電験3種(法規)の計算問題における頻出テーマである「需要設備の需要率・不等率・負荷率・変圧器容量およびデマンド管理(最大需要電力)の計算」について解説します。
需要設備の需要率・不等率・負荷率・変圧器容量およびデマンド管理の攻略ポイント
電験3種の法規科目における計算問題(B問題中心、一部A問題)では、工場やビル等の自家用電気工作物における電気施設管理として、負荷設備の需要特性(需要率、不等率、負荷率)の算定や、これらに基づく受変電設備の所要容量・変圧器台数の決定、および30分デマンド時限に基づく最大需要電力(デマンド監視制御)の計算が極めて高い頻度で出題されます。
これらの問題は、電気理論や電力科目の送配電・変電分野とも密接に連動しており、公式の単なる暗記にとどまらず、各指標の物理的・工学的意味を正しく理解し、負荷曲線(日負荷曲線、月負荷曲線)から合成電力を正確に読み取る計算力が求められます。
特に、複数負荷群のピーク発生時刻のズレを表す「不等率」(常に $1.0$ 以上)、設備全体に対する最大利用割合を表す「需要率」(通常 $1.0$ 以下)、設備の稼働平準化度合いを示す「負荷率」(常に $1.0$ 以下)、力率を考慮した変圧器皮相容量($\text{kV}\cdot\text{A}$)の算出、および正時からの $30$ 分間における平均使用電力を目標値未満に抑えるための負荷遮断量の逆算などは、頻出の典型パターンです。
過去問の演習に先立ち、以下の4つの整理表で体系的に確認してください。
需要設備の基本特性指標の定義および関係式体系
自家用電気工作物の受変電設備計画および運用管理において用いられる、需要率、不等率、負荷率の定義、計算式、および数値範囲を整理した表です。
| 管理指標 | 定義および関係式 | 数値範囲 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 需要率($\text{Demand Factor}$) | $$\text{需要率 [\%]} = \frac{\text{最大需要電力 [kW]}}{\text{設備容量 [kW]}} \times 100$$ | 通常 $100\text{ \%}$ 以下($0 \sim 1$) | 設置された負荷設備が同時に最大でどれだけ稼働するかを表す割合です。すべてが同時に最大出力で使われることは稀であるため、通常は $100\text{ \%}$ 未満となります。 |
| 不等率($\text{Diversity Factor}$) | $$\text{不等率} = \frac{\sum(\text{各負荷の最大需要電力 [kW]})}{\text{合成最大需要電力 [kW]}}$$ | 常に $1.0$ 以上($\ge 1.0$) | 個々の負荷群で最大電力が現れる時刻(ピーク時刻)の分散度合いを表します。ピーク時刻が一致しないほど不等率は大きくなり、変電設備の必要容量を低減できます。 |
| 負荷率($\text{Load Factor}$) | $$\text{負荷率 [\%]} = \frac{\text{平均需要電力 [kW]}}{\text{最大需要電力 [kW]}} \times 100$$ | 常に $100\text{ \%}$ 以下($0 \sim 1$) | 設備が一定期間(日、月、年)においてどれだけ平準化されて稼働しているかを表します。負荷率が高いほどピークとボトムの差が小さく、設備利用効率が良好です。 |
| 電力量と平均電力 | $$\text{使用電力量 [kW}\cdot\text{h]} = \text{平均需要電力 [kW]} \times \text{対象時間 [h]}$$ | 正の実数 | 負荷曲線の下側の面積が総消費電力量となります。日負荷率では $24\text{ h}$、月負荷率($30$日の場合)では $720\text{ h}$ を乗じます。 |
不等率と合成最大需要電力および総合負荷率の関係
複数の負荷群(需要家群)を統合した変電所や受電端において成立する、合成最大需要電力および総合負荷率の導出関係式を整理した表です。
| 項目 | 計算式および導出関係 | ポイント |
|---|---|---|
| 合成最大需要電力($P_{\text{syn}}$) | $$P_{\text{syn}} = \frac{\sum P_{\max}}{\text{不等率}} = \frac{P_{\max,1} + P_{\max,2} + \cdots}{\text{不等率}}$$ | 各負荷のピーク値の単純合計を不等率で割ることで、変電所全体で供給すべき真の最大需要電力が求まります。グラフから各時間帯の合計値を求めて直接最大値を読み取る手法も多用されます。 |
| 総合負荷率($L_{\text{syn}}$) | $$L_{\text{syn}} = \frac{\sum P_{\text{avg}}}{P_{\text{syn}}} \times 100 = \frac{\text{総需要電力量}}{\text{合成最大需要電力} \times T} \times 100$$ | 全負荷の平均電力の合計(総電力量を時間 $T$ で割った値)を合成最大需要電力で除して求めます。個々の負荷率に比べて総合負荷率は高くなる傾向があります。 |
| 不等率と各負荷率の連立関係 | $$L_{\text{syn}} = \frac{\sum(P_{\max,i} \times L_i)}{\sum P_{\max,i}} \times \text{不等率}$$ | 各負荷群の最大需要電力と負荷率が既知の場合、不等率を介して総合負荷率を算定できる重要公式です。 |
変圧器所要容量および力率改善・台数算定の要領
需要設備の最大電力から受電変圧器の必要容量($\text{kV}\cdot\text{A}$)および必要台数を決定する際の手順と計算式を整理した表です。
| 計算項目 | 適用計算式 | ポイント |
|---|---|---|
| 最大有効電力($P_{\max}$) | $$P_{\max} = \text{設備容量合計 [kW]} \times \text{需要率}$$ | 複数負荷群がある場合は、各群の需要率を適用した後に不等率で除して合成最大有効電力を求めます。 |
| 必要皮相容量($S$) | $$S\text{ [kV}\cdot\text{A]} = \frac{P_{\max}\text{ [kW]}}{\cos\theta} = \sqrt{P_{\max}^2 + Q_{\max}^2}$$ | 変圧器の定格容量は皮相電力($\text{kV}\cdot\text{A}$)で規定されるため、負荷の総合力率 $\cos\theta$ で割る必要があります。各負荷の力率が異なる場合は有効電力と無効電力をベクトル合成します。 |
| 変圧器の必要台数($N$) | $$N \ge \frac{S\text{ [kV}\cdot\text{A]}}{\text{単基定格容量 [kV}\cdot\text{A]}}$$ | 計算値以上の最小の整数(切り上げ)を選定します。変圧器に過負荷耐量を見込まない限り、端数は必ず切り上げとなります。 |
デマンド管理(最大需要電力の制御)の仕組みと計算手順
高圧需要家の契約電力決定基準となる $30$ 分デマンド監視制御の原理、許容電力量、および目標達成のための負荷遮断量算定手順を整理した表です。
| 管理項目 | 算定式および定義 | ポイント |
|---|---|---|
| デマンド時限と最大需要電力 | 毎時 $00$ 分 $\sim 30$ 分、および $30$ 分 $\sim 60$ 分の各 $30$ 分間における平均使用電力 [$\text{kW}$] | デマンド値は瞬時電力ではなく、$30$ 分間の積算電力量 [$\text{kW}\cdot\text{h}$] を $0.5\text{ h}$ で割った平均電力です。 |
| $30$分間の許容電力量($W_{\text{limit}}$) | $$W_{\text{limit}}\text{ [kW}\cdot\text{h]} = P_{\text{target}}\text{ [kW]} \times \frac{30}{60}\text{ h} = 0.5 P_{\text{target}}$$ | 目標最大需要電力が $300\text{ kW}$ の場合、$30$ 分間の使用電力量を $150\text{ kW}\cdot\text{h}$ 未満に抑える必要があります。 |
| 超過予測と負荷遮断計算 | $$W_1\text{ (経過分)} + P_2 \times \Delta t_2\text{ (残時間)} \le W_{\text{limit}}$$ | 時限の途中(例えば $20$ 分経過時点)で積算電力量が予測線を超過する場合、残りの時間($10$ 分間)における使用電力を大幅に引き下げる(負荷を遮断する)必要があります。 |
【令和5年上期・問10】最大需要電力(デマンド管理)の抑制と負荷遮断台数の計算
ある工場のある日の $9$ 時 $00$ 分からの電力推移がグラフのとおりであった。
この工場では日頃から最大需要電力(正時からの $30$ 分間ごとの平均使用電力のことをいう。以下同じ。)を $300\text{ kW}$ 未満に抑えるように負荷を管理しているが、その負荷の中で、換気用のファン(全て $5.5\text{ kW}$)は最大 $8$ 台まで停止する運用を行っている。この日 $9$ 時 $00$ 分からファンは $10$ 台運転しているが、このままだと $9$ 時 $00$ 分からの最大需要電力が $300\text{ kW}$ 以上になりそうなので、$9$ 時 $20$ 分から $9$ 時 $30$ 分の間、ファンを何台かと、その他の負荷を $10\text{ kW}$ 分だけ停止することにした。
ファンは最低何台停止させる必要があるか、次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
なお、この工場の負荷は全て管理されており、負荷の増減は無いものとする。
[電力推移の概要]
・$9$ 時 $00$ 分から $9$ 時 $20$ 分までの電力は $310\text{ kW}$ で一定。
・何ら対策を行わない場合、$9$ 時 $20$ 分から $9$ 時 $30$ 分までの電力も $310\text{ kW}$ で推移する。
(1) 0
(2) 2
(3) 4
(4) 6
(5) 8
解説
正解は(3)です。
本問は、電力のデマンド監視制御(最大需要電力の抑制管理)に関する実務計算問題です。
最大需要電力とは、正時($00$分)からの $30$ 分間における平均使用電力を指します。したがって、$9$ 時 $00$ 分から $9$ 時 $30$ 分までの $30$ 分間($0.5\text{ h}$)において、平均電力を $300\text{ kW}$ 未満に抑えるための許容総電力量 $W_{\text{limit}}$ は次のようになります。
$$W_{\text{limit}} < 300\text{ kW} \times \frac{30}{60}\text{ h} = 150\text{ kW}\cdot\text{h}$$
グラフより、$9$ 時 $00$ 分から $9$ 時 $20$ 分までの $20$ 分間($\dfrac{20}{60}\text{ h} = \dfrac{1}{3}\text{ h}$)は電力が $310\text{ kW}$ で一定稼働していたため、この間にすでに消費された電力量 $W_1$ は、
$$W_1 = 310\text{ kW} \times \frac{20}{60}\text{ h} = \frac{310}{3} \approx 103.333\text{ kW}\cdot\text{h}$$
したがって、残りの $9$ 時 $20$ 分から $9$ 時 $30$ 分までの $10$ 分間($\dfrac{10}{60}\text{ h} = \dfrac{1}{6}\text{ h}$)に消費できる許容電力量 $W_2$ は、
$$W_2 < W_{\text{limit}} - W_1 = 150 - \frac{310}{3} = \frac{140}{3} \approx 46.667\text{ kW}\cdot\text{h}$$
この $10$ 分間における工場の平均電力 $P_2$ の上限値は、
$$P_2 = \frac{W_2}{\frac{10}{60}\text{ h}} = \frac{\frac{140}{3}}{\frac{1}{6}} = \frac{140}{3} \times 6 = 280\text{ kW}$$
となり、$280\text{ kW}$ 未満に抑える必要があります。
対策前の電力は $310\text{ kW}$ であるため、この $10$ 分間に削減すべき総電力 $\Delta P$ は、
$$\Delta P > 310 - 280 = 30\text{ kW}$$
となります。
このうち、その他の負荷により $10\text{ kW}$ を停止することが決定しているため、換気用ファンにより削減すべき電力 $\Delta P_{\text{fan}}$ は、
$$\Delta P_{\text{fan}} > 30 - 10 = 20\text{ kW}$$
となります。
換気用ファンは $1$ 台当たり $5.5\text{ kW}$ であるため、停止させるファンの台数を $n$ 台とすると、
$$n \times 5.5 > 20$$
$$n > \frac{20}{5.5} \approx 3.636$$
ファンは整数台で停止させる必要があるため、最低限停止させるべき台数は $4$ 台となります。
($4$ 台停止した場合の削減電力は $4 \times 5.5 = 22\text{ kW}$ となり、総削減量は $22 + 10 = 32\text{ kW}$。このときの電力は $310 - 32 = 278\text{ kW} \le 280\text{ kW}$ となり、平均需要電力は $\dfrac{310 \times 20 + 278 \times 10}{30} = 299.33\text{ kW} < 300\text{ kW}$ を満たします)。
各選択肢の検討:
(1) $0$ 台では削減量が $10\text{ kW}$ のみとなり、需要電力は $306.67\text{ kW} \ge 300\text{ kW}$ となり不可です。
(2) $2$ 台では削減量が $2 \times 5.5 + 10 = 21\text{ kW}$(電力 $289\text{ kW}$)となり、需要電力は $303\text{ kW} \ge 300\text{ kW}$ となり不可です。
(3) $4$ 台停止することにより需要電力は $299.33\text{ kW} < 300\text{ kW}$ となり、条件を満たす最小台数として正しいです。
(4) $6$ 台でも条件は満たしますが、最低台数ではないため誤りです。
(5) $8$ 台でも条件は満たしますが、最低台数ではないため誤りです。
したがって、正しいものは(3)となります。
【令和5年上期・問11、平成26年・問12】A工場およびB工場の合成負荷曲線に基づく需要率および総合負荷率の計算
ある事業所内におけるA工場及びB工場の、それぞれのある日の負荷曲線は図のようであった。それぞれの工場の設備容量が、A工場では $400\text{ kW}$、B工場では $700\text{ kW}$ であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
[時間帯別の需要電力推移]
| 時刻[時] | A工場の需要電力[kW] | B工場の需要電力[kW] | 合成需要電力[kW] |
|---|---|---|---|
| $0 \sim 6$ | $100$ | $600$ | $700$ |
| $6 \sim 12$ | $300$ | $200$ | $500$ |
| $12 \sim 18$ | $200$ | $400$ | $600$ |
| $18 \sim 24$ | $200$ | $500$ | $700$ |
(a) A工場及びB工場を合わせた需要率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 54.5
(2) 56.8
(3) 63.6
(4) 89.3
(5) 90.4
(b) A工場及びB工場を合わせた総合負荷率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 56.8
(2) 63.6
(3) 78.1
(4) 89.3
(5) 91.6
解説
(a)の正解は(3)、(b)の正解は(4)です。
本問は、日負荷曲線から合成最大需要電力および平均需要電力を読み取り、事業所全体の需要率および総合負荷率を導出する計算問題です。
(a)の計算:
需要率の定義式は、
$$\text{需要率} = \frac{\text{合成最大需要電力}}{\text{設備容量の合計}} \times 100\text{ [\%]}$$
です。
設備容量の合計は、
$$\text{設備容量合計} = 400 + 700 = 1\,100\text{ kW}$$
です。
各時間帯におけるA工場とB工場の需要電力を合算すると、
・$0 \sim 6$ 時:$100 + 600 = 700\text{ kW}$
・$6 \sim 12$ 時:$300 + 200 = 500\text{ kW}$
・$12 \sim 18$ 時:$200 + 400 = 600\text{ kW}$
・$18 \sim 24$ 時:$200 + 500 = 700\text{ kW}$
となり、合成最大需要電力 $P_{\text{syn},\max}$ は $700\text{ kW}$($0 \sim 6$ 時および $18 \sim 24$ 時)となります。
したがって、A工場及びB工場を合わせた需要率は、
$$\text{需要率} = \frac{700}{1\,100} \times 100 \approx 63.636\text{ [\%]} \rightarrow 63.6\text{ \%}$$
となります。
(b)の計算:
総合負荷率の定義式は、
$$\text{総合負荷率} = \frac{\text{平均需要電力}}{\text{合成最大需要電力}} \times 100\text{ [\%]}$$
です。
$1$ 日($24$時間)における総消費電力量 $W$ は、各時間帯(それぞれ $6$ 時間)の合成電力量の合計として求まります。
$$W = (700 \times 6) + (500 \times 6) + (600 \times 6) + (700 \times 6)$$
$$W = 6 \times (700 + 500 + 600 + 700) = 6 \times 2\,500 = 15\,000\text{ kW}\cdot\text{h}$$
したがって、$1$ 日の平均需要電力 $P_{\text{avg}}$ は、
$$P_{\text{avg}} = \frac{W}{24\text{ h}} = \frac{15\,000}{24} = 625\text{ kW}$$
となります。
合成最大需要電力は(a)で求めた $700\text{ kW}$ であるため、総合負荷率は次のように求まります。
$$\text{総合負荷率} = \frac{625}{700} \times 100 \approx 89.286\text{ [\%]} \rightarrow 89.3\text{ \%}$$
各選択肢の検討:
(a)について:
(1) $54.5\text{ \%}$ は設備容量 $1\,100\text{ kW}$ に対して $600\text{ kW}$ とした場合の誤りです。
(2) $56.8\text{ \%}$ は後述の負荷率の数値との混同であり誤りです。
(3) $63.6\text{ \%}$ であり、計算結果と一致し正しいです。
(4) $89.3\text{ \%}$ は負荷率の値であり誤りです。
(5) $90.4\text{ \%}$ は誤りです。
(b)について:
(1) $56.8\text{ \%}$ は誤りです。
(2) $63.6\text{ \%}$ は需要率の値であり誤りです。
(3) $78.1\text{ \%}$ は誤りです。
(4) $89.3\text{ \%}$ であり、計算結果と一致し正しいです。
(5) $91.6\text{ \%}$ は誤りです。
したがって、(a)は(3)、(b)は(4)となります。
【令和4年上期・問12】高圧受電需要家の需要率・総合力率に基づく変圧器所要台数および月間総消費電力量の計算
負荷設備の容量が $800\text{ kW}$、需要率が $70\text{ \%}$、総合力率が $90\text{ \%}$ である高圧受電需要家について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、この需要家の負荷は低圧のみであるとし、変圧器の損失は無視するものとする。
(a) この需要負荷設備に対し $100\text{ kV}\cdot\text{A}$ の変圧器、複数台で電力を供給する。この場合、変圧器の必要最小限の台数として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 5
(2) 6
(3) 7
(4) 8
(5) 9
(b) この負荷の月負荷率を $60\text{ \%}$ とするとき、負荷の月間総消費電力量の値[$\text{MW}\cdot\text{h}$]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、1カ月の日数は $30$ 日とする。
(1) 218
(2) 242
(3) 265
(4) 270
(5) 284
解説
(a)の正解は(3)、(b)の正解は(2)です。
本問は、需要率と総合力率から最大皮相電力を求めて変圧器の台数を決定し、さらに月負荷率から月間総消費電力量を導出する実務計算問題です。
(a)の計算:
負荷設備の設備容量が $800\text{ kW}$、需要率が $70\text{ \%}$($= 0.70$)であるため、この需要家の最大需要電力(有効電力の最大値)$P_{\max}$ は、
$$P_{\max} = 800 \times 0.70 = 560\text{ kW}$$
となります。
変圧器の容量は皮相電力[$\text{kV}\cdot\text{A}$]で表されるため、総合力率 $\cos\theta = 90\text{ \%} = 0.90$ を考慮した最大皮相電力 $S_{\max}$ を求めます。
$$S_{\max} = \frac{P_{\max}}{\cos\theta} = \frac{560}{0.90} \approx 622.22\text{ kV}\cdot\text{A}$$
変圧器 $1$ 台の定格容量は $100\text{ kV}\cdot\text{A}$ であるため、必要台数 $N$ は、
$$N \ge \frac{S_{\max}}{100} = \frac{622.22}{100} = 6.222$$
変圧器の台数は整数でなければならず、過負荷を避けるため切り上げが必要となるので、必要最小限の台数は $7$ 台となります。
(b)の計算:
月負荷率が $60\text{ \%}$($= 0.60$)であるため、月間の平均需要電力 $P_{\text{avg}}$ は、
$$P_{\text{avg}} = P_{\max} \times 0.60 = 560 \times 0.60 = 336\text{ kW}$$
となります。
$1$ カ月の日数は $30$ 日であるため、総時間数は $30\text{ 日} \times 24\text{ h/日} = 720\text{ h}$ です。
したがって、月間総消費電力量 $W$ は次のように求まります。
$$W = P_{\text{avg}} \times 720\text{ h} = 336\text{ kW} \times 720\text{ h} = 241\,920\text{ kW}\cdot\text{h}$$
単位を $[\text{MW}\cdot\text{h}]$ に換算すると、$1\text{ MW}\cdot\text{h} = 10^3\text{ kW}\cdot\text{h}$ より、
$$W = \frac{241\,920}{10^3} \approx 241.92\text{ [MW}\cdot\text{h]} \rightarrow 242\text{ MW}\cdot\text{h}$$
となります。
各選択肢の検討:
(a)について:
(1) $5$ 台($500\text{ kV}\cdot\text{A}$)では $P_{\max} = 560\text{ kW}$ に対しても不足し不可です。
(2) $6$ 台($600\text{ kV}\cdot\text{A}$)では力率を考慮しない有効電力基準($560\text{ kW}$)のみで判断した誤答であり、皮相電力 $622.22\text{ kV}\cdot\text{A}$ に対して過負荷となるため不可です。
(3) $7$ 台($700\text{ kV}\cdot\text{A}$)で容量を満たし正解です。
(4) $8$ 台、(5) $9$ 台は容量は満たしますが、最小限の台数ではないため誤りです。
(b)について:
(1) $218\text{ MW}\cdot\text{h}$ は誤りです。
(2) $242\text{ MW}\cdot\text{h}$ であり、計算値と一致し正しいです。
(3) $265\text{ MW}\cdot\text{h}$ は誤りです。
(4) $270\text{ MW}\cdot\text{h}$ は誤りです。
(5) $284\text{ MW}\cdot\text{h}$ は誤りです。
したがって、(a)は(3)、(b)は(2)となります。
【令和3年・問13】3需要家の設備容量・需要率・負荷率・不等率に基づく総需要電力量および変電所総合負荷率の計算
需要家A~Cにのみ電力を供給している変電所がある。
各需要家の設備容量と、ある1日($0 \sim 24$時)の需要率、負荷率及び需要家A~Cの不等率を表に示す値とする。表の記載に基づき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
| 需要家 | 設備容量[kW] | 需要率[%] | 負荷率[%] | 不等率 |
|---|---|---|---|---|
| A | $800$ | $55$ | $50$ | $1.25$ |
| B | $500$ | $60$ | $70$ | |
| C | $600$ | $70$ | $60$ |
(a) 3需要家A~Cの1日の需要電力量を合計した総需要電力量の値[$\text{kW}\cdot\text{h}$]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 10 480
(2) 16 370
(3) 20 460
(4) 26 650
(5) 27 840
(b) 変電所から見た総合負荷率の値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、送電損失、需要家受電設備損失は無視するものとする。
(1) 42
(2) 59
(3) 62
(4) 73
(5) 80
解説
(a)の正解は(2)、(b)の正解は(4)です。
本問は、複数の需要家の需要率・負荷率から各需要家の平均電力と総電力量を算定し、さらに不等率を用いて変電所の合成最大電力と総合負荷率を導出する総合計算問題です。
(a)の計算:
各需要家の最大需要電力 $P_{\max}$ は、設備容量に需要率を乗じて求まります。
・需要家A:$P_{\max,\text{A}} = 800 \times 0.55 = 440\text{ kW}$
・需要家B:$P_{\max,\text{B}} = 500 \times 0.60 = 300\text{ kW}$
・需要家C:$P_{\max,\text{C}} = 600 \times 0.70 = 420\text{ kW}$
次に、各需要家の平均需要電力 $P_{\text{avg}}$ は、最大需要電力に負荷率を乗じて求まります。
・需要家A:$P_{\text{avg},\text{A}} = 440 \times 0.50 = 220\text{ kW}$
・需要家B:$P_{\text{avg},\text{B}} = 300 \times 0.70 = 210\text{ kW}$
・需要家C:$P_{\text{avg},\text{C}} = 420 \times 0.60 = 252\text{ kW}$
$3$ 需要家の平均需要電力の合計 $P_{\text{avg,total}}$ は、
$$P_{\text{avg,total}} = 220 + 210 + 252 = 682\text{ kW}$$
となります。
したがって、$1$ 日($24$時間)における総需要電力量 $W$ は、
$$W = P_{\text{avg,total}} \times 24\text{ h} = 682 \times 24 = 16\,368\text{ [kW}\cdot\text{h]} \rightarrow 16\,370\text{ kW}\cdot\text{h}$$
となります。
(b)の計算:
変電所から見た合成最大需要電力 $P_{\text{syn},\max}$ は、各需要家の最大需要電力の和を不等率で割ることで求まります。
各需要家の最大需要電力の和は、
$$\sum P_{\max} = 440 + 300 + 420 = 1\,160\text{ kW}$$
不等率は $1.25$ であるため、
$$P_{\text{syn},\max} = \frac{1\,160}{1.25} = 928\text{ kW}$$
となります。
変電所の総合負荷率は、全需要家の平均電力合計を合成最大需要電力で割って算出します。
$$\text{総合負荷率} = \frac{P_{\text{avg,total}}}{P_{\text{syn},\max}} \times 100 = \frac{682}{928} \times 100 \approx 73.49\text{ [\%]} \rightarrow 73\text{ \%}$$
各選択肢の検討:
(a)について:
(1) $10\,480\text{ kW}\cdot\text{h}$ は誤りです。
(2) $16\,370\text{ kW}\cdot\text{h}$ であり、計算値と一致し正しいです。
(3) $20\,460\text{ kW}\cdot\text{h}$ は誤りです。
(4) $26\,650\text{ kW}\cdot\text{h}$ は誤りです。
(5) $27\,840\text{ kW}\cdot\text{h}$ は最大電力をそのまま $24$ 時間稼働させた場合の電力量($1\,160 \times 24 = 27\,840$)であり誤りです。
(b)について:
(1) $42\text{ \%}$ は誤りです。
(2) $59\text{ \%}$ は合成最大電力ではなく各最大電力の和($1\,160\text{ kW}$)で割った値($682 / 1\,160 \approx 58.8\text{ \%}$)であり誤りです。
(3) $62\text{ \%}$ は各需要家の負荷率の単純平均($(50+70+60)/3 = 60\text{ \%}$)等に基づく誤答です。
(4) $73\text{ \%}$ であり、計算値と一致し正しいです。
(5) $80\text{ \%}$ は誤りです。
したがって、(a)は(2)、(b)は(4)となります。
【平成23年・問12】日負荷特性を有する3負荷群の合成最大需要電力・不等率および最大負荷時総合力率の計算
ある変電所において、図のような日負荷特性を有する三つの負荷群 A, B 及び C に電力を供給している。この変電所に関して、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、負荷群A、B及びCの最大電力は、それぞれ $6\,500\text{ kW}$、$4\,000\text{ kW}$ 及び $2\,000\text{ kW}$ とし、また、負荷群A、B及びCの力率は時間に関係なく一定で、それぞれ $100\text{ \%}$、$80\text{ \%}$ 及び $60\text{ \%}$ とする。
[時間帯別の各負荷群の需要電力推移]
| 時刻[時] | 負荷群A[kW](力率 $100\text{ \%}$) | 負荷群B[kW](力率 $80\text{ \%}$) | 負荷群C[kW](力率 $60\text{ \%}$) | 合成電力[kW] |
|---|---|---|---|---|
| $0 \sim 8$ | $1\,000$ | $3\,500$ | $1\,000$ | $5\,500$ |
| $8 \sim 12$ | $6\,500$ | $3\,500$ | $1\,000$ | $11\,000$ |
| $12 \sim 14$ | $3\,000$ | $3\,000$ | $1\,000$ | $7\,000$ |
| $14 \sim 16$ | $6\,000$ | $4\,000$ | $2\,000$ | $12\,000$ |
| $16 \sim 20$ | $6\,000$ | $4\,000$ | $1\,000$ | $11\,000$ |
| $20 \sim 24$ | $1\,000$ | $3\,500$ | $1\,000$ | $5\,500$ |
(a) 不等率の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 0.98
(2) 1.00
(3) 1.02
(4) 1.04
(5) 1.06
(b) 最大負荷時における総合力率[%]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 86.9
(2) 87.7
(3) 90.4
(4) 91.1
(5) 94.1
解説
(a)の正解は(4)、(b)の正解は(3)です。
本問は、日負荷特性から合成最大電力を求めて不等率を算定し、さらに最大負荷時における各負荷の無効電力をベクトル合成して総合力率を導出する応用計算問題です。
(a)の計算:
不等率の定義式は、
$$\text{不等率} = \frac{\text{各負荷群の最大需要電力の和}}{\text{合成最大需要電力}}$$
です。
問題文より、各負荷群の個別の最大電力は、
・負荷群A:$P_{\max,\text{A}} = 6\,500\text{ kW}$($8 \sim 12$時)
・負荷群B:$P_{\max,\text{B}} = 4\,000\text{ kW}$($14 \sim 20$時)
・負荷群C:$P_{\max,\text{C}} = 2\,000\text{ kW}$($14 \sim 16$時)
であり、その総和は、
$$\sum P_{\max} = 6\,500 + 4\,000 + 2\,000 = 12\,500\text{ kW}$$
となります。
一方、各時間帯の合成有効電力を比較すると、
・$8 \sim 12$ 時:$6\,500 + 3\,500 + 1\,000 = 11\,000\text{ kW}$
・$14 \sim 16$ 時:$6\,000 + 4\,000 + 2\,000 = 12\,000\text{ kW}$
・$16 \sim 20$ 時:$6\,000 + 4\,000 + 1\,000 = 11\,000\text{ kW}$
となり、$14 \sim 16$ 時において変電所全体の合成電力は最大値 $P_{\text{syn},\max} = 12\,000\text{ kW}$ となります。
したがって、不等率は次のように求まります。
$$\text{不等率} = \frac{12\,500}{12\,000} \approx 1.0417 \rightarrow 1.04$$
(b)の計算:
最大負荷時($14 \sim 16$時)における総合力率を求めるため、この時間帯の合成有効電力 $P$ と合成遅れ無効電力 $Q$ を求めます。
合成有効電力 $P$ は、
$$P = 6\,000 + 4\,000 + 2\,000 = 12\,000\text{ kW}$$
各負荷群の無効電力 $Q$ は、$Q = P \tan\theta = P \times \dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}$ より算出します。
・負荷群A($\cos\theta_{\text{A}} = 1.0$、$\sin\theta_{\text{A}} = 0$):
$$Q_{\text{A}} = 6\,000 \times \frac{0}{1.0} = 0\text{ kvar}$$
・負荷群B($\cos\theta_{\text{B}} = 0.8$、$\sin\theta_{\text{B}} = \sqrt{1 - 0.8^2} = 0.6$):
$$Q_{\text{B}} = 4\,000 \times \frac{0.6}{0.8} = 3\,000\text{ kvar}$$
・負荷群C($\cos\theta_{\text{C}} = 0.6$、$\sin\theta_{\text{C}} = \sqrt{1 - 0.6^2} = 0.8$):
$$Q_{\text{C}} = 2\,000 \times \frac{0.8}{0.6} = \frac{8\,000}{3} \approx 2\,666.67\text{ kvar}$$
最大負荷時における合計無効電力 $Q$ は、
$$Q = 0 + 3\,000 + \frac{8\,000}{3} = \frac{17\,000}{3} \approx 5\,666.67\text{ kvar}$$
となります。
したがって、最大負荷時における合成皮相電力 $S$ は、三平方の定理より、
$$S = \sqrt{P^2 + Q^2} = \sqrt{12\,000^2 + \left(\frac{17\,000}{3}\right)^2}$$
$$S = \sqrt{144\,000\,000 + 32\,111\,111} = \sqrt{176\,111\,111} \approx 13\,270.69\text{ kV}\cdot\text{A}$$
となります。
最大負荷時における総合力率は、有効電力を皮相電力で除して求まります。
$$\text{総合力率} = \frac{P}{S} \times 100 = \frac{12\,000}{13\,270.69} \times 100 \approx 90.425\text{ [\%]} \rightarrow 90.4\text{ \%}$$
各選択肢の検討:
(a)について:
(1) $0.98$ は不等率が $1.0$ 未満となることはないため明らかに誤りです。
(2) $1.00$ はピークが完全に一致した場合の値であり誤りです。
(3) $1.02$ は誤りです。
(4) $1.04$ であり、計算結果と一致し正しいです。
(5) $1.06$ は誤りです。
(b)について:
(1) $86.9\text{ \%}$ は誤りです。
(2) $87.7\text{ \%}$ は誤りです。
(3) $90.4\text{ \%}$ であり、計算結果と一致し正しいです。
(4) $91.1\text{ \%}$ は誤りです。
(5) $94.1\text{ \%}$ は誤りです。
したがって、(a)は(4)、(b)は(3)となります。
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