【電験3種・法規】低圧系統用蓄電所には「主任技術者の選任」と「保安規程の届出」が必要な理由

電験3種(法規)で出題される「低圧の系統用蓄電所に主任技術者の選任と保安規程の届出が必要」な理由について解説します。

系統用蓄電所とは

系統に直接つながる蓄電池を「系統用蓄電所」といいます。「系統用蓄電所」の場合、蓄電池の容量、出力、連系電圧に関係なく、事業用用電気工作物扱いとなり、「技術基準適合・維持義務」が課せられるとともに、「主任技術者の選任」と「保安規程の届出」が必要となります。(経済産業省の担当部署に確認済)

電気事業法上の保安規制にかかる手続き

経済産業省のHP「電力貯蔵装置(蓄電池)・蓄電所を設置する場合の手引き」に以下の表があります。

赤枠に記載されているとおり、出力1万kW未満であっても「技術基準適合・維持義務」「主任技術者選任」「保安規程届出」は必要となっています。「低圧連系等であれば不要」といった特記事項もありません。

低圧系統用蓄電所が事業用電気工作物となる理由

電気事業法第38条で、電気工作物の区分が定義されています。

第38条 この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物であつて、構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するものをいう。ただし、小規模発電設備(低圧(経済産業省令で定める電圧以下の電圧をいう。第一号において同じ。)の電気に係る発電用の電気工作物であつて、経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するものを除く。
 一 電気を使用するための電気工作物であつて、低圧受電電線路(当該電気工作物を設置する場所と同一の構内において低圧の電気を他の者から受電し、又は他の者に受電させるための電線路をいう。次号ロ及び第三項第一号ロにおいて同じ。)以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
 二 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの
  イ 出力が経済産業省令で定める出力未満のものであること。
  ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
 三 前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの
2 この法律において「事業用電気工作物」とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
3 この法律において「小規模事業用電気工作物」とは、事業用電気工作物のうち、次に掲げる電気工作物であつて、構内に設置するものをいう。ただし、第一項ただし書に規定するものを除く。
 一 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの
  イ 出力が第一項第二号イの経済産業省令で定める出力以上のものであること。
  ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
 二 前号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの
4 この法律において「自家用電気工作物」とは、次に掲げる事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
 一 一般送配電事業
 二 送電事業
 三 配電事業
 四 特定送配電事業
 五 発電事業であつて、その事業の用に供する発電等用電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの

電気工作物は、大きく「一般用電気工作物」と「事業用電気工作物」の二つに分類されます。まず第1項で「一般用電気工作物」の範囲を定義し、第2項で一般用電気工作物以外の電気工作物を「事業用電気工作物」として定義しています。したがって、一般用電気工作物の範囲が第1項の要件により決定されることから、この要件から外れる電気工作物が事業用電気工作物となります。

法第38条第一項より、一般用電気工作物は「電気を使用するための電気工作物」と「小規模発電設備」であって、

① 一の構内にあるものであること、
② 一定電圧以下のものであること、
③ 一般用電気工作物以外の発電設備と同一の構内に設置されるものでないこと、
④ 爆発性又は引火性の物が存在する場所に設置されるものでないこと、
⑤ 一定の条件の電線路以外の電線路により構内以外の場所(以下「構外」という。)と接続されるものでないこと、

という5つの条件が設けられています。蓄電所は「電気を使用するための電気工作物」ではありません。また、「小規模発電設備」とは施行規則第48条より

①出力50kW未満の太陽電池発電設備
②出力20kW未満の風力発電設備
③出力20kW未満の水力発電設備であって最大使用水量が毎秒1立方メートル未満のもの(ダムを伴うものを除く。)又は特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの
④出力10kW未満の内燃力を原動力とする火力発電設備
⑤出力10kW未満の燃料電池発電設備であって、固体高分子型又は固体酸化物型であり、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が0.1MPa未満のもの又は道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車に設置される燃料電池発電設備であって、道路運送車両の保安基準第17条第1項及び第17条の2第5項の基準に適合するもの
⑥発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第51号)第73条の2第1項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力10kW未満のもの

のいずれかに該当するものとされています。蓄電所は上記①から⑥のいずれにも該当しないため、「小規模発電設備」ではありません。
また、「前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの」については、電気事業法施行規則に具体的な定めがなく、電気事業法の解説では以下のように解説されています。

第1項第3号は、「前二号に準ずるものとして経済産業省令で定めるもの」と規定されています。
これは、平成7年改正前においては一般用電気工作物は電気を使用するための電気工作物のみであったため、前述の5つの条件を法律において容易に規定することができたが、平成7年改正において小出力発電設備(現在の小規模発電設備)が一般用電気工作物に追加され、法律において一般用電気工作物の概念の全体集合を網羅的に規定すると条文が極めて複雑になることから、代表的かつ基本的なケースとして第1号と第2号を規定することとし、これに準ずるケースは経済産業省令において規定することとしたものです。ただし、現在のところ、この条項に相応する具体例が存在しないため、経済産業省令には特段の定めは設けられていません。

よって、低圧系統用蓄電所を含めた「蓄電所」は一般用電気工作物に該当しないため「事業用電気工作物」となります。そして「小規模発電設備」でもなく、「小規模事業用電気工作物」にも該当しないため、「技術基準適合・維持義務」が課せられるとともに、「主任技術者の選任」と「保安規程の届出」が必要となります。

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