電験3種(法規)の頻出問題である「低圧・高圧架空引込線および連接引込線の施設基準」について解説します。
低圧・高圧架空引込線および連接引込線の施の攻略ポイント
電験3種の法規科目において、架空引込線および連接引込線に関する出題は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$1$条(用語の定義)をはじめ、「電気設備の技術基準の解釈」第$1$条(用語の定義)、第$116$条(低圧架空引込線の施設)、第$117$条(高圧架空引込線等の施設)、第$118$条(特別高圧架空引込線の施設)、第$119$条(連接引込線の施設)などから頻繁に出題されます。
出題形式は条文中の重要語句や数値を問う空欄補充問題が中心です。特に、工作物・造営物・建造物の関係、電気使用場所と需要場所の違い、引込線・架空引込線・連接引込線の定義と起点・終点(取付け点や引込口)、低圧引込線の電線太さと径間緩和($15\text{ m}$ 以下で $2.0\text{ mm}$)、道路横断時の路面上高さと緩和条件($5\text{ m}$ から $3\text{ m}$)、高圧引込線の電線太さ($5\text{ mm}$ 以上)と引下げ用高圧絶縁電線(PDC)、高圧の地上高緩和($3.5\text{ m}$ 以上)と下方の危険表示、連接引込線の制限事項(低圧限定、$100\text{ m}$ 制限、幅 $5\text{ m}$ を超える道路の横断禁止、屋内貫通禁止)などは、試験で繰り返し問われる最重要項目です。
過去問の演習に先立ち、以下の4つの整理表で体系的に確認してください。

用語の定義および引込線の概念区分
電気設備の技術基準の解釈第$1$条および省令第$1$条に基づく、電気工作物周辺の空間・場所に関する基本用語と、各種引込線の定義および区分を整理した表です。
| 用語 | 規定内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 工作物 | 人により加工された全ての物体 | 建築物、電柱、鉄塔、煙突、塀、門など人の手によって加工・製作された物体全般を包括する最上位の広義概念です。 |
| 造営物 | 工作物のうち、土地に定着するものであって、屋根及び柱又は壁を有するもの | 工作物の下位概念であり、一般の建屋、工場、倉庫、カーポートなどが該当します。「土地に定着」「屋根及び柱又は壁」が要件です。 |
| 建造物 | 造営物のうち、人が居住し、若しくは勤務し、又は頻繁に出入り若しくは来集するもの | 造営物の下位概念であり、住宅、事務所、商業施設、学校、病院などが該当します。包含関係は「工作物 > 造営物 > 建造物」となります。 |
| 電気使用場所 | 電気を使用するための電気設備を施設した、1の建物又は1の単位をなす場所 | 具体的に負荷機器(照明、コンセント、電動機等)が設置され電気エネルギーを消費する建屋・区画そのものを指します。 |
| 需要場所 | 電気使用場所を含む1の構内又はこれに準ずる区域であって、発電所、変電所及び開閉所以外のもの | 電気使用場所を取り囲む敷地全体(敷地境界の内側)を指します。電気使用場所との主従関係(需要場所の中に電気使用場所が含まれる)が頻出です。 |
| 引込線 | 架空引込線及び需要場所の造営物(電気使用場所)の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るもの | 架空部分だけでなく、建物の外壁・側面等に施設されて引込口(計器や開閉器の手前)に至る電線全体を包括する総称です。 |
| 架空引込線 | 架空電線路の支持物から他の支持物を経ずに需要場所の取付け点に至る架空電線 | 配電線路の電柱から需要家の家屋等の受電点(取付け点)まで空中に架設される電線です。「他の需要場所」ではなく「他の支持物を経ずに」が正解です。 |
| 連接引込線 | 引込線のうち一需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の取付け点に至る部分の電線 | 隣り合う家屋間で、電柱を介さずに建物の取付け点から別の建物の取付け点へ直接配線して受電する電線です。低圧に限定されます。 |
低圧架空引込線の電線仕様および地上高要件
電気設備の技術基準の解釈第$116$条に基づく、低圧架空引込線に使用する電線の機械的強度・太さ、径間短縮時の緩和要件、および横断箇所に応じた電線の高さ基準を整理した表です。
| 項目 | 規定内容 | 緩和要件および特例規定 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 電線の引張強さ・太さ | 引張強さ $2.30\text{ kN}$ 以上、又は硬銅線 直径 $2.6\text{ mm}$ 以上(ケーブルを除く) | 径間が $15\text{ m}$ 以下の場合は、引張強さ $1.38\text{ kN}$ 以上、又は硬銅線 直径 $2.0\text{ mm}$ 以上を使用可能 | 数値「$2.30\text{ kN}$」「$2.6\text{ mm}$」「$15\text{ m}$」「$1.38\text{ kN}$」「$2.0\text{ mm}$」の組合せが頻出です。引張強さ $2.30\text{ kN}$ は直径 $2.6\text{ mm}$、引張強さ $1.38\text{ kN}$ は直径 $2.0\text{ mm}$ に対応します。 |
| 道路横断時の路面上高さ | 路面上 $5\text{ m}$ 以上(車道と歩道の区別がある道路では車道上) | 技術上やむを得ない場合で交通に支障がないときは路面上 $3\text{ m}$ 以上(歩道上は $2.5\text{ m}$ 以上) | 原則 $5\text{ m}$、緩和 $3\text{ m}$(歩道 $2.5\text{ m}$)の数値が問われます。高圧架空引込線の道路横断(原則 $6\text{ m}$、交通支障なし $5\text{ m}$)と混同しないよう注意が必要です。 |
| 鉄道・軌道横断時の高さ | レール面上 $5.5\text{ m}$ 以上 | 緩和規定なし | 鉄道横断時の高さは低圧・高圧・特別高圧を問わず共通してレール面上 $5.5\text{ m}$ 以上です。 |
| 横断歩道橋上の高さ | 路面上 $3\text{ m}$ 以上 | 絶縁電線又はケーブルを使用する場合は路面上 $3\text{ m}$ 以上 | 歩行者が手を触れない高さを維持する必要があります。 |
| その他の場所の高さ | 地表上 $4\text{ m}$ 以上 | 技術上やむを得ない場合で交通に支障がないときは地表上 $2.5\text{ m}$ 以上 | 私道や空地などの一般敷地における最低地上高です。 |
高圧架空引込線の施設基準および地上高緩和・危険表示要件
電気設備の技術基準の解釈第$117$条に基づく、高圧架空引込線に使用する電線の種類、支持方法、地上高の原則および緩和基準を整理した表です。
| 項目 | 規定内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 使用可能な電線の種類 | ① 引張強さ $8.01\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 $5\text{ mm}$ 以上の硬銅線を使用する高圧絶縁電線若しくは特別高圧絶縁電線 ② 引下げ用高圧絶縁電線(PDC) ③ ケーブル |
電線の太さは直径「$5\text{ mm}$ 以上」、絶縁電線の種類は「引下げ用高圧絶縁電線」です。「引上げ用」や「直径 $4\text{ mm}$」とする誤りが頻出です。 |
| 絶縁電線の施設方法 | 電線が絶縁電線である場合は、がいし引き工事により施設すること | 高圧絶縁電線を使用する場合は十分な絶縁耐力と支持強度を確保するためがいし引き工事が必須です。 |
| 電線の高さ(原則) | 低高圧架空電線の規定(解釈第$87$条)に準拠: ・道路横断:$6\text{ m}$ 以上(交通に支障がないとき $5\text{ m}$ 以上) ・鉄道横断:$5.5\text{ m}$ 以上 ・横断歩道橋:$3.5\text{ m}$ 以上 ・その他:$5\text{ m}$ 以上 |
低圧引込線(道路横断 $5\text{ m}$、鉄道 $5.5\text{ m}$、その他 $4\text{ m}$)との数値の相違に留意します。 |
| 電線の高さ(特例緩和) | 次の2要件を満たす場合は、地表上 $3.5\text{ m}$ 以上とすることができる: ① 道路、鉄道・軌道、横断歩道橋を横断しないこと ② 電線がケーブル以外であるときは、その電線の下方に危険である旨の表示をすること |
緩和後の地上高は「$3.5\text{ m}$ 以上」であり、危険表示の位置は電線の「下方」です。「近傍」や「側方」、「$2.5\text{ m}$」とする誤答が極めて多く出題されます。 |
連接引込線の施設基準および制限事項
電気設備の技術基準の解釈第$119$条に基づく、連接引込線の施設制限要件(電圧種別、電線仕様、距離制限、道路横断制限、屋内貫通禁止)を整理した表です。
| 制限項目 | 規定内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 適用電圧の制限 | 低圧に限る(特別高圧及び高圧の連接引込線は施設不可) | 高圧や特別高圧で連接引込線を認めると事故波及や感電・火災危険が著しく増大するため、低圧受電に限定されています。 |
| 電線の太さ・強度 | 低圧架空引込線の規定(解釈第$116$条第$1$項)に準拠: 引張強さ $2.30\text{ kN}$ 以上又は直径 $2.6\text{ mm}$ 以上の硬銅線(径間 $15\text{ m}$ 以下は $1.38\text{ kN}$ 以上又は $2.0\text{ mm}$ 以上) |
架空引込線と同様の機械的強度および絶縁性能が求められます。 |
| 分岐点からの制限距離 | 引込線を取り付ける点から $100\text{ m}$ を超える区域に及ばないこと | 長距離にわたる連接受電は電圧降下の増大や保安責任分界の曖昧化を招くため、亘長 $100\text{ m}$ 以内に制限されます。「$50\text{ m}$」とする誤りに注意します。 |
| 道路横断の制限 | 幅 $5\text{ m}$ を超える道路を横断しないこと | 公道上の車両交通に対する保安を確保するため、幅 $5\text{ m}$ を超える道路の横断架設は禁止されています。横断する場合は正規の架空引込線として電柱から引き込みます。 |
| 屋内貫通の禁止 | 屋内を貫通して施設しないこと | 火災時の延焼防止および他人の専有部分通過による保安管理上のトラブルを防止するため、他家屋内を貫通配線することは厳格に禁止されています。 |
【令和7年上期・問6】低圧架空引込線の電線太さおよび径間緩和基準
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧架空引込線等の施設に関する記述である。
低圧架空引込線は、電線にケーブルを使用する場合を除き、引張強さ $2.30\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 (ア) $\text{mm}$ 以上の硬銅線を使用すること。ただし、径間が (イ) $\text{m}$ 以下の場合に限り、引張強さ $1.38\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 (ウ) $\text{mm}$ 以上の硬銅線を使用することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に記入する数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(1) (ア)2.6 (イ)15 (ウ)1.6
(2) (ア)2.6 (イ)15 (ウ)2.0
(3) (ア)3.2 (イ)20 (ウ)2.6
(4) (ア)4.0 (イ)50 (ウ)3.2
(5) (ア)5.0 (イ)50 (ウ)4.0
解説
正解は(2)です。
問題文の記述は、「電気設備技術基準の解釈」第$116$条(低圧架空引込線の施設)第$1$項第$1$号が根拠となっています。
電気設備の技術基準の解釈 第$116$条第$1$項において、次のように規定されています。
「第$116$条 低圧架空引込線は、次の各号により施設すること。
一 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ $2.30\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 $2.6\text{ mm}$ 以上の硬銅線であること。ただし、径間が $15\text{ m}$ 以下の場合は、引張強さ $1.38\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 $2\text{ mm}$ 以上の硬銅線を使用することができる。」
低圧架空引込線は風圧荷重や電線自重に耐えるため、原則として引張強さ $2.30\text{ kN}$ 以上(硬銅線では直径 $2.6\text{ mm}$ 以上)の機械的強度を有する電線を使用しなければなりません。ただし、電柱から建物までの径間(スパン長)が $15\text{ m}$ 以下と比較的短い場合には、電線にかかる張力が小さいため基準が緩和され、引張強さ $1.38\text{ kN}$ 以上(硬銅線では直径 $2.0\text{ mm}$ 以上)の細い電線を使用することが認められています。
【令和6年上期・問6】高圧架空引込線の電線種類・太さおよび地上高緩和要件
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧架空引込線の施設に関する記述の一部である。
a) 電線は、次のいずれかのものであること。
① 引張強さ $8.01\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 (ア) $\text{mm}$ 以上の硬銅線を使用する、高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線
② (イ) 用高圧絶縁電線
③ ケーブル
b) 電線が絶縁電線である場合は、がいし引き工事により施設すること。
c) 電線の高さは、「低高圧架空電線の高さ」の規定に準じること。ただし、次に適合する場合は、地表上 (ウ) $\text{m}$ 以上とすることができる。
① 次の場合以外であること。
・道路を横断する場合
・鉄道又は軌道を横断する場合
・横断歩道橋の上に施設する場合
② 電線がケーブル以外のものであるときは、その電線の (エ) に危険である旨の表示をすること。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) (ア)5 (イ)引下げ (ウ)2.5 (エ)下方
(2) (ア)4 (イ)引下げ (ウ)3.5 (エ)近傍
(3) (ア)4 (イ)引上げ (ウ)2.5 (エ)近傍
(4) (ア)5 (イ)引下げ (ウ)3.5 (エ)下方
(5) (ア)5 (イ)引上げ (ウ)5 (エ)下方
解説
正解は(4)です。
問題文の記述は、「電気設備技術基準の解釈」第$117$条(高圧架空引込線等の施設)第$1$項が根拠となっています。
電気設備の技術基準の解釈 第$117$条第$1$項において、次のように規定されています。
「第$117$条 高圧架空引込線は、次の各号により施設すること。
一 電線は、次のいずれかのものであること。
イ 引張強さ $8.01\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 $5\text{ mm}$ 以上の硬銅線を使用する、高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線
ロ 引下げ用高圧絶縁電線
ハ ケーブル
二 電線が絶縁電線である場合は、がいし引き工事により施設すること。
三 電線の高さは、第$87$条の規定に準じること。ただし、次のいずれにも適合する場合は、地表上 $3.5\text{ m}$ 以上とすることができる。
イ 道路、鉄道又は軌道及び横断歩道橋を横断しないこと。
ロ 電線がケーブル以外のものであるときは、その電線の下方に危険である旨の表示をすること。」
高圧架空引込線に使用する電線は、高圧本線と同様に機械的強度として引張強さ $8.01\text{ kN}$ 以上又は直径 $5\text{ mm}$ 以上の硬銅線を用いた絶縁電線、あるいは機器引下げ専用に設計された引下げ用高圧絶縁電線(PDC)、ケーブルのいずれかでなければなりません。電線の高さは原則として低高圧架空電線基準(一般の場所で地表上 $5\text{ m}$ 以上)に準じますが、道路や鉄道等を横断せず公衆に危害を及ぼすおそれが少ない構内・私有地等において、電線の下方に通行者から見えやすいよう危険標識を掲示する措置を講じた場合には、地表上 $3.5\text{ m}$ 以上まで緩和することが認められています。
【令和2年・問7】引込線・架空引込線・連接引込線の用語の定義
次の文章は、「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく引込線に関する記述である。
a)引込線とは、(ア)及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の(イ)に至るもの
b)(ア)とは、架空電線路の支持物から(ウ)を経ずに需要場所の(エ)に至る架空電線
c)(オ)とは、引込線のうち一需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の(エ)に至る部分の電線
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) (ア)架空引込線 (イ)引込口 (ウ)他の需要場所 (エ)取付け点 (オ)連接引込線
(2) (ア)連接引込線 (イ)引込口 (ウ)他の需要場所 (エ)取付け点 (オ)架空引込線
(3) (ア)架空引込線 (イ)引込口 (ウ)他の支持物 (エ)取付け点 (オ)連接引込線
(4) (ア)連接引込線 (イ)取付け点 (ウ)他の需要場所 (エ)引込口 (オ)架空引込線
(5) (ア)架空引込線 (イ)取付け点 (ウ)他の支持物 (エ)引込口 (オ)連接引込線
解説
正解は(3)です。
問題文の記述は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$1$条第$1$項第$7$号・第$8$号、および「電気設備の技術基準の解釈」第$1$条第$1$項第$3$号が根拠となっています。
法令において各用語は次のように定義されています。
省令第$1$条第$1$項第$7$号(引込線):
「「引込線」とは、架空引込線及び需要場所の造営物の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るものをいう。」
省令第$1$条第$1$項第$8$号(架空引込線):
「「架空引込線」とは、架空電線路の支持物から他の支持物を経ずに需要場所の取付け点に至る架空電線をいう。」
解釈第$1$条第$1$項第$3$号(連接引込線):
「「連接引込線」とは、引込線のうち一需要場所の引込線から分岐して、支持物を経ないで他の需要場所の取付け点に至る部分の電線をいう。」
各用語の境界点に着眼すると、架空引込線は配電線路の支持物(電柱)から分岐して空中で直接需要場所の受電金具等である「取付け点」に到達します。電柱の途中に別の支持物を挟む場合は本線扱いとなり架空引込線とは定義されません。一方、引込線全体の終点は建物内部の配線や計器等に接続される「引込口」であり、取付け点から引込口までは建物の造営物側面に沿って配線されます。また、連接引込線は一需要場所の引込線(取付け点付近等)から分岐し、途中に電柱等の支持物を設けずに隣家等の「取付け点」に至る電線を指します。
【平成29年・問6】電気使用場所・需要場所・造営物・工作物の用語の定義
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における用語の定義に関する記述の一部である。
a「(ア)」とは、電気を使用するための電気設備を施設した、1の建物又は1の単位をなす場所をいう。
b「(イ)」とは、(ア)を含む1の構内又はこれに準ずる区域であって、発電所、変電所及び開閉所以外のものをいう。
c「引込線」とは、架空引込線及び(イ)の(ア)の側面等に施設する電線であって、当該(イ)の引込口に至るものをいう。
d「(ウ)」とは、人により加工された全ての物体をいう。
e「(エ)」とは、(ウ)のうち、土地に定着するものであって、屋根及び柱又は壁を有するものをいう。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) (ア)需要場所 (イ)電気使用場所 (ウ)工作物 (エ)建造物
(2) (ア)電気使用場所 (イ)需要場所 (ウ)工作物 (エ)造営物
(3) (ア)需要場所 (イ)電気使用場所 (ウ)建造物 (エ)工作物
(4) (ア)需要場所 (イ)電気使用場所 (ウ)造営物 (エ)建造物
(5) (ア)電気使用場所 (イ)需要場所 (ウ)造営物 (エ)工作物
解説
正解は(5)です。
問題文の記述は、「電気設備技術基準の解釈」第$1$条(用語の定義)第$1$項各号が根拠となっています。
電気設備の技術基準の解釈 第$1$条第$1$項において、次のように定義されています。
「第$1$条 この解釈において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 「工作物」とは、人により加工された全ての物体をいう。
二 「造営物」とは、工作物のうち、土地に定着するものであって、屋根及び柱又は壁を有するものをいう。
(中略)
六 「電気使用場所」とは、電気を使用するための電気設備を施設した、1の建物又は1の単位をなす場所をいう。
七 「需要場所」とは、電気使用場所を含む1の構内又はこれに準ずる区域であって、発電所、変電所及び開閉所以外のものをいう。
八 「引込線」とは、架空引込線及び需要場所の電気使用場所の側面等に施設する電線であって、当該需要場所の引込口に至るものをいう。」
用語の概念関係を整理すると、電気を実際に消費する機器が置かれた建屋や部屋そのものを「電気使用場所」と呼び、その電気使用場所を内包する敷地全体(構内区域)を「需要場所」と定義します。したがって、需要場所は電気使用場所を含む上位概念となります。また、空間構造物に関しては、人が加工した物体全般を指す最も広い概念が「工作物」であり、そのうち土地に定着して屋根と柱・壁を備えた建築物等を「造営物」と呼びます。問題文dは「工作物」の定義であり、eは(エ)工作物のうち屋根及び柱等を有するものが(ウ)造営物であることを示しています。
【平成28年・問7】高圧架空引込線の施設基準および危険表示・地上高要件
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧架空引込線の施設に関する記述の一部である。
a 電線は、次のいずれかのものであること。
① 引張強さ $8.01\text{ kN}$ 以上のもの又は直径(ア)$\text{mm}$ 以上の硬銅線を使用する、高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線
②(イ)用高圧絶縁電線
③ ケーブル
b 電線が絶縁電線である場合は、がいし引き工事により施設すること。
c 電線の高さは、「低高圧架空電線の高さ」の規定に準じること。ただし、次に適合する場合は、地表上(ウ)$\text{m}$ 以上とすることができる。
① 次の場合以外であること。
・道路を横断する場合
・鉄道又は軌道を横断する場合
・横断歩道橋の上に施設する場合
② 電線がケーブル以外のものであるときは、その電線の(エ)に危険である旨の表示をすること。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) (ア)5 (イ)引下げ (ウ)2.5 (エ)下方
(2) (ア)4 (イ)引下げ (ウ)3.5 (エ)近傍
(3) (ア)4 (イ)引上げ (ウ)2.5 (エ)近傍
(4) (ア)5 (イ)引上げ (ウ)5 (エ)下方
(5) (ア)5 (イ)引下げ (ウ)3.5 (エ)下方
解説
正解は(5)です。
問題文の記述は、「電気設備技術基準の解釈」第$117$条(高圧架空引込線等の施設)第$1$項が根拠となっています。
電気設備の技術基準の解釈 第$117$条第$1$項において、次のように規定されています。
「第$117$条 高圧架空引込線は、次の各号により施設すること。
一 電線は、次のいずれかのものであること。
イ 引張強さ $8.01\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 $5\text{ mm}$ 以上の硬銅線を使用する、高圧絶縁電線又は特別高圧絶縁電線
ロ 引下げ用高圧絶縁電線
ハ ケーブル
二 電線が絶縁電線である場合は、がいし引き工事により施設すること。
三 電線の高さは、第$87$条の規定に準じること。ただし、次のいずれにも適合する場合は、地表上 $3.5\text{ m}$ 以上とすることができる。
イ 道路、鉄道又は軌道及び横断歩道橋を横断しないこと。
ロ 電線がケーブル以外のものであるときは、その電線の下方に危険である旨の表示をすること。」
本問は令和6年上期問6と同一の条文項目を対象としていますが、選択肢(4)と(5)の配列順序が異なっており、本問における正解選択肢は(5)となります。高圧電線路の引込口において、柱上変圧器や高圧交流負荷開閉器(PAS)等への配線に用いられる「引下げ用高圧絶縁電線(PDC)」は、高圧絶縁電線に比べて柔軟で機器接続に適した構造となっています。また、高圧架空引込線の地上高緩和(地表上 $3.5\text{ m}$ 以上)を適用する際に義務付けられる危険標識は、下を通過する歩行者や作業車両からの視認性を確保するため、電線の「下方」に掲出する必要があります。
【平成23年・問7】低圧架空引込線の電線仕様および路面上・レール面上の地上高要件
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、低圧架空引込線の施設に関する記述の一部である。
a. 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ(ア)$\text{kN}$ 以上のもの又は直径 $2.6\text{ mm}$ 以上の硬銅線とする。ただし、径間が(イ)$\text{m}$ 以下の場合に限り、引張強さ $1.38\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 $2\text{ mm}$ 以上の硬銅線を使用することができる。
b. 電線の高さは、次によること。
① 道路(車道と歩道の区別がある道路にあっては、車道)を横断する場合は、路面上(ウ)$\text{m}$(技術上やむを得ない場合において交通に支障がないときは(エ)$\text{m}$)以上
② 鉄道又は軌道を横断する場合は、レール面上(オ)$\text{m}$ 以上
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) (ア)2.30 (イ)20 (ウ)5 (エ)4 (オ)5.5
(2) (ア)2.00 (イ)15 (ウ)4 (エ)3 (オ)5
(3) (ア)2.30 (イ)15 (ウ)5 (エ)3 (オ)5.5
(4) (ア)2.35 (イ)15 (ウ)5 (エ)4 (オ)6
(5) (ア)2.00 (イ)20 (ウ)4 (エ)3 (オ)5
解説
正解は(3)です。
問題文の記述は、「電気設備技術基準の解釈」第$116$条(低圧架空引込線の施設)第$1$項第$1$号および第$2$号が根拠となっています。
電気設備の技術基準の解釈 第$116$条第$1$項において、次のように規定されています。
「第$116$条 低圧架空引込線は、次の各号により施設すること。
一 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ $2.30\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 $2.6\text{ mm}$ 以上の硬銅線であること。ただし、径間が $15\text{ m}$ 以下の場合は、引張強さ $1.38\text{ kN}$ 以上のもの又は直径 $2\text{ mm}$ 以上の硬銅線を使用することができる。
二 電線の高さは、次によること。
イ 道路(車道と歩道の区別がある道路にあっては、車道)を横断する場合は、路面上 $5\text{ m}$(技術上やむを得ない場合において交通に支障がないときは、$3\text{ m}$)以上
ロ 鉄道又は軌道を横断する場合は、レール面上 $5.5\text{ m}$ 以上
ハ 横断歩道橋の上に施設する場合は、路面上 $3\text{ m}$ 以上
ニ イからハまでに掲げる場所以外の場所に施設する場合は、地表上 $4\text{ m}$(技術上やむを得ない場合において交通に支障がないときは、$2.5\text{ m}$)以上」
本問では、電線の機械的強度(引張強さ)と短径間緩和、および道路・鉄道横断時の地上高基準が包括的に問われています。引張強さは原則 $2.30\text{ kN}$ 以上、径間 $15\text{ m}$ 以下の緩和時は $1.38\text{ kN}$ 以上です。電線の高さについては、道路横断時は車両との接触を避けるため路面上 $5\text{ m}$ 以上が原則ですが、小型車のみの通行など交通に支障のない場所では $3\text{ m}$ 以上まで緩和されます。また、鉄道又は軌道を横断する箇所では、列車車両上部のパンタグラフや架線との離隔を確保するため、レール面上 $5.5\text{ m}$ 以上が義務付けられています。
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