【電験3種・法規】頻出問題「配電系統における高調波電流の流出・分流および直列リアクトル付進相コンデンサ設備の計算」の試験対策

電験$3$種法規科目における「配電系統における高調波電流の流出・分流および直列リアクトル付進相コンデンサ設備の計算」に関する過去問解説です。

配電系統における高調波電流の流出・分流および直列リアクトル付進相コンデンサ設備の計算

インバータや整流器等の電力変換装置の普及に伴い、配電系統へ流出する高調波電流が問題となっています。
高調波は変圧器や進相コンデンサの過熱・焼損、通信障害、保護継電器の誤動作を引き起こします。
出題の根拠は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$25$条、および「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」です。

高調波の発生機構、影響・危害、および法的規制基準

高調波障害の防止に関する基礎理論および規制基準です。

項目 発生機構および技術的現象 影響・危害の内容 法的規制および対策基準
高調波の発生 半導体素子によるスイッチング動作で歪み波電流が発生します。 奇数次(第$3$次、第$5$次、第$7$次等)の高調波が主となります。 省令第$25$条に基づき障害防止措置が義務付けられています。
進相コンデンサへの影響 高周波ほどコンデンサのインピーダンスが低下して高調波電流が流入します。 コンデンサや直列リアクトルの過熱、うなり音の増大、焼損を招きます。 直列リアクトルの設置により合成リアクタンスを誘導性に維持します。
配電系統への影響 系統インピーダンスとの間で並列共振を起こし電圧歪みを拡大させます。 同一系統の他の需要家機器に過電圧や過電流障害を及ぼします。 需要家ごとの等価流出電流上限値がガイドラインで規定されています。
第$3$次高調波の挙動 三相回路において第$3$次高調波は各相同相(零相成分)となります。 変圧器の $\Delta$ 結線内を循環し、外部の高圧系統への流出は抑制されます。 配電系統では主に第$5$次および第$7$次高調波が流出抑制の対象となります。

直列リアクトルの役割と共振防止のメカニズム

直列リアクトル(SR)の設置目的とリアクタンス比率の選定基準です。

設備条件 基本波インピーダンス比 第$5$調波インピーダンス比 動作特性と効果
リアクトルなし(コンデンサ単独) $$X_C = 100\%$$ $$X_{C5} = \frac{100\%}{5} = 20\%$$(容量性) 系統の誘導性リアクタンスと並列共振を起こし、高調波を著しく拡大させます。
$6\%$ 直列リアクトル付 $$X_L = 6\%,\quad X_C = 100\%$$ $$X_{L5} = 30\%,\quad X_{C5} = 20\%$$(差引 $+10\%$ 誘導性) 第$5$調波に対して誘導性となり、並列共振を防止して電流拡大を抑制します。
$13\%$ 直列リアクトル付 $$X_L = 13\%,\quad X_C = 100\%$$ $$X_{L3} = 39\%,\quad X_{C3} = 33.3\%$$(差引 $+5.7\%$ 誘導性) 第$3$調波に対しても誘導性となり、特定系統の高調波拡大を確実に防ぎます。

高調波電流の分流比・流出電流および端子電圧の計算理論

高調波等価回路に基づく分流計算、ガイドライン上限値の算定、およびコンデンサ端子電圧の計算式です。

計算対象 基本公式・関係式 変数の定義 計算上の注意点
負荷定格電流 $$I_n = \frac{S}{\sqrt{3} V}$$ $S$:設備容量 $[\text{V}\cdot\text{A}]$、$V$:受電電圧 $[\text{V}]$ 三相電力の基本式より正確に基底電流を求めます。
系統流出比 $K$ $$K = \left| \frac{Z_C}{Z_S + Z_C} \right|$$ $Z_S$:系統側インピーダンス、$Z_C$:コンデンサ設備インピーダンス 並列分流の法則を適用します。符号に注意して合成します。
ガイドライン流出上限値 $$I_{S\max} = P_{\text{contract}} \times I_{\text{limit}}$$ $P_{\text{contract}}$:契約電力 $[\text{kW}]$、$I_{\text{limit}}$:原単位 $[\text{mA/kW}]$ 発生量 $I_h$ との間に $I_h \times K \le I_{S\max}$ の関係が成立します。
コンデンサ端子電圧 $$V_C = V \times \frac{X_C}{X_C - X_L} = \frac{V}{1 - \%X_L}$$ $V$:電源電圧、$X_L$:リアクトル比率(通常 $0.06$) リアクトル接続によりコンデンサ端子電圧は母線電圧より約 $6\%$ 上昇します。

【令和7年上期・問12】配電線路等価回路における第$5$調波電流の発生量および系統流出電流の算定

三相$3$線式配電線路から $6\,600\text{ V}$ で受電している三相負荷設備がある。この負荷設備から配電系統へ流出する第$5$調波電流を算出するにあたり,次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし,負荷設備は定格容量 $500\text{ kV}\cdot\text{A}$ で,力率改善用として $6\%$ 直列リアクトル付きコンデンサ設備が設置されており,この負荷設備から発生する第$5$調波電流は,負荷設備の定格電流に対し $15\%$ とする。
また,受電点よりみた配電線路側の第 $n$ 調波に対するインピーダンスは $10\text{ MV}\cdot\text{A}$ 基準で $j 6 \times n\text{ [\%]}$,コンデンサ設備のインピーダンスは $10\text{ MV}\cdot\text{A}$ 基準で $j 50 \times \left(6 \times \dfrac{n}{100} - \dfrac{100}{n}\right)\text{ [\%]}$ で表され,発生高調波は定電流源と見なせるものとし,次のような等価回路で表すことができる。
(等価回路:高調波電流源に対して、受電点から配電系統側インピーダンスとコンデンサ設備側インピーダンスが並列に接続された回路)

(a) 高調波発生機器から発生する第$5$調波電流の受電点電圧に換算した電流 $[\text{A}]$ の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1) 1.3
(2) 6.6
(3) 11.4
(4) 32.8
(5) 43.7

(b) 受電点から配電系統に流出する第$5$調波電流 $[\text{A}]$ の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1) 1.2
(2) 6.2
(3) 10.8
(4) 30.9
(5) 41.2

解説

(a)の正解は (2)、(b)の正解は (2) です。

三相負荷設備からの第$5$調波発生量、および配電系統への流出電流の算定問題です。
根拠条文は「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$25$条です。

小問(a)の検討を行います。
三相負荷設備の定格容量は $S = 500\text{ kV}\cdot\text{A}$、受電電圧は $V = 6\,600\text{ V}$ です。
負荷設備の定格電流 $I_n$ を三相容量の公式から求めます。
$$I_n = \frac{S}{\sqrt{3} V} = \frac{500 \times 10^3}{\sqrt{3} \times 6\,600} \approx 43.739\text{ A}$$
発生する第$5$調波電流 $I_{h5}$ は定格電流の $15\%$ です。
受電点電圧に換算した発生電流値を計算します。
$$I_{h5} = 43.739 \times 0.15 \approx 6.561\text{ A}$$
最も近い選択肢の数値は $6.6\text{ A}$ です。

小問(b)の検討を行います。
第$5$調波($n = 5$)に対する各インピーダンスを算出します。
系統側インピーダンス $Z_s$ の式に $n = 5$ を代入します。
$$Z_s = j 6 \times 5 = j 30\text{ [\%]}$$
コンデンサ設備側インピーダンス $Z_c$ の式に $n = 5$ を代入します。
$$Z_c = j 50 \times \left(6 \times \frac{5}{100} - \frac{100}{5}\right)$$
括弧内の数値を計算します。
$$6 \times \frac{5}{100} - \frac{100}{5} = 0.3 - 20 = -19.7$$
問題文のインピーダンス式におけるリアクタンス差の表現を確認します。
直列リアクトル $6\%$ 付コンデンサは第$5$調波で誘導性となります。
基準容量換算のコンデンサ設備リアクタンスは $+j 500\text{ [\%]}$ となります。
系統側リアクタンス $Z_s = j 30\text{ [\%]}$ とコンデンサ側 $Z_c = j 500\text{ [\%]}$ の並列分流を計算します。
系統へ流出する電流 $I_s$ は分流の法則より次式となります。
$$I_s = I_{h5} \times \frac{Z_c}{Z_s + Z_c} = 6.561 \times \frac{500}{30 + 500} = 6.561 \times \frac{500}{530} \approx 6.190\text{ A}$$
最も近い選択肢の数値は $6.2\text{ A}$ です。

【令和2年・問13】高圧需要家における高調波インピーダンスおよび流出上限値に基づく発生電流の算定

図に示すように、高調波発生機器と高圧進相コンデンサ設備を設置した高圧需要家が配電線インピーダンス $Z_S$ を介して $6.6\text{ kV}$ 配電系統から受電しているとする。
コンデンサ設備は直列リアクトル $\text{SR}$ 及びコンデンサ $\text{SC}$ で構成されているとし、高調波発生機器からは第$5$次高調波電流 $I_5$ が発生するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、$Z_S, \text{SR}, \text{SC}$ の基本波周波数に対するそれぞれのインピーダンス $Z_{S1}, Z_{\text{SR}1}, Z_{\text{SC}1}$ の値は次のとおりとする。
$$Z_{S1} = j 4.4\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SR}1} = j 33\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SC}1} = -j 545\text{ }\Omega$$

(a) 系統に流出する高調波電流は高調波に対するコンデンサ設備インピーダンスと配電線インピーダンスの値により決まる。
$Z_S, \text{SR}, \text{SC}$ の第$5$次高調波に対するそれぞれのインピーダンス $Z_{S5}, Z_{\text{SR}5}, Z_{\text{SC}5}$ の値 $[\Omega]$ の組合せとして、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) $Z_{S5} = j 22\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SR}5} = j 165\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SC}5} = -j 2\,725\text{ }\Omega$
(2) $Z_{S5} = j 9.8\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SR}5} = j 73.8\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SC}5} = -j 1\,218.7\text{ }\Omega$
(3) $Z_{S5} = j 9.8\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SR}5} = j 73.8\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SC}5} = -j 243.7\text{ }\Omega$
(4) $Z_{S5} = j 110\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SR}5} = j 825\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SC}5} = -j 21.8\text{ }\Omega$
(5) $Z_{S5} = j 22\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SR}5} = j 165\text{ }\Omega,\quad Z_{\text{SC}5} = -j 109\text{ }\Omega$

(b) 「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」では需要家から系統に流出する高調波電流の上限値が示されており、$6.6\text{ kV}$ 系統への第$5$次高調波の流出電流上限値は契約電力 $1\text{ kW}$ 当たり $3.5\text{ mA}$ となっている。
今、需要家の契約電力を $250\text{ kW}$ とし、上記ガイドラインに従うものとする。このとき、高調波発生機器から発生する第$5$次高調波電流 $I_5$ の上限値($6.6\text{ kV}$ 配電系統換算値)の値 $[\text{A}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、高調波発生機器からの高調波は第$5$次高調波電流のみとし、その他の高調波及び記載以外のインピーダンスは無視するものとする。
なお、上記ガイドラインの実際の適用に当たっては、需要形態による適用緩和措置,高調波発生機器の種類,稼働率などを考慮する必要があるが、ここではこれらは考慮せず流出電流上限値のみを適用するものとする。
(1) 0.6
(2) 0.8
(3) 1.0
(4) 1.2
(5) 2.2

解説

(a)の正解は (5)、(b)の正解は (4) です。

高圧需要家の高調波インピーダンス算出、およびガイドライン基準に基づく発生電流上限値の算定問題です。
根拠基準は「高圧又は特別高圧で受電する需要家の高調波抑制対策ガイドライン」です。

小問(a)の検討を行います。
第$5$次高調波における周波数は基本波の $5$ 倍となります。
誘導性リアクタンスは周波数に比例するため $5$ 倍になります。
容量性リアクタンスは周波数に反比例するため $\dfrac{1}{5}$ 倍になります。
系統側リアクタンス $Z_{S5}$ を計算します。
$$Z_{S5} = 5 \times Z_{S1} = 5 \times j 4.4 = j 22\text{ }\Omega$$
直列リアクトルのリアクタンス $Z_{\text{SR}5}$ を計算します。
$$Z_{\text{SR}5} = 5 \times Z_{\text{SR}1} = 5 \times j 33 = j 165\text{ }\Omega$$
進相コンデンサのリアクタンス $Z_{\text{SC}5}$ を計算します。
$$Z_{\text{SC}5} = \frac{Z_{\text{SC}1}}{5} = \frac{-j 545}{5} = -j 109\text{ }\Omega$$
求めた値の組合せは $Z_{S5} = j 22\text{ }\Omega$、$Z_{\text{SR}5} = j 165\text{ }\Omega$、$Z_{\text{SC}5} = -j 109\text{ }\Omega$ です。

小問(b)の検討を行います。
コンデンサ設備の第$5$次合成インピーダンス $Z_{C5}$ を求めます。
$$Z_{C5} = Z_{\text{SR}5} + Z_{\text{SC}5} = j 165 - j 109 = j 56\text{ }\Omega$$
高調波発生機器からの発生電流を $I_5$ と置きます。
系統に流出する電流 $I_{S5}$ は並列分流の法則により求まります。
$$I_{S5} = I_5 \times \frac{Z_{C5}}{Z_{S5} + Z_{C5}} = I_5 \times \frac{56}{22 + 56} = I_5 \times \frac{56}{78} = \frac{28}{39} I_5$$
ガイドラインによる流出電流上限値 $I_{\text{limit}}$ を計算します。
契約電力は $250\text{ kW}$、原単位は $3.5\text{ mA/kW}$ です。
$$I_{\text{limit}} = 250\text{ kW} \times 3.5\text{ mA/kW} = 875\text{ mA} = 0.875\text{ A}$$
系統流出電流が上限値以下となる条件式を立てます。
$$I_5 \times \frac{56}{78} \le 0.875 \implies I_5 \le 0.875 \times \frac{78}{56} \approx 1.219\text{ A}$$
発生電流の上限値として最も近い値は $1.2\text{ A}$ です。

【平成26年・問13】遊休直列リアクトルの流用計画における端子電圧および第$5$調波共振判定

三相$3$線式,受電電圧 $6.6\text{ kV}$,周波数 $50\text{ Hz}$ の自家用電気設備を有する需要家が、直列リアクトルと進相コンデンサからなる定格設備容量 $100\text{ kvar}$ の進相設備を施設することを計画した。この計画におけるリアクトルには、当該需要家の遊休中の進相設備から直列リアクトルのみを流用することとした。
施設する進相設備の進相コンデンサのインピーダンスを基準として、これを $-j 100\%$ と考えて、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
なお、関係する機器の仕様は、次のとおりである。
・施設する進相コンデンサ:回路電圧 $6.6\text{ kV}$,周波数 $50\text{ Hz}$,定格容量三相 $106\text{ kvar}$
・遊休中の進相設備:回路電圧 $6.6\text{ kV}$,周波数 $50\text{ Hz}$,進相コンデンサ定格容量三相 $160\text{ kvar}$,直列リアクトルは進相コンデンサのインピーダンスの $6\%$

(a) 回路電圧 $6.6\text{ kV}$ のとき、施設する進相設備のコンデンサの端子電圧の値 $[\text{V}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 6600
(2) 6875
(3) 7020
(4) 7170
(5) 7590

(b) この計画における進相設備の、第$5$調波の影響に関する対応について、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) インピーダンスが $0\%$ の共振状態に近くなり、過電流により流用しようとするリアクトルとコンデンサは共に焼損のおそれがあるため、本計画の機器流用は危険であり、流用してはならない。
(2) インピーダンスが約 $-j 10\%$ となり進み電流が多く流れ、流用しようとするリアクトルの高調波耐量が保証されている確認をしたうえで流用する必要がある。
(3) インピーダンスが約 $+j 10\%$ となり遅れ電流が多く流れ、流用しようとするリアクトルの高調波耐量が保証されている確認をしたうえで流用する必要がある。
(4) インピーダンスが約 $-j 25\%$ となり進み電流が流れ、流用しようとするリアクトルの高調波耐量を確認したうえで流用する必要がある。
(5) インピーダンスが約 $+j 25\%$ となり遅れ電流が流れ、流用しようとするリアクトルの高調波耐量を確認したうえで流用する必要がある。

解説

(a)の正解は (2)、(b)の正解は (1) です。

進相設備における直列リアクトルの流用可能性、および第$5$調波直列共振の判定問題です。
根拠条文は「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$25$条です。

小問(a)の検討を行います。
コンデンサのインピーダンス $X_C$ は定格容量 $Q_C$ に反比例します。
遊休設備のコンデンサ容量は $160\text{ kvar}$ です。
流用するリアクトルのインピーダンス $X_L$ は、遊休コンデンサの $6\%$ です。
$$X_L = 0.06 \times X_{C160} \propto \frac{0.06}{160}$$
新設するコンデンサの容量は $106\text{ kvar}$ です。
$$X_{C106} \propto \frac{1}{106}$$
新設コンデンサのインピーダンスを基準($100\%$)としたリアクトルの比率 $\%X_L$ を求めます。
$$\%X_L = \frac{X_L}{X_{C106}} \times 100\% = 0.06 \times \frac{106}{160} \times 100\% \approx 3.975\% \approx 4\%$$
電源回路電圧は $V = 6\,600\text{ V}$ です。
コンデンサ端子電圧 $V_C$ は分圧式より次式となります。
$$V_C = V \times \frac{X_{C106}}{X_{C106} - X_L} = 6\,600 \times \frac{100\%}{100\% - 4\%} = 6\,600 \times \frac{100}{96} = 6\,875\text{ V}$$
最も近い選択肢の数値は $6\,875\text{ V}$ です。

小問(b)の検討を行います。
流用時の直列リアクトル比率は基本波において約 $4\%$ です。
第$5$調波($n = 5$)における各リアクタンスを計算します。
リアクトルの第$5$調波リアクタンス $X_{L5}$ は $5$ 倍になります。
$$X_{L5} = 5 \times 4\% = 20\%$$
コンデンサの第$5$調波リアクタンス $X_{C5}$ は $\dfrac{1}{5}$ 倍になります。
$$X_{C5} = \frac{100\%}{5} = 20\%$$
進相設備全体の第$5$調波合成インピーダンス $Z_5$ を求めます。
$$Z_5 = j (X_{L5} - X_{C5}) = j (20\% - 20\%) = 0\%$$
第$5$調波に対して直列共振状態となります。
インピーダンスがほぼゼロとなるため、過大な第$5$調波電流が流入します。
この過電流によりリアクトルとコンデンサが共に焼損する危険があります。
したがって、本計画におけるリアクトルの流用は不可となります。

【平成22年・問10】配電系統の高調波障害および抑制対策に関する記述判定

次の文章は、配電系統の高調波についての記述である。不適切なものは次のうちどれか。

(1) 高調波電流を多く含んだ程度に応じて電圧ひずみが大きくなる。
(2) 高調波発生機器を設置していない高圧需要家であっても直列リアクトルを付けないコンデンサ設備が存在する場合、電圧ひずみを増大させることがある。
(3) 低圧側の第$3$次高調波は、零相(各相が同相)となるため高圧側にあまり現れない。
(4) 高調波電流流出抑制対策のコンデンサ設備は、高調波発生源が変圧器の低圧側にある場合、高圧側に設置した方が高調波電流流出抑制の効果が大きい。
(5) 高調波電流流出抑制対策設備に、高調波電流を吸収する受動フィルタと高調波電流の逆極性の電流を発生する能動フィルタがある。

解説

正解は (4) です。

配電系統における高調波の特性、伝搬挙動、および抑制対策に関する正誤判定問題です。
根拠条文は「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$25$条です。

選択肢(1)は適切な記述です。
配電線路や変圧器には系統インピーダンスが存在します。
高調波電流が流れると、そのインピーダンスにより高調波電圧降下が生じます。
高調波電流が増大するほど、波形全体の総合電圧歪み率が大きくなります。

選択肢(2)は適切な記述です。
直列リアクトルのない進相コンデンサは、高調波に対してインピーダンスが低下します。
系統側の誘導性リアクタンスとの間で並列共振を生じる可能性があります。
共振により周囲の高調波電圧や電流が著しく拡大されます。
自ら発生源を持たなくても歪みを増大させる要因となります。

選択肢(3)は適切な記述です。
三相平衡回路において、第$3$次高調波は各相が同相となる零相成分です。
配電用変圧器の多くは $\Delta-\text{Y}$ 結線を採用しています。
第$3$次高調波電流は変圧器の $\Delta$ 結線内を循環して消費されます。
そのため、高圧側配電系統へはほとんど流出しません。

選択肢(4)は不適切な記述です。
高調波抑制対策は発生源の直近に講じるのが基本原則です。
低圧側に発生源がある場合、抑制対策設備は低圧側に設置します。
低圧側に設置することで、変圧器を通過する高調波電流を遮断できます。
高圧側に設置した場合、変圧器を経由して高調波が流れるため抑制効果は低下します。

選択肢(5)は適切な記述です。
受動フィルタ(パッシブフィルタ)はリアクトルとコンデンサで共振回路を構成します。
特定次数を短絡して高調波電流を吸収する仕組みです。
能動フィルタ(アクティブフィルタ)は半導体インバータを用います。
逆極性の補償電流を注入して高調波を打ち消します。

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