電験3種(理論分野)で出題される「三相交流回路の電圧の和が0になる理由」について詳しく解説します。
三相交流とは
三相交流(さんそうこうりゅう)とは、位相が互いに120度($2\pi/3$ rad)ずつズレた3系統の単相交流を組み合わせた送電方式のことです。現代の電力インフラにおいて、発電所から変電所、そして工場や一般家庭の近くまで電力を運ぶための主流な方法として採用されています。三相交流の電圧は、下図(左)のように発電機内部に3つのコイルを120度の間隔で配置し、回転子(中心にあるN・Sの磁石)を回転させることで各コイルを磁束が貫き、電磁誘導によって電圧が発生します。

※$V_m=100$[V]、f=0.5[Hz]の場合の三相交流波形
各コイルには同じ周波数と最大電圧を持つ交流電圧が誘起されますが、磁石が回転しながら各コイルを順番に通過するため、発生する電圧のピーク(山)にも時間的なズレが生じます。これが「位相差」です。120度の間隔でコイルが配置されているため、位相も120度($\frac{2}{3}\pi$)ずつズレます。各コイルから伸びる3本の線はU相、V相、W相(あるいはR相、S相、T相)と呼ばれます。各相の瞬時電圧を$v_u, v_v, v_w$、最大電圧を$V_m$、角速度を$\omega$とすると、次のように表されます。
$v_U(t) = V_m \sin(\omega t)$
$v_V(t) = V_m \sin(\omega t – \frac{2}{3}\pi)$
$v_W(t) = V_m \sin(\omega t – \frac{4}{3}\pi)$
これた3つの電圧の和$v_{Total}=v_U+v_V+v_W$は、常に0になるという性質を持っています。
3つの電圧の和が0になる数学的な証明
三つの波形を足すと以下のようになります。
$$v_{Total} = V_m \left( \sin \omega t + \sin(\omega t – 120^\circ) + \sin(\omega t – 240^\circ) \right)$$
ここで、加法定理 $\sin(\alpha – \beta) = \sin\alpha \cos\beta – \cos\alpha \sin\beta$ より
$$\sin(\omega t – 120^\circ) = \sin \omega t \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) – \cos \omega t \cdot \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)$$
$$\sin(\omega t – 240^\circ) = \sin \omega t \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) – \cos \omega t \cdot \left(-\frac{\sqrt{3}}{2}\right)$$
と変形できるので、これらをすべて足すと、
$$v_{Total} = V_m \left( \sin \omega t – \frac{1}{2}\sin \omega t – \frac{\sqrt{3}}{2}\cos \omega t – \frac{1}{2}\sin \omega t + \frac{\sqrt{3}}{2}\cos \omega t \right)$$
$$v_{Total} = V_m ( \sin \omega t – \sin \omega t ) = 0$$
となります。
以下ページに三相交流発電機のシミレーションがありますので、動かしてみて動作のイメージを掴んでください。
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