【電験3種・法規】頻出問題「架空電線路支持物の支線に働く引張荷重・安全率および条数の計算」の試験対策

電験$3$種法規科目における「架空電線路支持物の支線に働く引張荷重・安全率および条数の計算」に関する過去問解説です。

架空電線路支持物の支線に働く引張荷重・安全率および条数

架空電線路の引留支持物や角度支持物には、電線の張力による大きな不平均張力が作用します。
支持物の転倒を防ぐため、支線(ステー)を設けて張力を負担させます。
出題の根拠法令は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$32$条、および「電気設備技術基準の解釈」第$61$条です。

支線の法的施設基準(解釈第$61$条)

支線の構造、安全率、素線要件に関する法的基準です。
試験では数値や条件の空欄補充や、計算条件の前提として出題されます。

規定項目 法定制約・基準値 技術的要件および緩和措置 試験における頻出引っかけ
安全率 $1.5$ 以上(原則) 異常着雪時等の特殊条件では $1.2$ 以上に緩和されます。 原則の安全率を「$2.0$」や「$2.2$」とする誤りが出題されます。
引張強さ(破断荷重) $1.47\text{ kN}$ 以上 支線全体として保持すべき最低破断強度です。 数値を「$0.98\text{ kN}$」やすり替える誤りが出題されます。
素線の構成条数 素線 $3$ 本以上のより線であること 単線の使用は禁止されています。 「単線を使用してよい」「$2$本より線でよい」とする誤りが出題されます。
素線の直径 直径 $2.6\text{ mm}$ 以上の金属線 引張強さ $1.23\text{ kN/mm}^2$ 以上の素線は直径 $2.0\text{ mm}$ 以上に緩和されます。 緩和規定の素線径を「$1.6\text{ mm}$」とする誤りが出題されます。
根かせ深さ・取付角 支持物根元から支線地表点までの距離は取付高さの $0.5$ 倍以上 支線の地表面に対する傾斜角 $\theta$ は $60^\circ$ 以下($\cos\theta \ge 0.5$)が求められます。 「距離は高さの$0.2$倍以上」「角度は$30^\circ$以下」とする誤りが出題されます。

支持物のモーメントつり合いと支線引張荷重の計算

支持物(電柱)の根元を中心とする力のモーメントのつり合いから、支線の引張荷重を導出します。

計算ステップ 計算内容 適用計算式 着目すべき要素
ステップ$1$:転倒モーメントの算定 電線の水平張力による根元まわりのモーメントの総和を求めます。 $$M = \sum (T_i \times h_i)$$ 併架電線路では各段の張力と取り付け高さを個別に積算します。
ステップ$2$:支線水平張力の算定 支線の取り付け高さにおける水平張力成分を求めます。 $$T_h = \frac{M}{h_s}$$ 支線の取付高さ $h_s$ と電線の取付高さが異なる場合に注意します。
ステップ$3$:支線傾斜角による全張力換算 幾何学的比率により支線に働く全引張荷重を求めます。 $$T = \frac{T_h}{\cos\theta} = T_h \times \frac{\sqrt{h_s^2 + d_s^2}}{d_s}$$ 三角形の辺長比($3:4:5$ や $1:1:\sqrt{2}$ 等)を活用して計算します。
角度柱における水平合力 電線路に角度がある場合は$2$方向の電線張力をベクトル合成します。 $$F_h = 2 T_0 \cos\left(\frac{\theta_L}{2}\right)$$ 電線相互の内角か屈曲角かを問題図から正確に読み取ります。

所要素線条数および電線弛度の計算

支線の必要破断強度から素線条数を決定する手順、および電線の弛度算定手順です。

項目 算定対象 基本計算式 選定基準・判定条件
必要破断荷重 安全率を考慮した支線全体の要求強度 $$T_{\text{req}} = T \times F_s$$ 安全率 $F_s = 1.5$ を乗じます。
素線$1$本の有効強度 より合わせ減少係数を考慮した素線耐力 $$T_1 = \frac{\pi}{4} d^2 \times \sigma \times \eta$$ 素線径 $d$、引張強さ $\sigma$、減少係数 $\eta$ を乗じます。
所要素線条数 支線を構成する最少の素線本数 $$n \ge \frac{T_{\text{req}}}{T_1}$$ 端数を切り上げ、$3$本以上の規格より線条数($3$、$7$、$19$条等)を選定します。
電線の弛度(たるみ) 径間中央における電線の垂れ下がり量 $$D = \frac{W S^2}{8 T_{\text{allow}}}$$ 合成荷重 $W$、径間 $S$、許容張力 $T_{\text{allow}} = \dfrac{T_{\text{tensile}}}{F_w}$ より求めます。

【令和7年下期・問13】併架支持物の支線引張荷重および素線直径の算定

図のように高圧架空電線と低圧架空電線を併架するA種鉄筋コンクリート柱がある。この電線路の引留箇所において下記の条件で支線を設けるものとする。
(ア) 高低圧電線間の離隔距離を $2\text{ m}$ とし,高圧電線の取り付け高さを $10\text{ m}$,低圧電線と支線の取り付け高さをそれぞれ $8\text{ m}$ とする。
(イ) 高圧電線の水平張力は $9\text{ kN}$,低圧電線の水平張力は $4\text{ kN}$ とし,これらの全荷重を支線で支えるものとする。
このとき,次の(a)及び(b)に答えよ。
(図の条件:柱の根元から支線の地表面中心点までの距離は $6\text{ m}$、支線の長さは $10\text{ m}$)

(a) 支線に生じる引張荷重 $[\text{kN}]$ の値として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 13.0
(2) 15.3
(3) 19.1
(4) 25.4
(5) 38.1

(b) 「電気設備技術基準の解釈」によれば,支線に亜鉛めっき鋼より線(素線の引張強さ $1.23\text{ kN/mm}^2$)を使用し,素線本数を $7$ 本とする場合,最も小さい素線直径 $[\text{mm}]$ として適切な値を,次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,支線の安全率を $1.5$ とし,素線のより合わせによる引張荷重の減少係数は無視するものとする。
(1) 2.0
(2) 2.3
(3) 2.6
(4) 2.9
(5) 3.5

解説

(a)の正解は (4)、(b)の正解は (3) です。

高低圧が併架された引留電線路における支線張力、および素線径の算定問題です。
根拠条文は「電気設備技術基準の解釈」第$61$条(支線の施設)です。

小問(a)の検討を行います。
支持物の根元を中心とする力のモーメントのつり合いを考えます。
高圧電線と低圧電線の水平張力による転倒モーメント $M$ を求めます。
高圧電線の取付高さは $10\text{ m}$、水平張力は $9\text{ kN}$ です。
低圧電線の取付高さは $8\text{ m}$、水平張力は $4\text{ kN}$ です。
転倒モーメントの総和は次式で計算されます。
$$M = 9\text{ kN} \times 10\text{ m} + 4\text{ kN} \times 8\text{ m} = 90 + 32 = 122\text{ kN}\cdot\text{m}$$
支線の支持物への取付高さは $8\text{ m}$ です。
支線の水平張力成分を $T_h$ とすると、抵抗モーメントは $T_h \times 8\text{ m}$ となります。
モーメントのつり合い式を立てます。
$$T_h \times 8 = 122 \implies T_h = \frac{122}{8} = 15.25\text{ kN}$$
支線の取付高さは $8\text{ m}$、地表面の根元距離は $6\text{ m}$ です。
支線の斜辺長 $L$ は次式となります。
$$L = \sqrt{8^2 + 6^2} = \sqrt{64 + 36} = \sqrt{100} = 10\text{ m}$$
支線が地表面となす傾斜角を $\theta$ とすると、$\cos\theta = \dfrac{6}{10} = 0.6$ です。
支線に生じる全引張荷重 $T$ は次式で求まります。
$$T = \frac{T_h}{\cos\theta} = \frac{15.25}{0.6} \approx 25.417\text{ kN}$$
最も近い値は $25.4\text{ kN}$ です。

小問(a)の選択肢を検討します。
選択肢(1)は誤りです。高圧と低圧の張力を単に合算した $13.0\text{ kN}$ を提示しています。
選択肢(2)は誤りです。支線の水平張力成分である $15.3\text{ kN}$ をそのまま回答としています。
選択肢(3)は誤りです。支線傾斜角による割り戻しを行わず、垂直成分等と誤認した数値です。
選択肢(4)は正しい数値です。支線に生じる全引張荷重として $25.4\text{ kN}$ が導出されます。
選択肢(5)は誤りです。安全率 $1.5$ を既に乗じた要求破断荷重の数値を提示しています。

小問(b)の検討を行います。
支線の安全率は $1.5$ です。
支線全体に要求される破断荷重 $T_{\text{req}}$ を求めます。
$$T_{\text{req}} = T \times 1.5 = 25.417 \times 1.5 \approx 38.125\text{ kN}$$
支線は素線本数 $7$ 本で構成されます。
素線の引張強さは $1.23\text{ kN/mm}^2$ です。
素線 $1$ 本に必要な断面積を $A$ と置きます。
$$7 \times A \times 1.23 \ge 38.125 \implies A \ge \frac{38.125}{7 \times 1.23} \approx 4.428\text{ mm}^2$$
素線の直径を $d$ とすると、$A = \dfrac{\pi}{4} d^2$ です。
$$d^2 \ge \frac{4 \times 4.428}{\pi} \approx 5.638$$
$$d \ge \sqrt{5.638} \approx 2.374\text{ mm}$$
「電気設備技術基準の解釈」第$61$条第$1$項第一号ロの規定を確認します。
引張強さ $1.23\text{ kN/mm}^2$ 以上の素線では、素線直径は $2.0\text{ mm}$ 以上が要求されます。
計算結果 $d \ge 2.374\text{ mm}$ を満たす規格上の最小直径を選びます。
提示された選択肢の中で、$2.374\text{ mm}$ を超える最小の直径は $2.6\text{ mm}$ となります。

【令和3年・問11】引留支持物の支線引張荷重および最少素線条数の算定

図のように既設の高圧架空電線路から、高圧架空電線を高低差なく径間 $30\text{ m}$ 延長することにした。
新設支持物にA種鉄筋コンクリート柱を使用し、引留支持物とするため支線を電線路の延長方向 $4\text{ m}$ の地点に図のように設ける。電線と支線の支持物への取付け高さはともに $8\text{ m}$ であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 電線の水平張力が $15\text{ kN}$ であり、その張力を支線で全て支えるものとしたとき、支線に生じる引張荷重の値 $[\text{kN}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 7
(2) 15
(3) 30
(4) 34
(5) 67

(b) 支線の安全率を $1.5$ とした場合、支線の最少素線条数として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、支線の素線には、直径 $2.9\text{ mm}$ の亜鉛めっき鋼より線(引張強さ $1.23\text{ kN/mm}^2$)を使用し、素線のより合わせによる引張荷重の減少係数は無視するものとする。
(1) 3
(2) 5
(3) 7
(4) 9
(5) 19

解説

(a)の正解は (4)、(b)の正解は (3) です。

電線路延長に伴う引留支持物の支線引張荷重、および所要素線条数の算定問題です。
根拠条文は「電気設備技術基準の解釈」第$61$条(支線の施設)です。

小問(a)の検討を行います。
電線と支線の支持物への取付高さはともに $8\text{ m}$ です。
取付高さが同一であるため、支線の水平張力成分 $T_h$ は電線の水平張力と等しくなります。
$$T_h = 15\text{ kN}$$
支線の取付高さは $8\text{ m}$、地表面の根元距離は $4\text{ m}$ です。
支線の長さ $L$ を三平方の定理により求めます。
$$L = \sqrt{8^2 + 4^2} = \sqrt{64 + 16} = \sqrt{80} \approx 8.944\text{ m}$$
支線が地表面となす角を $\theta$ と置きます。
$$\cos\theta = \frac{4}{\sqrt{80}} = \frac{1}{\sqrt{5}} \approx 0.4472$$
支線に生じる全引張荷重 $T$ を求めます。
$$T = \frac{T_h}{\cos\theta} = 15 \times \sqrt{5} \approx 15 \times 2.236 = 33.54\text{ kN}$$
最も近い選択肢の数値は $34\text{ kN}$ です。

小問(a)の選択肢を検討します。
選択肢(1)は誤りです。水平張力 $15\text{ kN}$ に誤った比率を乗じた数値です。
選択肢(2)は誤りです。水平張力成分である $15\text{ kN}$ をそのまま回答としています。
選択肢(3)は誤りです。支線傾斜角の幾何計算を誤認した数値です。
選択肢(4)は正しい数値です。計算値 $33.54\text{ kN}$ に最も近い値は $34\text{ kN}$ です。
選択肢(5)は誤りです。安全率や比率を二重に乗算した誤った数値です。

小問(b)の検討を行います。
安全率は $1.5$ です。
支線に要求される総引張強さ $T_{\text{req}}$ を求めます。
$$T_{\text{req}} = T \times 1.5 = 33.54 \times 1.5 \approx 50.31\text{ kN}$$
素線 $1$ 本の直径は $2.9\text{ mm}$ です。
素線 $1$ 本の公称断面積 $A_1$ を求めます。
$$A_1 = \frac{\pi}{4} \times 2.9^2 \approx 6.605\text{ mm}^2$$
素線の引張強さは $1.23\text{ kN/mm}^2$ です。
素線 $1$ 本が負担できる破断荷重 $T_1$ を計算します。
$$T_1 = 6.605 \times 1.23 \approx 8.124\text{ kN}$$
支線に必要な素線本数 $n$ を求めます。
$$n \ge \frac{T_{\text{req}}}{T_1} = \frac{50.31}{8.124} \approx 6.19\text{ 本}$$
小数点以下を切り上げると $7$ 本が必要となります。
解釈第$61$条第$1$項第一号イの「素線$3$本以上のより線」の要件も満たします。
規格より線として適切な最少の条数は $7$ 条です。

【平成27年・問11】引留支持物の必要引張強さおよび高圧架空電線の弛度算定

図のように既設の高圧架空電線路から、電線に硬銅より線を使用した電線路を高低差なく径間 $40\text{ m}$ 延長することにした。
新設支持物にA種鉄筋コンクリート柱を使用し、引留支持物とするため支線を電線路の延長方向 $10\text{ m}$ の地点に図のように設ける。電線と支線の支持物への取付け高さはともに $10\text{ m}$ であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 電線の水平張力を $13\text{ kN}$ として、その張力を支線で全て支えるものとする。支線の安全率を $1.5$ としたとき、支線に要求される引張強さの最小の値 $[\text{kN}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 6.5
(2) 10.7
(3) 19.5
(4) 27.6
(5) 40.5

(b) 電線の引張強さを $28.6\text{ kN}$、電線の重量と風圧荷重との合成荷重を $18\text{ N/m}$ とし、高圧架空電線の引張強さに対する安全率を $2.2$ としたとき、この延長した電線の弛度(たるみ)の値 $[\text{m}]$ は、いくら以上としなければならないか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 0.14
(2) 0.28
(3) 0.49
(4) 0.94
(5) 1.97

解説

(a)の正解は (4)、(b)の正解は (2) です。

引留支持物における支線の要求引張強さ、および電線の弛度算定問題です。
根拠条文は「電気設備技術基準の解釈」第$61$条(支線の施設)および第$66$条(架空電線路の径間等)です。

小問(a)の検討を行います。
電線と支線の取付高さはともに $10\text{ m}$ です。
したがって、支線の水平張力成分 $T_h$ は電線の水平張力と等しくなります。
$$T_h = 13\text{ kN}$$
支線の取付高さは $10\text{ m}$、地表面の根元距離は $10\text{ m}$ です。
直角二等辺三角形を形成するため、支線の傾斜角 $\theta$ は $45^\circ$ です。
支線長 $L$ は次式となります。
$$L = \sqrt{10^2 + 10^2} = 10\sqrt{2} \approx 14.142\text{ m}$$
支線に生じる引張荷重 $T$ を求めます。
$$T = \frac{T_h}{\cos 45^\circ} = 13 \times \sqrt{2} \approx 18.385\text{ kN}$$
支線の安全率は $1.5$ です。
要求される最小の引張強さ(破断荷重)$T_{\text{req}}$ を計算します。
$$T_{\text{req}} = T \times 1.5 = 18.385 \times 1.5 \approx 27.577\text{ kN}$$
最も近い選択肢の数値は $27.6\text{ kN}$ です。

小問(a)の選択肢を検討します。
選択肢(1)は誤りです。水平張力 $13\text{ kN}$ を安全率で割った誤った数値です。
選択肢(2)は誤りです。幾何計算の過程で比率を逆転させた数値です。
選択肢(3)は誤りです。安全率を乗じる前の支線引張荷重 $18.4\text{ kN}$ に近い数値です。
選択肢(4)は正しい数値です。要求される引張強さとして $27.6\text{ kN}$ が導出されます。
選択肢(5)は誤りです。不要な係数を掛け合わせた過大な数値です。

小問(b)の検討を行います。
高圧架空電線の安全率 $F_w$ は $2.2$ です。
電線の引張強さは $28.6\text{ kN} = 28\,600\text{ N}$ です。
電線に許容される想定最大引張張力 $T_{\text{allow}}$ を求めます。
$$T_{\text{allow}} = \frac{28\,600}{2.2} = 13\,000\text{ N} = 13\text{ kN}$$
電線の合成荷重 $W$ は $18\text{ N/m}$ です。
径間 $S$ は $40\text{ m}$ です。
電線の弛度 $D$ の基本公式を用います。
$$D = \frac{W S^2}{8 T_{\text{allow}}}$$
数値を代入して計算します。
$$D = \frac{18 \times 40^2}{8 \times 13\,000} = \frac{18 \times 1\,600}{104\,000} = \frac{28\,800}{104\,000} \approx 0.2769\text{ m}$$
最も近い選択肢の数値は $0.28\text{ m}$ です。

【平成21年・問12】角度柱における支線想定最大荷重および素線条数の算定

図のように,高圧架空電線路中で水平角度が $60^\circ$ の電線路となる部分の支持物(A種鉄筋コンクリート柱)に下記の条件で電気設備技術基準の解釈に適合する支線を設けるものとする。
(ア) 高圧架空電線の取り付け高さを $10\text{ m}$,支線の支持物への取り付け高さを $8\text{ m}$、この支持物の地表面の中心点と支線の地表面までの距離を $6\text{ m}$ とする。
(イ) 高圧架空電線と支線の水平角度を $120^\circ$、高圧架空電線の想定最大水平張力を $9.8\text{ kN}$ とする。
(ウ) 支線には亜鉛めっき鋼より線を用いる。その素線は、直径 $2.6\text{ mm}$,引張強さ $1.23\text{ kN/mm}^2$ である。素線のより合わせによる引張荷重の減少係数を $0.92$ とし、支線の安全率を $1.5$ とする。
このとき、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a) 支線に働く想定最大荷重 $[\text{kN}]$ の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 10.2
(2) 12.3
(3) 20.4
(4) 24.5
(5) 40.1

(b) 支線の素線の最少の条数として、正しいのは次のうちどれか。
(1) 3
(2) 7
(3) 9
(4) 13
(5) 19

解説

(a)の正解は (3)、(b)の正解は (2) です。

水平角度を有する電線路の支持物(角度柱)における支線張力、および素線条数の算定問題です。
根拠条文は「電気設備技術基準の解釈」第$61$条(支線の施設)です。

小問(a)の検討を行います。
$2$ 方向の架空電線と支線は、それぞれ水平角度 $120^\circ$ の等間隔で配置されています。
$2$ 本の架空電線の想定最大水平張力はともに $9.8\text{ kN}$ です。
支線の反対方向へ作用する電線の合成水平張力 $F_h$ を求めます。
電線相互のなす角は $120^\circ$ であり、対称軸方向への合成張力は次式となります。
$$F_h = 2 \times 9.8 \times \cos\left(\frac{120^\circ}{2}\right) = 2 \times 9.8 \times \cos 60^\circ = 2 \times 9.8 \times 0.5 = 9.8\text{ kN}$$
電線の取付高さは $10\text{ m}$ です。
支持物の根元まわりの転倒モーメント $M$ を計算します。
$$M = 9.8\text{ kN} \times 10\text{ m} = 98\text{ kN}\cdot\text{m}$$
支線の取付高さは $8\text{ m}$ です。
支線の水平張力成分を $T_h$ とすると、抵抗モーメントは $T_h \times 8\text{ m}$ です。
モーメントのつり合い式を立てます。
$$T_h \times 8 = 98 \implies T_h = \frac{98}{8} = 12.25\text{ kN}$$
支線の取付高さは $8\text{ m}$、地表面の根元距離は $6\text{ m}$ です。
支線長 $L$ は $\sqrt{8^2 + 6^2} = 10\text{ m}$ となります。
地表面との傾斜角を $\theta$ と置くと、$\cos\theta = \dfrac{6}{10} = 0.6$ です。
支線に働く想定最大荷重(全引張荷重)$T$ を求めます。
$$T = \frac{T_h}{\cos\theta} = \frac{12.25}{0.6} \approx 20.417\text{ kN}$$
最も近い値は $20.4\text{ kN}$ です。

小問(a)の選択肢を検討します。
選択肢(1)は誤りです。合成張力の計算手順を誤った数値です。
選択肢(2)は誤りです。支線の水平張力成分である $12.3\text{ kN}$ をそのまま回答としています。
選択肢(3)は正しい数値です。支線に働く想定最大荷重として $20.4\text{ kN}$ が導出されます。
選択肢(4)は誤りです。電線の取付高さを考慮せず、電線位置に支線があると仮定した数値です。
選択肢(5)は誤りです。電線の張力を単純合算して算定した誤った数値です。

小問(b)の検討を行います。
安全率は $1.5$ です。
支線に要求される総引張強さ $T_{\text{req}}$ を求めます。
$$T_{\text{req}} = T \times 1.5 = 20.417 \times 1.5 \approx 30.625\text{ kN}$$
素線の直径は $2.6\text{ mm}$ です。
素線 $1$ 本の公称断面積 $A_1$ を求めます。
$$A_1 = \frac{\pi}{4} \times 2.6^2 \approx 5.3093\text{ mm}^2$$
素線の引張強さは $1.23\text{ kN/mm}^2$、より合わせ減少係数は $0.92$ です。
素線 $1$ 本あたりの有効破断荷重 $T_1$ を計算します。
$$T_1 = A_1 \times 1.23 \times 0.92 = 5.3093 \times 1.23 \times 0.92 \approx 6.008\text{ kN}$$
必要な素線本数 $n$ を求めます。
$$n \ge \frac{T_{\text{req}}}{T_1} = \frac{30.625}{6.008} \approx 5.097\text{ 本}$$
小数点以下を切り上げると $6$ 本以上が必要です。
選択肢に示された条数の中で、$5.097$ 本を満たす最少の条数は $7$ 条です。

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