【電験3種・法規】頻出問題「技術基準適合維持義務・立入検査・一般調査」の試験対策

電験3種(法規)の頻出問題である「事業用電気工作物の技術基準適合維持義務・適合命令・立入検査および一般用電気工作物の調査義務」について解説します。

技術基準適合維持義務・立入検査・一般調査の攻略ポイント

電験3種の法規科目において、電気事業法の保安原則に関する出題は、法第$39$条(事業用電気工作物の技術基準適合維持義務)、第$40$条(技術基準適合命令)、第$42$条(保安規程)、第$43$条(主任技術者)、第$56$条(一般用電気工作物の技術基準適合命令)、第$57$条(調査の義務)、第$57$条の$2$(調査結果の通知)、第$106$条(報告の徴収)、第$107$条(立入検査)など、法律の基幹をなす条文から毎年のように出題されます。
出題形式は条文中の重要語句や規定内容を問う空欄補充問題が中心です。特に、事業用電気工作物の「維持」義務、技術基準が満たすべき$4$要件、主務大臣(経済産業大臣)が行う技術基準適合命令の措置内容(修理、改造、移転、使用の「一時停止」、使用の「制限」)、電線路維持運用者による一般用電気工作物の「調査の義務」と立入承諾、調査結果が不適合の場合の通知内容、絶縁抵抗測定困難時の漏えい電流基準($1\text{ mA}$ 以下)、立入検査における身分証明書携帯・提示義務などは、試験で繰り返し問われる最頻出ポイントです。
過去問の演習に先立ち、以下の4つの整理表で体系的に確認してください。

電気工作物の保安体系および法定義務

電気事業法に基づく一般用電気工作物と自家用電気工作物(受電電圧 $7\,000\text{ V}$ 以下の需要設備等)の保安規制・法的義務の対比を整理した表です。

規制項目 一般用電気工作物(主として一般住宅) 自家用電気工作物(事業用電気工作物の一部)
技術基準適合維持 設置者に対する明文の維持義務規定はなし(所有者・占有者の自主管理) 設置者に主務省令で定める技術基準への「維持義務」あり(第$39$条第$1$項)
適合性の確認・調査 電線路維持運用者に「調査の義務」あり(第$57$条、登録調査機関への委託可) 設置者が自主保安体制(主任技術者による点検等)により適合性を確保
保安体制・規程類 保安規程の制定・主任技術者の選任義務なし 「保安規程」の制定・届出義務(第$42$条)および「主任技術者」の選任・届出義務(第$43$条)あり
使用開始時の手続 特段の届出手続なし(電線路維持運用者による使用前調査等) 使用開始の届出義務あり(第$53$条、受電電圧 $7\,000\text{ V}$ 以下の需要設備等)
国の監督権限(命令) 経済産業大臣による技術基準適合命令(使用の一時停止・制限、第$56$条) 主務大臣による技術基準適合命令(修理、改造、移転、使用の一時停止・制限、第$40$条)
報告徴収・立入検査 居住用を除く設置場所に立入検査可能(第$107$条第$2$項) 報告又は資料の「提出」命令(第$106$条)、事務所・事業場への立入検査(第$107$条第$1$項)

事業用電気工作物の技術基準適合維持義務および適合命令要件

電気事業法第$39$条および第$40$条に基づく、事業用電気工作物の維持義務の内容、省令技術基準が備えるべき保安要件、および大臣による適合命令の具体的措置を整理した表です。

条文・項目 規定内容および法律要件 ポイント
適合維持義務(第$39$条第$1$項) 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように「維持」しなければならない。 新設時だけでなく運用期間中を通じて常時適合状態を保つ義務です。「設置」や「運用」とのすり替えが頻出です。
技術基準の保安原則(第$39$条第$2$項第$1$号) 人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。 感電防止、火災防止、機械的損壊による第三者への危害防止を目的とする最基本原則です。
環境・他物保護(第$39$条第$2$項第$2$号) 他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は「磁気」的な障害を与えないようにすること。 通信線への電磁誘導障害、高調波障害、漏えい磁束による電磁的干渉の防止を指します。「熱」や「力学的」とのすり替えに注意します。
電力供給支障防止(第$39$条第$2$項第$3$号・第$4$号) 損壊により一般送配電事業者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること(自ら事業用の場合も含む)。 電力系統への波及事故防止です。法改正により「配電事業者」が追加された点にも留意します。
技術基準適合命令(第$40$条) 技術基準に適合していないと認めるときは、設置する者に対し、修理、改造、若しくは「移転」し、若しくはその使用を「一時停止」すべきことを命じ、又はその使用を「制限」することができる。 行政処分の内容は「修理」「改造」「移転」「一時停止」「制限」の$5$類型です。「使用の禁止」「変更」「撤去」とのすり替えが頻出です。

一般用電気工作物の調査義務・通知義務および絶縁性能基準

電気事業法第$57$条、第$57$条の$2$、および電気設備の技術基準の解釈第$14$条に基づく、一般用電気工作物の調査・通知義務の体系と絶縁性能基準を整理した表です。

項目 規定内容および数値要件 ポイント
調査の義務者(第$57$条第$1$項) 一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持し、及び運用する者(「電線路維持運用者」) 一般送配電事業者や配電事業者が該当します。「小売電気事業者」や「需要家自身」とする誤りに注意します。
調査義務の例外(第$57$条第$1$項ただし書) 設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は「占有者」の承諾を得ることができないときは調査を要しない。 家主(所有者)だけでなく居住者・テナント(占有者)の承諾拒否も例外要件となります。「使用者」とのすり替えに注意します。
調査業務の外部委託(第$57$条の$2$第$1$項) 経済産業大臣の登録を受けた「登録調査機関」(電気保安協会等)に調査業務を委託することができる。 「指定検査機関」や「電気工事店」とのすり替えに注意します。
不適合時の通知義務(第$57$条の$2$第$1$項) 適合していないと認めるときは、遅滞なく、適合させるためとるべき「措置」及びとらなかった場合に生ずべき結果を所有者又は占有者に通知する。 電線路維持運用者自身に直接の修理義務はなく、所有者等への是正通知にとどまります。「工事方法」とのすり替えに注意します。
絶縁性能と漏えい電流(解釈第$14$条第$1$項) 低圧屋内電路において絶縁抵抗測定が困難な場合、使用電圧が加わった状態での漏えい電流が「$1\text{ mA}$」以下であること。 停電できない電路(オンラインサーバーや医療機器等)における漏れ電流測定(クランプ式)の判定基準値です。「$2\text{ mA}$」とする誤りが頻出です。

電気事業法における立入検査および行政監督権限

電気事業法第$106$条および第$107$条に基づく、国(経済産業大臣)による報告徴収および立入検査の権限・手続規定を整理した表です。

項目 条文における規定内容 行政法・保安上の意義および引っかけ注意点
報告の徴収(第$106$条第$3$項) 経済産業大臣は、電気工作物を設置する者に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の「提出」をさせることができる。 電気事故発生時や保安規程遵守状況の確認等のため資料提出を命じる権限です。「作成」ではなく「提出」が正解です。
立入検査の対象・権限(第$107$条第$1$項) 「電気事業法の施行」に必要な限度において、職員に、事務所・事業場に立ち入り、電気工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。 目的は法の円滑な施行・公共の安全確保です。「緊急時」や「保安事故発生時」に限定されるものではありません。
証明書の携帯・提示(第$107$条第$7$項) 立入検査をする職員は、その「身分」を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。 検査官の権限濫用を防ぎ、被検査者の権利を保護するための手続要件です。「検査理由」ではなく「身分」を示す証明書です。
犯罪捜査の排除(第$107$条第$8$項) 立入検査の権限は、「犯罪捜査」のために認められたものと解釈してはならない。 行政目的の検査権限を刑事手続(令状主義を要する強制捜査)へ流用することを厳格に禁止する規定です。「行政処分」とのすり替えに注意します。

【令和6年上期・問1】事業用電気工作物の技術基準適合維持義務・保安原則および技術基準適合命令

次の文章は、「電気事業法」における事業用電気工作物の技術基準への適合に関する記述の一部である。

a) 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように (ア) しなければならない。
b) 上記a) の主務省令で定める技術基準では、次に掲げるところによらなければならない。
① 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
② 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は (イ) 的な障害を与えないようにすること。
③ 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
④ 事業用電気工作物が一般送配電事業又は配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業又は配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。
c) 主務大臣は、事業用電気工作物が上記a) の主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を (ウ) すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) (ア)設置 (イ)磁気 (ウ)一時停止
(2) (ア)維持 (イ)磁気 (ウ)一時停止
(3) (ア)設置 (イ)熱 (ウ)禁止
(4) (ア)維持 (イ)熱 (ウ)禁止
(5) (ア)設置 (イ)熱 (ウ)一時停止

解説

正解は(2)です。

問題文の記述は、「電気事業法」第$39$条(技術基準への適合)第$1$項および第$2$項、並びに第$40$条(技術基準適合命令)が根拠となっています。

電気事業法 第$39$条および第$40$条において、次のように規定されています。
「第$39$条 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。
$2$ 前項の主務省令で定める技術基準は、次に掲げるところによらなければならない。
一 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
二 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないようにすること。
三 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
四 事業用電気工作物が一般送配電事業又は配電事業の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業又は配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。」
「第$40$条 主務大臣は、事業用電気工作物が前条第一項の主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。」

事業用電気工作物の保安体系では、設置者が自らの責任において技術基準への適合性を「維持」し続ける自主保安が原則とされています。また、技術基準が達成すべき要件として、人体・物件に対する危害損傷の防止とともに、電磁誘導やノイズ等の「磁気」的障害の防止が明記されています。万一、基準不適合が発生した場合には、主務大臣による適合命令として、修理、改造、移転、使用の「一時停止」、使用の制限が規定されています。

各選択肢の検討:
(1) (ア)が設置となっており、維持ではないため誤りです。
(2) (ア)維持、(イ)磁気、(ウ)一時停止であり、法第$39$条および第$40$条の条文記述と完全に一致しており正しいです。
(3) (ア)が設置、(イ)が熱、(ウ)が禁止となっており誤りです。
(4) (イ)が熱、(ウ)が禁止となっており誤りです。
(5) (ア)が設置、(イ)が熱となっており誤りです。

したがって、正しいものは(2)となります。

【令和4年上期・問1】一般用・自家用電気工作物の保安体系および法令上の義務区分

次の図は、「電気事業法」に基づく一般用電気工作物及び自家用電気工作物のうち受電電圧 $7\,000\text{ V}$ 以下の需要設備の保安体系に関する記述を表したものである。ただし、除外事項、限度事項等の記述は省略している。
なお、この問において、技術基準とは電気設備技術基準のことをいう。

工作物区分 根拠条文 義務者・権限者および規定内容
一般用電気工作物 第$57$条 (ア) は、電気工作物が技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。
第$57$条の$2$ (ア) は、(イ) に、電気工作物が技術基準に適合しているかどうかを調査することを委託することができる。
第$56$条 経済産業大臣は、電気工作物が技術基準に適合していないと認めるときには、その使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。
第$107$条 経済産業大臣は、その職員に、電気工作物の設置の場所(居住の用に供されているものを除く。)に立ち入り、電気工作物を検査させることができる。
自家用電気工作物 第$39$条 電気工作物を設置する者は、電気工作物を技術基準に適合するように維持しなければならない。
第$42$条 電気工作物を設置する者は、(ウ) を定め、電気工作物の使用の開始前に、経済産業大臣に届け出なければならない。
第$43$条 電気工作物を設置する者は、保安の監督をさせるため、主任技術者を選任し、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
第$53$条 電気工作物を設置する者は、電気工作物の使用の開始の後、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
第$40$条 経済産業大臣は、電気工作物が技術基準に適合していないと認めるときには、その使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。
第$44$条 経済産業大臣は、主任技術者免状の交付を受けている者がこの法律に違反したときは、その主任技術者免状の返納を命じることができる。
第$106$条 経済産業大臣は、電気工作物を設置する者に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の (エ) をさせることができる。
第$107$条 経済産業大臣は、その職員に、電気工作物を設置する者の事務所その他の事業場に立ち入り、電気工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

図中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) (ア)所有者又は占有者 (イ)登録調査機関 (ウ)検査要領書 (エ)提出
(2) (ア)電線路維持運用者 (イ)電気主任技術者 (ウ)検査要領書 (エ)作成
(3) (ア)所有者又は占有者 (イ)電気主任技術者 (ウ)保安規程 (エ)作成
(4) (ア)電線路維持運用者 (イ)登録調査機関 (ウ)保安規程 (エ)提出
(5) (ア)電線路維持運用者 (イ)登録調査機関 (ウ)検査要領書 (エ)作成

解説

正解は(4)です。

問題文の記述は、「電気事業法」における一般用電気工作物および自家用電気工作物の保安体系に関する諸規定が根拠となっています。

各条文の規定内容は以下の通りです。
第$57$条第$1$項:一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持し、及び運用する者(電線路維持運用者)は、その一般用電気工作物が技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。
第$57$条の$2$第$1$項:電線路維持運用者は、経済産業大臣の登録を受けた者(登録調査機関)に、その調査業務を委託することができる。
第$42$条第$1$項:事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定め、使用の開始前に経済産業大臣に届け出なければならない。
第$106$条第$3$項:経済産業大臣は、電気工作物を設置する者に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。

一般用電気工作物では設置者に維持義務や主任技術者の選任義務が課されない代わりに、電線路側を管理する「電線路維持運用者」に調査の義務が課されており、この調査は実務上「登録調査機関」に委託することが認められています。一方、自家用電気工作物では自主保安体制を確立するため、使用開始前に「保安規程」を作成・届出することが義務付けられています。また、国の監督権限として、報告や資料の「提出」命令が規定されています。

各選択肢の検討:
(1) (ア)が所有者又は占有者、(ウ)が検査要領書となっており誤りです。
(2) (イ)が電気主任技術者、(ウ)が検査要領書、(エ)が作成となっており誤りです。
(3) (ア)が所有者又は占有者、(イ)が電気主任技術者、(エ)が作成となっており誤りです。
(4) (ア)電線路維持運用者、(イ)登録調査機関、(ウ)保安規程、(エ)提出 であり、電気事業法の各規定と完全に一致しており正しいです。
(5) (ウ)が検査要領書、(エ)が作成となっており誤りです。

したがって、正しいものは(4)となります。

【令和3年・問1】一般用電気工作物の調査義務・通知義務および低圧電路の漏えい電流基準

次の文章は、「電気事業法」に基づく調査の義務及びこれに関連する「電気設備技術基準の解釈」に関する記述である。

a)一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持し、及び運用する者(以下、「 (ア) 」という。)は、その一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は (イ) の承諾を得ることができないときは、この限りでない。
b) (ア) 又はその (ア) から委託を受けた登録調査機関は、上記a)の規定による調査の結果、電気工作物が技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術基準に適合するようにするためとるべき (ウ) 及びその (ウ) をとらなかった場合に生ずべき結果をその所有者又は (イ) に通知しなければならない。
c)低圧屋内電路の絶縁性能は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとに、絶縁抵抗測定が困難な場合においては、当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が (エ) $\text{ mA}$ 以下であること。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) (ア)一般送配電事業者等 (イ)占有者 (ウ)措置 (エ)2
(2) (ア)電線路維持運用者 (イ)使用者 (ウ)工事方法 (エ)1
(3) (ア)一般送配電事業者等 (イ)使用者 (ウ)措置 (エ)1
(4) (ア)電線路維持運用者 (イ)占有者 (ウ)措置 (エ)1
(5) (ア)電線路維持運用者 (イ)使用者 (ウ)工事方法 (エ)2

解説

正解は(4)です。

問題文の記述は、「電気事業法」第$57$条第$1$項、第$57$条の$2$第$1$項、並びに「電気設備技術基準の解釈」第$14$条(低圧電路の絶縁性能)第$1$項が根拠となっています。

電気事業法および解釈において、次のように規定されています。
法第$57$条第$1$項:
「一般用電気工作物と直接に電気的に接続する電線路を維持し、及び運用する者(電線路維持運用者)は、その一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入ることにつき、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。」
法第$57$条の$2$第$1$項:
「電線路維持運用者又はその電線路維持運用者から委託を受けた登録調査機関は、前条第一項の規定による調査の結果、電気工作物が技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞なく、その技術基準に適合するようにするためとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知しなければならない。」
解釈第$14$条第$1$項:
「低圧電路の絶縁性能は、開閉器又は過電流遮断器で区切ることができる電路ごとに、絶縁抵抗測定が困難な場合においては、当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が $1\text{ mA}$ 以下であること。」

一般用電気工作物の調査は個人の家屋等に立ち入る必要があるため、憲法上の住居の不可侵に配慮し、所有者又は現に居住・使用している「占有者」の承諾が得られない場合は調査義務が免除されます。また、基準不適合を発見した際は、とるべき「措置」(改修・修理等の要請)とその措置をとらなかった場合に生じる危険(感電・火災等)を通知する義務が課されます。解釈第$14$条では、停電が困難な低圧屋内配線においてクランプ漏れ電流計により活線状態で測定する場合の保安基準として、$1\text{ mA}$ 以下と定められています。

各選択肢の検討:
(1) (ア)が一般送配電事業者等、(エ)が 2 となっており誤りです。
(2) (イ)が使用者、(ウ)が工事方法となっており誤りです。
(3) (ア)が一般送配電事業者等、(イ)が使用者となっており誤りです。
(4) (ア)電線路維持運用者、(イ)占有者、(ウ)措置、(エ)1 であり、法第$57$条、第$57$条の$2$および解釈第$14$条の記述と完全に一致しており正しいです。
(5) (イ)が使用者、(ウ)が工事方法、(エ)が 2 となっており誤りです。

したがって、正しいものは(4)となります。

【平成29年・問1】事業用電気工作物の技術基準適合維持義務・保安要件および適合命令

次の文章は、「電気事業法」における事業用電気工作物の技術基準への適合に関する記述の一部である。

a 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように (ア) しなければならない。
b 上記aの主務省令で定める技術基準では、次に掲げるところによらなければならない。
① 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
② 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は (イ) 的な障害を与えないようにすること。
③ 事業用電気工作物の損壊により一般送配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすること。
④ 事業用電気工作物が一般送配電事業の用に供される場合にあっては、その事業用電気工作物の損壊によりその一般送配電事業に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。
c 主務大臣は、事業用電気工作物が上記aの主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を (ウ) すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) (ア)設置 (イ)磁気 (ウ)一時停止
(2) (ア)維持 (イ)熱 (ウ)禁止
(3) (ア)設置 (イ)熱 (ウ)禁止
(4) (ア)維持 (イ)磁気 (ウ)一時停止
(5) (ア)設置 (イ)熱 (ウ)一時停止

解説

正解は(4)です。

問題文の記述は、「電気事業法」第$39$条(技術基準への適合)第$1$項および第$2$項、並びに第$40$条(技術基準適合命令)の出題当時の条文規定が根拠となっています。

電気事業法 第$39$条および第$40$条において、次のように規定されています。
「第$39$条 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を主務省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。
$2$ 前項の主務省令で定める技術基準は、次に掲げるところによらなければならない。
一 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること。
二 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えないようにすること。
(中略)」
「第$40$条 主務大臣は、事業用電気工作物が前条第一項の主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。」

本問は令和6年上期問1と同一の条文規定を扱っていますが、出題当時の第$39$条第$2$項第$3$号・第$4$号では配電事業制度創設前の条文であったため「一般送配電事業者」のみが記載されていました。また、選択肢の配置順序が異なっており、本問における正解選択肢は(4)となります。設置者の義務は適合するように「維持」することであり、環境適合性として「磁気」的障害の防止が規定され、適合命令における措置は「一時停止」となります。

各選択肢の検討:
(1) (ア)が設置となっており誤りです。
(2) (イ)が熱、(ウ)が禁止となっており誤りです。
(3) (ア)が設置、(イ)が熱、(ウ)が禁止となっており誤りです。
(4) (ア)維持、(イ)磁気、(ウ)一時停止 であり、法第$39$条および第$40$条の記述と完全に一致しており正しいです。
(5) (ア)が設置、(イ)が熱となっており誤りです。

したがって、正しいものは(4)となります。

【平成24年・問2】電気事業法における立入検査の権限・手続および犯罪捜査の排除

次の文章は、「電気事業法」に基づく、立入検査に関する記述の一部である。

経済産業大臣は、 (ア) に必要な限度において、経済産業省の職員に、電気事業者の事業所、その他事業場に立ち入り、業務の状況、電気工作物、書類その他の物件を検査させることができる。また、自家用電気工作物を設置する者の工場、事務所その他の事業場に立ち入り、電気工作物、書類その他の物件を検査させることができる。
立入検査をする職員は、その (イ) を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
立入検査の権限は、 (ウ) のために認められたものと解釈してはならない。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) (ア)電気事業法の施行 (イ)理由 (ウ)行政処分
(2) (ア)緊急時 (イ)身分 (ウ)犯罪捜査
(3) (ア)緊急時 (イ)理由 (ウ)行政処分
(4) (ア)電気事業法の施行 (イ)身分 (ウ)犯罪捜査
(5) (ア)緊急時 (イ)身分 (ウ)行政処分

解説

正解は(4)です。

問題文の記述は、「電気事業法」第$107$条(立入検査)第$1$項、第$7$項および第$8$項が根拠となっています。

電気事業法 第$107$条において、次のように規定されています。
「第$107$条 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、電気事業者の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、業務若しくは経理の状況若しくは電気工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させ、又は自家用電気工作物を設置する者の工場、事務所その他の事業場に立ち入り、電気工作物、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
(中略)
$7$ 前各項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
$8$ 第一項から第六項までの規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」

行政機関による立入検査は、電気事故の防止や技術基準への適合確認など、「電気事業法の施行」を適切に担保するために認められた行政調査です。検査を担当する職員は、身分詐称や権限逸脱を防ぐため「身分」を示す証明書(立入検査証)を携帯し、相手方の請求があれば提示しなければなりません。また、行政上の立入検査は任意の協力や行政目的を前提としており、刑事訴訟法上の令状を要する「犯罪捜査」のための証拠収集手段として利用することは憲法第$35$条(令状主義)の観点から厳格に排除されています。

各選択肢の検討:
(1) (イ)が理由、(ウ)が行政処分となっており誤りです。
(2) (ア)が緊急時となっており、電気事業法の施行ではないため誤りです。
(3) (ア)が緊急時、(イ)が理由、(ウ)が行政処分となっており誤りです。
(4) (ア)電気事業法の施行、(イ)身分、(ウ)犯罪捜査 であり、法第$107$条第$1$項・第$7$項・第$8$項の条文規定と完全に一致しており正しいです。
(5) (ア)が緊急時、(ウ)が行政処分となっており誤りです。

したがって、正しいものは(4)となります。

【平成23年・問2】事業用電気工作物の技術基準適合命令における処分内容と名宛人

次の文章は、「電気事業法」における、技術基準適合命令に関する記述の一部である。

(ア) は、事業用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を (イ) に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を (ウ) し、改造し、若しくは (エ) し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を (オ) することができる。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) (ア)経済産業局長 (イ)運用する者 (ウ)変更 (エ)撤去 (オ)禁止
(2) (ア)経済産業大臣 (イ)設置する者 (ウ)修理 (エ)移転 (オ)制限
(3) (ア)産業保安監督部長 (イ)運用する者 (ウ)変更 (エ)撤去 (オ)制限
(4) (ア)経済産業大臣 (イ)設置する者 (ウ)修理 (エ)撤去 (オ)禁止
(5) (ア)経済産業局長 (イ)管理する者 (ウ)変更 (エ)移転 (オ)制限

解説

正解は(2)です。

問題文の記述は、「電気事業法」第$40$条(技術基準適合命令)が根拠となっています。

電気事業法 第$40$条において、次のように規定されています。
「第$40$条 主務大臣(経済産業大臣)は、事業用電気工作物が前条第一項の主務省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができる。」

本問は技術基準適合命令の条文構成を詳細に問う問題です。命令を発する行政庁は主務大臣(「経済産業大臣」)であり、命令を受ける相手方(名宛人)は電気工作物を「設置する者」です(運用する者や保守委託先ではありません)。また、命じることができる措置は「修理」「改造」「移転」「一時停止」および「制限」の$5$種類であり、「変更」「撤去」「禁止」という語句は条文に含まれません。

各選択肢の検討:
(1) (ア)が経済産業局長、(イ)が運用する者、(ウ)が変更、(エ)が撤去、(オ)が禁止となっており誤りです。
(2) (ア)経済産業大臣、(イ)設置する者、(ウ)修理、(エ)移転、(オ)制限 であり、法第$40$条の条文規定と完全に一致しており正しいです。
(3) (ア)が産業保安監督部長、(イ)が運用する者、(ウ)が変更、(エ)が撤去となっており誤りです。
(4) (エ)が撤去、(オ)が禁止となっており誤りです。
(5) (ア)が経済産業局長、(イ)が管理する者、(ウ)が変更となっており誤りです。

したがって、正しいものは(2)となります。

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