電験3種(理論分野)で出題される交流電圧の実効値が「最大値の0.707倍」となる理由について解説します。
交流電圧の平均値が「最大値の0.637倍」となる理由

交流電圧の実効値(RMS: Root Mean Square)は、変化し続ける交流電圧が、直流電圧の何V分に相当する仕事(熱量)をするかを表す値です。
$$V_{rms} = \frac{V_{max}}{\sqrt{2}} \approx 0.707 V_{max}$$
計算式の導出
電力は電圧(または電流)の2乗に比例します。直流(DC)の場合、電圧 $V$ が常に一定なので、抵抗 $R$ に電圧を加えたときに発生する電力 $P_{dc}$ の計算は単純です。
$$P_{dc} = \frac{V^2}{R}$$
交流(AC)の場合、交流の電圧 $v(t)$ は常に変化しているため、一瞬ごとの電力(瞬時電力) $p(t)$ も常に変化します。
$$p(t) = \frac{v(t)^2}{R}$$
この交流が1周期($T$)の間にする平均的な仕事を知るには、1周期分の瞬時電力を足し合わせて平均を求める必要があります。それにより、変化し続ける値の1周期あたりの平均的な仕事量を知ることができます。つまり、交流電圧の実効値 $V_{rms}$ の定義は、「直流電圧 $V$ をかけたときと同じ平均電力を発生させる交流電圧の値」のことです。つまり、以下の等式が成り立つような $V_{rms}$ を探すことになります。
(直流の電力)=(交流の平均電力)
$$\frac{V_{rms}^2}{R} = \text{Average}\left( \frac{v(t)^2}{R} \right)$$
この式から抵抗 $R$ を消去して整理します。右辺の交流の電力の平均を、積分の形で書き直します。
$$V_{rms}^2 = \frac{1}{T} \int_{0}^{T} v(t)^2 dt$$
左辺を $V_{rms}$ だけにするために、全体の平方根(Root)をとります。
$$V_{rms} = \sqrt{\frac{1}{T} \int_{0}^{T} v(t)^2 dt}$$
二乗された単位を元の「電圧(V)」の単位に戻すことができました。
正弦波の瞬時値$v(t) = V_{max} \sin(\omega t)$を二乗します。
$$v(t)^2 = V_{max}^2 \sin^2(\omega t)$$
なお、$V_m$は波形のピークの高さ(最大値)です。積分の計算を容易にするために、三角関数の半角の公式($\sin^2 \theta = \frac{1 – \cos 2\theta}{2}$)を用いて次数を下げます。
$$v(t)^2 = V_{max}^2 \cdot \frac{1 – \cos(2\omega t)}{2}$$
この二乗値を1周期($0$ から $T$ まで)で積分し、時間平均を求めます。なお、交流の周期は $T = \frac{2\pi}{\omega}$ です。
$$\frac{1}{T} \int_{0}^{T} v(t)^2 dt = \frac{1}{T} \int_{0}^{T} \frac{V_{max}^2}{2} (1 – \cos 2\omega t) dt$$
定数 $\frac{V_{max}^2}{2T}$ を外に出して積分を実行します。
$$= \frac{V_{max}^2}{2T} \left[ t – \frac{\sin 2\omega t}{2\omega} \right]_{0}^{T}$$
ここで、$\sin 2\omega T$ について考えると、$T = \frac{2\pi}{\omega}$ なので $\sin(4\pi) = 0$ となります。また $t=0$ のときも $0$ です。したがって、括弧の中は $T$ だけが残ります。
$$= \frac{V_{max}^2}{2T} \cdot T = \frac{V_{max}^2}{2}$$
最後に、平均値の平方根をとります。
$$V_{rms} = \sqrt{\frac{V_{max}^2}{2}} = \frac{V_{max}}{\sqrt{2}}$$
よって、正弦波交流の実効値 $V_{rms}$ と最大値 $V_{max}$ の関係は以下のようになります。
$$V_{rms} = \frac{V_{max}}{\sqrt{2}} \approx 0.707 V_{max}$$
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