【電験3種・法規】頻出問題「電路の大地からの絶縁および省略できる例外規定」の試験対策

電験3種(法規)の頻出問題である「電路の大地からの絶縁および省略できる例外規定」について解説します。

「電路の大地からの絶縁および省略できる例外規定」の攻略ポイント

電路の大地からの絶縁は、電気保安における最重要の基本原則であり、電験3種の法規科目(A問題)において高い頻度で繰り返し出題されるテーマです。

根拠法令は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$5$条(電路の絶縁原則)をはじめ、「電気設備の技術基準の解釈」第$13$条(電路の絶縁原則の例外)、第$14$条(低圧電路の絶縁性能)、および第$15$条(高圧又は特別高圧の電路の絶縁耐力)です。

省令第$5$条第$1$項では、「電路は、大地から絶縁しなければならない」という大原則が宣言されています。電路が大地と電気的に導通(地絡・漏えい)すると、人体への感電、漏えい電流によるジュール熱での火災、および電力系統における供給支障事故を引き起こすためです。

しかし、現実の電力設備や電気使用場所においては、電気の利用目的や構造上の制約、あるいは高電圧混触時の安全確保のために、どうしても大地と電気的に接続(接地)せざるを得ない箇所が存在します。
そのため、省令第$5$条第$1$項ただし書において、以下の2大例外事由が明文で規定されています。

第一に、「構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合」です。電気炉の炉体、電気ボイラー、電解槽、単線式電気鉄道の帰線(レール)、電気さく用電源装置、電気防食用陽極、接触電線(トロリー線)などは、構造上大地から絶縁することが技術上困難であるか、大地を利用して電気を使用する性質上、例外として絶縁しないことが認められています。ただし、これらの装置であっても「電力を供給する導線」まで絶縁省略が認められるわけではない点に注意が必要です。

第二に、「混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合」です。変圧器の高低圧混触事故時に低圧側電位上昇を抑制するためのB種接地工事の接地点、計器用変成器(PT・CT)の二次側電路に施す接地工事の接地点、電路の中性点に施す接地工事の接地点、避雷器の接地点などがこれに該当します。ここでの試験上の重要ポイントは、「接地工事を施す接地点そのもの」は大地と導通するため絶縁されませんが、「接地点以外の電路」は依然として大地から絶縁しなければならないという点です。

さらに、省令第$5$条第$2$項では、電路と大地との間の絶縁性能として「事故時に想定される異常電圧を考慮し、絶縁破壊による危険のおそれがないもの」と定められており、解釈第$15$条の高圧・特別高圧電路の絶縁耐力試験(最大使用電圧 $6.9\text{ kV}$ の $1.5$倍である $10\,350\text{ V}$ の交流電圧、またはその $2$倍の直流電圧を連続 $10$分間印加)の技術的根拠となっています。

電路の絶縁

電気設備に関する技術基準を定める省令第$5$条第$1$項の条文構造、キーワード、および法的な位置付けを整理した表です。

条文構成 規定内容(条文の文言) 法的な意義・保安上の目的 試験対策上の引っかけ(誤り箇所の類型)
本文(大原則) 電路は、大地から「絶縁」しなければならない。 感電防止、火災防止、漏えい電流による電力損失・供給支障の防止。 「遮断」「離隔」などの用語へのすり替えに注意(離隔は物理的距離、遮断は事故時開路)。
ただし書前段(第1の例外) 「構造上やむを得ない場合」であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合 電気炉・電気鉄道レール・電気防食など、大地との電気的接触を前提とする機器の適用許可。 「経済上やむを得ない場合」「便宜上必要な場合」などの文言へのすり替え。
ただし書後段(第2の例外) 「混触」による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための「接地」その他の「保安上」必要な措置を講ずる場合 高低圧混触時の二次側電位上昇防止(B種接地)、計器用変成器二次側電路の防護接地。 「落雷による高電圧」「短絡による高電圧」、「便宜上必要な措置」などへのすり替えが頻出。
第2項(絶縁性能) 電路と大地との間の絶縁性能は、事故時に想定される異常電圧を考慮し、「絶縁破壊」による危険のおそれがないものでなければならない。 高圧・特別高圧電路の絶縁耐力試験(耐電圧性能)および低圧電路の絶縁抵抗基準の基本根拠。 「漏えい電流による危険」などの用語へのすり替えに注意(絶縁性能の本質は絶縁破壊防止)。

絶縁を省略できる要件

「電気設備の技術基準の解釈」第$13$条に基づき、大地からの絶縁を省略することが認められている具体的な施設箇所を分類整理した表です。

例外の分類区分 解釈第13条の号 具体的な該当設備・施設箇所 電験3種における正誤判定の着眼点
接地工事を施す場合の接地点 第一号 ・電路の中性点に施す接地工事の「接地点」
・計器用変成器(PT・CT)の二次側電路に施す接地工事の「接地点」
・低圧結合変圧器の接地工事の「接地点」
・電路の保護装置を作動させるために施す接地工事の「接地点」
「接地点」そのものは絶縁省略できるが、「接地点以外の接地側電路」は大地から絶縁しなければならない(引っかけ頻出)。
大地から絶縁せずに電気を使用することがやむを得ないもの 第二号イ ・接触電線(電車線・クレーンのトロリー線等)
・架空単線式電気鉄道の帰線(レール・大地帰路)
・エックス線発生装置
・試験用変圧器
・電力線搬送用結合リアクトル
・電気さく用電源装置
・電気防食用陽極
・電極式液面リレーの電極
レール(帰線)や接触電線、電気防食の陽極そのものは大地と接触・対地電位を有するため絶縁省略が可能。
大地から絶縁することが技術上困難である電気使用場所 第二号ロ ・電気炉(アーク炉・誘導炉等の炉体)
・電気ボイラー
・電解槽(水電解・メッキ槽等)
・電気浴器
電気炉の「炉体」自体は高温・スラグ付着等で絶縁困難なため例外だが、「電源から電気炉電極に至る導線」は絶縁が必要(重要判別点)。

電路の絶縁性能基準および絶縁耐力試験電圧の規定

電路の絶縁性能を確保するために法令上定められた絶縁抵抗値、漏えい電流基準、および高圧絶縁耐力試験基準を整理した表です。

電圧階級・対象電路 根拠条文 要求される絶縁性能 試験方法
低圧電路(対地電圧 $150\text{ V}$ 以下) 解釈第14条第1項 絶縁抵抗値 $0.1\text{ M}\Omega$ 以上 直流 $500\text{ V}$ または $250\text{ V}$ 絶縁抵抗計による測定。
低圧電路(対地電圧 $150\text{ V}$ 超〜 $300\text{ V}$ 以下) 解釈第14条第1項 絶縁抵抗値 $0.2\text{ M}\Omega$ 以上 単相3線式の中性線以外の電路、三相3線式 $200\text{ V}$ 非接地電路等。
低圧電路(使用電圧 $300\text{ V}$ 超) 解釈第14条第1項 絶縁抵抗値 $0.4\text{ M}\Omega$ 以上 三相3線式 $400\text{ V}$ 級電路等。
低圧電路(停電困難時の漏えい電流) 省令第22条・解釈第14条 漏えい電流 $1\text{ mA}$ 以下 常時通電状態における最大供給電流の $1/2\,000$ 以下(または $1\text{ mA}$ 以下)。
高圧電路(公称電圧 $6\,600\text{ V}$) 解釈第15条第1項 最大使用電圧 $6\,900\text{ V}$ の $1.5$倍の交流試験電圧 $10\,350\text{ V}$ に耐えること 電路と大地との間に連続して $10$分間加圧。直流試験の場合は交流の $2$倍である $20\,700\text{ V}$ を $10$分間印加。

過去問出題パターンと引っかけ分析

電験3種の過去問において出題者が受験者の誤答を誘うために用いる代表的な言い換えを整理した表です。

出題形式・年度 規定 出題された誤りの文言 ポイント
空欄補充(R06下期・R05下期) 大地から「絶縁」しなければならない 「離隔」「遮断」 電路の本質的安全は大地と導通させない「絶縁」である。「離隔」は接近交差時の距離。
空欄補充(R06下期・R05下期) 「混触」による高電圧の侵入等の異常 「短絡」「事故」「落雷」 高電圧が低圧側に侵入する典型例は変圧器の高低圧「混触」であり、短絡や落雷ではない。
正誤判定(R01問3) 「混触による高電圧」「保安上必要な措置」 「落雷による高電圧」「便宜上必要な措置」 条文のキーワードを類似したもっともらしい語句(落雷、便宜上)に巧妙にすり替える典型トラップ。
空欄補充(R02問3) 「絶縁破壊」による危険のおそれがないもの 「漏えい電流」 省令第5条第2項の規定文言。「漏えい電流」は省令第22条(低圧電路の絶縁性能)の概念。
組合せ問題(H24問5) 中性点に施す接地工事の「接地点」 「接地点以外の接地側電路」 中性点接地を施した電路であっても、接地線が接続されたポイント(接地点)以外は絶縁が必要。
組合せ問題(H24問5) 電気炉の「炉体」 「電気炉の炉体及び電源から電極に至る導線」 電気炉へ電力を送る電線・導線部分は大地から確実に絶縁して施設しなければならない。

【令和6年下期・問3】電路の大地からの絶縁原則および例外規定(省令第5条第1項)

次の文章は,「電気設備技術基準」に関する記述である。

電路は,大地から (ア) しなければならない。ただし,構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合,又は (イ) による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための (ウ) その他の保安上必要な措置を講ずる場合は,この限りでない。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ)
(1) 離隔 事故 遮断
(2) 離隔 短絡 遮断
(3) 絶縁 混触 接地
(4) 絶縁 短絡 離隔
(5) 遮断 混触 接地

解説

正解:(3)

本問は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$5$条第$1$項の本文およびただし書の条文規定そのものを問う空欄補充問題です。

① 空白箇所 (ア) について:
電路(電気を供給するための導電路)は、人体への感電事故や大地への漏えい電流による火災、系統保護上の地絡事故を防止するため、大地から電気的に完全に切り離しておく必要があります。この状態を「絶縁」といいます。
「離隔」は電線相互間や建造物との間に必要な物理的空間距離をとることを指し、「遮断」は過電流や地絡などの異常時に回路を開路することを指す用語であるため、電路の恒常的な対地状態を表す言葉としては「絶縁」が正当です。したがって、(ア) には「絶縁」が入ります。

② 空白箇所 (イ) について:
変圧器の内部故障(絶縁劣化や巻線破壊)によって、高圧側の巻線と低圧側の巻線が接触・導通する事故を「混触」と呼びます。
高低圧が混触すると、低圧側電路に対地電圧数千ボルトに達する異常な高電圧が侵入し、低圧側の需要家機器の絶縁破壊や重大な感電事故を招きます。条文では、この「混触による高電圧の侵入等の異常」を明記しています。「短絡」は同一点または異相間の線間絡み事故を指し、電位侵入の文脈としては不適切です。したがって、(イ) には「混触」が入ります。

③ 空白箇所 (ウ) について:
上記のような混触事故が発生した際に低圧側の電位上昇を抑制するため、変圧器の低圧側中性点または一端子には「B種接地工事」が施されます。接地を施すことで、侵入した高電圧の電荷を大地へ逃がし、対地電位を安全なレベルに抑制します。
接地工事の接地点そのものは大地と導通するため、形式的には大地から「絶縁」されていませんが、これは保安上不可欠な措置であるため、ただし書において絶縁原則の例外として許容されています。したがって、(ウ) には「接地」が入ります。

以上より、(ア) 絶縁、(イ) 混触、(ウ) 接地 の組合せとなり、正解は (3) です。

【令和5年下期・問3】電路の大地からの絶縁原則および例外規定(省令第5条第1項)

次の文章は,「電気設備技術基準」に関する記述である。

電路は,大地から (ア) しなければならない。ただし,構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合,又は (イ) による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための (ウ) その他の保安上必要な措置を講ずる場合は,この限りでない。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ)
(1) 離隔 事故 遮断
(2) 離隔 短絡 遮断
(3) 絶縁 短絡 離隔
(4) 絶縁 混触 接地
(5) 遮断 混触 接地

解説

正解:(4)

本問は令和6年下期問3と同一の省令第$5$条第$1$項からの空欄補充問題ですが、選択肢の配置順序が異なっており、正解選択肢が (4) となっています。

① 空白箇所 (ア) について:
電気設備技術基準において、電路を大地から電気的に遮断・隔離して漏電を防ぐ性能は「絶縁」と規定されています。したがって、(ア) には「絶縁」が入ります。

② 空白箇所 (イ) について:
高低圧の異系統電路間で絶縁破壊等によって線間が導通する現象を「混触」といいます。変圧器の高低圧巻線が混触すると低圧側に高電圧が侵入し、極めて危険な電位上昇をもたらします。条文はこの現象を「混触による高電圧の侵入等の異常」と表現しています。したがって、(イ) には「混触」が入ります。

③ 空白箇所 (ウ) について:
混触時に低圧電路の電位上昇を大地へ逃がして人体危害を防止する保安措置は、B種接地工事などの「接地」です。接地された箇所は大地と導通しますが、これは保安上必須の措置であるため例外として認められます。したがって、(ウ) には「接地」が入ります。

以上より、(ア) 絶縁、(イ) 混触、(ウ) 接地 となり、正解は (4) です。

【令和2年・問3】高圧交流電路(6.6 kV)の絶縁性能と絶縁耐力試験電圧(省令第5条・解釈第15条)

次の文章は,「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく使用電圧が $6\,600\text{ V}$ の交流電路の絶縁性能に関する記述である。

a) 電路は,大地から絶縁しなければならない。ただし,構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合,又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は,この限りでない。
電路と大地との間の絶縁性能は,事故時に想定される異常電圧を考慮し, (ア) による危険のおそれがないものでなければならない。

b) 電路は,絶縁できないことがやむを得ない部分及び機械器具等の電路を除き,次の①及び②のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。
① (イ) $\text{V}$ の交流試験電圧を電路と大地(多心ケーブルにあっては,心線相互間及び心線と大地との間)との間に連続して $10$分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。
② 電線にケーブルを使用する電路においては, (イ) $\text{V}$ の交流試験電圧の (ウ) 倍の直流電圧を電路と大地(多心ケーブルにあっては,心線相互間及び心線と大地との間)との間に連続して $10$分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ)
(1) 絶縁破壊 9 900 1.5
(2) 漏えい電流 10 350 1.5
(3) 漏えい電流 8 250 2
(4) 漏えい電流 9 900 1.25
(5) 絶縁破壊 10 350 2

解説

正解:(5)

① 空白箇所 (ア) について:
記述a)の後半部分は、省令第$5$条第$2$項の規定です。高電圧の異常電圧(開閉サージや雷インパルス、1線地絡時の健全相電位上昇等)が印加された際に警戒すべき危険は、絶縁体が耐え切れずに火花放電や短絡を生じる「絶縁破壊」です。「漏えい電流」は主に低圧電路における経年劣化や日常的な漏電管理(省令第22条)で用いられる概念であり、異常電圧による致命的な設備損壊・火災事故を防止する基準としては「絶縁破壊」が法規上の文言です。したがって、(ア) には「絶縁破壊」が入ります。

② 空白箇所 (イ) について:
記述b)①では、使用電圧 $6\,600\text{ V}$ の交流電路における交流絶縁耐力試験電圧が問われています。
公称電圧 $V_n = 6\,600\text{ V}$ の最大使用電圧 $V_m$ は次式で算出されます。
$$V_m = 6\,600\text{ V} \times \dfrac{1.15}{1.1} = 6\,900\text{ [V]}$$
最大使用電圧が $7\,000\text{ V}$ 以下の電路における交流試験電圧の倍率は $1.5$倍であるため、試験電圧 $V_{\text{test, AC}}$ は次のように計算されます。
$$V_{\text{test, AC}} = 6\,900\text{ V} \times 1.5 = 10\,350\text{ [V]}$$
したがって、(イ) には「$10\,350$」が入ります。

③ 空白箇所 (ウ) について:
記述b)②では、ケーブル電路において交流試験電圧に代えて直流電圧を用いる場合の換算倍率が問われています。
解釈第$15$条第$2$項において、「電線にケーブルを使用する電路においては、交流試験電圧の $2$倍の直流電圧を連続して $10$分間加えたとき、これに耐える性能を有すること」と明記されています。
直流電圧は波高値(ピーク値)と実効値が同一であるため、交流試験電圧(実効値)の波高値相当(約 $\sqrt{2} \approx 1.41$倍)よりもさらに厳しい安全裕度を持たせて「$2$倍」(すなわち $10\,350 \times 2 = 20\,700\text{ V}$)と規定されています。したがって、(ウ) には「$2$」が入ります。

以上より、(ア) 絶縁破壊、(イ) 10 350、(ウ) 2 の組合せとなり、正解は (5) です。

【令和元年・問3】電気設備技術基準の総則規定における誤り記述の判定(省令第5条等)

「電気設備技術基準」の総則における記述の一部として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1)電気設備は、感電,火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない。
(2)電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は落雷による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の便宜上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。
(3)電路に施設する電気機械器具は,通常の使用状態においてその電気機械器具に発生する熱に耐えるものでなければならない。
(4)電気設備は、他の電気設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないように施設しなければならない。
(5)高圧又は特別高圧の電気設備は、その損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように施設しなければならない。

解説

正解:(2)

① 記述(1)の検討(正しい):
省令第$3$条第$1$項では、「電気設備は、感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように施設しなければならない」と規定されています。これは電気設備技術基準全体の根本原則(保安原則)であり、記述は完全に正しいです。

② 記述(2)の検討(誤り):
省令第$5$条第$1$項のただし書では、「又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない」と定められています。
本肢では、「混触による高電圧」が「落雷による高電圧」にすり替えられており、さらに「保安上必要な措置」が「便宜上必要な措置」に改変されています。落雷対策は避雷器の施設(省令第49条)等で規定されるものであり、電路自体の絶縁原則の例外として接地を許容する理由は高低圧の「混触」防止です。また、人命に関わる保安規定において「便宜上」という文言は用いられず「保安上」が正当です。二重のすり替えが行われており、明確に誤りです。

③ 記述(3)の検討(正しい):
省令第$6$条では、「電路に施設する電気機械器具は、通常の使用状態においてその電気機械器具に発生する熱に耐えるものでなければならない」と規定されています。負荷電流によるジュール熱に耐える耐熱性能の義務付けであり、記述は正しいです。

④ 記述(4)の検討(正しい):
省令第$7$条では、「電気設備は、他の電気設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないように施設しなければならない」と規定されています。電磁誘導障害や無線通信障害の防止原則であり、記述は正しいです。

⑤ 記述(5)の検討(正しい):
省令第$4$条第$2$項では、「高圧又は特別高圧の電気設備は、その損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないように施設しなければならない」と規定されています。波及事故防止の義務付けであり、記述は正しいです。

以上より、誤っているものは (2) です。

【平成24年・問5】電路の絶縁原則の例外として接地・絶縁省略が認められる箇所(解釈第13条)

次の文章は、「電気設備技術基準」における電路の絶縁に関する記述の一部である。

“電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。”

次のaからdのうち、下線部の場合に該当するものの組み合わせを、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、下記の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

a. 架空単線式電気鉄道の帰線
b. 電気炉の炉体及び電源から電気炉用電極に至る導線
c. 電路の中性点に施す接地工事の接地点以外の接地側電路
d. 計器用変成器の2次側電路に施す接地工事の接地点

(1) a, b
(2) b, c
(3) c, d
(4) a, d
(5) b, d

解説

正解:(4)

問題文の下線部「ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合」に該当するか否かを、解釈第$13$条の各号に照らして判定します。

① 項目 a の検討(該当する):
架空単線式電気鉄道では、架線(トロリー線)から集電した電流を軌道(レール)を通じて変電所へ還流させる「レール帰線」方式を採用しています。レールは道床(バラストや枕木)を介して大地と直接接触しており、レール全体を大地から完全絶縁することは技術上不可能です。
解釈第$13$条第$1$項第二号イにおいて、「電路の一部を大地から絶縁せずに電気を使用することがやむを得ないもの」として「架空単線式電気鉄道の帰線」が明確に規定されています。したがって、a は該当します。

② 項目 b の検討(該当しない):
電気炉は数千度の大電流アークを利用して金属を溶解するため、炉体自体を大地から完全絶縁することは技術上困難です。そのため、解釈第$13$条第$1$項第二号ロにおいて「電気炉の炉体」は絶縁原則の例外とされています。
しかし、本問の記述には「電気炉の炉体及び電源から電気炉用電極に至る導線」と記載されています。電気炉へ電力を供給する配線・導線部分は、大地や作業員が容易に触れる危険があるため、確実に大地から絶縁して施設しなければなりません(解釈第13条の例外対象は炉体等に限られ、電極に至る電路導線は含まれません)。したがって、導線部分を含めている b は該当しません。

③ 項目 c の検討(該当しない):
解釈第$13$条第$1$項第一号では、「この解釈の規定により接地工事を施す場合の接地点」として、「電路の中性点に施す接地工事の接地点」が例外として規定されています。
大地と導通するのは接地線が打ち込まれた「接地点」そのものであり、本肢のように「接地点以外の接地側電路」は、平常時に接地電位に近い状態であっても、地絡時や不平衡時に電圧が発生するため大地から確実に絶縁しなければなりません。接地点以外の電路まで絶縁省略してよいわけではないため、c は該当しません。

④ 項目 d の検討(該当する):
高圧や特別高圧の電路に施設する計器用変成器(PT・CT)は、高圧巻線と低圧二次側巻線との間の絶縁破壊(混触)時に測定器盤や作業員へ高電圧が侵入するのを防止するため、二次側電路に接地工事(高圧用はD種接地工事、特高用はB種接地工事)を施すことが解釈第$28$条等で義務付けられています。
解釈第$13$条第$1$項第一号において、「計器用変成器の2次側電路に施す接地工事の接地点」は絶縁原則の例外として明文で規定されています。したがって、d は該当します。

以上より、該当するものは a と d の組合せであり、正解は (4) です。

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