電験3種(電力)で出題される「配電線路と高圧受電設備」に関する試験対策および過去問題を解説します。
配電線路の基本構成
柱上の基本設備
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低圧受電設備の基本構成
基本構成

高圧受電設備の基本構成
基本構成

高圧交流負荷開閉器(PAS)
高圧交流負荷開閉器(PAS:Pole Air Switches)は、構内に電柱を設置して高圧受電引き込みを行う地域で、電柱上部に設置する開閉器の1つ。内部に零相変流器(ZCT)を組み込み、地絡方向継電器(DGR)と組み合わせたものが主流です。地絡電流を検知し、開放して系統と切り離すことで近隣への波及事故を防ぐ役割があります。

地絡方向継電器(DGR)
地絡継電器(GR)
高圧ケーブル(CVT)
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ビニルシースを施したCVケーブル(単心)を3条より合わせたケーブルです。CVケーブル(3心)と比較してケーブルの熱抵抗が小さいため電流容量を大きくでき、ケーブルの接続作業性が良いのが利点です。

CVケーブルは、架橋ポリエチレンを絶縁体として使用したケーブル。後述するOFケーブルよりも絶縁体の誘電率、熱抵抗率の小ささ、常時導体最高許容温度の高さに優れ、防災、メンテナンス、送電容量の面で有利であるため主流。

避雷器(LA)

雷や開閉サージによる過電圧の波高値を抑制し、機器の絶縁を保護する装置。ZnO(酸化亜鉛)素子の優れた非線形抵抗特性を利用し、過電圧時のみ放電して、放電後は続流を自ら遮断する。電力系統全体の絶縁設計を経済的・合理的に行う「絶縁協調」の基本となる装置である。
発変電所用避雷器では、放電耐量が大きく、放電遅れのない「ギャップレス避雷器」が主に使用されている。電力系統は、変圧器をはじめ多くの機器が接続されているため、これらを異常時に保護するための絶縁強度の設計は、最も経済的かつ合理的に行うとともに、系統全体の信頼度を向上できるよう考慮する必要がある。これを「絶縁協調」という。高圧受電設備の避雷器では、静電容量を小さくできる利点から「直列ギャップ付き避雷器」が主に採用される。

遮断器
負荷電流が流れている状態でも動作できる開閉器(ブレーカー)です。通常の負荷電流だけでなく、短絡や地絡時の事故電流も遮断できます。
電力需給用計器用変成器(VCT)
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電力需給用計器用変成器(VCT:Voltage and Current Transformer)は、計器用変流器(CT)と計器用変圧器(VT)を1つに箱に収めたものです。通常は、電力会社が設置及び管理しており、電力量計と組み合わせて電力測定を行い、測定結果に従って電気代を需要家に請求します。二次側の定格は、通常は「110V、5A」となっています。
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計器用変流器(CT)
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計器用変流器(CT:Current Transformer)は、高圧や特別高圧の交流電流を、電流計や保護継電器などの機器で扱いやすい低電流に変換する計器用変成器です。電路に直列に接続します。二次側を開放すると高電圧が発生し絶縁破壊の恐れがあるため、常に低インピーダンス(短絡状態)に保つ必要があります。

※計器用変成器のイメージ(左:計器用変流器CT、右:計器用変圧器VT)
計器用変圧器(VT)
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計器用変圧器(VT:Voltage Transformer)は、高圧や特別高圧の交流電圧を、電圧計や保護継電器などの機器で扱いやすい低電圧(一般に110V)に変換する計器用変成器です。二次側を短絡すると大電流が発生しショートの恐れがあるため、常に高インピーダンス(開放状態)に保つ必要があります。

※計器用変成器のイメージ(左:計器用変流器CT、右:計器用変圧器VT)
断路器(DS)

機器の点検や修理時に、回路を系統から物理的に切り離すために使用する装置。消弧装置を持たないため、負荷電流や事故電流を遮断する能力はない。そのため、必ず遮断器で電流を止めてから操作するよう、誤操作防止用のインタロックが設けられている。
高圧カットアウト(PC)

高圧カットアウトは、高圧配電路の開閉や、変圧器、高圧進相コンデンサの一次側に設置しての開閉動作や過負荷保護用として使用される高圧開閉器の1つでです。高圧カットアウトは内部に電路を持っており、そこにヒューズを装着することで過負荷保護を行うことができます。ただし、変圧器保護の用途では300kVAまで、高圧進相コンデンサの保護では50kvarまでとなります。
電力用コンデンサ(進相コンデンサ)

進相無効電力を供給(電流の位相を進める)することで、系統の力率を改善する設備です。調整は段階的(ON/OFF)であり、分路リアクトルと比較して安価で保守が容易という特徴があります。
直列リアクトル

電力用コンデンサと直列に接続される設備です。コンデンサ投入時の突入電流を抑制するほか、第5高調波などによる電圧波形のひずみを改善し、高調波障害を防止する役割を持ります。
過電流継電器(OCR)

過電流継電器(OCR:Overcurrent Relays)は、電線や機器に流れる電流を監視し、あらかじめ設定した値(定格)を超えたことを検知します。VCBやGCBなどの遮断器と連携し、過電流を検知したら遮断器を動作させて電流を遮断します。
過電圧継電器(OVR)
過電圧継電器(OVR:Overvoltage Relays)は、電圧が設定値よりも高く(通常は110~120%程度)なったことを検知します。主に、遮断器や発電機の界磁遮断器と連動させます。
不足電圧継電器(UVR)
不足電圧継電器(UVR:Undervoltage Relays)は、電圧が設定値以下に低下した、あるいはゼロになった(停電)ことを検知します。非常用発電機、主遮断器、マグネットスイッチ(MS)などと連携させます。
地絡過電圧継電器(OVGR)
地絡過電圧継電器(OVGR:Over Voltage Ground Relays)は、地絡事故(漏電)によって発生する「零相電圧(電路の電圧バランスの崩れ)」を検知します。
逆電力継電器(RPR)
逆電力継電器(RPR:Reverse Power Relays)は、電力が「受電点から外へ」流れたり、「系統から発電機へ」流れたりする逆方向の動きを検知します。主な連動先は「発電機用遮断器」です。
周波数低下継電器(UFR)
周波数低下継電器(UFR:Underfrequency Relays)は、交流の周波数(50Hzまたは60Hz)が設定値以下に下がったことを検知します。フィーダー用遮断器(優先順位の低い負荷)などと連動させます。
■ 比率差動継電器(87)
比率差動継電器(87)は、変圧器に入る電流と出ていく電流の「差」を常に比較し、そのバランスが崩れたことを検知します。主に、変圧器の一次側および二次側の遮断器と連動させます。
【令和7年度上期・問11】高圧受電設備の機器
100/200V単相3線式配電方式に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 単相200V負荷の使用が可能である。
(2) 配電容量が等しい場合,100V単相2線式配電方式より電線の銅量が少なくてすむ。
(3) バランサは、電源の近くに設ける方が効果が大きい。
(4) 負荷の分布によっては、負荷電圧が不平衡になることがある。
(5) 中性線が断線すると、異常電圧を発生することがある。
解説
正解は(3)です。単相3線式配電方式の仕組みと特性に関する問題です。
(1) 正しい。単相3線式は、外側の2線(電圧線)を利用することで200V負荷を使用でき、電圧線と中性線を利用することで100V負荷を使用できます。
(2) 正しい。配電容量、線間電圧、電力損失などの条件が等しい場合、単相2線式を100%とすると、単相3線式の電線重量(銅量)は37.5%となり、経済的です。
(3) 誤り。バランサは巻数比1:1の単巻変圧器であり、負荷の不平衡による電圧不平衡や中性線電流を解消するために用いられます。バランサは電源(変圧器)の近くではなく、負荷の集中する地点や配電線路の末端に近い箇所に設置する方が、そこまでの線路の電圧降下や電力損失を抑制する効果が大きくなります。
(4) 正しい。上下の100V負荷の分布が不平衡(同一でない)場合、中性線に不平衡電流が流れます。この電流による各線の電圧降下の違いによって、負荷電圧が不平衡になることがあります。
(5) 正しい。中性線が断線すると、200Vの電圧が各負荷のインピーダンスの比に応じて分圧されます。このとき、軽負荷(インピーダンスが大きい)側の電圧が100Vを超えて過大になり、異常電圧が発生して機器を損傷するおそれがあります。
【令和6年度下期・問9】配電線路の保護装置
6.6 kV 高圧配電線路は,60 kV 以上の送電線路や送電用変圧器に比べ,電線路や変圧器の絶縁が容易であるため,故障時に健全相の電圧上昇が大きくなっても特に問題にならない。また,1 線地絡電流を (ア) するため (イ) 方式が採用されている。
一般に,多回線配電線路では地絡保護に地絡方向継電器が用いられる。これは,故障時に故障線路と健全線路における地絡電流が (ウ) となることを利用し,故障回線を選択するためである。
低圧配電線路で短絡故障が生じた際の保護装置として (エ) が挙げられるが、これは、通常、柱上変圧器の (オ) 側に取り付けられる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 小さく | 非接地 | 同位相 | 高圧カットアウト | 二次 |
| (2) | 大きく | 接地 | 逆位相 | ケッチヒューズ | 一次 |
| (3) | 大きく | 非接地 | 逆位相 | 高圧カットアウト | 二次 |
| (4) | 小さく | 非接地 | 逆位相 | 高圧カットアウト | 一次 |
| (5) | 小さく | 接地 | 同位相 | ケッチヒューズ | 一次 |
解説
正解は(4)です。
我が国の高低圧配電系統における保護方式に関する問題です。それぞれの記述の根拠は以下の通りです。
(ア)および(イ)については、我が国の 6.6 kV 高圧配電線路では、地絡事故時の地絡電流を「小さく」するために「非接地」方式が広く採用されています。
(ウ)については、多回線配電線路において地絡事故が発生した際、故障回線と健全回線では地絡電流の位相が「逆位相」となる性質を利用して故障区間を判別します。
(エ)および(オ)については、柱上変圧器の保護や内部故障が系統へ波及するのを防ぐための保護装置として「高圧カットアウト」が用いられます。
【令和6年度下期・問11】高圧受電設備
高圧受電設備を構成する機器に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 避雷器(LA)は受電設備の引込口などに設置され、雷及び開閉などによる異常電圧が回路に侵入したとき、大地に放電させるものであり、A種接地工事が施されている。
(2) 高圧交流負荷開閉器(LBS)は負荷電流、変圧器の励磁電流、線路電流など負荷開閉器の定格電流以下の開閉に使用する。
(3) 遮断器(CB)は機器の点検・修理の際、その部分を電源から開放し、あるいは回路の接続を変更する目的で用いる。
(4) 計器用変成器(VCT)は受電設備において、需要家の受電電圧と使用電流を扱いやすい低電圧・小電流に変換する装置である。電力量計と組み合わせて、取引電力量を計量する。
(5) 高圧進相コンデンサ(SC)は進み力率の無効電力を消費(すなわち、遅れ無効電力を供給)し、力率を改善する働きをもつ。
解説
正解は(3)です。
高圧受電設備に用いられる各機器の役割に関する問題です。
(1) 正しい。避雷器(LA)は異常過電圧を放電して機器を保護し、A種接地工事が施されます。
(2) 正しい。高圧交流負荷開閉器(LBS)は、定格電流以下の負荷電流や励磁電流の開閉に用いられます。
(3) 誤り。設問の「点検・修理の際に電源から開放する」という記述は、断路器(DS)の役割です。遮断器(CB)は、負荷電流の開閉や、短絡事故などの大きな故障電流を安全に遮断するために用いられます。
(4) 正しい。計器用変成器(VCT)は、VT(計器用変圧器)とCT(変流器)を組み合わせたもので、取引電力量の計量に用いられます。
(5) 正しい。高圧進相コンデンサ(SC)は、進み電流を流すことで系統の力率を改善します。
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