電験$3$種法規科目における「高圧受電設備・低圧幹線の三相短絡電流・遮断容量および過電流継電器(OCR)連動試験の計算」に関する過去問解説です。
高圧受電設備・低圧幹線の三相短絡電流・遮断容量およびOCR連動試験の計算
電力系統の短絡事故では、平常時を大幅に超える過大な短絡電流が電路に流入します。
電気機械器具が過熱や電磁力で損壊することを防ぐため、遮断器には短絡電流を安全に遮断する能力が求められます。
受電点や変圧器二次側、低圧幹線の短絡電流計算には、パーセントインピーダンス($\text{\%}Z$)法が広く用いられます。
保護継電器と遮断器が協調して確実に事故区間を切り離せるよう、定期的な連動動作試験が実施されます。
根拠法令は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$14$条(過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策)です。
あわせて「電気設備技術基準の解釈」第$33$条(過電流遮断器の施設)および第$148$条(低圧幹線の施設)の技術要件に基づきます。
短絡計算および保護継電器特性の評価基準
三相短絡電流の算定手法、遮断容量の選定基準、過電流継電器(OCR)の動作特性、および試験機連動要件を整理した一覧です。
| 評価項目 | 主要な算定式・設計基準 | 技術的メカニズムおよび適用条件 | 試験における頻出引っかけ |
|---|---|---|---|
| 三相短絡電流の算定 | $I_s = I_n \times \frac{100}{\text{\%}Z}$ | 電源側および変圧器の百分率インピーダンスを同一基準容量へ換算して合成します。 | 基準容量の換算を失念する誤り、インピーダンス降下と抵抗降下の混同 |
| 変流比と一次・二次電流換算 | $I_1 = I_2 \times \frac{V_2}{V_1}$、\(I_{\text{CT2}} = I_1 \times \frac{I_{2\text{n}}}{I_{1\text{n}}}\) | 短絡電流を変圧比で一次側へ換算し、変流器(CT)の変流比を乗じて継電器入力電流を求めます。 | 変圧比の乗除関係を逆に適用する誤り、線間電圧と相電圧の混同 |
| OCR動作時間の算定 | $T = \frac{80}{N^2 - 1} \times \frac{D}{10}$ | 電流整定値に対する入力電流の倍数$N$に応じた反限時特性を示します。 | 倍数$N$に一次電流を代入する誤り、$N^2 - 1$の減算忘れ |
| OCR・VCB連動試験の条件 | $I_2 = \frac{V}{\sqrt{R^2 + X^2}} \ge I_{\text{control}}$ | トリップコイル挿入に伴うインピーダンス増加を見込み、動作電流を確保できる抵抗値を設定します。 | コイルのリアクタンス加算を無視する誤り、力率角の扱い間違い |
| 遮断容量の選定 | $I_{\text{rated}} \ge I_s$(直近上位の定格値) | 幹線インピーダンスによる短絡電流の減衰効果を考慮し、設置点の短絡電流を超える標準定格を選定します。 | 変圧器直後と分電盤での短絡電流差を考慮しない誤り |
令和4年上期 問10
過電流継電器(以下「OCR」という。)と真空遮断器(以下「VCB」という。)との連動動作試験を行う。保護継電器試験機からOCRに動作電流整定タップ$3\text{ A}$の$300\text{ \%}$($9\text{ A}$)を入力した時点から,VCBが連動して動作するまでの時間を計測する。保護継電器試験機からの電流は,試験機→OCR→試験機へと流れ,OCRが動作すると,試験機→OCR→VCB(トリップコイルの誘導性リアクタンスは$10\text{ }\Omega$)→試験機へと流れる(図)。保護継電器試験機において可変抵抗$R\text{ [}\Omega\text{]}$をタップを切り換えて調整し,可変単巻変圧器を操作して試験電圧$V\text{ [V]}$を調整して,電流計が必要な電流値($9\text{ A}$)を示すように設定する(この設定中は,OCRが動作しないようにOCRの動作ロックボタンを押しておく)。図のOCR内の※で示した接点は,OCRが動作した時に開き,それによりトリップコイルに電流が流れる(VCBは変流器二次電流による引外し方式)。図のVCBは,コイルに$3.0\text{ A}$以上の電流(定格開路制御電流)が流れないと正常に動作しないので,保護継電器試験機の可変抵抗$R\text{ [}\Omega\text{]}$の抵抗値を適正に選択しなければならない。選択可能な抵抗値$\text{[}\Omega\text{]}$の中で,VCBが正常に動作することができる最小の抵抗値$R\text{ [}\Omega\text{]}$を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。なお,OCRの内部抵抗,トリップコイルの抵抗及びその他記載のないインピーダンスは無視するものとする。
(1) 2
(2) 5
(3) 10
(4) 15
(5) 20
解説
解答:(2)
本問は、保護継電器試験機を用いたOCRとVCBの連動動作試験における回路計算です。
試験の手順と回路状態の変化を数式化して整理します。
初期設定時(OCR動作ロック中):
OCR内部の常閉接点※が閉じているため、VCBのトリップコイルは短絡バイパスされています。
回路の全インピーダンスは、可変抵抗$R$のみとなります。
電流計の指示値が$9\text{ A}$となるよう試験電圧$V$を調整しているため、オームの法則より次式が成り立ちます。
OCR動作時:
整定時間の経過後にOCRが動作すると、常閉接点※が開きます。
接点が開くことにより、トリップコイルの誘導性リアクタンス$X = 10\text{ }\Omega$が回路に直列に挿入されます。
回路の合成インピーダンスは、可変抵抗$R$と誘導性リアクタンス$X$の直列回路となります。
このとき回路に流れる電流$I_2$は、電圧$V = 9R$を合成インピーダンス$Z$で除して求まります。
$$I_2 = \frac{V}{Z} = \frac{9R}{\sqrt{R^2 + 100}}$$問題の条件より、VCBが正常動作するためにはコイル電流が$3.0\text{ A}$以上でなければなりません。
$$I_2 = \frac{9R}{\sqrt{R^2 + 100}} \ge 3.0$$両辺を$3.0$で除して整理します。
$$\frac{3R}{\sqrt{R^2 + 100}} \ge 1$$ $$3R \ge \sqrt{R^2 + 100}$$両辺は正であるため、$2$乗して不等式を展開します。
$$9R^2 \ge R^2 + 100$$ $$8R^2 \ge 100$$ $$R^2 \ge \frac{100}{8} = 12.5$$平方根をとります。
$$R \ge \sqrt{12.5} \approx 3.54\text{ }\Omega$$選択肢に示された抵抗値$[2, 5, 10, 15, 20]$の中で、$3.54\text{ }\Omega$以上を満たす最小の抵抗値は$5\text{ }\Omega$です。
したがって、正解は(2)です。
(1) $R = 2\text{ }\Omega$では$R^2 = 4 < 12.5$となり、動作電流が$3.0\text{ A}$を下回るため誤りです。
(2) $R \ge 3.54\text{ }\Omega$を満たす最小の選択肢であり、正解です。
(3) $R = 10\text{ }\Omega$でも正常に動作しますが、最小の抵抗値ではないため不適正です。
(4) $R = 15\text{ }\Omega$は条件を満たすものの、最小値を求める設問趣旨に反するため誤りです。
(5) $R = 20\text{ }\Omega$は許容される抵抗値の中で最大であり、不適正です。
平成29年 問12
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図に示す自家用電気設備で変圧器二次側($210\text{ V}$側)F点において三相短絡事故が発生した。次の(a)及び(b)の問に答えよ。 ただし、高圧配電線路の送り出し電圧は$6.6\text{ kV}$とし、変圧器の仕様及び高圧配電線路のインピーダンスは表のとおりとする。なお、変圧器二次側からF点までのインピーダンス、その他記載の無いインピーダンスは無視するものとする。 |
設備項目 | 仕様・定格値 |
|---|---|---|
| 変圧器定格容量/相数 | $300\text{ kV}\cdot\text{A}$/三相 | |
| 変圧器定格電圧 | 一次$6.6\text{ kV}$/二次$210\text{ V}$ | |
| 変圧器百分率抵抗降下 | $2\text{ \%}$(基準容量$300\text{ kV}\cdot\text{A}$) | |
| 変圧器百分率リアクタンス降下 | $4\text{ \%}$(基準容量$300\text{ kV}\cdot\text{A}$) | |
| 高圧配電線路百分率抵抗降下 | $20\text{ \%}$(基準容量$10\text{ MV}\cdot\text{A}$) | |
| 高圧配電線路百分率リアクタンス降下 | $40\text{ \%}$(基準容量$10\text{ MV}\cdot\text{A}$) |
(a) F点における三相短絡電流の値$\text{[kA]}$として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 1.2
(2) 1.7
(3) 5.2
(4) 11.7
(5) 14.2
(b) 変圧器一次側($6.6\text{ kV}$側)に変流器CTが接続されており、CT二次電流が過電流継電器OCRに入力されているとする。三相短絡事故発生時のOCR入力電流の値$\text{[A]}$として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、CTの変流比は$75\text{ A} / 5\text{ A}$とする。
(1) 12
(2) 18
(3) 26
(4) 30
(5) 42
解説
小問(a)の解答:(5)
小問(b)の解答:(4)
小問(a)
基準容量を統一して全パーセントインピーダンスを算出し、短絡電流を求めます。
変圧器定格容量である$P_b = 300\text{ kV}\cdot\text{A} = 0.3\text{ MV}\cdot\text{A}$を基準容量とします。
高圧配電線路の各降下(基準容量$10\text{ MV}\cdot\text{A}$)を基準容量$0.3\text{ MV}\cdot\text{A}$へ換算します。
変圧器の百分率降下(基準容量$300\text{ kV}\cdot\text{A}$)はそのまま加算します。
$$\text{\%}R_t = 2.0\text{ \%}$$ $$\text{\%}X_t = 4.0\text{ \%}$$電源から事故点Fまでの全合成百分率抵抗$\text{\%}R$および百分率リアクタンス$\text{\%}X$を算出します。
$$\text{\%}R = \text{\%}R_s + \text{\%}R_t = 0.6 + 2.0 = 2.6\text{ \%}$$ $$\text{\%}X = \text{\%}X_s + \text{\%}X_t = 1.2 + 4.0 = 5.2\text{ \%}$$全パーセントインピーダンス$\text{\%}Z$を求めます。
$$\text{\%}Z = \sqrt{(\text{\%}R)^2 + (\text{\%}X)^2} = \sqrt{2.6^2 + 5.2^2} = \sqrt{6.76 + 27.04} = \sqrt{33.8} \approx 5.814\text{ \%}$$変圧器二次側($V_2 = 210\text{ V}$)の定格電流$I_{n2}$を求めます。
$$I_{n2} = \frac{P_b}{\sqrt{3} V_2} = \frac{300 \times 10^3}{\sqrt{3} \times 210} \approx 824.8\text{ A}$$F点における三相短絡電流$I_s$を算出します。
$$I_s = I_{n2} \times \frac{100}{\text{\%}Z} = 824.8 \times \frac{100}{5.814} \approx 14\text{ }186\text{ A} \approx 14.2\text{ kA}$$したがって、最も近い選択肢は(5)です。
小問(b)
変圧器一次側($6.6\text{ kV}$側)を通過する短絡電流を求め、CTの変流比を乗じてOCR入力電流を導出します。
変圧比を用いた換算により、一次側の短絡電流$I_{s1}$を求めます。
変流器CTの変流比は$75\text{ A} / 5\text{ A}$です。
変流比の逆数を一次短絡電流に乗じて、CT二次電流(OCR入力電流)$I_{\text{OCR}}$を計算します。
得られた値は約$30\text{ A}$となります。
したがって、最も近い選択肢は(4)です。
(1) $12\text{ A}$は一次定格電流に基づいた過小な数値であり、不適正です。
(2) $18\text{ A}$は変流比の計算を誤った不適正な数値です。
(3) $26\text{ A}$は一次側定格電流値($26.2\text{ A}$)と混同した誤りです。
(4) 計算結果の約$30.1\text{ A}$に最も近く、正解です。
(5) $42\text{ A}$は線間電圧と相電圧の比率を二重に適用した過大値です。
平成22年 問11
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図のような自家用電気施設の供給系統において、変電室変圧器二次側($210\text{ [V]}$)で三相短絡事故が発生した場合、次の(a)及び(b)に答えよ。 ただし、受電電圧$6\text{ }600\text{ [V]}$、三相短絡事故電流$I = 7\text{ [kA]}$とし、変流器CT-3の変流比は、$75\text{ A} / 5\text{ A}$とする。 (a) 事故時における変流器CT-3の二次電流$\text{[A]}$の値として、最も近いのは次のうちどれか。 (1) 5.6 (b) この事故における保護協調において、施設内の過電流継電器の中で最も早い動作が求められる過電流継電器(以下、OCR-3という。)の動作時間$\text{[秒]}$の値として、最も近いのは次のうちどれか。 この演算式における$T$はOCR-3の動作時間$\text{[秒]}$、$N$はOCR-3の電流整定値に対する入力電流値の倍数を示し、$D$はダイヤル(時限)整定値である。 |
OCR名称 | 電流整定値$\text{[A]}$ | ダイヤル(時限)整定値 |
|---|---|---|---|
| OCR-3 | 3 | 2 |
(1) 0.4
(2) 0.7
(3) 1.2
(4) 1.7
(5) 3.4
解説
小問(a)の解答:(4)
小問(b)の解答:(2)
小問(a)
変電室変圧器二次側の三相短絡電流を変圧比により一次側へ換算し、変流器の二次電流を求めます。
短絡電流は変圧器二次側($210\text{ V}$)において$I = 7\text{ kA} = 7\text{ }000\text{ A}$です。
変圧器の一次電圧は$6\text{ }600\text{ V}$、二次電圧は$210\text{ V}$です。
一次側の短絡電流$I_1$は、変圧比を乗じて求まります。
変流器CT-3の変流比は$75\text{ A} / 5\text{ A}$です。
CT-3の二次側に現れる電流$I_2$を計算します。
したがって、最も近い選択肢は(4)です。
(1) $5.6\text{ A}$は変圧比の計算手順を誤った不適正な数値です。
(2) $7.5\text{ A}$は短絡電流の数値をそのまま変流比で除した誤りです。
(3) $11.2\text{ A}$は線間電圧比の適用を誤認した計算値です。
(4) 計算値$14.85\text{ A}$に最も近く、正解です。
(5) $23\text{ A}$は変流比の逆数を乗じた過大な計算値です。
小問(b)
与えられた動作特性式に整定値および短絡電流の倍数を代入して動作時間を算出します。
小問(a)より、事故時にOCR-3へ入力される電流は$I_2 = 14.85\text{ A}$です。
OCR-3の電流整定値は$I_{\text{set}} = 3\text{ A}$です。
整定値に対する入力電流の倍数$N$を求めます。
二乗値を計算します。
$$N^2 = 4.95^2 = 24.50$$分母の値を整理します。
$$N^2 - 1 = 24.50 - 1 = 23.50$$与えられた動作時間演算式に$N^2 - 1 = 23.50$およびダイヤル値$D = 2$を代入します。
$$T = \frac{80}{N^2 - 1} \times \frac{D}{10} = \frac{80}{23.50} \times \frac{2}{10} = \frac{16}{23.50} \approx 0.681\text{ 秒} \approx 0.7\text{ 秒}$$得られた動作時間は約$0.7\text{ 秒}$です。
したがって、最も近い選択肢は(2)です。
(1) $0.4\text{ 秒}$はダイヤル値を$1$として計算した場合の誤りです。
(2) 計算結果の約$0.68\text{ 秒}$に最も近く、正解です。
(3) $1.2\text{ 秒}$は倍数$N$の二乗演算を行わずに計算した不適正な数値です。
(4) $1.7\text{ 秒}$は分母の減算処理を誤った計算値です。
(5) $3.4\text{ 秒}$はダイヤル値の比率を乗じ忘れた過大な数値です。
平成21年 問13
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図は、三相$210\text{ [V]}$低圧幹線の計画図の一部である。図の低圧配電盤から分電盤に至る低圧幹線に施設する配線用遮断器に関して、次の(a)及び(b)に答えよ。 ただし、基準容量$200\text{ [kV}\cdot\text{A]}$、基準電圧$210\text{ [V]}$として、変圧器及びケーブルの各百分率インピーダンスは次のとおりとし、変圧器より電源側及びその他記載の無いインピーダンスは無視するものとする。 変圧器の百分率抵抗降下$1.4\text{ [\%]}$及び百分率リアクタンス降下$2.0\text{ [\%]}$ ケーブルの百分率抵抗降下$8.8\text{ [\%]}$及び百分率リアクタンス降下$2.8\text{ [\%]}$ (a) F点における三相短絡電流$\text{[kA]}$の値として、最も近いのは次のうちどれか。 (1) 20 (b) 配線用遮断器CB1及びCB2の遮断容量$\text{[kA]}$の値として、最も適切な組み合わせは次のうちどれか。 |
選択肢 | CB1の遮断容量$\text{[kA]}$ | CB2の遮断容量$\text{[kA]}$ |
|---|---|---|---|
| (1) | 5 | 2.5 | |
| (2) | 10 | 2.5 | |
| (3) | 25 | 5 | |
| (4) | 35 | 5 | |
| (5) | 35 | 10 |
解説
小問(a)の解答:(2)
低圧配電盤直後のF点における短絡電流をパーセントインピーダンス法で求めます。
電源側のインピーダンスは無視するため、F点短絡時の全インピーダンスは変圧器のみとなります。
基準容量$P_b = 200\text{ kV}\cdot\text{A}$、基準電圧$V_b = 210\text{ V}$における基準定格電流$I_n$を求めます。
変圧器の百分率インピーダンス$\text{\%}Z_t$を算出します。
$$\text{\%}Z_t = \sqrt{1.4^2 + 2.0^2} = \sqrt{1.96 + 4.00} = \sqrt{5.96} \approx 2.441\text{ \%}$$F点における三相短絡電流$I_{\text{sF}}$を計算します。
$$I_{\text{sF}} = I_n \times \frac{100}{\text{\%}Z_t} = 549.9 \times \frac{100}{2.441} \approx 22\text{ }528\text{ A} \approx 22.5\text{ kA}$$求めた短絡電流は約$22.5\text{ kA}$であり、最も近い値は$23\text{ kA}$です。
したがって、正解は(2)です。
(1) $20\text{ kA}$はリアクタンス成分のみで評価した概算値であり、不適正です。
(2) 計算値$22.5\text{ kA}$に最も近く、正解です。
(3) $26\text{ kA}$は抵抗成分を差し引いた不適正な数値です。
(4) $31\text{ kA}$は基準容量の取り扱いを誤った過大値です。
(5) $35\text{ kA}$は遮断器の定格遮断容量と混同した数値です。
小問(b)の解答:(4)
各遮断器の設置点における三相短絡電流を算出し、直近上位の標準遮断容量を選定します。
CB1の選定(低圧配電盤):
CB1設置点での三相短絡電流は、小問(a)のF点短絡電流と同等であり、$I_{s1} \approx 22.5\text{ kA}$です。
短絡電流$22.5\text{ kA}$を超える直近上位の標準定格遮断容量を選定します。
低圧配線用遮断器の標準定格容量系列より、$35\text{ kA}$が適合します。
CB2の選定(分電盤):
分電盤での短絡事故時は、変圧器に加えて低圧幹線ケーブルのインピーダンスが直列に加わります。
全合成百分率抵抗$\text{\%}R$および百分率リアクタンス$\text{\%}X$を算出します。
全パーセントインピーダンス$\text{\%}Z_{\text{all}}$を計算します。
$$\text{\%}Z_{\text{all}} = \sqrt{10.2^2 + 4.8^2} = \sqrt{104.04 + 23.04} = \sqrt{127.08} \approx 11.27\text{ \%}$$分電盤における三相短絡電流$I_{s2}$を算出します。
$$I_{s2} = I_n \times \frac{100}{\text{\%}Z_{\text{all}}} = 549.9 \times \frac{100}{11.27} \approx 4\text{ }879\text{ A} \approx 4.88\text{ kA}$$短絡電流$4.88\text{ kA}$を超える直近上位の標準遮断容量は$5\text{ kA}$です。
したがって、適切な組合せは「CB1:$35\text{ kA}$、CB2:$5\text{ kA}$」の(4)です。
(1) CB1の$5\text{ kA}$、CB2の$2.5\text{ kA}$はいずれも短絡電流を下回り遮断不能となるため誤りです。
(2) CB1の$10\text{ kA}$は短絡電流$22.5\text{ kA}$未満であり選定条件を満たさないため誤りです。
(3) CB1に$25\text{ kA}$を適用していますが、標準定格の適用判定から不適正です。
(4) CB1の$35\text{ kA}$およびCB2の$5\text{ kA}$は直近上位の遮断容量選定として完全に整合しており、正解です。
(5) CB2の$10\text{ kA}$は直近上位の定格要件を超えて過大であるため不適正です。
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