令和6年度上期に電験3種(電力分野)で出題された過去問題を詳しく解説します。
- 【令和6年度下期・問1】水力発電の基礎
- 【令和6年度下期・問2】汽力発電の熱効率向上
- 【令和6年度下期・問3】蒸気タービンの種類と特徴
- 【令和6年度下期・問4】原子力発電の基礎
- 【令和6年度下期・問5】地熱発電及びバイオマス発電
- 【令和6年度下期・問6】調相設備
- 【令和6年度下期・問7】計器用変成器
- 【令和6年度下期・問8】がいしの塩害
- 【令和6年度下期・問9】配電線路の保護装置
- 【令和6年度下期・問10】地中電線路の充電容量
- 【令和6年度下期・問11】高圧受電設備
- 【令和6年度下期・問12】送電線路の電力損失率
- 【令和6年度下期・問13】電線のたるみ
- 【令和6年度下期・問14】導電材料としての銅
- 【令和6年度下期・問15】火力発電の計算
- 【令和6年度下期・問16】T形回路による送電線路の計算
- 【令和6年度下期・問17】フェランチ現象
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【令和6年度下期・問1】水力発電の基礎
水力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 電圧の大きさや周波数は,自動電圧調整器と調速機を用いて制御される。
(2) カプラン水車は,プロペラ水車の一種で,流量に応じて羽根の角度を調整することができるため,部分負荷での効率の低下が少ない。
(3) 発電所で発電された電力は,発電電圧を主変圧器で昇圧した後,送電される。この主変圧器には発電機側に Y 結線,系統側にΔ結線のものが多く用いられる。
(4) ペルトン水車は,水の衝撃力で回転する衝動水車の一つである。
(5) 水車発電機の回転速度は,汽力発電と比べて小さいため,発電機の磁極数は多くなる。
解説
正解は(3)です。
水力発電設備および水車の特性に関する問題です。
(1) 正しい。発電機の電圧は自動電圧調整器(AVR)で、周波数(回転速度)は調速機(ガバナ)によって制御されます。
(2) 正しい。カプラン水車はプロペラ水車の一種で、ガイドベーンの開度に合わせてランナ羽根の角度を変えられるため、部分負荷時でも高い効率を維持できます。
(3) 誤り。一般に、発電所の主変圧器(昇圧用)は、発電機側をΔ結線、系統(送電線)側をY結線(中性点接地のため)にする構成が多く用いられます。
(4) 正しい。ペルトン水車は、ノズルから噴射した水の衝撃力を利用して回転する代表的な衝動水車です。
(5) 正しい。水車発電機は汽力発電(タービン発電機)に比べて回転速度が遅いため、同じ周波数を得るために磁極数を多くする必要があります。

【令和6年度下期・問2】汽力発電の熱効率向上
汽力発電において,熱効率の向上を図る方法として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 高温高圧の蒸気を使用する。
(2) 復水器の真空度を高める。
(3) 再熱サイクルを利用する。
(4) 給水加熱器で抽気温度を上げる。
(5) 節炭器で排ガス温度を下げる。
解説
正解は(4)です。
汽力発電の熱サイクルと効率向上策に関する問題です。
(1) 正しい。蒸気を高温・高圧にすることで、熱サイクル全体の熱落差が大きくなり、熱効率が向上します。
(2) 正しい。復水器の真空度を高める(排気圧力を下げる)ことで、タービンでの膨張比が大きくなり、仕事量が増えて効率が向上します。
(3) 正しい。再熱サイクルは、一度仕事をした蒸気を再びボイラで加熱してタービンに戻すことで、熱効率を向上させます。
(4) 誤り。再生サイクルではタービンから蒸気を取り出す「抽気」を行って給水を加熱しますが、「抽気温度を上げる」ことが直接的な効率向上策ではありません。効率向上に寄与するのは、抽気の熱を利用して給水を加熱し、ボイラで必要となる熱量を減らす仕組みそのものです。
(5) 正しい。節炭器(エコノマイザ)で燃焼ガスの余熱を回収して給水を加熱し、排ガスとして捨てられる熱を減らすことでボイラ効率(ひいては発電所全体の熱効率)が向上します。

【令和6年度下期・問3】蒸気タービンの種類と特徴
次の文章は,汽力発電所における蒸気タービンの分類に関する記述である。
衝動タービンは,高温・高圧の蒸気が羽根に衝突するときに生ずる衝動力によってランナを回転させるもので,タービンのノズルを通る間に蒸気の圧力が (ア) し,高速度となってノズルから噴出する。この噴出した蒸気を前面の羽根に衝突させることにより,ランナを回転させる。羽根を通過する蒸気の通路の断面積が一様であり,羽根の出入口の蒸気の圧力は (イ) 。衝動タービンは蒸気の圧力が (ウ) のものに適する。
反動タービンは,衝動力と蒸気が回転羽根を離れるときの反動力を利用するもので,固定羽根で膨張させた蒸気を羽根に衝突させてランナを回転させるとともに,ランナの内部で蒸気を (エ) させ,排気するときの反動力を利用してランナを回転させる。反動タービンは,蒸気の圧力が (オ) のものに適する。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 上昇 | 等しい | 高圧 | 膨張 | 中低圧 |
| (2) | 上昇 | 異なる | 中低圧 | 凝縮 | 高圧 |
| (3) | 上昇 | 等しい | 中低圧 | 膨張 | 高圧 |
| (4) | 降下 | 異なる | 中低圧 | 凝縮 | 高圧 |
| (5) | 降下 | 等しい | 高圧 | 膨張 | 中低圧 |
解説
正解は(5)です。
蒸気タービンの作動原理による分類に関する問題です。
(ア) 衝動タービンでは、固定されたノズル内で蒸気が膨張し、圧力が「降下」して速度エネルギーに変換されます。
(イ) 衝動タービンの回転羽根(ランナ)内では蒸気は膨張せず、圧力は前後で「等しい」状態のまま速度エネルギーのみが回転力に変換されます。
(ウ) 衝動タービンは一般に「高圧」段に適しています。
(エ) 反動タービンは、固定羽根だけでなく回転羽根(ランナ)の内部でも蒸気を「膨張」させ、その際の反動力を回転に利用します。
(オ) 反動タービンは、一般に蒸気の圧力が「中低圧」の段に適しています。

【令和6年度下期・問4】原子力発電の基礎
原子力発電に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 原子力発電所では,ウラン 235 を 2~4 %まで濃縮した高濃縮ウランを使い,エネルギーを取り出している。
(2) 放射線には α 線, β 線, γ 線などがあり,放射線を出す能力を放射能といい,放射能を有する物質を放射性物質と呼ぶ。
(3) 原子燃料の原子核に,エネルギー値が低く速度の遅い中性子を衝突させると,核分裂を起こす。
(4) 原子燃料の核分裂により発生した 1 個以上の熱中性子が,別の原子核を分裂させる反応が連続的に持続する現象を連鎖反応という。
(5) 減速材は,核分裂によって新たに生じたエネルギー値が高い高速中性子のエネルギーの一部を吸収させて,低速の熱中性子を得るために用いる。
解説
正解は(1)です。
(1) 誤り。原子力発電所で燃料として使用されるのは、天然ウランに含まれるウラン 235 の割合を 2~4 % 程度に高めた「低濃縮ウラン」です。高濃縮ウランは通常、ウラン 235 の割合を 20 % 以上に高めたものを指します。
(2) 正しい。放射線、放射能、放射性物質の定義として適切です。
(3) 正しい。ウラン 235 などの核分裂性物質は、エネルギーが低く速度の遅い「熱中性子」を吸収することで核分裂を起こします。
(4) 正しい。核分裂によって放出された中性子が次々と他の原子核を分裂させ、反応が持続することを連鎖反応と呼びます。
(5) 正しい。核分裂で発生した直後の高速中性子は次の核分裂を起こしにくいため、水(軽水)などの減速材を用いて速度を落とし、熱中性子にします。

【令和6年度下期・問5】地熱発電及びバイオマス発電
次の文章は,地熱発電及びバイオマス発電に関する記述である。
地熱発電は,地下から取り出した (ア) によってタービンを回して発電する方式であり,発電に適した地熱資源は (イ) に多く存在する。
バイオマス発電は,植物や動物が生成・排出する (ウ) から得られる燃料を利用する発電方式である。燃料の代表的なものには,木くずから作られる固形化燃料や,家畜の糞から作られる (エ) がある。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 蒸気 | 火山地域 | 有機物 | 液体燃料 |
| (2) | 熱水の流れ | 平野部 | 無機物 | 気体燃料 |
| (3) | 蒸気 | 火山地域 | 有機物 | 気体燃料 |
| (4) | 蒸気 | 平野部 | 有機物 | 気体燃料 |
| (5) | 熱水の流れ | 火山地域 | 無機物 | 液体燃料 |
解説
正解は(3)です。
再生可能エネルギーである地熱発電とバイオマス発電の仕組みに関する問題です。
(ア) 地熱発電は、地下から取り出した高温・高圧の「蒸気」によってタービンを回す方式です。
(イ) 地熱資源はマグマが近くにある「火山地域」に多く存在します。
(ウ) バイオマスとは、生物由来の「有機物」資源のことです。
(エ) 家畜の糞尿などを発酵させて得られる燃料は、メタンを主成分とするバイオガスなどの「気体燃料」が代表的です。
よって、(ア) 蒸気、(イ) 火山地域、(ウ) 有機物、(エ) 気体燃料 の組み合わせである(3)が正解となります。
解説
正解は(3)です。
地熱発電とバイオマス発電の仕組みに関する問題です。
(ア) 地熱発電は、地下から取り出した高温高圧の「蒸気」によって直接タービンを回す方式が一般的です。
(イ) 地下深部の熱を利用するため、地熱資源はマグマが近くにある「火山地域」に多く存在します。
(ウ) バイオマスとは、化石資源を除いた再生可能な生物由来の「有機物」資源のことです。
(エ) 家畜の糞尿などを発酵させて得られる燃料は、メタンを主成分とするバイオガスなどの「気体燃料」が代表的です。
したがって、(ア)が「蒸気」、(イ)が「火山地域」、(ウ)が「有機物」、(エ)が「気体燃料」となる(3)が正しい組合せです。
解説
正解は(3)です。
水力発電の基本および水車の特性に関する問題です。各選択肢の解説は以下の通りです。
(1) 正しい。流込み式発電所は、河川の自然の流量を貯水せずにそのまま利用して発電する方式であり、一定の出力を維持しやすいためベース負荷用として運用されます。
(2) 正しい。一般に、出力が 30,000 kW 以下の小規模な発電所を中小水力発電所と分類することがあります。
(3) 誤り。比速度 $n_s$ とは、ある水車と幾何学的に相似な水車が、1 m の有効落差で 1 kW の出力を出すのに必要な回転速度のことです。比速度の許容値は、水車の型式や有効落差 $H$ によって決まるため、有効落差に関係なく一定になるわけではありません。
(4) 正しい。調速機(ガバナ)は、負荷の変動に応じて水車に入る水の量を調整し、回転速度(および周波数)を一定に保つ装置です。
(5) 正しい。地下発電所は、大容量発電所において地形上の制約がある場合や、高落差を有効に利用して建設コストや環境への影響を考慮する際に採用されます。

【令和6年度下期・問6】調相設備
次の文章は、調相設備に関する記述である。
一般に電力系統では、受電端電圧を一定に保つため 調相設備を負荷と (ア) に接続して無効電力の調整を行っている。
電力用コンデンサは力率を (イ) ために用いられ、分路リアクトルは力率を (ウ) ために用いられる。
同期調相機は、その (エ) を加減することによって、進み又は遅れの無効電力を連続的に調整することができる。
静止形無効電力補償装置は、 (オ) でリアクトルに流れる電流を調整することにより、無効電力を高速に制御することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 並列 | 進める | 遅らせる | 界磁電流 | 半導体スイッチ |
| (2) | 直列 | 遅らせる | 進める | 電機子電流 | 半導体整流装置 |
| (3) | 並列 | 遅らせる | 進める | 電機子電流 | 半導体スイッチ |
| (4) | 直列 | 進める | 遅らせる | 電機子電流 | 半導体整流装置 |
| (5) | 並列 | 遅らせる | 進める | 界磁電流 | 半導体スイッチ |
解説
正解は(1)です。
電力系統の電圧調整に用いられる調相設備に関する問題です。
(ア) 調相設備は、系統の無効電力を調整して受電端電圧を一定に保つため、負荷と「並列」に接続されます。
(イ) 電力用コンデンサは、進み無効電力を供給することで力率を「進める」ために用いられます。
(ウ) 分路リアクトルは、遅れ無効電力を消費(または遅れ電流を流す)することで力率を「遅らせる」ために用いられます。
(エ) 同期調相機は、無負荷で運転している同期電動機であり、「界磁電流」を調整することによって、進みから遅れまでの無効電力を連続的に調整できます。
(オ) 静止形無効電力補償装置(SVC)は、「半導体スイッチ」(サイリスタ等)を用いてリアクトルに流れる電流を高速に制御し、無効電力を調整します。
【令和6年度下期・問7】計器用変成器
次の文章は、計器用変成器に関する記述である。
計器用変成器において、変流器の二次端子は、常に (ア) 負荷を接続しておかねばならない。特に、一次電流(負荷電流)が流れている状態では、絶対に二次回路を (イ) してはならない。これを誤ると、二次側に大きな (ウ) が発生し (エ) が過大となり、変流器を損傷する恐れがある。また、一次端子のある変流器は、その端子を被測定線路に (オ) に接続する。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 高インピーダンス | 短絡 | 電圧 | 鉄損 | 直列 |
| (2) | 低インピーダンス | 短絡 | 誘導電流 | 銅損 | 並列 |
| (3) | 高インピーダンス | 短絡 | 誘導電流 | 銅損 | 直列 |
| (4) | 低インピーダンス | 開放 | 電圧 | 鉄損 | 直列 |
| (5) | 高インピーダンス | 開放 | 銅損 | 電圧 | 並列 |
解説
正解は(4)です。
変流器(CT)の取り扱いに関する重要な問題です。
(ア) 変流器の二次側には、電流計などの「低インピーダンス」負荷を接続して運用するのが原則です。
(イ) 一次側に電流が流れている状態で二次回路を「開放」してはいけません。
(ウ) 二次側を開放すると、一次電流のすべてが励磁電流となり、鉄心が著しく磁気飽和して二次側に大きな「電圧」が発生します。
(エ) この磁気飽和により「鉄損」が過大となり、変流器が過熱・焼損する恐れがあります。
(オ) 変流器の一次端子は、線路に流れる電流を測定するため、被測定線路に「直列」に接続します。

【令和6年度下期・問8】がいしの塩害
送配電線路や変電所におけるがいしの塩害とその対策に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) がいしの塩害に対する基本的な対策は、がいしの沿面距離を伸ばすことや、がいしの連結個数を増やすことである。
(2) がいしの表面に付着した塩分は、霧、小雨、雪などの湿潤状態において、がいしの表面の絶縁を低下させ、漏れ電流を増大させる。
(3) がいしにシリコン化合物を塗布して撥水性を高めることは、塩害対策として有効である。
(4) ギャロッピング現象の発生を抑えることは、塩害対策として有効である。
(5) 長幹がいしを採用してがいしの表面を洗浄しやすくすることは、塩害対策として有効である。
解説
正解は(4)です。
がいしの塩害およびその対策に関する問題です。
(1) 正しい。がいしの沿面距離を長くすることや、個数を増やして絶縁距離を確保することは、基本的な塩害対策です。
(2) 正しい。塩分が湿気を帯びると導電性が増し、絶縁が低下して漏れ電流が増大します。
(3) 正しい。撥水性のあるシリコン化合物を塗布することで、塩分を含む水分を弾き、漏れ電流の発生を抑えることができます。
(4) 誤り。ギャロッピング現象とは、電線に氷雪が付着した状態で強風が吹いたときに発生する電線の振動現象であり、塩害とは直接の関係はありません。
(5) 正しい。長幹がいしはひだの間隔が広く、雨水による自浄作用や人工的な洗浄が容易であるため、塩害対策に有効です。

【令和6年度下期・問9】配電線路の保護装置
6.6 kV 高圧配電線路は,60 kV 以上の送電線路や送電用変圧器に比べ,電線路や変圧器の絶縁が容易であるため,故障時に健全相の電圧上昇が大きくなっても特に問題にならない。また,1 線地絡電流を (ア) するため (イ) 方式が採用されている。
一般に,多回線配電線路では地絡保護に地絡方向継電器が用いられる。これは,故障時に故障線路と健全線路における地絡電流が (ウ) となることを利用し,故障回線を選択するためである。
低圧配電線路で短絡故障が生じた際の保護装置として (エ) が挙げられるが、これは、通常、柱上変圧器の (オ) 側に取り付けられる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 小さく | 非接地 | 同位相 | 高圧カットアウト | 二次 |
| (2) | 大きく | 接地 | 逆位相 | ケッチヒューズ | 一次 |
| (3) | 大きく | 非接地 | 逆位相 | 高圧カットアウト | 二次 |
| (4) | 小さく | 非接地 | 逆位相 | 高圧カットアウト | 一次 |
| (5) | 小さく | 接地 | 同位相 | ケッチヒューズ | 一次 |
解説
正解は(4)です。
我が国の高低圧配電系統における保護方式に関する問題です。それぞれの記述の根拠は以下の通りです。
(ア)および(イ)については、我が国の 6.6 kV 高圧配電線路では、地絡事故時の地絡電流を「小さく」するために「非接地」方式が広く採用されています。
(ウ)については、多回線配電線路において地絡事故が発生した際、故障回線と健全回線では地絡電流の位相が「逆位相」となる性質を利用して故障区間を判別します。
(エ)および(オ)については、柱上変圧器の保護や内部故障が系統へ波及するのを防ぐための保護装置として「高圧カットアウト」が用いられます。

【令和6年度下期・問10】地中電線路の充電容量
電圧 6.6 kV 、周波数 60 Hz 、こう長 2 km の交流三相 3 線式地中電線路がある。ケーブルの心線 1 線当たりの静電容量を 0.5 μF/km とするとき、このケーブルの心線 3 線を充電するために必要な三相無負荷充電容量の値 [kV・A] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 5.5
(2) 8.2
(3) 16.4
(4) 28.4
(5) 49.3
解説
正解は(3)です。
三相無負荷充電容量 $Q$ [VA] を求める問題です。
まず、電線路全体の 1 線当たりの静電容量 $C$ [F] を求めます。
$C = 0.5 \times 10^{-6} \times 2 = 1.0 \times 10^{-6} \text{ [F]}$
三相無負荷充電容量 $Q$ は、以下の式で計算できます。
$Q = 2 \pi f C V^2$
ここで、$f = 60 \text{ Hz}$ 、$V = 6.6 \text{ kV} = 6600 \text{ V}$(線間電圧)を代入します。
$Q = 2 \pi \times 60 \times 1.0 \times 10^{-6} \times 6600^2 \approx 16422 \text{ [VA]} \approx 16.4 \text{ [kV・A]}$
よって、最も近い値は (3) となります。
【令和6年度下期・問11】高圧受電設備
高圧受電設備を構成する機器に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 避雷器(LA)は受電設備の引込口などに設置され、雷及び開閉などによる異常電圧が回路に侵入したとき、大地に放電させるものであり、A種接地工事が施されている。
(2) 高圧交流負荷開閉器(LBS)は負荷電流、変圧器の励磁電流、線路電流など負荷開閉器の定格電流以下の開閉に使用する。
(3) 遮断器(CB)は機器の点検・修理の際、その部分を電源から開放し、あるいは回路の接続を変更する目的で用いる。
(4) 計器用変成器(VCT)は受電設備において、需要家の受電電圧と使用電流を扱いやすい低電圧・小電流に変換する装置である。電力量計と組み合わせて、取引電力量を計量する。
(5) 高圧進相コンデンサ(SC)は進み力率の無効電力を消費(すなわち、遅れ無効電力を供給)し、力率を改善する働きをもつ。
解説
正解は(3)です。
高圧受電設備に用いられる各機器の役割に関する問題です。
(1) 正しい。避雷器(LA)は異常過電圧を放電して機器を保護し、A種接地工事が施されます。
(2) 正しい。高圧交流負荷開閉器(LBS)は、定格電流以下の負荷電流や励磁電流の開閉に用いられます。
(3) 誤り。設問の「点検・修理の際に電源から開放する」という記述は、断路器(DS)の役割です。遮断器(CB)は、負荷電流の開閉や、短絡事故などの大きな故障電流を安全に遮断するために用いられます。
(4) 正しい。計器用変成器(VCT)は、VT(計器用変圧器)とCT(変流器)を組み合わせたもので、取引電力量の計量に用いられます。
(5) 正しい。高圧進相コンデンサ(SC)は、進み電流を流すことで系統の力率を改善します。

【令和6年度下期・問12】送電線路の電力損失率
三相 3 線式交流送電線があり、電線 1 線当たりの抵抗が $R$ [Ω] 、受電端の線間電圧が $V_r$ [V] である。今、受電端から力率 $\cos\theta$ の負荷に三相電力 $P$ [W] を供給しているものとする。
この送電線での 3 線の電力損失を $P_L$ とすると、電力損失率 $\frac{P_L}{P}$ を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、線路のインダクタンス、静電容量及びコンダクタンスは無視できるものとする。
(1) $\frac{RP}{3(V_r \cos\theta)^2}$
(2) $\frac{RP}{(V_r \cos\theta)^2}$
(3) $\frac{RP^2}{(V_r \cos\theta)^2}$
(4) $\frac{3RP}{(V_r \cos\theta)^2}$
(5) $\frac{3RP^2}{(V_r \cos\theta)^2}$
解説
正解は(2)です。
三相 3 線式送電線の電力損失率を導き出す問題です。
受電端の有効電力 $P$ [W] は、線電流を $I$ [A] とすると以下の式で表されます。
$P = \sqrt{3} V_r I \cos\theta$
これより、線電流 $I$ は以下のようになります。
$I = \frac{P}{\sqrt{3} V_r \cos\theta}$
3 線分の電力損失 $P_L$ [W] は、以下の通りです。
$P_L = 3 R I^2 = 3 R \left( \frac{P}{\sqrt{3} V_r \cos\theta} \right)^2 = \frac{RP^2}{V_r^2 \cos^2\theta}$
求める電力損失率 $\frac{P_L}{P}$ は、以下のようになります。
$\frac{P_L}{P} = \frac{RP^2}{V_r^2 \cos^2\theta} \times \frac{1}{P} = \frac{RP}{(V_r \cos\theta)^2}$
したがって、正しい式は (2) となります。

【令和6年度下期・問13】電線のたるみ
図のように高低差のない支持点 A, B で支持されている径間 $S$ が 100 m の架空電線路において、導体の温度が 30 ℃ のとき、たるみ $D$ は 2 m であった。
導体の温度が 60 ℃ になったとき、たるみ $D$ の値 [m] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、電線の線膨張係数は 1 ℃ につき $1.5 \times 10^{-5}$ とし、張力による電線の伸びは無視するものとする。

(1) 2.05
(2) 2.14
(3) 2.39
(4) 2.66
(5) 2.89
解説
正解は(3)です。
温度変化による電線のたるみの変化を計算する問題です。
まず、30 ℃ における電線の実長 $L_1$ [m] を求めます。
$L_1 = S + \frac{8 D^2}{3 S} = 100 + \frac{8 \times 2^2}{3 \times 100} \approx 100.1067 \text{ [m]}$
次に、60 ℃ になった際の実長 $L_2$ [m] を線膨張係数 $\alpha$ を用いて計算します。
$L_2 = L_1 { 1 + \alpha (60 – 30) } = 100.1067 \times { 1 + 1.5 \times 10^{-5} \times 30 } \approx 100.1517 \text{ [m]}$
60 ℃ におけるたるみ $D’$ [m] は、実長の式を変形して求めます。
$L_2 = S + \frac{8 D’^2}{3 S}$
$100.1517 = 100 + \frac{8 \times D’^2}{3 \times 100}$
$D’ = \sqrt{(100.1517 – 100) \times \frac{300}{8}} \approx 2.385 \text{ [m]}$
最も近い値は 2.39 なので、(3) が正解となります。

【令和6年度下期・問14】導電材料としての銅
送電線路及び配電線路で導電材料として利用される銅に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 銅は、20 ℃ では銀に次いで最も導電率の高い金属である。
(2) 導体の導電率は、20 ℃ での標準軟銅の導電率を 100 % として比較した百分率で表される。
(3) 電線やケーブルの導体材料に使用される銅は、一般に電気銅を精製したものが用いられる。
(4) 軟銅線は、硬銅線を焼きなますことで製造され、硬銅線と比較して可とう性はよくなり、導電率は低くなる。
(5) 一般に CV ケーブルの銅導体には軟銅線が用いられ、架空送電線の銅導体には硬銅線が用いられる。
解説
正解は(4)です。
電力設備に使用される銅材料の性質に関する問題です。
(1) 正しい。銀の次に導電率が高く、経済性にも優れるため広く用いられます。
(2) 正しい。国際標準軟銅の導電率を 100 % とした「百分率導電率(%IACS)」が用いられます。
(3) 正しい。一般に電気銅を精製した高純度の銅が導体として用いられます。
(4) 誤り。硬銅線を焼きなますことで製造される軟銅線は、硬銅線よりも「導電率が高く」なります(標準軟銅で約 100 %、硬銅線で約 97 %)。
(5) 正しい。柔軟性が必要な CV ケーブルには軟銅線、強度が必要な架空線には硬銅線が適しています。

【令和6年度下期・問15】火力発電の計算
重油専焼火力発電所が出力 1 000 MW で運転しており、発電端効率が 41 % 、重油発熱量が 44 000 kJ/kg であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、重油の化学成分(重量比)は炭素 85 %、水素 15 %、炭素の原子量は 12、酸素の原子量は 16 とする。
(a) 重油消費量の値 [t/h] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 50 (2) 80 (3) 120 (4) 200 (5) 250
(b) 1 日に発生する二酸化炭素の重量の値 [t] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 9.5×10³ (2) 12.8×10³ (3) 15.0×10³ (4) 17.6×10³ (5) 28.0×10³
解説
正解は (a)が(4)、(b)が(3)です。
(a) 重油消費量 $B$ [t/h] を求めます。出力 $P = 1000 \text{ MW} = 10^6 \text{ kW}$ です。
$\eta = \frac{3600 P}{B \times 10^3 \times H} \times 100 \text{ [\%]}$ より、
$B = \frac{3600 \times 10^6}{44000 \times 0.41 \times 10^3} \approx 199.56 \text{ [t/h]}$
最も近い値は (4) の 200 です。
(b) 1 日の二酸化炭素発生量を求めます。
1 日の燃料消費量は、 $200 \text{ t/h} \times 24 \text{ h} = 4800 \text{ t}$ です。
重油中の炭素の重量は、 $4800 \times 0.85 = 4080 \text{ t}$ です。
化学反応式 $C + O_2 \rightarrow CO_2$ より、炭素 12 に対し $CO_2$ は 44 の重量比となります。
$CO_2 = 4080 \times \frac{44}{12} \approx 14960 \text{ [t]} \approx 15.0 \times 10^3 \text{ [t]}$
したがって、(3) が正解となります。

【令和6年度下期・問16】T形回路による送電線路の計算
図 1 のような T 形回路(1 相分)があり、抵抗 $r = 20 \text{ Ω}$ 、リアクタンス $x = 80 \text{ Ω}$ 、アドミタンス $Y = 0.000 7 \text{ S}$ である。 $V_{r1} = 150 \text{ kV}$ 、 $I_r = 400 \text{ A}$ 、負荷の力率(遅れ) $\cos\theta_r = \frac{\sqrt{3}}{2}$ のとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) $V_c$ [kV] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 134.2 (2) 152.3 (3) 161.9 (4) 172.0 (5) 180.4
(b) $V_{s1}$ [kV] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 145.9 (2) 155.4 (3) 160.6 (4) 170.1 (5) 180.7
解説
正解は (a)が(3)、(b)が(4)です。
※本問の $V_{r1}$ 等は相電圧として計算します。
(a) 受電端相電圧を基準 $\dot{V}_{r1} = 150000 \text{ [V]}$ とします。受電端電流は
$\dot{I}_r = 400 (\frac{\sqrt{3}}{2} – j\frac{1}{2}) = 200\sqrt{3} – j200 \text{ [A]}$
となります。そして、中央部電圧 $\dot{V}_c$ は以下のようになります。
$\dot{V}_c = \dot{V}_r + \dot{I}_r \times ( \frac{r}{2} + j \frac{x}{2} )$
$\dot{V}_c = 150000 + (346.4 – j200)(10 + j40) = 161464 + j11856 \text{ [V]}$
$V_c = \sqrt{161464^2 + 11856^2} \approx 161.9 \text{ [kV]}$
(b) 送電端電流 $ \dot{I}_{s} $ は、
$\dot{I}_s = \dot{I}_r + \dot{V}_c Y = 338.1 + j113 \text{ [A]}$
となります。送電端相電圧 $\dot{V}_{s1}$ は以下のようになります。
$\dot{V}_{s1} = \dot{V}_c + \dot{I}_s \times (\frac{r}{2} + j\frac{x}{2}) = 168325 + j24510 \text{ [V]}$
$V_{s1} = \sqrt{168325^2 + 24510^2} \approx 170.1 \text{ [kV]}$
以上より、(a)は(3)、(b)は(4)となります。

【令和6年度下期・問17】フェランチ現象
三相 3 線式 1 回線送電線の一相が図の $\pi$ 形等価回路で表され、送電線路のインピーダンス $jX = j200 \text{ Ω}$ 、アドミタンス $jB = j0.800 \text{ mS}$ とし、送電端の線間電圧が $66.0 \text{ kV}$ であり、受電端が無負荷のとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 受電端の線間電圧の値 [kV] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 66.0 (2) 71.7 (3) 78.6 (4) 114 (5) 132
(b) 1 線当たりの送電端電流の値 [A] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 15.2 (2) 16.6 (3) 28.7 (4) 31.8 (5) 55.1
解説
正解は (a)が(2)、(b)が(4)です。
(a) 無負荷時の受電端相電圧 $E_r$ は、送電端相電圧 $E_s$ との間に以下の関係があります。
$E_s = E_r (1 – \frac{XB}{2})$
$V_s = 66 \text{ kV}$ より、 $E_s = \frac{66}{\sqrt{3}} \text{ kV}$ です。 $XB/2 = 200 \times 0.8 \times 10^{-3} / 2 = 0.08$ なので、
$E_r = \frac{E_s}{0.92} \approx 1.087 E_s$
線間電圧 $V_r = 66 \times \frac{1}{0.92} \approx 71.7 \text{ [kV]}$
(b) 1 線当たりの送電端電流 $I_s$ を求めます。
$\dot{I}_s = j\frac{B}{2} E_s + j\frac{B}{2} E_r = j\frac{B}{2} (E_s + E_r)$
$I_s = \frac{0.8 \times 10^{-3}}{2} \times \left( \frac{66000}{\sqrt{3}} + \frac{71739}{\sqrt{3}} \right) \approx 31.8 \text{ [A]}$
したがって、(a)は(2)、(b)は(4)となります。

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