【電験3種・法規】避雷器(LA)にA種接地を単独ではなく共用で施しても良い理由

電験3種(法規分野)で出題される避雷器(LA)にA種接地を単独ではなく共用で施しても良い理由について解説します。

根拠条文(解釈第37条第3項)

「電気設備の技術基準の解釈」の第37条第3項に避雷器(LA)にA種接地を施す必要について規定されています。

【避雷器等の施設】(省令第49条)
第37条 高圧及び特別高圧の電路中、次の各号に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には、避雷器を施設すること。

(略)

3 高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には、A種接地工事を施すこと。ただし、高圧架空電線路に施設する
避雷器(第1項の規定により施設するものを除く。)のA種接地工事を日本電気技術規格委員会規格 JESC E2018
(2015)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗
値は、第17条第1項第一号の規定によらないことができる。(関連省令第10条、第11条)

解説

「電気設備の技術基準の解釈の解説」では、第37条第3項について以下のように解説されており、「特に避雷器を単独接地とすることとはしていない」とあります。

第3項は、高圧用及び特別高圧用の避雷器の接地をA種接地工事(→第17条)によることとしているが、機器に対する保護効果を十分にするためには、10Ωより更に低い接地抵抗値とする場合が多い。避雷器の接地は、他の機器の接地と分離して、単独接地とするのが普通であるが、発変電所等の構内全体にわたる接地網を共通の接地極として使用した方が、効果が上がる場合もあるので、特に避雷器を単独接地とすることとはしていない

第1項の規定により避雷器を施設する箇所は、非常に重要な機械器具がある場所であり、雷の侵入によりそれらの機械器具が損傷することは電力供給の確保上及び保安上の問題があるので、これを10Ω以下の十分低い接地抵抗値で接地する必要がある。また、任意に施設する避雷器の接地抵抗値については、その避雷器による保護効果を十分に検討する必要があるが、それ以上に避雷器の放電時における低圧配電線の電圧上昇について十分に考慮すべきである。 つまり、高圧配電線及びこれに接続される機械器具を保護するための避雷器の接地は、主に避雷器の接地抵抗値と放電電流を基に避雷器の放電時における絶縁協調及び低圧配電線の保護について検討すべきである。この方針に基づき、高圧配電線に施設する避雷器について、電力中央研究所耐雷設計基準委員会・配電線分科会で検討を行い、その結果を受けて電気施設技術基準委員会より、旧省令に取り込むための答申がなされた(昭和40年)。
答申を踏まえ、高圧配電線に施設される避雷器は10Ω以下の接地抵抗値でなくてもよいということになり、ただし書が追加された。
耐雷設計基準委員会では、避雷器の接地は基本的に避雷器の接地と高圧柱上変圧器のB種接地工事との関係で決まるものであると考え、柱上変圧器と避雷器が同一支持物にあるときは避雷器の接地抵抗及び放電電流の実態に基づき、「放電時の接地電位上昇で絶縁協調が確保できない場合があり、また低圧配電線に危険なサージが侵入するので、配電用避雷器の接地と柱上変圧器のB種接地とを非連接にする。」という従来の考え方及びA種接地工事に限るという考え方を改めた。

さらに、より合理的な接地設計方法の確立等を目的として、実系統の観測、実規模実験及び解析に基づき検討を行った、電気協同研究「配電系統接地設計の合理化」(平成19年5月 第63巻第1号)(以下、本条の解説において電協研報告という。)を踏まえ、日本電気技術規格委員会規格 JESC E2018(2015)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」(以下、本条の解説においてJESC規格という。)が制定されたことを受け、H20解釈において、ただし書をJESC規格の技術的規定を引用する形に改めた。JESC規格の技術的規定内容の概略は、解説37.1図に示すとおりである。
まず、避雷器を変圧器に近接しない場所に施設する場合、すなわち配電線の負荷が長距離にわたって存在しない場所で、電線、がいし又は柱上開閉器を保護するために避雷器を施設するような場合は、接地抵抗値を30Ωまで許容している(→解説37.1図 一)。
この30Ωという値は、V0max / Ia=30Ωから求められたものである。ここで、V0maxは避雷器の接地電位上昇の許容限度であり、Z規格(戦時規格)の変圧器の基準衝撃絶縁強度と雷実測の結果から一般に30kVであると考えている。Iaは、我が国における配電用避雷器の放電電流で、9電力会社管内の襲雷頻度の大きい地域の実系統における調査の結果では1,000A以下が95~98%であり、このうち300A以下が約70%を占め、平均値は約200Aである。配電線路近傍の落雷による最も苛酷な誘導雷サージでもその発生機構から考えて放電電流が1,000Aを超えるものはほとんどないことから、Ia を1000Aとしている。なお、配電線耐雷設計では直撃雷によるものを対象外としている。 次に、柱上変圧器を保護するために柱上変圧器の近くに避雷器を施設する場合は、B種接地抵抗値との関連において考える必要がある。

柱上変圧器のある柱に施設する避雷器の接地抵抗値については、避雷器の放電による対地電位上昇のためにB種接地線の電圧が上昇した場合は、これが低圧配電線を伝播して需要家に入るサージとなる。避雷器の接地とB種接地の極間距離が小さいときは、電圧が需要家の機器に対して危険な値となるので注意を要する。需要家の機器に危険を与える電圧の限度をE0とすると、避雷器の放電時の接地電位の上昇値V0との関係は、次式で表される。

E0=αV0=αIaRAγ

ここに、Iaは避雷器の放電電流、RAγは避雷器の接地抵抗、αは接地系の種類、避雷器接地とB種接地との極間距離、低圧配電線の形状、B種接地抵抗値及び柱上変圧器の設置点と需要家との距離などにより定まる係数である。
実験の結果によると、E0は標準衝撃波で5kV程度である。これを目安として計算すると、需要家に達するまでの継続時間は標準波より相当短くなるので、接地抵抗値が30Ωの場合はl=1m以上として実用上危険性がない値と考えられている
(→解説37.1図 二)。
避雷器の接地抵抗値が30Ωを超える場合又は避雷器とB種接地工事の相互の極が1m未満になる場合は、連接接地とする(→解説37.1図 三)。連接接地とした場合、低圧配電線に生じる雷サージによる危険が、避雷器を単独接地した場合と同等以下になるよう、合成接地その他の条件が規定されている。連接接地には、低圧架空電線を用いる場合と架空共同地線を用いる場合があるが、電協研報告において需要家侵入サージに有意差がないことが確認されたことを受け、H20解釈以前は異なっていた両者の条件が、JESC規格では統一された。

なお、連接接地に用いられる低圧架空電線又は架空共同地線は、第24条第3項及び第4項の規定を、また、低圧架空電線又は架空共同地線に施す接地工事は、第17条のA種接地工事の施設方法を、それぞれ満足するものである必要がある。
避雷器の接地線と変圧器の接地線とをB種接地工事が施された変圧器の施設箇所以外で接続する場合(→解説37.1図 四)については、既設設備の有効活用等が必要と考えられること、また架空電線路が施設された土壌の特性から現行の接地抵抗値の確保に苦慮している実情等もあることから、避雷器の設置方法の拡大を図るために追加した。H20解釈以前は、変圧器を中心に接地工事の施設場所及び合成抵抗の範囲を規定していたが、電協研報告の結果を受け、JESC規格では避雷器を中心とするものに改められた。合成抵抗等の条件の考え方は、前記の変圧器の施設箇所で接続する場合と同じである。
さらに、JESC規格においては、上記の接地工事が施された範囲に他の避雷器を施設する場合には、当該避雷器の接地線を、接地工事が施された低圧架空電線又は架空共同地線に接続すれば良いことが、新たに規定された(→解説37.1図
五)。
接地に関する詳細については、電力中央研究所「配電線耐雷設計基準要綱」(技術研究所報Vol.13、No.4)及び「配電用避雷器の接地に関する研究」(研究報告書)を参照されたい。

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