電験3種(法規)の頻出問題である「高圧受電設備における保護協調(供給支障事故防止)および高圧交流負荷開閉器(PAS)のSOG機能」について解説します。
高圧受電設備における保護協調および高圧交流負荷開閉器(PAS)のSOG機能の攻略ポイント
高圧受電設備における保護協調および波及事故防止対策は、重要テーマの1つです。
根拠法令は、「電気事業法」第$39$条(事業用電気工作物の維持)、「電気関係報告規則」第$3$条(事故報告)、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$4$条(事故の拡大防止)、「電気設備の技術基準の解釈」第$37$条(機械器具の破損等の防止)、第$38$条(過電流遮断器の施設)、第$39$条(地絡遮断装置の施設)、ならびに「内線規程」や「高圧受電設備規程」です。
自家用電気工作物(高圧需要家設備)で発生した短絡事故や地絡事故が、自家用構内の遮断器等で迅速に切り離されない場合、上位系である一般送配電事業者の配電用変電所の送り出し遮断器が遮断動作し、同一配電線に連系された周辺の不特定多数の需要家(病院、工場、商業施設、一般住宅等)を広範囲に停電させる「波及事故(供給支障事故)」へ発展します。
電気事業法第$39$条第$1$項第$2$号では、自家用電気工作物の損壊により一般送配電事業者等の電気の供給に著しい支障を及ぼさないよう維持することが義務付けられており、万一波及事故を発生させた場合には、電気関係報告規則第$3$条に基づき、所轄の産業保安監督部長へ法令事故報告(速報および$30$日以内の詳報提出)を行わなければなりません。
本テーマで確実に得点するためには、以下の4点の本質的な理解が不可欠です。
第一に、保安上の責任分界点に施設される区分開閉器(SOG機能付PAS:高圧気中負荷開閉器、またはUGS:地中線用ガス負荷開閉器)の動作原理です。PASは負荷電流の開閉能力(定格電流 $200 \text{ A}$ / $300 \text{ A}$ / $400 \text{ A}$ 程度)を有しますが、短絡電流(数千アンペア以上)の遮断能力はありません。そのため、PAS負荷側〜主遮断器電源側で短絡事故が発生した際は、自らの接点溶着・破損を防ぐためにトリップ機構を電気的・機械的にロックする「過電流ロック(SO動作:遮断待機)」を行い、変電所の送り出し遮断器がトリップして配電線が無電圧(停電)になったことを確認した後に無電圧開放します。変電所の約$1$分後の自動再閉路時には既に事故需要家が切り離されているため、配電線の再閉路が成功し波及事故を回避します。
第二に、短絡保護協調の原則です。事故が発生した地点の直近上位にある遮断器や電力ヒューズ(PF)が最優先で高速動作し、上位の主遮断器(VCB)や変電所遮断器が不必要に動作しないよう、動作時間特性(反時限特性・限時特性)に適切な時間協調裕度(一般に $0.2 \text{ s}$ 〜 $0.4 \text{ s}$ 以上)を確保します。変圧器二次側短絡に対しては主遮断器より先に当該一次側PFが溶断し、低圧分岐回路短絡に対しては高圧PFより先に低圧配線用遮断器(MCCB)が遮断します。
第三に、地絡保護協調ともらい地絡防止です。高圧配電系統は中性点非接地方式が採用されており、地絡電流は数アンペア〜数十アンペア程度と小さく、地絡保護には零相変流器(ZCT)と地絡継電器(GR)が用いられます。しかし、構内高圧ケーブルが長大な需要家では構内の対地静電容量が大きいため、配電系統の他所で発生した地絡事故時に構内から流出する地絡電流によってGRが不要動作する「もらい地絡」が発生します。これを防ぐため、零相電圧(ZPD/EVT)と零相電流(ZCT)の位相差を判別して構内方向の事故のみで動作する「地絡方向継電器(DGR)」の適用が必須となります。
第四に、電気関係報告規則第$3$条第$1$項第$6$号における波及事故の報告要件です。一般送配電事業者等の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧 $3\,000 \text{ V}$ 以上の自家用電気工作物の破損や誤操作・無操作により供給支障を発生させた場合、事故報告義務が生じます。
過去問の演習に先立ち、以下の4つの体系整理表で重要事項を確実に定着させてください。
高圧受電設備の主幹開閉器・保護装置の種類と役割
高圧受電設備において受電点から構内分岐回路に至る主幹開閉器および各種保護機器の名称、機能、開閉能力、設置目的を整理した表です。
| 機器名称・略称 | 設置場所・施設区分 | 定格電流・開閉能力 | 短絡電流の遮断能力 | 主な役割・保護動作 |
|---|---|---|---|---|
| 高圧交流負荷開閉器(PAS) | 架空配電線からの受電点(第1柱・保安上の責任分界点) | 定格負荷電流($200 \text{ A}$ / $300 \text{ A}$ / $400 \text{ A}$ 等)を開閉可能 | なし(短絡電流遮断は不可。過電流ロック機能により遮断を阻止) | 構内地絡事故の迅速遮断、引込点短絡事故時のSO動作(無電圧開放)による配電線波及事故防止。 |
| 高圧気中負荷開閉器(UGS) | 地中配電線からの受電点(キャビネット等・責任分界点) | 定格負荷電流を開閉可能(内部消弧媒体に $SF_6$ ガスを使用) | なし(PASと同様に短絡電流遮断不可。過電流ロック機能を具備) | 地中引込需要家における構内地絡・短絡時の波及事故防止。 |
| 真空遮断器(VCB) | 高圧受電盤(キュービクル主受電部) | 定格負荷電流および短絡電流($8 \text{ kA}$ / $12.5 \text{ kA}$ 等)を完全遮断可能 | あり(数万アンペアに至る大短絡電流を高速遮断) | 受電点以降の構内短絡・過負荷事故を変電所遮断器より早く自ら高速遮断する主保護遮断器。 |
| 限流ヒューズ付高圧負荷開閉器(LBS+PF) | 構内変圧器(TR)や進相コンデンサ(SC)の高圧分岐回路 | 定格負荷電流はLBSで開閉、過電流・短絡電流は電力ヒューズ(PF)で限流遮断 | あり(電力ヒューズPFが半サイクル〜数十ミリ秒で限流遮断) | 構内変圧器やSCの短絡事故時に、主遮断器VCBが動作するよりも高速に限流溶断して事故回路のみを分離。 |
| 過電流継電器(OCR) | 受電盤(計器用変流器CTの二次側に接続) | 継電器単体では遮断不可(VCBにトリップ指令を出力) | 対象外(VCBをトリップさせて遮断) | 過負荷保護(反時限特性)および短絡保護(瞬時要素)を受け持ち、配電用変電所OCRと保護協調をとる。 |
| 地絡継電器(GR)/ 地絡方向継電器(DGR) | PAS・UGS制御装置、または受電盤(ZCTおよびZPDに接続) | 継電器単体では遮断不可(PASやVCBを開放指令) | 対象外(地絡電流のみを検出) | 微小な地絡電流(数十〜数百ミリアンペア)を検出。DGRは零相電圧と零相電流の位相差を判別してもらい地絡を防止。 |
SOG機能付PASの動作原理とシーケンス
高圧架空引込線やPAS負荷側〜VCB電源側での短絡事故発生時における、変電所遮断器とSOG機能付PASの保護シーケンスを整理した表です。
| 時系列ステップ | 系統および保護装置の状態 | 配電用変電所送り出し遮断器(A)の挙動 | 区分開閉器(SOG機能付PAS・B)の挙動 | 配電系統および健全需要家への影響 |
|---|---|---|---|---|
| 1. 短絡事故発生 | PAS負荷側〜受電遮断器VCB電源側で線間短絡が発生 | 大短絡電流を検出。変電所OCRの限時要素がカウント開始 | 内蔵CTにより短絡電流(ロック電流整定値以上)を検出。トリップを即座に電気的・機械的にロック(SO動作:過電流蓄勢待機) | 配電線電圧が瞬時低下。PAS接点は閉路を維持しアーク爆発を防止 |
| 2. 変電所遮断器トリップ | 事故継続により変電所過電流継電器が限時動作 | 変電所送り出し遮断器Aがトリップ(開路) | 過電流ロック状態を維持したまま、配電線が無電圧状態へ移行するのを受信待機 | 同一配電線に連系されている全需要家(健全需要家含む)が瞬時停電 |
| 3. 無電圧開放(SOトリップ) | 配電線路が無電圧(停電・短絡電流ゼロ)状態へ移行 | 開路状態を維持(再閉路タイマーカウント中:一般に数十秒〜1分) | 無電圧状態(停電)を確認後、蓄勢されていたトリップ機構が作動し、無電流状態で接点を安全に開放(開路) | 事故を起こした需要家設備が配電線路から完全に電気的隔離完了 |
| 4. 変電所自動再閉路 | 変電所の自動再閉路シーケンスが完了 | 変電所送り出し遮断器Aが自動投入(再閉路・閉路) | 既に開放状態であり、再閉路電圧が印加されても閉路しない | 配電線に正常送電が再開。健全需要家は即座に送電復旧。配電線停電が継続しないため波及事故とならない |
過電流・地絡保護協調の基本原則と動作時間特性曲線
高圧受電設備において供給支障事故の拡大を防止するための保護協調原則、動作時間裕度、および特性曲線の位置関係を整理した表です。
| 保護協調項目 | 上位側保護装置(保護領域大) | 下位側保護装置(保護領域小・事故直近) | 協調関係と特性曲線の上下関係 | 必要な協調時間裕度・設計上の留意事項 |
|---|---|---|---|---|
| 過電流・短絡協調(変電所〜需要家主遮断器) | 配電用変電所の送り出し遮断器(A)と過電流継電器(曲線1) | 需要家の主受電用遮断器VCB(B)と過電流継電器OCR(曲線2) | 同一事故電流に対し、遮断器Bの動作時間(曲線2)が変電所遮断器Aの動作時間(曲線1)より常に短く下側に位置する | 時間協調裕度として最低 $0.2 \text{ s}$ 〜 $0.4 \text{ s}$ を確保。変電所OCRの瞬時要素整定値以下で受電VCBが高速遮断するよう整定。 |
| 過電流・短絡協調(主遮断器〜変圧器高圧分岐) | 受電主遮断器VCB(B)と過電流継電器OCR | 変圧器一次側の限流ヒューズ(PF2付LBS2) | 変圧器二次側短絡電流に対し、PF2の全遮断時間特性がVCBの動作時間特性より下側に位置する | 変圧器二次側短絡時にVCBが動作して構内全体が全停電するのを防ぐ。PF2は変圧器励磁突入電流($0.1 \text{ s}$ で定格の約$10$倍)では溶断しない定格を選定。 |
| 短絡協調(高圧限流ヒューズ〜低圧配線用遮断器) | 変圧器一次側の高圧限流ヒューズ(PF2付LBS2) | 低圧変圧器二次側の配線用遮断器(MCCB2) | 低圧幹線・分岐回路短絡電流に対し、MCCB2の動作時間特性が高圧PF2の溶断特性より常に短く下側に位置する | 低圧側の事故で高圧PF2が溶断して変圧器全体が停電するのを防ぐ。低圧短絡電流を高圧側に換算(変圧比の逆数倍)して特性曲線を比較。 |
| 地絡保護協調(変電所〜需要家地絡保護) | 配電用変電所の地絡継電器GR(曲線3) | 需要家主遮断器またはPASの地絡継電器GR/DGR(曲線4) | 同一零相電流に対し、需要家側遮断器Bの動作時間(曲線4)が変電所地絡継電器(曲線3)より常に短く下側に位置する | 需要家側地絡継電器は一般に整定電流 $0.2 \text{ A}$、動作時間 $0.1 \text{ s}$ 〜 $0.2 \text{ s}$ に整定し、変電所GR(整定時間 $0.3 \text{ s}$ 〜 $0.5 \text{ s}$)より先行遮断。 |
電気関係報告規則における自家用電気工作物の供給支障事故(波及事故)報告要件
電気関係報告規則第$3$条第$1$項第$6$号に基づき、自家用電気工作物設置者が所轄産業保安監督部長へ報告を義務付けられる波及事故の要件および手続きを整理した表です。
| 項目 | 法令上の規定内容(第3条第1項第6号) | 実務上の具体的な解釈・判定基準 |
|---|---|---|
| 報告義務者 | 自家用電気工作物を設置する者 | 高圧または特別高圧で受電する工場、ビル、学校、病院等の設置者(保安管理業務委託先ではなく設置者自身が報告義務を負う)。 |
| 接続相手方の電気工作物 | 一般送配電事業、配電事業又は特定送配電事業の用に供する電気工作物 | 電力会社の配電系統等と電気的に連系・接続されていること(自営送電線や独立型電源設備のみの単独系統は対象外)。 |
| 対象となる電圧階級 | 電圧 $3\,000 \text{ V}$ 以上の自家用電気工作物 | 高圧($3.3 \text{ kV}$ / $6.6 \text{ kV}$ 受電)および特別高圧($22 \text{ kV}$ / $66 \text{ kV}$ 等)の電気工作物全般。低圧受電設備は対象外。 |
| 事故原因(発生事由) | 電気工作物の破損、または誤操作若しくは操作しないこと(無操作) | 受電設備機器の絶縁劣化・短絡・地絡、小動物侵入による短絡破損、主任技術者や作業員の誤操作、または保護装置不動作(無操作)等。 |
| 被害要件(供給支障) | 一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた場合 | 配電用変電所の遮断器が遮断等し、他者(周辺の他の一般需要家)への電力供給が途絶・停電した場合(波及事故)。構内停電のみで配電系統に支障がない場合は対象外。 |
| 報告期限および提出先 | 事故の発生を知った時から $24$ 時間以内(速報)および $30$ 日以内(詳報提出) | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長宛てに、事故の状況、原因、再発防止対策を詳述した報告書を提出。 |
【令和7年上期・問10】地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(PAS)のSOG機能におけるSO動作
次の文章は,地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(区分開閉器)のSOG 機能のうちSO 動作に関する記述である。
GR 付PAS は負荷電流を遮断することができるが, (ア) 電流のような大きな電流は遮断できないため,GR 付PAS の (イ) 側から受電用遮断器の間で (ア) 事故が起きた場合は,PAS の (ウ) 命令を一時的に保存して待機状態となる。
一般送配電事業者の配電用変電所の遮断器が動作することによって,配電線の停電を検出し,無電圧になった状態を確認してから (ウ) 動作を行う。したがって,配電用変電所の遮断器が再投入された場合でも,既にPAS が (ウ) されているため,配電線の再閉路が成功することとなり, (エ) 事故として取り扱われない。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| 選択肢 | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 短絡 | 負荷 | 開放 | 配電線 |
| (2) | 短絡 | 電源 | 遮断 | 波及 |
| (3) | 地絡 | 電源 | 遮断 | 波及 |
| (4) | 地絡 | 電源 | 遮断 | 配電線 |
| (5) | 短絡 | 負荷 | 開放 | 波及 |
正解:(5)
根拠法令および技術基準・規格
- 電気設備の技術基準の解釈第37条(機械器具の破損等の防止):
高圧又は特別高圧の電路に施設する電気機械器具は、過電流によって生ずる熱的・機械的破壊に耐え、保安上の安全を確保しなければならない旨が規定されています。 - 高圧受電設備規程・日本電機工業会規格(JEM 1399・JEM 1423):
責任分界点に施設される高圧気中負荷開閉器(PAS)は、定格負荷電流($200 \text{ A}$ / $300 \text{ A}$ / $400 \text{ A}$ 等)を開閉する能力を有しますが、系統の短絡電流(数千アンペア以上)を遮断する定格遮断容量は具備していません。短絡電流発生時に接点を開放すると過大なアークを消弧できず相間短絡爆発を引き起こすため、過電流ロック形(SO動作機能)を備えることが定められています。 - 電気事業法第39条第1項第2号(事業用電気工作物の維持):
事業用電気工作物は、その損壊により一般送配電事業者等の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように維持しなければならず、波及事故の防止が義務付けられています。詳細解説
本問は、高圧受電設備の保安上の責任分界点(第1柱等)に設置される「地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器(GR付PAS)」の重要機能である「SOG機能」のうち、「SO動作(過電流蓄勢トリップまたは過電流ロック機能)」のメカニズムを問う標準的な知識問題です。
- 空白箇所 (ア) について:
PAS(高圧気中負荷開閉器)は、文字通り「負荷開閉器(スイッチ)」であり、定格負荷電流や過負荷電流(数百アンペア程度まで)を安全に開閉できますが、「短絡電流(ショート電流)」のような数千アンペアに達する大電流を安全に遮断する消弧能力(遮断容量)は持ち合わせていません。短絡電流遮断を行えるのは真空遮断器(VCB)やガス遮断器(GCB)、高圧限流ヒューズ(PF)等に限られます。したがって、(ア) には「短絡」が入ります。 - 空白箇所 (イ) について:
PAS自身より電源側(配電線側)で短絡が発生した場合、PASを通過する電流は通常の負荷電流のみ(あるいはゼロ)であり、PASを動作させる必要はありません。PASが動作対象とするのは、PASの「負荷側」から構内キュービクルの受電用主遮断器(VCB)の電源側までの引込線路区間です。受電用遮断器の負荷側で短絡が起きた場合は需要家構内のVCBが高速遮断しますが、受電用遮断器の電源側(引込ケーブルや受電盤一次母線など)で短絡が起きた場合、構内VCBでは遮断できません。このため、PASの「負荷」側で短絡事故が発生した場合にSO機能が作動します。したがって、(イ) には「負荷」が入ります。 - 空白箇所 (ウ) について:
短絡電流が流れている瞬間にPASを開放しようとすると接点間に強大なアークが発生し、PAS内部で相間短絡や爆発事故に至ります。そのため、PASのSOG制御装置は過電流を検出すると直ちに開放を機械的・電気的に「ロック」し、同時に「開放(トリップ)」命令を内部コンデンサやスプリングに蓄勢・一時保存して待機状態(過電流ロック蓄勢)となります。
その後、配電用変電所の送り出し遮断器が動作して配電線が停電(無電圧状態)になり、短絡電流が完全にゼロになったことを確認した後に、安全に接点の「開放」動作を行います。なお、負荷開閉器の動作としては「遮断」ではなく「開放」と呼称するのが電気工学上および規格上の正式表現です。したがって、(ウ) には「開放」が入ります。 - 空白箇所 (エ) について:
変電所の遮断器が開路したことにより配電線全体が瞬時停電しますが、変電所は事故の自然消弧を期待して約$1$分後に配電線自動再閉路(再投入)を実施します。この再閉路の瞬間に、事故を起こした需要家のPASが既に「開放」されて系統から完全に切り離されているため、配電線の再閉路は無事に成功します。健全な他需要家は即座に受電を再開できるため、電力会社側において「波及」事故(自社設備の事故が他社需要家へ拡大停電を引き起こす事故)として取り扱われずに済みます。したがって、(エ) には「波及」が入ります。各選択肢の正誤検討
選択肢 判定 詳細検討・誤り箇所の是正 (1) 誤り (ア)短絡、(イ)負荷、(ウ)開放は正しいですが、(エ)が「配電線」となっており誤りです。同一配電線上の健全な他需要家の停電が継続しないため「波及事故」として取り扱われないとするのが正当です。 (2) 誤り (イ)が「電源」となっている点は誤り(事故点はPASの負荷側)であり、(ウ)が「遮断」となっている点も負荷開閉器の用語として不適切です。 (3) 誤り (ア)が「地絡」となっている点は根本的な誤りです。地絡電流は小さいためPAS自ら安全に「地絡トリップ(G動作)」によって直ちに遮断・開放できます。変電所遮断器のトリップを待って無電圧開放するのは「短絡」事故時です。 (4) 誤り (ア)地絡、(イ)電源、(ウ)遮断、(エ)配電線のすべてが不適切です。 (5) 正しい (ア)短絡、(イ)負荷、(ウ)開放、(エ)波及のすべての組合せが技術基準およびSOG機能の動作論理と完全に一致しています。 【令和6年上期・問10】高圧引込点短絡事故時における配電用変電所遮断器とSOG機能付PASの動作順序
図はある配電用変電所の送り出し遮断器A から需要家構内の主遮断器までの電路を表したものである。図中に×印で示した地点で短絡事故が発生した場合の遮断器A と,区分開閉器B(SOG 機能付PAS)の動作の記述として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,遮断器A の配電系統及びこれに接続する全ての需要家構内に分散型電源は無いものとする。
なお,本問でSOG 機能付PAS とは,過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形トリップ装置付過電流ロック形高圧気中負荷開閉器をいう。【系統単線図】 一般送配電事業者側 自家用設置者側 ───────────────────────────────────┬─────────────── 配電用変電所 │ 保安上の責任分界点 送り出し遮断器 │ ┌───┐ 三相3線式 6.6 kV 配電線 │ ┌───┐ ×短絡事故点 ┌───┐ ─┤ A ├────────────────────────────┼───┤ B ├───┼──────────────┤ │ └───┘ │ └───┘ └───┘ │ 区分開閉器 主遮断器 │ (SOG機能付PAS)(1) A が開路したのち,B が開路し,その後A が閉路する。
(2) B が開路したのち,A が開路し,その後A が閉路する。
(3) A とB が同時に開路し,その後A が閉路する。
(4) A が開路する。(B は開路しない。)
(5) B が開路する。(A は開路しない。)正解:(1)
根拠法令および技術基準・規格
- 電気設備に関する技術基準を定める省令第4条(事故の拡大防止):
電気設備は、破損によって他の電気設備に障害を与えないよう、また故障発生時に安全に自動遮断されるよう施設しなければならない旨が定められています。 - 電気設備の技術基準の解釈第38条(過電流遮断器の施設):
過電流遮断器は、これを施設する電路を通過する短絡電流を遮断する能力を有するものでなければならないと規定されています。PASは過電流遮断器ではなく負荷開閉器であるため、自ら短絡電流を遮断することは認められず、短絡電流遮断能力を有する変電所遮断器Aと協調させることが義務付けられます。 - 高圧気中負荷開閉器(JIS C 4605 / JEM 1399):
過電流蓄勢トリップ付地絡トリップ形トリップ装置付過電流ロック形高圧気中負荷開閉器(SOG機能付PAS)の動作責務として、整定値以上の過電流が流れている間は開路動作を阻止(ロック)し、外部遮断器の動作によって主回路が無電圧かつ無電流となった後に蓄勢機構によって開路することが規定されています。詳細解説
本問は、配電線から自家用受電設備に至る系統図において、区分開閉器B(SOG機能付PAS)の負荷側かつ構内主遮断器の電源側という「引込線・受電点直後」の×印地点で短絡事故が発生した際の一連の遮断・開放・再閉路シーケンスを時系列順に正しく解答させる良問です。
- 短絡事故発生時の短絡電流経路と機器の責務:
図中の短絡事故点×は、区分開閉器Bの負荷側で、かつ自家用受電設備の主遮断器(VCB)の電源側に位置しています。
この地点で短絡事故が発生すると、配電用変電所の電源から送り出し遮断器A、配電線、区分開閉器Bを通過して短絡事故点×へ向けて数千アンペアに及ぶ強大な短絡電流が流れます。
構内の主遮断器は事故点よりも負荷側にあるため短絡電流は通過せず、主遮断器は事故を検出できません。したがって、この短絡事故を処理できるのは配電用変電所の送り出し遮断器Aと区分開閉器Bのみです。 - 区分開閉器B(SOG機能付PAS)の過電流ロック:
区分開閉器Bは負荷開閉器(PAS)であり、短絡電流を自ら遮断する能力はありません。もし短絡電流が流れている最中に接点を開路させると、接点間に消弧不可能な高熱アークが発生して相間短絡爆発を引き起こし、PAS自身が破損します。
そこで、Bに内蔵されているSOG制御装置(過電流ロック機能)が作動し、短絡電流が通過している間はトリップ機構を電気的・機械的にロック(拘束)して、自ら開路することを阻止します。同時に、トリップに必要な開放命令と動作エネルギー(スプリングの反発力やコンデンサの電荷)を内部に蓄勢(過電流蓄勢)した状態で待機します。 - 変電所遮断器Aの先行開路(トリップ):
配電用変電所では、送り出し遮断器Aに接続された保護継電器(過電流継電器OCR)が大短絡電流を検出します。変電所遮断器Aは定格遮断容量(十数キロアンペア以上)を持つ本格的な大容量遮断器であるため、事故発生から約$0.1 \text{ s}$ 〜 $0.3 \text{ s}$ 程度で安全にトリップし、「Aが開路」します。 - 無電圧下での区分開閉器Bの開路(無電圧開放):
遮断器Aが開路したことにより、配電線全体が無電圧(停電)となり、短絡電流も完全にゼロとなります。
区分開閉器BのSOG制御装置は、配電線路が無電圧かつ無電流となったことを内蔵のVT(変圧器)や制御電源電圧低下によって検知します。短絡電流が消滅した安全な状態を確認した後、蓄勢されていたトリップ機構が作動し、「Bが開路」します。これにより、事故点×を含む故障需要家設備が配電線路から完全に電気的に切り離されます。 - 変電所遮断器Aの自動再閉路:
一般送配電事業者の配電用変電所には、落雷等による一時的な事故(瞬時地絡やフラッシオーバ)からの早期自動復旧を目的として、遮断器トリップから約$1$分後(約$60 \text{ s}$後)に配電線路へ再度電圧を印加する「自動再閉路装置」が設置されています。
遮断器Aが開路してから一定時間経過後、「Aが閉路(再閉路)」します。この再閉路の時点で、事故地点を抱える需要家は既に「Bが開路」して隔離されているため、配電線路には短絡電流が再び流れることはなく、再閉路は成功します。これにより、同一配電線上の健全な他の需要家は正常な送電状態へ復旧します。以上の時系列シーケンスを整理すると、「Aが開路したのち,Bが開路し,その後Aが閉路する」となり、記述(1)が正解となります。
各選択肢の正誤検討
選択肢 判定 詳細検討・誤り箇所の是正 (1) 正しい 大短絡電流に対してPAS(B)は過電流ロックして待機し、まず変電所遮断器Aが開路して回路を無電圧にします。その後、無電流状態でBが安全に開路し、事故区間を切り離した上でAが再閉路(閉路)するため、完全に正しい記述です。 (2) 誤り 「Bが開路したのち」という記述は、PASが短絡電流を直接遮断することを意味しており、消弧能力のないPASの接点溶損や爆発事故を引き起こすため誤りです。BはAの開路前には開路できません。 (3) 誤り 「AとBが同時に開路し」という記述は誤りです。Bは短絡電流が流れている間はロックされており、Aが開路して短絡電流がゼロになったことを確認した後に開路するため、明確な時間的順序(Aの開路が先、Bの開路が後)が存在します。 (4) 誤り 「Bは開路しない」という記述は誤りです。Bが開路しなければ、事故点が接続されたままAが再閉路するため、再閉路時に再び短絡事故が発生してAが即座に再トリップ(再閉路不成功)し、配電線全体が永久停電する波及事故となってしまいます。 (5) 誤り 「Bが開路する。(Aは開路しない。)」という記述は誤りです。Bは短絡電流遮断能力を持たないため、変電所遮断器Aが開路して停電させない限り、Bは自力で開路することができません。 【令和5年下期・問13】電気工作物に起因する供給支障事故の報告義務および保護協調の動作特性
電気工作物に起因する供給支障事故について,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
① 電気事業法第39 条(事業用電気工作物の維持)において,事業用電気工作物の損壊により (ア) 者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすることが規定されている。
② 「電気関係報告規則」において, (イ) を設置する者は, (ア) ,配電事業又は特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧 (ウ) V 以上の (イ) の破損又は (イ) の誤操作若しくは (イ) を操作しないことにより (ア) 者,配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた場合,電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に事故報告をしなければならないことが規定されている。
③ 図1 に示す高圧配電系統により高圧需要家が受電している。事故点1,事故点2 又は事故点3 のいずれかで短絡等により高圧配電系統に供給支障が発生した場合,②の報告対象となるのは (エ) である。【図1 高圧配電系統図(概略図)】 配電用変電所 一般送配電事業者配電線路 高圧需要家受電設備 ┌─────────┐ ───────────────────────┬─────────────── │ 電源 │ │ 保安上の責任分界点 │ ┌───┐ │ ┌───┐ │ ┌───┐ ┌───┐ │─┤Tr1├──┼─┤ A ├───────[事故点1]────────────────┼──┤ B ├──[事故点2]┤Tr2├──[事故点3]──負荷 │ └───┘ │ └───┘ │ └───┘ └───┘ └─────────┘ 遮断器A │ 遮断器B 変圧器 │ 低圧需要家へ分岐選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 一般送配電事業 自家用電気工作物 $6\,000$ 事故点1 又は事故点2 (2) 送電事業 事業用電気工作物 $3\,000$ 事故点1 又は事故点3 (3) 一般送配電事業 事業用電気工作物 $6\,000$ 事故点2 又は事故点3 (4) 送電事業 事業用電気工作物 $6\,000$ 事故点1 又は事故点2 (5) 一般送配電事業 自家用電気工作物 $3\,000$ 事故点2 又は事故点3 (b) 次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
① 受電設備を含む配電系統において,過負荷又は短絡あるいは地絡が生じたとき,供給支障の拡大を防ぐため,事故点直近上位の遮断器のみが動作し,他の遮断器は動作しないとき,これらの遮断器の間では (ア) がとられているという。
② 図2 は,図1 の高圧需要家の事故点2 又は事故点3 で短絡が発生した場合の過電流と遮断器(遮断器A 及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。 (ア) がとられている場合,遮断器B の継電器動作特性曲線は, (イ) である。
③ 図3 は,図1 の高圧需要家の事故点2 で地絡が発生した場合の零相電流と遮断器(遮断器A 及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。 (ア) がとられている場合,遮断器B の継電器動作特性曲線は, (ウ) である。また,地絡の発生箇所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別するため (エ) の使用が推奨されている。【図2 過電流継電器-連動遮断特性】 【図3 地絡継電器-連動遮断特性】 動作時間 动作時間 │ │ │ ─── 曲線1 │ ─── 曲線3 │ │ │ ─── 曲線2 │ ─── 曲線4 └─────────────────── 過電流 └─────────────────── 零相電流選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 同期協調 曲線2 曲線3 地絡距離継電器 (2) 同期協調 曲線1 曲線3 地絡方向継電器 (3) 保護協調 曲線1 曲線4 地絡距離継電器 (4) 保護協調 曲線2 曲線4 地絡方向継電器 (5) 保護協調 曲線2 曲線3 地絡距離継電器 正解:(a) (5) ,(b) (4)
根拠法令および技術基準・規格
- 電気事業法第39条第1項第2号(事業用電気工作物の維持):
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならないとし、第2号において「事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること」が規定されています。 - 電気関係報告規則第3条第1項第6号(事故報告):
自家用電気工作物を設置する者は、一般送配電事業、配電事業又は特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧 $3\,000 \text{ V}$ 以上の自家用電気工作物の破損、または自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた場合、所轄産業保安監督部長へ報告しなければならないと義務付けられています。 - 電気設備に関する技術基準を定める省令第4条・第14条・第36条:
配電系統における過電流および地絡事故時の協調動作(保護協調)について規定されています。詳細解説
小問(a)の解説
- 空白箇所 (ア) について:
電気事業法第$39$条第$1$項第$2$号および電気関係報告規則第$3$条第$1$項第$6$号において、配電系統を運用して電力を供給する事業者は「一般送配電事業」者(および法改正により追加された配電事業者)です。したがって、(ア) には「一般送配電事業」が入ります。 - 空白箇所 (イ) および (ウ) について:
電気関係報告規則第$3$条第$1$項第$6$号の規定主語は「自家用電気工作物を設置する者」であり、報告対象となる電圧階級は「電圧 $3\,000 \text{ V}$ 以上の自家用電気工作物」です。日本の標準的な高圧受電設備は公称電圧 $3.3 \text{ kV}$ または $6.6 \text{ kV}$ で受電しており、いずれも $3\,000 \text{ V}$ 以上の規定に該当します。したがって、(イ) には「自家用電気工作物」、(ウ) には「$3\,000$」が入ります。 - 空白箇所 (エ) について:
図1における各事故点の所属と責任区分を確認します。
・事故点1:配電用変電所から高圧需要家の保安上の責任分界点に至る配電線路上に位置しており、これは一般送配電事業者が管理する電気工作物です。自家用電気工作物の破損や誤操作による事故ではないため、自家用電気工作物設置者の報告対象にはなりません(電力会社自身の事故となります)。
・事故点2:保安上の責任分界点の負荷側で、需要家受電盤の遮断器Bの電源側(構内受電ケーブルや主母線等)です。
・事故点3:需要家の変圧器Tr2の負荷側(低圧回路)または構内分岐回路です。
事故点2または事故点3で短絡等の事故が発生し、高圧需要家構内の保護装置で適切に遮断できずに配電用変電所の遮断器Aがトリップして同一系統の低圧需要家等に停電(供給支障)を及ぼした場合、まさに「電圧 $3\,000 \text{ V}$ 以上の自家用電気工作物の破損等により一般送配電事業者に供給支障を発生させた」ことになり、電気関係報告規則に基づく事故報告義務が発生します。したがって、報告対象は「事故点2 又は事故点3」となります。
以上より、小問(a)の正解は (5) となります。小問(b)の解説
- 空白箇所 (ア) について:
配電系統において事故が発生した際、事故点直近上位の遮断器のみが最小限の範囲で高速動作し、上位の変電所遮断器や他の健全回路の遮断器が動作しないように各継電器の動作特性・整定時間を協調させる関係を「保護協調」と呼びます。「同期協調」という用語は存在しません。したがって、(ア) には「保護協調」が入ります。 - 空白箇所 (イ) について:
図2は過電流に対する変電所遮断器Aと需要家遮断器Bの動作時間特性を示しています。
事故点3(需要家変圧器負荷側)で短絡が発生した場合、保護協調が成立していれば、変電所遮断器Aがトリップするよりも前に需要家主遮断器Bが先に遮断しなければなりません。同一の過電流が流れたとき、動作時間が短い(時間軸の下側にある)特性曲線が下位の遮断器Bの特性となります。
図2において下側にあるのは「曲線2」です。したがって、遮断器Bの特性曲線は「曲線2」となります。 - 空白箇所 (ウ) について:
図3は地絡事故時の零相電流に対する遮断器Aと遮断器Bの動作時間特性を示しています。
過電流保護協調と同様に、需要家構内(事故点2など)で地絡事故が発生した際は、変電所の地絡継電器が動作して配電線全体が停電する前に、需要家の遮断器B(またはPAS)が先行して遮断動作を行わなければなりません。したがって、同一の零相電流に対して動作時間が短く下側にある特性曲線が需要家遮断器Bの特性となります。
図3において下側にあるのは「曲線4」です。したがって、遮断器Bの継電器動作特性曲線は「曲線4」となります。 - 空白箇所 (エ) について:
高圧配電系統の中性点非接地方式において、構内のケーブル亘長が長い需要家では構内の対地静電容量が大きくなります。同一配電線の他需要家や配電線自体(外部電源側)で地絡が発生した場合でも、自社構内の静電容量を通じて零相電流が流れ込み、単なる地絡過電流継電器(GR)では自社構内地絡と他所地絡の区別がつかず誤動作する「もらい地絡」が発生します。
このため、零相変流器(ZCT)からの零相電流と、零相電圧検出器(ZPD)からの零相電圧の位相差を検出し、地絡電流の流れる向き(電源側から負荷側への構内事故か、負荷側から電源側への外部事故か)を正確に判別できる「地絡方向継電器(DGR)」の使用が推奨・義務付けられています。「地絡距離継電器」は主に特別高圧送電線路に用いられる高価な保護継電器であり、高圧配電系統では使用されません。したがって、(エ) には「地絡方向継電器」が入ります。
以上より、小問(b)の正解は (4) となります。各選択肢の正誤検討
(a)の検討
選択肢 判定 詳細検討・誤り箇所の是正 (1) 誤り 電圧が「$6\,000 \text{ V}$」とされている点、および報告対象に配電線上の「事故点1」が含まれている点が誤りです。法令上の電圧は「$3\,000 \text{ V}$ 以上」であり、電力会社管理下の事故点1は自家用電気工作物の事故報告対象外です。 (2) 誤り 事業者が「送電事業」、電気工作物が「事業用電気工作物」、報告対象に「事故点1」が含まれている点が誤りです。 (3) 誤り 電気工作物が「事業用電気工作物」、電圧が「$6\,000 \text{ V}$」とされている点が誤りです。 (4) 誤り 事業者、電気工作物、電圧、報告対象のすべてにおいて誤りがあります。 (5) 正しい 一般送配電事業、自家用電気工作物、$3\,000 \text{ V}$、事故点2 又は事故点3 のすべてが電気事業法および電気関係報告規則第3条の規定と完全に一致しています。 (b)の検討
選択肢 判定 詳細検討・誤り箇所の是正 (1) 誤り 用語が「同期協調」となっている点、地絡曲線が上位変電所側の「曲線3」となっている点、および継電器が「地絡距離継電器」となっている点が誤りです。 (2) 誤り 用語が「同期協調」、短絡特性が上位側の「曲線1」、地絡特性が上位側の「曲線3」となっており誤りです。 (3) 誤り 短絡特性が上位側の「曲線1」となっており、継電器も「地絡距離継電器」となっている点が誤りです。 (4) 正しい 保護協調、遮断器Bの短絡特性(曲線2:高速側)、遮断器Bの地絡特性(曲線4:高速側)、およびもらい地絡防止の「地絡方向継電器」の組合せが完全に整合しています。 (5) 誤り 地絡特性が上位側の「曲線3」となっており、継電器も「地絡距離継電器」となっている点が誤りです。 【令和3年・問10】高圧受電設備における過電流・短絡保護および地絡保護協調の適否判定
次のa)~e)の文章は、図の高圧受電設備における保護協調に関する記述である。
これらの文章の内容について、適切なものと不適切なものの組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。【高圧受電設備単線結線図】 一般送配電事業者配電線路 ─────────────┬───────────── │ 保安上の責任分界点 ┌─┴─┐ │PAS│ (GR付PAS) └─┬─┘ │ 高圧引込ケーブル │ ┌─┴─┐ │VCB│ (真空遮断器:OCR連動) └─┬─┘ ├─────────────────── [A点:受電盤主母線] │ ┌─────────┼─────────┐ ┌─┴─┐ ┌─┴─┐ ┌─┴─┐ │LBS1│ │LBS2│ │LBS3│ └─┬─┘ └─┬─┘ └─┬─┘ ┌─┴─┐ ┌─┴─┐ ┌─┴─┐ │PF1│ │PF2│ │PF3│ └─┬─┘ └─┬─┘ └─┬─┘ ┌─┴─┐ ┌─┴─┐ │ │TR1│ │TR2│ │ └─┬─┘ └─┬─┘ │ │ ├ [B点] ├ [D点] ┌─┴──┐ ┌─┴──┐ ┌─┴─┐ │MCCB1│ │MCCB2│ │SC │ (高圧コンデンサ) └──┬─┘ └──┬─┘ └───┘ │ ├ [C点] 低圧負荷 低圧負荷a) 受電設備内(図中A点)において短絡事故が発生した場合、VCB(真空遮断器)が、一般送配電事業者の配電用変電所の送り出し遮断器よりも早く動作するようにOCR(過電流継電器)の整定値を決定した。
b) TR2(変圧器)の低圧側で、かつMCCB2(配線用遮断器)の電源側(図中B点)で短絡事故が発生した場合、VCB(真空遮断器)が動作するよりも早くLBS2(負荷開閉器)のPF2(電力ヒューズ)が溶断するように設計した。
c) 低圧のMCCB2(配線用遮断器)の負荷側(図中C点)で短絡事故が発生した場合、MCCB2(配線用遮断器)が動作するよりも先にLBS2(負荷開閉器)のPF2(電力ヒューズ)が溶断しないように設計した。
d) SC(高圧コンデンサ)の端子間(図中D点)で短絡事故が発生した場合、VCB(真空遮断器)が動作するよりも早くLBS3(負荷開閉器)のPF3(電力ヒューズ)が溶断するように設計した。
e) GR付PAS(地絡継電装置付高圧交流負荷開閉器)は、高圧引込ケーブルで1線地絡事故が発生した場合であっても動作しないように設計した。選択肢 a b c d e (1) 適切 適切 適切 適切 不適切 (2) 不適切 不適切 適切 不適切 適切 (3) 適切 適切 不適切 不適切 不適切 (4) 適切 不適切 適切 適切 適切 (5) 不適切 適切 不適切 不適切 不適切 正解:(1)
根拠法令および技術基準・規格
- 電気設備に関する技術基準を定める省令第4条(事故の拡大防止):
電気設備に故障が生じた場合は、故障箇所を自動的に電路から遮断し、他の電気設備への障害の拡大を防止しなければならない旨が定められています。 - 電気設備の技術基準の解釈第38条(過電流遮断器の施設)および第39条(地絡遮断装置の施設):
高圧電路には短絡および地絡が生じた場合に自動的に電路を遮断する装置を施設することが義務付けられています。 - 内線規程・高圧受電設備規程(保護協調指針):
受電用主遮断器(VCB)のOCR整定値は変電所送り出し遮断器の動作特性曲線と適切な協調裕度を保つこと、変圧器一次側ヒューズ(PF)は変圧器二次側短絡時にVCBより先行溶断すること、低圧配線用遮断器(MCCB)の全遮断時間は高圧PFの最小溶断時間特性より下位に位置すること、ならびに責任分界点のGR付PASは構内引込ケーブル地絡時に確実に自動開放することが定められています。詳細解説
高圧受電設備内の各地点(A点〜D点)および引込ケーブルにおける短絡・地絡事故発生時の各保護機器の協調動作について、記述a〜eの妥当性を順次検討します。
- 記述aの検討(適切):
A点はVCB(真空遮断器)の負荷側直後の主受電母線です。この地点で短絡事故が発生した場合、受電設備の主遮断器であるVCBが高速遮断しなければ、配電用変電所の送り出し遮断器が動作して同一配電線の他需要家を巻き込む波及事故となります。
したがって、VCBをトリップさせる過電流継電器(OCR)の動作特性(反時限特性および瞬時要素)は、電力会社変電所の送り出し遮断器のOCRよりも動作時間が短くなるように整定値を決定しなければなりません。記述aは適切です。 - 記述bの検討(適切):
B点は変圧器TR2の低圧側端子から低圧配線用遮断器MCCB2の電源側端子の間の低圧幹線部分です。
このB点で短絡事故が発生した場合、低圧側のMCCB2は事故点より負荷側にあるため短絡電流を検出・遮断できません。このとき、受電主遮断器VCBがトリップしてしまうと、健全なTR1(動力系)やSCを含む構内受電設備全体が全停電してしまいます。
これを防ぐため、TR2一次側に直列に設けられている高圧限流ヒューズPF2(電力ヒューズ)が、主遮断器VCBのOCR動作時間よりも早く限流溶断してTR2回路のみを切り離すように設計します。記述bは適切です。 - 記述cの検討(適切):
C点は低圧MCCB2の負荷側(低圧分岐配線回路)です。
この末端負荷側で短絡事故が発生した場合、保護協調の原則に従い、事故直近の低圧開閉器であるMCCB2が最優先で高速動作して事故分岐回路のみを電路から切り離すべきです。
もし高圧側の電力ヒューズPF2が先に溶断してしまうと、TR2から供給されている健全な他の低圧回路まで同時に停電してしまいます。したがって、MCCB2が動作するよりも先に高圧側のPF2が「溶断しないように設計した」という記述は、下位優先協調の観点から完全に適切です。 - 記述dの検討(適切):
D点は進相用高圧コンデンサSCの端子間です。
SC内部の素子破壊等により端子間で短絡事故が発生した場合、受電主遮断器VCBが動作して受電設備全体を停電させる事態を避けるため、SC直列分岐回路に設けられたLBS3の電力ヒューズPF3が、VCBの動作よりも早く限流溶断してコンデンサ回路のみを高速に切り離すように保護協調をとります。記述dは適切です。 - 記述eの検討(不適切):
高圧引込ケーブルは、責任分界点(GR付PAS設置位置)から受電盤(キュービクル)の受電端子に至る電線路であり、自家用電気工作物の構内設備です。
高圧引込ケーブルで1線地絡事故が発生した場合、GR付PASはまさにこの構内地絡事故を速やかに検出して自動開放(トリップ)し、配電系統への地絡波及事故(変電所地絡継電器のトリップによる配電線全停電)を防止するために設置されています。
それにもかかわらず、「高圧引込ケーブルで1線地絡事故が発生した場合であっても動作しないように設計した」とする記述は、PASおよび地絡保護装置の存在目的と設置基準に真っ向から反しており、完全に不適切です。確実に動作(開放)するように設計しなければなりません。以上より、aは適切、bは適切、cは適切、dは適切、eは不適切となり、正解は(1)となります。
各選択肢の正誤検討
選択肢 判定 詳細検討・誤り箇所の是正 (1) 正しい a適切、b適切、c適切、d適切、e不適切の組合せであり、電気工学上の保護協調理論および高圧受電設備規程の指針と完全に一致しています。 (2) 誤り a、b、dを不適切とし、重大な誤りであるeを適切としており、真逆の判定となっています。 (3) 誤り cおよびdを不適切としており誤りです。末端MCCBが上位ヒューズより先に遮断すること、およびSC短絡時にPFが主VCBより先に溶断することは保護協調の基本設計です。 (4) 誤り bを不適切とし、eを適切としており誤りです。変圧器低圧側短絡時の一次側PF先行溶断は適切であり、引込ケーブル地絡時にPAS不動作とするeは明確な誤りです。 (5) 誤り a、c、dを不適切とし、eを不適切としているものの、全体の判定が誤っています。 【令和2年・問11】供給支障事故の法的責任(報告規則)および短絡・地絡保護協調の特性曲線
電気工作物に起因する供給支障事故について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a)次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
① 電気事業法第39条(事業用電気工作物の維持)において、事業用電気工作物の損壊により(ア)者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすることが規定されている。
② 「電気関係報告規則」において、(イ)を設置する者は、(ア)の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧(ウ)V以上の(イ)の破損又は(イ)の誤操作若しくは(イ)を操作しないことにより(ア)者に供給支障を発生させた場合、電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に事故報告をしなければならないことが規定されている。
③ 図1に示す高圧配電系統により高圧需要家が受電している。事故点1、事故点2又は事故点3のいずれかで短絡等により高圧配電系統に供給支障が発生した場合、②の報告対象となるのは(エ)である。【図1 高圧配電系統図(概略図)】 配電用変電所 一般送配電事業者配電線路 高圧需要家受電設備 ┌─────────┐ ───────────────────────┬─────────────── │ 電源 │ │ 保安上の責任分界点 │ ┌───┐ │ ┌───┐ │ ┌───┐ ┌───┐ │─┤Tr1├──┼─┤ A ├───────[事故点1]────────────────┼──┤ B ├──[事故点2]┤Tr2├──[事故点3]──負荷 │ └───┘ │ └───┘ │ └───┘ └───┘ └─────────┘ 遮断器A │ 遮断器B 変圧器 │ 低圧需要家へ分岐選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 一般送配電事業 自家用電気工作物 $6\,000$ 事故点1又は事故点2 (2) 送電事業 事業用電気工作物 $3\,000$ 事故点1又は事故点3 (3) 一般送配電事業 事業用電気工作物 $6\,000$ 事故点2又は事故点3 (4) 送電事業 事業用電気工作物 $6\,000$ 事故点1又は事故点2 (5) 一般送配電事業 自家用電気工作物 $3\,000$ 事故点2又は事故点3 (b)次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
① 受電設備を含む配電系統において、過負荷又は短絡あるいは地絡が生じたとき、供給支障の拡大を防ぐため、事故点直近上位の遮断器のみが動作し、他の遮断器は動作しないとき、これらの遮断器の間では(ア)がとられているという。
② 図2は、図1の高圧需要家の事故点2又は事故点3で短絡が発生した場合の過電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。(ア)がとられている場合、遮断器Bの継電器動作特性曲線は、(イ)である。
③ 図3は、図1の高圧需要家の事故点2で地絡が発生した場合の零相電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。(ア)がとられている場合、遮断器Bの継電器動作特性曲線は、(ウ)である。また、地絡の発生箇所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別するため(エ)の使用が推奨されている。【図2 過電流継電器-連動遮断特性】 【図3 地絡継電器-連動遮断特性】 動作時間 动作時間 │ │ │ ─── 曲線1 │ ─── 曲線3 │ │ │ ─── 曲線2 │ ─── 曲線4 └─────────────────── 過電流 └─────────────────── 零相電流選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 同期協調 曲線2 曲線3 地絡距離継電器 (2) 同期協調 曲線1 曲線3 地絡方向継電器 (3) 保護協調 曲線1 曲線4 地絡距離継電器 (4) 保護協調 曲線2 曲線4 地絡方向継電器 (5) 保護協調 曲線2 曲線3 地絡距離継電器 正解:(a) (5) ,(b) (4)
根拠法令および技術基準・規格
- 電気事業法第39条第1項第2号(事業用電気工作物の維持):
事業用電気工作物の損壊により「一般送配電事業者」の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように維持しなければならない旨が定められています(※令和2年出題当時の条文形態)。 - 電気関係報告規則第3条第1項第6号(事故報告):
自家用電気工作物を設置する者は、一般送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧 $3\,000 \text{ V}$ 以上の自家用電気工作物の破損、または誤操作若しくは無操作により一般送配電事業者に供給支障を発生させた場合、産業保安監督部長へ報告しなければならないと規定されています。 - 電気設備に関する技術基準を定める省令第4条・第14条・第36条:
配電系統における保護協調の原則、地絡方向継電器の設置推奨基準が明記されています。詳細解説
小問(a)の解説
本問は令和5年下期問13と同一の枠組みですが、電気事業法改正(令和4年施行の配電事業ライセンス制度創設)前の出題であるため、条文中の事業者区分が「一般送配電事業者」のみで記述されている点が特徴です。本質的な判定ロジックは完全に一致します。
- 空白箇所(ア)について:
電気事業法第$39$条第$1$項第$2$号および電気関係報告規則第$3$条第$1$項第$6$号における電力系統の事業者は「一般送配電事業」者です。したがって、(ア)には「一般送配電事業」が入ります。 - 空白箇所(イ)および(ウ)について:
高圧需要家の受電設備は電気事業法上の「自家用電気工作物」に該当します。電気関係報告規則第$3$条第$1$項第$6$号では、事故報告義務の対象となる設備規模として「電圧 $3\,000 \text{ V}$ 以上の自家用電気工作物」と規定されています。したがって、(イ)には「自家用電気工作物」、(ウ)には「$3\,000$」が入ります。 - 空白箇所(エ)について:
図1の高圧配電系統において、責任分界点より電源側にある「事故点1」は一般送配電事業者が保守管理する配電線路設備であり、需要家側の自家用電気工作物ではありません。したがって、事故点1で短絡が発生しても自家用電気工作物設置者が報告規則に基づく事故報告を行う対象とはなりません。
一方、責任分界点の負荷側にある「事故点2」(主受電部)や「事故点3」(変圧器負荷側)は需要家の自家用電気工作物であり、ここで発生した事故によって変電所遮断器Aがトリップし配電系統に波及事故(供給支障)を引き起こした場合は、自家用電気工作物設置者に事故報告義務が発生します。したがって、(エ)には「事故点2又は事故点3」が入ります。
以上より、小問(a)の正解は (5) となります。小問(b)の解説
- 空白箇所(ア)について:
事故発生時に事故点直近上位の遮断器のみが動作し、系統上位の遮断器を不要に動作させない関係を「保護協調」と呼びます。したがって、(ア)には「保護協調」が入ります。 - 空白箇所(イ)について:
図2に示す過電流に対する遮断器動作時間特性において、事故点3(需要家負荷側)で短絡が発生した場合、変電所遮断器Aよりも先に需要家の主遮断器Bが高速遮断しなければ波及事故となります。同一の過電流に対し動作時間が短い(時間軸の下側にある)特性曲線が需要家遮断器Bに求められる特性です。
図2において下側にある曲線は「曲線2」です。したがって、(イ)には「曲線2」が入ります。 - 空白箇所(ウ)について:
図3に示す地絡零相電流に対する動作時間特性において、事故点2等で構内地絡が発生した際、変電所遮断器Aが動作するよりも先に需要家遮断器Bがトリップしなければなりません。同一の零相電流に対して動作時間が短く下側にある特性曲線が需要家遮断器Bの特性となります。
図3において下側にある曲線は「曲線4」です。したがって、(ウ)には「曲線4」が入ります。 - 空白箇所(エ)について:
高圧ケーブルの対地静電容量が大きい需要家では、構外の配電系統で発生した地絡事故時に構内から流出する充電電流によって構内地絡継電器が不要動作する「もらい地絡」が発生します。
これを防止し、零相変流器(ZCT)よりも負荷側の構内事故なのか、電源側の構外事故なのかを確実に判別するためには、零相電流と零相電圧の位相差を検出する「地絡方向継電器(DGR)」を使用することが推奨・規定されています。したがって、(エ)には「地絡方向継電器」が入ります。
以上より、小問(b)の正解は (4) となります。各選択肢の正誤検討
(a)の検討
選択肢 判定 詳細検討・誤り箇所の是正 (1) 誤り 電圧が「$6\,000 \text{ V}$」とされ、報告対象に電力会社設備の「事故点1」が含まれている点が誤りです。 (2) 誤り 事業者が「送電事業」、電気工作物が「事業用電気工作物」、報告対象に「事故点1」が含まれており誤りです。 (3) 誤り 電気工作物が「事業用電気工作物」、電圧が「$6\,000 \text{ V}$」とされており誤りです。 (4) 誤り 事業者、電気工作物、電圧、報告対象のすべてに誤りがあります。 (5) 正しい 一般送配電事業、自家用電気工作物、$3\,000 \text{ V}$、事故点2又は事故点3 の組合せが報告規則第3条の要件と完全に一致しています。 (b)の検討
選択肢 判定 詳細検討・誤り箇所の是正 (1) 誤り 用語が「同期協調」、地絡特性が変電所側の「曲線3」、継電器が「地絡距離継電器」となっており誤りです。 (2) 誤り 同期協調、短絡特性が上位側の「曲線1」、地絡特性が上位側の「曲線3」となっており誤りです。 (3) 誤り 短絡特性が上位側の「曲線1」となっており、継電器も「地絡距離継電器」となっており誤りです。 (4) 正しい 保護協調、遮断器Bの短絡特性(曲線2)、遮断器Bの地絡特性(曲線4)、もらい地絡防止の「地絡方向継電器」の組合せが完全に整合しています。 (5) 誤り 地絡特性が上位側の「曲線3」となっており、継電器も「地絡距離継電器」となっており誤りです。
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