電験3種(理論分野)で出題される交流電圧の平均値が「最大値の0.637倍」となる理由について解説します。
交流電圧の平均値が「最大値の0.637倍」となる理由

$$V_{avg} = \frac{1}{2\pi} \int_{0}^{2\pi} |v| d(\omega t)$$
交流電圧が正弦波$v=V_M(\omega t$のとき、正弦波$v$の絶対値$|v|$の平均とったものを平均値$V_{avg}$といいます。主に交流を直流に変換(整流)して利用する場面や、電気の移動量を測定する画面で「平均値」使われます。
スマホの充電器やパソコンの電源ユニット内部には、交流をダイオードなどで整流して直流を作るAC-DCコンバーターがあります。ここで出力される直流電圧の「平均的な高さ」を見積もるために平均値が使われます。
■バッテリーの充電
電気自動車やスマホなどのバッテリー(蓄電池)の充電は、どれだけの「電気量(クーロン)」が流れ込んだかによって決まります。充電中のバッテリー内部では化学反応が生じるため、電流の2乗(熱)ではなく、電流の単純な時間積分(電気量)に比例するためです。この測定にも「平均値」が使用されます。
計算式の導出
正弦波 $\sin(\omega t)$ は、$0 \sim \pi$ では正、$ \pi \sim 2\pi$ では負の値をとるため、交流の「正」と「負」の平均をとると「0」になってしまいます。絶対値をとると負の領域が反転するため、積分を $2$ つの区間に分けます。
$$V_{avg} = \frac{1}{2\pi} \left( \int_{0}^{\pi} |V_{max}| \sin(\omega t) d(\omega t) + \int_{\pi}^{2\pi} |-V_{max}| \sin(\omega t) d(\omega t) \right)$$
ここで、正弦波の山は前半と後半で形が同じ(面積が等しい)ため、計算を簡略化して「$0 \sim \pi$ の面積を $2$ 倍する」形に書き換えます。
$$V_{avg} = \frac{1}{2\pi} \times 2 \int_{0}^{\pi} V_{max} \sin(\omega t) d(\omega t)$$
$$V_{avg} = \frac{1}{\pi} \int_{0}^{\pi} V_{max} \sin(\omega t) d(\omega t)$$
最大値 $V_{max}$ は定数なので積分の外に出し、$\sin$ を積分します($\sin \theta$ の積分は $-\cos \theta$ です)。
$$V_{avg} = \frac{V_{max}}{\pi} \Big[ -\cos(\omega t) \Big]_{0}^{\pi}$$
括弧の中に、上端($\pi$)と下端($0$)の値を代入します。
$$V_{avg} = \frac{V_{max}}{\pi} \Big( (-\cos \pi) – (-\cos 0) \Big)$$
ここで、$\cos \pi = -1$、$\cos 0 = 1$ なので、
$$V_{avg} = \frac{V_{max}}{\pi} \Big( (-(-1)) – (-1) \Big)$$
$$V_{avg} = \frac{V_{max}}{\pi} ( 1 + 1 )$$
$$V_{avg} = \frac{2V_{max}}{\pi}$$
円周率 $\pi \approx 3.14$ を代入すると、以下のようになります。
$$V_{avg} = \frac{2}{\pi} V_m \approx 0.637 V_m$$
よって、平均値$V_{avg}$は最大値 $V_{max}$ の約 $63.7\%$となります。
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