電験$3$種法規科目における「架空電線路の支持物における昇塔防止(足場金具の地表上1.8m以上)および高低圧架空電線の併架」に関する過去問解説です。
架空電線路の支持物における昇塔防止および高低圧架空電線の併架
公衆の感電危害を防止するため、架空電線路の支持物には一般人が容易に昇降できない措置が義務付けられています。
また、同一支持物に高圧と低圧の電線を併せて架設(併架)する場合の離隔基準も明確に規定されています。
根拠法令は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$20$条および第$24$条です。
あわせて「電気設備技術基準の解釈」第$53$条および第$71$条の規定に基づきます。
架空電線路支持物の昇塔防止基準(解釈第$53$条)
支持物に設置する足場金具等の施設制限、および地表上 $1.8\text{ m}$ 未満への施設が認められる例外要件です。
| 項目 | 法的制約・基準値 | 適用要件および具体的措置 | 試験における頻出引っかけ |
|---|---|---|---|
| 足場金具の原則高さ | 地表上 $1.8\text{ m}$ 以上 | 取扱者が昇降に使用するボルトやステップ等の金具が対象です。 | 高さを「$2.0\text{ m}$ 以上」や「$1.5\text{ m}$ 以上」とする誤り |
| 例外要件$1$(構造) | 足場金具等が内部に格納できる構造 | 引き出し式や折りたたみ式の足場金具が該当します。 | 「取り外しできる構造」やすり替える誤り |
| 例外要件$2$(防護装置) | 支持物に昇塔防止のための装置を施設 | 有刺鉄線や昇塔防止板を支持物の周囲に取り付けます。 | 「監視装置」「防犯カメラ」の設置ですり替える誤り |
| 例外要件$3$(立ち入り防止) | 周囲にさく、へい等を施設 | 構内や専用敷地等で取扱者以外の立ち入りを防止します。 | 「注意喚起の看板を設置する」やすり替える誤り |
| 例外要件$4$(設置場所) | 山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所 | 登山道や集落から離れた山林等の地理的隔離です。 | 「人が頻繁に立ち入るおそれがない」とする誤り |
高圧架空電線と低圧架空電線の同一支持物併架基準(解釈第$71$条)
低圧電線と高圧電線を同一支持物に施設する際の配置関係、支持腕金、および離隔距離です。
| 規定項目 | 施設基準 | 技術的要件および例外 | 試験における頻出引っかけ |
|---|---|---|---|
| 上下の配置関係 | 高圧架空電線を上、低圧架空電線を下に施設 | 断線時の高低圧混触事故を防止するための原則配置です。 | 「低圧電線を上、高圧電線を下」と逆転させる誤り |
| 腕金の分離 | 別個の腕金類に施設すること | 高圧電線と低圧電線は同一腕金への共架を禁止します。 | 「同一の腕金類に施設してよい」とする誤り |
| 離隔距離(原則) | $0.5\text{ m}$ 以上 | 裸電線や通常の絶縁電線における標準離隔距離です。 | 原則の離隔距離を「$0.3\text{ m}$」や「$0.8\text{ m}$」とする誤り |
| 離隔距離(高圧ケーブル) | $0.3\text{ m}$ 以上に緩和 | 高圧側に金属遮へい層付ケーブルを使用する場合の緩和です。 | 高圧ケーブル使用時でも「$0.5\text{ m}$ を要する」とする誤り |
| 離隔距離(高圧引込用等) | $0.4\text{ m}$ 以上に緩和 | 高圧引込用絶縁電線等であり低圧が絶縁電線の場合の緩和です。 | 緩和値を「$0.3\text{ m}$」やすり替える誤り |
【令和5年下期・問6、平成24年・問7】架空電線路の支持物における昇塔防止
架空電線路の支持物に,取扱者が昇降に使用する足場金具等を地表上 $1.8\text{ m}$ 未満に施設することができる場合として,「電気設備技術基準の解釈」に基づき,不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 監視装置を施設する場合
(2) 足場金具等が内部に格納できる構造である場合
(3) 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
(4) 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように,さく,へい等を施設する場合
(5) 支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合
解説
正解は (1) です。
架空電線路の支持物における昇塔防止措置に関する問題です。
根拠条文は「電気設備技術基準の解釈」第$53$条(架空電線路の支持物の昇塔防止)です。
「電気設備技術基準の解釈」第$53$条において、次のように規定されています。
「第$53$条 架空電線路の支持物に取扱者が昇降に使用する足場金具等を施設する場合は、地表上$1.8\text{ m}$以上に施設すること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
一 足場金具等が内部に格納できる構造である場合
二 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
三 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく、へい等を施設する場合
四 支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合」
選択肢(1)は不適切な記述です。
監視装置の施設は、解釈第$53$条の例外事由として規定されていません。
監視装置があっても物理的な昇塔を防止できないためです。
選択肢(2)は適切な記述です。
足場金具等が内部に格納できる構造であれば、地表上 $1.8\text{ m}$ 未満に施設できます。
第$1$号の規定に合致します。
選択肢(3)は適切な記述です。
支持物に昇塔防止装置を設ける場合は、足場金具を低位置に施設できます。
第$2$号の規定に合致します。
選択肢(4)は適切な記述です。
さくやへい等を設けて公衆の立ち入りを防止する場合は例外となります。
第$3$号の規定に合致します。
選択肢(5)は適切な記述です。
山地等で人が容易に立ち入らない場所では例外が認められます。
第$4$号の規定に合致します。
【令和4年下期・問5】低高圧架空電線等の同一支持物併架
次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく低高圧架空電線等の併架に関する記述の一部である。
低圧架空電線と高圧架空電線とを同一支持物に施設する場合は,次のいずれかによること。
$\text{a)}$ 次により施設すること。
① 低圧架空電線を高圧架空電線の(ア)に施設すること。
② 低圧架空電線と高圧架空電線は,別個の(イ)に施設すること。
③ 低圧架空電線と高圧架空電線との離隔距離は,(ウ)$\,\text{m}$ 以上であること。ただし,かど柱,分岐柱等で混触のおそれがないように施設する場合は,この限りでない。
$\text{b)}$ 高圧架空電線にケーブルを使用するとともに,高圧架空電線と低圧架空電線との離隔距離を(エ)$\,\text{m}$ 以上とすること。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) (ア) 上 (イ) 支持物 (ウ) 0.5 (エ) 0.5
(2) (ア) 上 (イ) 支持物 (ウ) 0.5 (エ) 0.3
(3) (ア) 下 (イ) 支持物 (ウ) 0.5 (エ) 0.5
(4) (ア) 下 (イ) 腕金類 (ウ) 0.5 (エ) 0.3
(5) (ア) 下 (イ) 腕金類 (ウ) 0.3 (エ) 0.5
解説
正解は (4) です。
低圧架空電線と高圧架空電線の併架基準に関する問題です。
根拠条文は「電気設備技術基準の解釈」第$71$条第$1$項です。
空欄(ア)には「下」が入ります。
高圧電線の断線による低圧側への混触落下を防ぐため、低圧電線は下側に配置します。
高圧電線を上、低圧電線を下に施設します。
空欄(イ)には「腕金類」が入ります。
高圧と低圧の電線は、別個の腕金類に離隔して取り付けます。
同一の腕金類への共架は禁止されています。
空欄(ウ)には「$0.5$」が入ります。
高圧架空電線と低圧架空電線との離隔距離は、原則として $0.5\text{ m}$ 以上です。
標準的な離隔基準値です。
空欄(エ)には「$0.3$」が入ります。
高圧架空電線にケーブルを使用する場合、混触の危険性が低減されます。
そのため離隔距離は $0.3\text{ m}$ 以上に緩和されます。
【平成30年・問7】架空電線路の支持物における昇塔防止基準
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における架空電線路の支持物の昇塔防止に関する記述である。
架空電線路の支持物に取扱者が昇降に使用する足場金具等を施設する場合は、地表上(ア)$\,\text{m}$ 以上に施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
$\text{a}$ 足場金具等が(イ)できる構造である場合
$\text{b}$ 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
$\text{c}$ 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく、へい等を施設する場合
$\text{d}$ 支持物を山地等であって人が(ウ)立ち入るおそれがない場所に施設する場合
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) (ア) 2.0 (イ) 内部に格納 (ウ) 頻繁に
(2) (ア) 2.0 (イ) 取り外し (ウ) 頻繁に
(3) (ア) 2.0 (イ) 内部に格納 (ウ) 容易に
(4) (ア) 1.8 (イ) 取り外し (ウ) 頻繁に
(5) (ア) 1.8 (イ) 内部に格納 (ウ) 容易に
解説
正解は (5) です。
架空電線路の支持物における足場金具等の施設制限に関する問題です。
根拠条文は「電気設備技術基準の解釈」第$53$条です。
空欄(ア)には「$1.8$」が入ります。
足場金具等は原則として地表上 $1.8\text{ m}$ 以上の高さに設置します。
大人の背丈を踏まえた法定基準値です。
「$2.0\text{ m}$」ではありません。
空欄(イ)には「内部に格納」が入ります。
第$1$号において「足場金具等が内部に格納できる構造である場合」と規定されています。
「取り外し」ではありません。
空欄(ウ)には「容易に」が入ります。
第$4$号において「人が容易に立ち入るおそれがない場所」と規定されています。
「頻繁に」ではなく「容易に」が正解です。
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