そのものとなり、大きさは $E\text{ [V]}$ となります。

$2$. 次に、変圧器の三相交流電源を短絡(内部インピーダンス零)して絶縁抵抗 $R_G\text{ [}\Omega\text{]}$ の接続端子から回路側を見た合成アドミタンス $\dot{Y}_0$ を求めると、B種接地抵抗 $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$ と三相分の対地静電容量 $3C\text{ [F]}$ がすべて並列に接続された構成となります。角周波数を $\omega = 2\pi f\text{ [rad/s]}$ とすると、並列部分の合成インピーダンス $\dot{Z}_0$ は次式で表されます。

$$\dot{Z}_0 = \frac{1}{\dfrac{1}{R_B} + j\omega (3C)} = \frac{R_B}{1 + j 3\omega C R_B}$$

$3$. これに絶縁抵抗 $R_G\text{ [}\Omega\text{]}$ を接続したとき、絶縁抵抗 $R_G$ に流れる地絡電流 $\dot{I}_G$ は次式となります。

$$\dot{I}_G = \frac{E}{R_G + \dot{Z}_0} = \frac{E}{R_G + \dfrac{R_B}{1 + j 3\omega C R_B}} = \frac{(1 + j 3\omega C R_B)E}{(R_G + R_B) + j 3\omega C R_B R_G}$$

$4$. この地絡電流 $\dot{I}_G$ が大地からB種接地抵抗 $R_B$(アドミタンス $\dfrac{1}{R_B}$)と三相分の対地静電容量 $3C$(アドミタンス $j 3\omega C$)に分流して電源側へ還流するため、B種接地線に流れる電流 $\dot{I}_B$ は分流の法則より次式となります。

$$\dot{I}_B = \dot{I}_G \times \frac{\dfrac{1}{R_B}}{\dfrac{1}{R_B} + j 3\omega C} = \dot{I}_G \times \frac{1}{1 + j 3\omega C R_B} = \frac{E}{(R_G + R_B) + j 3\omega C R_B R_G}$$

ここに $\omega = 2\pi f$ を代入すると、虚数部は $3\omega C R_B R_G = 6\pi f C R_B R_G$ となるため、電流の大きさ $I_B = |\dot{I}_B|$ は次式となります。

$$I_B = \frac{E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + (6\pi f C R_B R_G)^2}} = \frac{E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + 36\pi^2 f^2 C^2 {R_B}^2 {R_G}^2}}\text{ [A]}$$

(a)の各選択肢の検討:
(1) 分母の実数部が $(R_G + R_B)^2$ ではなく ${R_B}^2$ となっており、絶縁抵抗 $R_G$ による電圧降下が抜けています。
(2) 分子が $3E$、分母の虚数部係数が $4\pi^2$($1$相分の静電容量 $C$ のみを計算した値)となっており誤りです。
(3) 分母の虚数部係数が $4\pi^2$ となっており、三相分の対地静電容量 $3C$(二乗すると $9 \times 4\pi^2 = 36\pi^2$)が考慮されていないため誤りです。
(4) 分母の実数部が $(R_G + R_B)^2$ ではなく ${R_G}^2$ となっており誤りです。
(5) 導出した式の通り $\dfrac{E}{\sqrt{(R_G + R_B)^2 + 36\pi^2 f^2 C^2 {R_B}^2 {R_G}^2}}$ であり正しいです。

(b) 各数値を代入した接地線電流 $I_B\text{ [A]}$ の数値計算
与えられた条件 $E = 100\text{ V}$、$f = 50\text{ Hz}$、$C = 0.1\text{ }\mu\text{F} = 0.1 \times 10^{-6}\text{ F}$、$R_G = 100\text{ }\Omega$、$R_B = 15\text{ }\Omega$ を(a)の式に代入します。
まず、分母の根号内の第$1$項のもとになる $(R_G + R_B)$ を計算します。

$$R_G + R_B = 100 + 15 = 115\text{ }\Omega$$

次に、第$2$項のもとになる $6\pi f C R_B R_G$ を計算します。

$$6\pi f C R_B R_G = 6 \times 3.1416 \times 50 \times 0.1 \times 10^{-6} \times 15 \times 100 \approx 0.1414\text{ }\Omega$$

ここで、$115^2 = 13\,225$ に対して $0.1414^2 \approx 0.020$ は極めて小さく無視できるため、接地線電流 $I_B$ は次式のように求まります。

$$I_B = \frac{100}{\sqrt{115^2 + 0.1414^2}} \approx \frac{100}{115} \approx 0.8696\text{ A} \rightarrow 0.87\text{ A}$$

(b)の各選択肢の検討:
(1) 正しい計算結果($0.87\text{ A}$)と一致します。
(2) $R_B = 15\text{ }\Omega$ を無視して $I_B \approx \dfrac{E}{R_G} = \dfrac{100}{100} = 1.0\text{ A}$ と誤算した値に近い誤答です。
(3) 分子を線間電圧 $\sqrt{3}E$ としたり $2$倍したりした誤答です。
(4) 分子を $3E = 300\text{ V}$ として $\dfrac{300}{115} \approx 2.61\text{ A}$ とした誤答です。
(5) 絶縁抵抗 $R_G$ を無視して $\dfrac{E}{R_B} = \dfrac{100}{15} \approx 6.67\text{ A}$ とした誤答です。

したがって、(a)は(5)、(b)は(1)となります。

【令和6年下期・問4、平成24年・問10】非接地式高圧架空配電線路の1線地絡電流および柱上変圧器B種接地抵抗値の上限計算

公称電圧 $6\,600\text{ V}$ の三相$3$線式中性点非接地方式の架空配電線路(電線はケーブル以外を使用)があり、そのこう長は $20\text{ km}$ である。この配電線路に接続される柱上変圧器の低圧電路側に施設されるB種接地工事の接地抵抗値 $\text{[}\Omega\text{]}$ の上限として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、高圧電路と低圧電路の混触により低圧電路の対地電圧が $150\text{ V}$ を超えた場合に、$1$秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を施設しているものとする。
なお、高圧配電線路の$1$線地絡電流 $I_1\text{ [A]}$ は、次式によって求めるものとする。

$$I_1 = 1 + \frac{\dfrac{V}{3}L - 100}{150}\text{ [A]}$$

$V$ は、配電線路の公称電圧を $1.1$ で除した電圧 $\text{[kV]}$
$L$ は、同一母線に接続される架空配電線路の電線延長 $\text{[km]}$

(1) $75$
(2) $150$
(3) $225$
(4) $300$
(5) $600$

解説

正解は(4)です。

問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈第$17$条第$2$項第$1$号(B種接地工事の接地抵抗値)および非接地式高圧架空配電線路における$1$線地絡電流 $I_1\text{ [A]}$ の計算規定が根拠となっています。

電気設備の技術基準の解釈 第17条第2項第1号(17-1表)において、高圧電路と低圧電路を結合する変圧器に施すB種接地工事の接地抵抗値 $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$ は、混触により低圧電路の対地電圧が $150\text{ V}$ を超えた場合に高圧電路を自動遮断する装置の遮断時間に応じて次のように規定されています。
・自動遮断装置なし(または$2$秒を超える場合):$R_B \le \dfrac{150}{I_1}\text{ [}\Omega\text{]}$
・$1$秒を超え$2$秒以内に自動遮断する場合:$R_B \le \dfrac{300}{I_1}\text{ [}\Omega\text{]}$
・$1$秒以内に自動遮断する場合:$R_B \le \dfrac{600}{I_1}\text{ [}\Omega\text{]}$

ここで、問題文に与えられた式を用いて高圧配電線路の$1$線地絡電流 $I_1\text{ [A]}$ を求めます。
$1$. 公称電圧を $1.1$ で除した電圧 $V\text{ [kV]}$ は、公称電圧が $6\,600\text{ V} = 6.6\text{ kV}$ であるため次式となります。

$$V = \frac{6.6}{1.1} = 6\text{ kV}$$

$2$. 同一母線に接続される架空配電線路の電線延長 $L\text{ [km]}$ は、こう長(線路の長さ)に電線の条数(本数)を乗じた値です。本問は三相$3$線式($1$回線・電線$3$本)でこう長が $20\text{ km}$ であるため、電線延長 $L$ は次式となります。

$$L = 20 \times 3 = 60\text{ km}$$

$3$. これらを $I_1$ の計算式に代入します。

$$I_1 = 1 + \frac{\dfrac{6}{3} \times 60 - 100}{150} = 1 + \frac{120 - 100}{150} = 1 + \frac{20}{150} \approx 1.133\text{ A}$$

$1$線地絡電流の計算規定において、計算結果の小数点以下は切り上げ、かつ $2\text{ A}$ 未満となる場合は $2\text{ A}$ とするルールがあるため、$I_1$ の値は次のようになります。

$$I_1 = 2\text{ A}$$

$4$. 本問では混触時に「$1$秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置」を施設しているため、B種接地抵抗値の上限 $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$ は次式により求まります。

$$R_B = \frac{600}{I_1} = \frac{600}{2} = 300\text{ }\Omega$$

各選択肢の検討:
(1) 自動遮断装置がない場合の式 $\dfrac{150}{I_1} = \dfrac{150}{2} = 75\text{ }\Omega$ で計算した値であり誤りです。
(2) $1$秒を超え$2$秒以内に遮断する場合の式 $\dfrac{300}{I_1} = \dfrac{300}{2} = 150\text{ }\Omega$ で計算した値であり誤りです。
(3) 規定外の数値($225\text{ }\Omega$)であり誤りです。
(4) $I_1 = 2\text{ A}$ および $1$秒以内遮断の式 $\dfrac{600}{I_1} = 300\text{ }\Omega$ に基づく正しい上限値です。
(5) $L = 20\text{ km}$($3$倍忘れ)として分数を負($0$に切り上げ)とし、$I_1 = 1\text{ A}$ として $\dfrac{600}{1} = 600\text{ }\Omega$ とした誤答です。

したがって、正しいものは(4)となります。

【電験3種・法規】令和6年度下期の過去問題と解説集
令和6年度下期(法規分野)に電験3種で出題された過去問題を解説付きでまとめています。

【令和6年下期・問12、令和5年上期・問12、令和元年・問13】三相3線式低圧電路(一端子B種接地)におけるB種接地抵抗値の上限および常時流れる接地線電流の計算

図は三相$3$線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の一相当たりの対地静電容量を $C$ とし接地抵抗を $R_B$ とする。
低圧側電路の線間電圧 $200\text{ V}$、周波数 $50\text{ Hz}$、対地静電容量 $C$ は $0.1\text{ }\mu\text{F}$ として、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、
(ア) 変圧器の高圧電路の$1$線地絡電流は $5\text{ A}$ とする。
(イ) 高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が $150\text{ V}$ を超えた場合は $1.3\text{ 秒}$ で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。

【回路構成】
・変圧器二次側:$\Delta$結線(線間電圧 $200\text{ V}$、周波数 $50\text{ Hz}$)、その一端子と大地間にB種接地抵抗 $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$(接地線電流 $I_B$)を接続
・三相$3$線式低圧電路:各相と大地間にそれぞれ対地静電容量 $C\text{ [F]}$ が接続された回路

(a) 変圧器に施された、接地抵抗 $R_B$ の抵抗値について「電気設備技術基準の解釈」で許容されている上限の抵抗値 $\text{[}\Omega\text{]}$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) $20$
(2) $30$
(3) $40$
(4) $60$
(5) $100$

(b) 接地抵抗 $R_B$ の抵抗値を $10\text{ }\Omega$ としたときに、$R_B$ に常時流れる電流 $I_B$ の値 $\text{[mA]}$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、記載以外のインピーダンスは無視するものとする。

(1) $11$
(2) $19$
(3) $33$
(4) $65$
(5) $192$

解説

(a)の正解は(4)、(b)の正解は(1)です。

問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈第$17$条第$2$項第$1$号(B種接地工事の接地抵抗値)および一端子接地方式の三相$3$線式低圧電路における常時漏えい電流の計算(鳳・テブナンの定理)が根拠となっています。

(a) B種接地抵抗 $R_B$ の許容上限値 $\text{[}\Omega\text{]}$ の計算
電気設備の技術基準の解釈 第17条第2項第1号(17-1表)より、高圧側電路と低圧側電路の混触時に低圧電路の対地電圧が $150\text{ V}$ を超えた場合の自動遮断時間が $1.3\text{ 秒}$ であるとき、これは「$1$秒を超え$2$秒以内」の区分に該当します。
したがって、B種接地抵抗 $R_B$ の上限値は、高圧電路の$1$線地絡電流 $I_1 = 5\text{ A}$ を用いて次式で求まります。

$$R_B = \frac{300}{I_1} = \frac{300}{5} = 60\text{ }\Omega$$

(a)の各選択肢の検討:
(1) 規定外の値($20\text{ }\Omega$)であり誤りです。
(2) 自動遮断装置がない場合の式 $\dfrac{150}{I_1} = \dfrac{150}{5} = 30\text{ }\Omega$ で計算した値であり誤りです。
(3) 規定外の値($40\text{ }\Omega$)であり誤りです。
(4) $1$秒を超え$2$秒以内遮断の式 $\dfrac{300}{I_1} = \dfrac{300}{5} = 60\text{ }\Omega$ に合致しており正しいです。
(5) D種接地工事の原則上限値($100\text{ }\Omega$)と混同した誤答です。

(b) $R_B = 10\text{ }\Omega$ に常時流れる電流 $I_B\text{ [mA]}$ の計算
B種接地抵抗 $R_B$ が接続されている一端子と大地との間に鳳・テブナンの定理を適用します。

$1$. B種接地抵抗 $R_B$ を切り離した状態を考えると、各相の対地静電容量 $C\text{ [F]}$ は三相平衡しているため、三相回路の仮想中性点の電位が大地電位($0\text{ V}$)と一致します。したがって、接地を施す一端子と大地との間に現れる開放電圧 $E\text{ [V]}$ は、線間電圧 $V = 200\text{ V}$ に対する相電圧となります。

$$E = \frac{V}{\sqrt{3}} = \frac{200}{\sqrt{3}}\text{ [V]}$$

$2$. 次に、変圧器二次側電源を短絡して接地点から回路側を見た内部インピーダンスを求めると、$3$相分の対地静電容量 $C$ がすべて並列に接続された静電容量 $3C$ となります。その容量性リアクタンス $X_C\text{ [}\Omega\text{]}$ は次式で表されます。

$$X_C = \frac{1}{2\pi f \times 3C} = \frac{1}{6\pi f C}$$

ここに $f = 50\text{ Hz}$、$C = 0.1\text{ }\mu\text{F} = 0.1 \times 10^{-6}\text{ F}$ を代入します。

$$X_C = \frac{1}{6 \times 3.1416 \times 50 \times 0.1 \times 10^{-6}} = \frac{1}{9.4248 \times 10^{-5}} \approx 10\,610\text{ }\Omega$$

$3$. このテブナン等価回路に $R_B = 10\text{ }\Omega$ を接続したとき、流れる電流 $I_B\text{ [A]}$ は次式となります。なお、$R_B = 10\text{ }\Omega$ は $X_C \approx 10\,610\text{ }\Omega$ に比べて十分に小さいため、分母はほぼ $X_C$ に等しくなります。

$$I_B = \frac{E}{\sqrt{{R_B}^2 + {X_C}^2}} = \frac{\dfrac{200}{\sqrt{3}}}{\sqrt{10^2 + 10\,610^2}} \approx \frac{115.47}{10\,610} \approx 0.01088\text{ A} = 10.88\text{ mA} \rightarrow 11\text{ mA}$$

(または、非接地相$2$相から対地静電容量 $C$ を介して流れる充電電流のベクトル和 $\sqrt{3} \times 2\pi f C V = 1.732 \times 2 \times 3.1416 \times 50 \times 0.1 \times 10^{-6} \times 200 \approx 10.88\text{ mA}$ としても全く同じ結果が得られます。)

(b)の各選択肢の検討:
(1) 正しい計算結果($10.88\text{ mA} \approx 11\text{ mA}$)と一致します。
(2) 開放電圧に相電圧ではなく線間電圧 $200\text{ V}$ をそのまま用いて $\dfrac{200}{10\,610} \approx 18.8\text{ mA} \approx 19\text{ mA}$ とした誤答です。
(3) 計算結果をさらに $\sqrt{3}$ 倍して約 $33\text{ mA}$ とした誤答です。
(4) 計算過程で係数を誤った値($65\text{ mA}$)であり誤りです。
(5) 静電容量のリアクタンスを誤算した値($192\text{ mA}$)であり誤りです。

したがって、(a)は(4)、(b)は(1)となります。

【電験3種・法規】令和6年度下期の過去問題と解説集
令和6年度下期(法規分野)に電験3種で出題された過去問題を解説付きでまとめています。

【令和6年上期・問13、平成22年・問12】変圧器のB種接地抵抗値および空調機の地絡時における人体通過電流を制限するD種接地抵抗値の計算

変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧 $100\text{ V}$ の金属製外箱を有する空調機がある。この変圧器のB種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された空調機の金属製外箱のD種接地抵抗値に関して、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、次の条件によるものとする。
(ア) 変圧器の高圧側の電路の$1$線地絡電流は $5\text{ A}$ で、B種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」で許容されている最高限度の $\dfrac{1}{3}$ に維持されている。
(イ) 変圧器の高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が $150\text{ V}$ を超えた場合に、$0.8\text{ 秒}$ で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている。

(a) 変圧器の低圧側に施されたB種接地工事の接地抵抗値 $\text{[}\Omega\text{]}$ の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1) $10$
(2) $20$
(3) $30$
(4) $40$
(5) $50$

(b) 空調機に地絡事故が発生した場合、空調機の金属製外箱に触れた人体に流れる電流を $10\text{ mA}$ 以下としたい。このための空調機の金属製外箱に施すD種接地工事の接地抵抗値 $\text{[}\Omega\text{]}$ の上限値として、最も近いのは次のうちどれか。
ただし、人体の電気抵抗値は $6\,000\text{ }\Omega$ とする。

(1) $10$
(2) $15$
(3) $20$
(4) $30$
(5) $60$

解説

(a)の正解は(4)、(b)の正解は(5)です。

問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈第$17$条第$2$項(B種接地工事)及び第$4$項(D種接地工事)、第$29$条(機械器具の金属製外箱等の接地)に基づく接地抵抗計算および感電防止回路の分流・分圧計算が根拠となっています。

(a) 維持されているB種接地工事の接地抵抗値 $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$ の計算
電気設備の技術基準の解釈 第17条第2項第1号(17-1表)より、混触時に低圧電路の対地電圧が $150\text{ V}$ を超えた場合の遮断時間が $0.8\text{ 秒}$ であるとき、これは「$1$秒以内」の区分に該当します。
したがって、法令上許容されているB種接地抵抗値の最高限度 $R_{B\text{max}}\text{ [}\Omega\text{]}$ は、$1$線地絡電流 $I_1 = 5\text{ A}$ を用いて次式となります。

$$R_{B\text{max}} = \frac{600}{I_1} = \frac{600}{5} = 120\text{ }\Omega$$

条件(ア)より、実際のB種接地抵抗値 $R_B$ はこの最高限度の $\dfrac{1}{3}$ に維持されているため、次式により求まります。

$$R_B = R_{B\text{max}} \times \frac{1}{3} = 120 \times \frac{1}{3} = 40\text{ }\Omega$$

(a)の各選択肢の検討:
(1) 自動遮断装置がない場合の最高限度 $\dfrac{150}{5} = 30\text{ }\Omega$ のさらに $\dfrac{1}{3}$ とした値($10\text{ }\Omega$)であり誤りです。
(2) $1$秒超$2$秒以内遮断の最高限度 $\dfrac{300}{5} = 60\text{ }\Omega$ の $\dfrac{1}{3}$ とした値($20\text{ }\Omega$)であり誤りです。
(3) 自動遮断装置がない場合の最高限度 $\dfrac{150}{5} = 30\text{ }\Omega$ であり誤りです。
(4) $1$秒以内遮断の最高限度 $120\text{ }\Omega$ の $\dfrac{1}{3}$ である $40\text{ }\Omega$ と一致しており正しいです。
(5) 規定外の値($50\text{ }\Omega$)であり誤りです。

(b) 人体通過電流を $10\text{ mA}$ 以下とするD種接地抵抗値 $R_D\text{ [}\Omega\text{]}$ の上限計算
使用電圧 $E = 100\text{ V}$ の空調機において完全地絡事故が発生した際、金属製外箱と大地との間にはD種接地抵抗 $R_D\text{ [}\Omega\text{]}$ と人体の電気抵抗 $R_H = 6\,000\text{ }\Omega$ が並列に接続され、大地から変圧器のB種接地抵抗 $R_B = 40\text{ }\Omega$ を通って電源へ還流する閉回路が形成されます。

$1$. 人体に流れる電流 $I_H$ の上限値 $I_H = 10\text{ mA} = 0.01\text{ A}$ のとき、金属製外箱の許容される対地電圧の上限 $V_d\text{ [V]}$ はオームの法則より次式となります。

$$V_d = I_H R_H = 0.01 \times 6\,000 = 60\text{ V}$$

$2$. このとき、電源電圧 $E = 100\text{ V}$ のうち、変圧器のB種接地抵抗 $R_B = 40\text{ }\Omega$ に加わる電圧 $V_B\text{ [V]}$ は次式となります。

$$V_B = E - V_d = 100 - 60 = 40\text{ V}$$

$3$. したがって、B種接地抵抗 $R_B = 40\text{ }\Omega$ を流れる全地絡電流 $I_B\text{ [A]}$ は次式となります。

$$I_B = \frac{V_B}{R_B} = \frac{40}{40} = 1.0\text{ A}$$

$4$. 全地絡電流 $I_B = 1.0\text{ A}$ のうち人体に $I_H = 0.01\text{ A}$ が流れるため、D種接地抵抗 $R_D$ に流れる電流 $I_D\text{ [A]}$ および求める上限抵抗値 $R_D\text{ [}\Omega\text{]}$ は次式となります。

$$I_D = I_B - I_H = 1.0 - 0.01 = 0.99\text{ A}$$ $$R_D = \frac{V_d}{I_D} = \frac{60}{0.99} \approx 60.6\text{ }\Omega \rightarrow 60\text{ }\Omega$$

(人体抵抗 $R_H = 6\,000\text{ }\Omega$ が $R_D$ に比べて十分に大きいため $I_H$ を無視して分圧比 $\dfrac{R_D}{R_B + R_D} = \dfrac{60}{100}$ から $R_D = 60\text{ }\Omega$ と求めても同じ選択肢となります。また、この値は解釈第$17$条第$4$項が定めるD種接地抵抗値の法定上限 $100\text{ }\Omega$ 以下も満たしています。)

(b)の各選択肢の検討:
(1)~(4) いずれも上限値である約 $60\text{ }\Omega$ より小さい値であり誤りです。
(5) 導出したD種接地抵抗値の上限値(約 $60\text{ }\Omega$)に最も近い値であり正しいです。

したがって、(a)は(4)、(b)は(5)となります。

【平成28年・問11】低圧及び高圧・特別高圧電路における地絡遮断装置の施設基準と省略要件

「電気設備技術基準の解釈」に基づく地絡遮断装置の施設に関する記述について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 金属製外箱を有する使用電圧が $60\text{ V}$ を超える低圧の機械器具に接続する電路には、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を原則として施設しなければならないが、この装置を施設しなくてもよい場合として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が $3\text{ }\Omega$ 以下の場合
(2) 電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が $300\text{ V}$ 以下のものに限る。)を施設するとともに、当該絶縁変圧器の機械器具側の電路を非接地とする場合
(3) 機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける過電流遮断器を取り付け、かつ、電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合
(4) 機械器具に簡易接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す機械器具と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合
(5) 機械器具を乾燥した場所に施設する場合

(b) 高圧又は特別高圧の電路には、下表の左欄に掲げる箇所又はこれに近接する箇所に、同表中欄に掲げる電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、同表右欄に掲げる場合はこの限りでない。
表内の下線部(ア)から(ウ)のうち、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

地絡遮断装置を施設する箇所 電路 地絡遮断装置を施設しなくても良い場合
発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の引出口 発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所から引出される電路 発電所又は変電所相互間の電線路が、いずれか一方の発電所又は変電所の母線の延長とみなされるものである場合において、計器用変成器を母線に施設すること等により、当該電線路に地絡を生じた場合に電源側(ア)の電路を遮断する装置を施設するとき
他の者から供給を受ける受電点 受電点の負荷側の電路 他の者から供給を受ける電気を全てその受電点に属する受電場所において変成し、又は使用する場合
配電用変圧器(単巻変圧器を除く。)の施設箇所 配電用変圧器の負荷側の電路 配電用変圧器の電源側(イ)に地絡を生じた場合に、当該配電用変圧器の施設箇所の電源側(ウ)の発電所又は変電所で当該電路を遮断する装置を施設するとき

上記表において、引出口とは、常時又は事故時において、発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所から電線路へ電流が流出する場所をいう。

(1) (ア)のみ
(2) (イ)のみ
(3) (ウ)のみ
(4) (ア)と(イ)の両方
(5) (イ)と(ウ)の両方

解説

(a)の正解は(3)、(b)の正解は(2)です。

問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈第$36$条(地絡遮断装置の施設)第$1$項(低圧電路)および第$4$項(高圧又は特別高圧の電路)が根拠となっています。

(a) 低圧電路における地絡遮断装置の施設省略要件(解釈第$36$条第$1$項)
電気設備の技術基準の解釈 第36条第1項において、金属製外箱を有する使用電圧が $60\text{ V}$ を超える低圧の機械器具に接続する電路には、地絡時に自動遮断する装置(漏電遮断器等)の施設が義務付けられていますが、以下の場合は省略が認められています。
・第$1$号イ:機械器具に簡易接触防護措置(金属製で機械器具と電気的に接続するおそれがあるものを除く)を施す場合。
・第$1$号ロ:機械器具を乾燥した場所に施設する場合。
・第$2$号:機械器具に施されたC種接地工事又はD種接地工事の接地抵抗値が $3\text{ }\Omega$ 以下の場合(接地抵抗が極めて低く外箱の電位上昇が抑えられるため)。
・第$3$号:電路の系統電源側に絶縁変圧器(機械器具側の線間電圧が $300\text{ V}$ 以下のものに限る)を施設し、かつ機械器具側の電路を非接地とする場合。
・第$4$号:機械器具内に電気用品安全法の適用を受ける「漏電遮断器」を取り付け、かつ電源引出部が損傷を受けるおそれがないように施設する場合。

(a)の各選択肢の検討:
(1) 解釈第$36$条第$1$項第$2$号の規定通り(接地抵抗値 $3\text{ }\Omega$ 以下)であり正しいです。
(2) 解釈第$36$条第$1$項第$3$号の規定通り(絶縁変圧器・二次側 $300\text{ V}$ 以下非接地)であり正しいです。
(3) 解釈第$36$条第$1$項第$4$号では「漏電遮断器」を取り付ける場合と規定されていますが、本肢では「過電流遮断器」となっているため誤りです。したがって、本問(a)の正解となります。
(4) 解釈第$36$条第$1$項第$1$号イの規定通りであり正しいです。
(5) 解釈第$36$条第$1$項第$1$号ロの規定通りであり正しいです。

(b) 高圧・特別高圧電路における地絡遮断装置の施設省略要件(解釈第$36$条第$4$項・36-1表)
電気設備の技術基準の解釈 第36条第4項の表(36-1表)において、各箇所の省略要件は次のように規定されています。
・下線部(ア):発電所・変電所相互間の電線路がいずれか一方の母線の延長とみなされる場合、当該電線路に地絡を生じた際に「電源側」の電路を遮断する装置を施設するときは引出口の地絡遮断装置を省略できます。したがって(ア)は正しいです。
・下線部(イ)および(ウ):表の3段目の中欄を見ると、保護対象となる電路は「配電用変圧器の負荷側の電路」です。したがって、右欄の省略条件は「配電用変圧器の負荷側に地絡を生じた場合に、当該配電用変圧器の施設箇所の電源側の発電所又は変電所で当該電路を遮断する装置を施設するとき」となります。よって、「電源側」としている(イ)が誤り(正しくは「負荷側」)であり、(ウ)は「電源側」で正しいです。

(b)の各選択肢の検討:
(1) (ア)は「電源側」で正しいため誤りです。
(2) 誤っているのは(イ)のみであるため正しいです。
(3) (ウ)は「電源側」で正しいため誤りです。
(4) (ア)は正しいため誤りです。
(5) (ウ)は正しいため誤りです。

したがって、(a)は(3)、(b)は(2)となります。

【平成25年・問13】変圧器のB種接地抵抗値および電動ポンプの完全地絡時における金属製外箱の対地電圧を制限するD種接地抵抗値の計算

変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧 $100\text{ V}$ の金属製外箱を有する電動ポンプがある。この変圧器のB種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された電動ポンプの金属製外箱のD種接地抵抗値に関して、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、次の条件によるものとする。
(ア) 変圧器の高圧側電路の$1$線地絡電流は $3\text{ A}$ とする。
(イ) 高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が $150\text{ V}$ を超えた場合に、$1.2\text{ 秒}$ で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられている。

(a) 変圧器の低圧側に施されたB種接地工事の接地抵抗値について、「電気設備技術基準の解釈」で許容されている上限の抵抗値 $\text{[}\Omega\text{]}$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) $10$
(2) $25$
(3) $50$
(4) $75$
(5) $100$

(b) 電動ポンプに完全地絡事故が発生した場合、電動ポンプの金属製外箱の対地電圧を $25\text{ V}$ 以下としたい。このための電動ポンプの金属製外箱に施すD種接地工事の接地抵抗値 $\text{[}\Omega\text{]}$ の上限値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、B種接地抵抗値は、上記(a)で求めた値を使用する。

(1) $15$
(2) $20$
(3) $25$
(4) $30$
(5) $35$

解説

(a)の正解は(5)、(b)の正解は(4)です。

問題文の記述は、電気設備の技術基準の解釈第$17$条第$2$項(B種接地工事)及び第$4$項(D種接地工事)、第$29$条(機械器具の金属製外箱等の接地)に基づく接地抵抗の上限計算および完全地絡時の分圧計算が根拠となっています。

(a) B種接地工事の許容上限抵抗値 $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$ の計算
電気設備の技術基準の解釈 第17条第2項第1号(17-1表)より、混触時に低圧電路の対地電圧が $150\text{ V}$ を超えた場合の高圧電路の遮断時間が $1.2\text{ 秒}$ であるとき、これは「$1$秒を超え$2$秒以内」の区分に該当します。
したがって、許容されるB種接地抵抗値の上限 $R_B\text{ [}\Omega\text{]}$ は、高圧側電路の$1$線地絡電流 $I_1 = 3\text{ A}$ を用いて次式で求まります。

$$R_B = \frac{300}{I_1} = \frac{300}{3} = 100\text{ }\Omega$$

(a)の各選択肢の検討:
(1) C種接地工事の原則上限値($10\text{ }\Omega$)であり誤りです。
(2) 規定外の値($25\text{ }\Omega$)であり誤りです。
(3) 自動遮断装置がない場合の式 $\dfrac{150}{I_1} = \dfrac{150}{3} = 50\text{ }\Omega$ で計算した値であり誤りです。
(4) 規定外の値($75\text{ }\Omega$)であり誤りです。
(5) $1$秒超$2$秒以内遮断の式 $\dfrac{300}{I_1} = \dfrac{300}{3} = 100\text{ }\Omega$ と一致しており正しいです。

(b) 外箱の対地電圧を $25\text{ V}$ 以下とするD種接地抵抗値 $R_D\text{ [}\Omega\text{]}$ の上限計算
使用電圧 $E = 100\text{ V}$ の電動ポンプに完全地絡事故が発生すると、電源電圧 $E = 100\text{ V}$ が電動ポンプ外箱のD種接地抵抗 $R_D\text{ [}\Omega\text{]}$ と変圧器のB種接地抵抗 $R_B = 100\text{ }\Omega$ の直列回路に印加されます。
分圧の法則より、電動ポンプの金属製外箱の対地電圧 $V_d\text{ [V]}$ は次式で表されます。

$$V_d = E \times \frac{R_D}{R_B + R_D}$$

この対地電圧 $V_d$ を $25\text{ V}$ 以下とするための条件式に $E = 100\text{ V}$、$R_B = 100\text{ }\Omega$ を代入して $R_D$ について解きます。

$$100 \times \frac{R_D}{100 + R_D} \le 25$$ $$\frac{R_D}{100 + R_D} \le 0.25$$ $$R_D \le 25 + 0.25 R_D$$ $$0.75 R_D \le 25 \implies R_D \le \frac{25}{0.75} = \frac{100}{3} \approx 33.3\text{ }\Omega$$

ここで選択肢(4)の $30\text{ }\Omega$ と選択肢(5)の $35\text{ }\Omega$ を比較すると、仮に $R_D = 35\text{ }\Omega$ とした場合は外箱の対地電圧が $V_d = 100 \times \dfrac{35}{100 + 35} \approx 25.9\text{ V}$ となって「$25\text{ V}$ 以下としたい」という条件を満足できなくなります。したがって、条件 $R_D \le 33.3\text{ }\Omega$ を満たす範囲で最も近い上限値である $30\text{ }\Omega$ を選びます。

(b)の各選択肢の検討:
(1)~(3) いずれも $V_d \le 25\text{ V}$ は満たしますが、上限値(最大許容抵抗値)としては小さすぎるため誤りです。
(4) $R_D \le 33.3\text{ }\Omega$ の条件を満たす上限値として最も近い値($R_D = 30\text{ }\Omega$ のとき $V_d \approx 23.1\text{ V} \le 25\text{ V}$)であり正しいです。
(5) $R_D = 35\text{ }\Omega$ とすると対地電圧が約 $25.9\text{ V}$ となり $25\text{ V}$ を超えてしまうため誤りです。

したがって、(a)は(5)、(b)は(4)となります。

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