【電験3種・電力】令和7年度上期の過去問題と解説集

令和7年度上期に電験3種(電力分野)で出題された過去問題を詳しく解説します。

【令和7年度上期・問1】理論水力の単位

水力発電所の理論水力Pは位置エネルギーの式から $P=\rho gQH$ と表される。ここで H [m]は有効落差,Q [m³/s]は流量,gは重力加速度 $=9.8\text{m/s}^2$, $\rho$は水の密度=1000 kg/m³である。以下に理論水力Pの単位を検証することとする。なお, Paは「パスカル」 Nは「ニュートン」 Wは「ワット」、Jは「ジュール」である。

$P=\rho gQH$ の単位は$\rho$,g, Q, Hの単位の積であるから, kg/m³・m/s²・m³/s・m となる。これを変形すると、(ア) ・m/sとなるが、 (ア) は力の単位(イ) と等しい。

すなわち$P=\rho gQH$ の単位は (イ) ・m/sとなる。ここで (イ) ・m は仕事(エネルギー)の単位である (ウ) と等しいことから $P=\rho gQH$ の単位は (ウ) /s と表せ、これは仕事率(動力)の単位である (エ) と等しい。

ゆえに、理論水力 $P=\rho gQH$の単位は (エ) となるが、重力加速度 $g=9.8\text{m/s}^2$ と水の密度 $\rho=1000\text{ kg/m}^3$ の数値9.8と1000を考慮するとP=9.8QH[ (オ) ]と表せる。

上記の記述中の空白箇所(ア)から(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
(1) kg・m Pa J W kJ
(2) $\text{kg}\cdot\text{m/s}^2$ N J W kW
(3) $\text{kg}\cdot\text{m/s}^2$ Pa J W kW
(4) kg・m N J W kW
(5) $\text{kg}\cdot\text{m/s}^2$ N J W kJ

解説

正解は(2)です。

水力発電の出力計算における単位の導出に関する問題です。

(ア) $P = \rho g Q H$ の単位計算において、各変数の単位を掛け合わせると以下のようになります。
$\text{kg/m}^3 \times \text{m/s}^2 \times \text{m}^3/\text{s} \times \text{m} = (\text{kg}\cdot\text{m/s}^2) \cdot \text{m/s}$
したがって、(ア)には「$\text{kg}\cdot\text{m/s}^2$」が入ります。

(イ) $\text{kg}\cdot\text{m/s}^2$ は、運動の方程式(力=質量×加速度)より、力の単位である「N(ニュートン)」と等しくなります。

(ウ) 仕事(エネルギー)の単位は力×距離で表されるため、$\text{N}\cdot\text{m}$ は「J(ジュール)」となります。

(エ) 単位時間あたりの仕事量は仕事率(動力)と呼ばれ、$\text{J/s}$ は「W(ワット)」となります。

(オ) $P = \rho g Q H$ に数値を代入すると、$\rho = 1000$、 $g = 9.8$ であるため
$$P = 1000 \times 9.8 \times Q \times H = 9800 Q H \quad [\text{W}]$$
となります。これを1000で割って「kW」単位に直すと、 $P = 9.8 Q H \text{ [kW]}$ となります。

【電験3種・電力】水力発電所及び揚水発電所の出力の計算方法、試験対策、過去問題の解説
電験3種(電力)で出題される水力発電所及び揚水発電所の出力の解き方や過去問題について詳しく解説します。つ

【令和7年度上期・問2】汽力発電の蒸気量

汽力発電設備において、タービン出力が 175MW, 蒸気タービンの効率が 92%で、タービン入口における蒸気のエンタルピーが 32500 kJ/kg,復水器入口における蒸気のエンタルピーが30800 kJ/kgであるとき、このタービンの使用蒸気量の値[t/h]として、最も近いものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(1) 86
(2) 112
(3) 248
(4) 341
(5) 403

解説

正解は(5)です。

タービン出力P [kW]、使用蒸気量G [kg/s]、タービン効率$\eta_t$、エンタルピー差$\Delta h$ [kJ/kg]の関係式を用いて計算します。

タービンの有効ヘッド(エンタルピー差)を $\Delta h$ とすると
$$\Delta h = 32500 – 30800 = 1700 \quad [\text{kJ/kg}]$$
となります。

タービン出力 $P = 175\text{ MW} = 175,000\text{ kW}$ より
$$P = G \times \Delta h \times \eta_t$$
$$175000 = G \times 1700 \times 0.92$$
$$G = \frac{175000}{1700 \times 0.92} \approx 111.89 \quad [\text{kg/s}]$$
となります。

これを「t/h」単位に換算します。1時間は3600秒であり、1tは1000kgであるため
$$G = 111.89 \times \frac{3600}{1000} \approx 402.8 \quad [\text{t/h}]$$
となり、最も近い値は403となります。

【電験3種・電力】火力発電所の種類、仕組み、熱力学の基礎に関する試験対策と過去問題
電験3種(電力)で出題される火力発電所の種類、仕組み、熱力学の基礎に関する試験対策と過去問題について詳しく解説します。

【令和7年度上期・問3】汽力発電設備の主要設備

汽力発電設備において,水,蒸気,燃焼ガスが、ボイラ及びタービンを構成する主要設備を通過する一般的な順序の記述として、誤っているものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(1) 水:給水ポンプ → 節炭器 → 蒸気ドラム
(2) 蒸気:蒸気ドラム → 過熱器 → 高圧タービン
(3) 蒸気:再熱器 → 低圧タービン → 復水器
(4) 燃焼ガス:火炉 → 過熱器 → 節炭器
(5) 燃焼ガス:節炭器 → 電気集塵装置 → 空気予熱器

解説

正解は(5)です。

燃焼ガスの通過する順序は、「\<strong>節炭器 → 空気予熱器 → 電気集じん装置」となります。

【電験3種・電力】火力発電所の種類、仕組み、熱力学の基礎に関する試験対策と過去問題
電験3種(電力)で出題される火力発電所の種類、仕組み、熱力学の基礎に関する試験対策と過去問題について詳しく解説します。

【令和7年度上期・問4】原子燃料と核燃料サイクル

次の文章は、原子燃料に関する記述である。

原子力発電所では、天然ウラン中に約0.7 %含まれている核分裂性物質のウラン235の濃度を (ア) %程度まで高めた濃縮ウランが燃料として一般に用いられている。

発電所で使い終わった燃料には、燃え残ったウラン235のほか、ウラン238が中性子を吸収して変わったプルトニウム239などの核燃料物質が含まれており、これらを (イ) によって取り出すことができる。

(イ) によって取り出されたプルトニウムをウランと混ぜた燃料は (ウ) と呼ばれ、これを軽水炉で使用することをプルサーマルと呼んでいる。

また、軽水炉の転換比は0.6程度であるが、高速中性子によるウラン 238 のプルトニウムへの変換を利用した (エ) では、消費される核分裂性物質よりも多くの量の新たな核燃料物質を得ることができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 3~5 再処理 MOX 燃料 高速増殖炉
(2) 3~5 再処理 イエローケーキ 高速増殖炉
(3) 3~5 再加工 イエローケーキ 新型転換炉
(4) 10~20 再処理 イエローケーキ 高速増殖炉
(5) 10~20 再加工 MOX 燃料 新型転換炉

解説

正解は(1)です。

原子力発電の燃料とリサイクルに関する基本的な事項です。

(ア) 軽水炉で用いられる濃縮ウランのウラン235の濃度(濃縮度)は、通常「3~5 %」程度です。

(イ) 使用済み燃料から燃え残りのウランや新しく生成されたプルトニウムを化学的に分離して取り出す工程を「再処理」といいます。

(ウ) 再処理で取り出されたプルトニウムとウランを混ぜて酸化物にした燃料を「MOX燃料」といいます。

(エ) 消費した燃料よりも多くの燃料(プルトニウム)を生成できる原子炉は「高速増殖炉」です。

【電験3種・電力】原子力発電所に関する試験対策と過去問題の解説
電験3種(電力)で出題される原子力発電所に関する試験対策と過去問題を詳しく解説します。

【令和7年度上期・問5】バイオマス発電

次の文章は、バイオマス発電に関する記述である。

バイオマス発電は、植物等の (ア) 物から得られる燃料を利用した発電と定義することができ、燃料の代表的なものには、木くずから得られる (イ) やさとうきびから得られるエタノールがある。植物から燃料を得る場合,その植物に吸収される(ウ) 量と発電時の (ウ) 発生量を同じとすることができれば、環境に負担をかけないエネルギー源となる。バイオマス発電の設備は、一般的に (エ) である。

上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 無機 固形化燃料 二酸化炭素 小規模分散型
(2) 無機 メタン 窒素化合物 小規模分散型
(3) 有機 メタン 窒素化合物 大規模集中型
(4) 有機 メタン 二酸化炭素 大規模集中型
(5) 有機 固形化燃料 二酸化炭素 小規模分散型

解説

正解は(5)です。

バイオマス発電の原理と特徴に関する問題です。

(ア) バイオマスは、動植物などの生物由来の「有機」性資源を指します。

(イ) 木くずなどを加工して燃料とするものは「固形化燃料(ペレット等)」が代表的です。

(ウ) 植物が成長過程で吸収する「二酸化炭素」の量と、燃焼時に発生する量が等しいとみなす概念をカーボンニュートラルといいます。

(エ) バイオマス燃料は収集や運搬の効率から、一般的に「小規模分散型」の設備となります。

【電験3種・電力】新エネルギー発電所に関する試験対策と過去問題を解説
電験3種(電力分野)で出題される「新エネルギー発電所」に関する試験対策と過去問題について解説します。

【令和7年度上期・問6】ガス絶縁開閉装置

ガス絶縁開閉装置に関する記述として、誤っているものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(1) 絶縁性能の高いガスを用いることで装置を小形化でき 気中絶縁の装置を用いた変電所と比較して、変電所の体積と面積を大幅に縮小できる。
(2) 我が国では、ガス絶縁開閉装置の保守や廃棄の際、絶縁ガスの大部分は回収されている。
(3) ガス絶縁開閉装置の絶縁ガスは、大気圧以下の$\text{SF}_6$ガスである。
(4) ガス絶縁開閉装置の金属容器内部に、金属異物が混入すると、絶縁性能が低下することがあるため、製造時や据え付け時には、金属異物が混入しないよう、細心の注意が払われる。
(5) ガス絶縁開閉装置の充電部を支持するスペーサにはエポキシ等の樹脂が用いられる。

解説

正解は(3)です。

ガス絶縁開閉装置(GIS)の特性に関する問題です。

(3) GISに使用される $\text{SF}_6$(六ふっ化硫黄)ガスは、絶縁性能や消弧性能を高めるために、通常「大気圧以上(数気圧程度)」に加圧して封入されます。大気圧以下で使用されることはありません。
他の(1)(2)(4)(5)の記述はGISの特徴として正しい内容です。

【電験3種・電力】変電所に関する試験対策と過去問題を解説
電験3種(電力)で出題される「変電所」の試験対策と過去問題を解説します。

【令和7年度上期・問7】分散型電源の配電系統連系

分散型電源の配電系統連系に関する記述として、誤っているものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(1) 大規模太陽光発電等の分散型電源が連系した場合,配電用変電所に設置されている変圧器に逆向きの潮流が増加し、配電線の電圧が上昇する場合がある。
(2) 太陽光発電や燃料電池発電等の電源は、電力変換装置を用いて電力系統に連系されるため、高調波電流の流出を抑制するフィルタ等の設置が必要になることがある。
(3) 分散型電源からの逆潮流による系統電圧の上習を抑制するために、受電点の力率は系統側から見て進み力率とする。
(4) 比較的大容量の分散型電源を連系する場合は、専用線による連系や負荷分割等配電系統側の増強が必要になることがある。
(5) 分散型電源からの逆潮流等により他の低圧需要家の電圧が適正値を維持できない場合は、ステップ式自動電圧調整器(SVR)を設置する等の対策が必要になることがある。

解説

正解は(3)です。

分散型電源を系統に接続する際の技術的な影響に関する問題です。

(3) 逆潮流による系統電圧の上昇を抑制するためには、受電点において無効電力を吸収し、電圧を下げる方向に働かせる必要があります。そのためには、系統側から見て「遅れ力率」となるように調整するのが一般的です。進み力率では逆に電圧を上昇させる要因となります。
(1)(2)(4)(5)は分散型電源連系における課題や対策として正しい記述です。

【電験3種・電力】新エネルギー発電所に関する試験対策と過去問題を解説
電験3種(電力分野)で出題される「新エネルギー発電所」に関する試験対策と過去問題について解説します。

【令和7年度上期・問8】架空送電線路の構成部品

架空送電線路の構成部品に関する記述として、誤っているものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(1) 鋼心アルミより線は,アルミ線を使用することで質量を小さくし,これによる強度の不足を,鋼心を用いることで補ったものである。
(2) がいしは,電線と鉄塔などの支持物との間を絶縁するために使用する。雷撃などの異常電圧による絶縁破壊は,がいし内部で起こるように設計されている。
(3) 架空送電線におけるねん架とは,送電線各相の作用インダクタンスと作用静電容量を平衡させるために行われるもので,ジャンパ線を用いて電線の配置を入れ替えることができる。
(4) 電線の微風振動やギャロッピングを抑制するために,電線にダンパを取り付け,振動エネルギーを吸収する方法がとられる。
(5) 送電線やがいしを雷撃などの異常電圧から保護するための設備に架空地線がある。架空地線には,光ファイバを内蔵し電力用通信線として使用されるものもある。

解説

正解は(2)です。雷撃などの異常電圧による碍子(がいし)の絶縁破壊を防ぐため、碍子の横にアークホーンが設置され、絶縁破壊はアークホーンで起こるように設計されています。

【電験3種・電力】送電線路に関する試験対策と過去問題を解説
電験3種(電力)で出題される送電線路に関する試験問題と過去問題を解説します。

【令和7年度上期・問9】架空送電線路の誘導障害

架空送電線路が通信線路に接近していると、通信線路に電圧が誘導されて設備やその取扱者に危害を及ぼす等の障害が生じるおそれがある。この障害を誘導障害といい、次の2種類がある。

① 架空送電線路の電圧により通信線路に誘導電圧を発生させる (ア) 障害。

② 架空送電線路の電流が、架空送電線路と通信線路間の (イ) を介して通信線路に誘導電圧を発生させる (ウ) 障害。

三相架空送電線路が十分にねん架されていれば、平常時は、電圧や電流によって通信線路に現れる誘導電圧は (エ) となるので0Vとなる。三相架空送電線路に (オ) 事故が生じると、電圧や電流は不平衡になり、通信線路に誘導電圧が現れ、誘導障害が生じる。

上記の記述中の空白箇所(ア)から(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。

(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
(1) 磁気誘導 誘導リアクタンス ファラデー 大きさの差 三相短絡
(2) 静電誘導 自己インダクタンス 電磁誘導 大きさの和 1線地絡
(3) 静電誘導 相互インダクタンス 電磁誘導 ベクトルの和 1線地絡
(4) 磁気誘導 相互インダクタンス 電荷誘導 ベクトルの和 三相短絡
(5) 磁気誘導 誘導リアクタンス ファラデー ベクトルの差 2線地絡

解説

正解は(3)です。

架空送電線路から通信線路への誘導障害に関する問題です。

(ア) 送電線の電圧によって、送電線と通信線路との間の相互静電容量を介して誘導電圧が生じる現象を「静電誘導」障害といいます。

(イ)(ウ) 送電線の電流によって、送電線と通信線路との間の「相互インダクタンス」を介して誘導電圧が生じる現象を「電磁誘導」障害といいます。

(エ) 三相交流が平衡している場合、各相の電圧や電流の「ベクトルの和」は零となるため、通信線路に現れる誘導電圧も零となります。

(オ) 系統に「1線地絡」事故などが発生すると、大きな故障電流(残留電流)が流れて不平衡状態となり、通信線路に大きな誘導電圧\が発生します。

【電験3種・電力】送電線路に関する試験対策と過去問題を解説
電験3種(電力)で出題される送電線路に関する試験問題と過去問題を解説します。

【令和7年度上期・問10】地中送電線路に使用される各種電力ケーブル

地中送電線路に使用される各種電力ケーブルに関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) OF ケーブルは,絶縁体として絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルである。OF ケーブルには油通路が設けられており,絶縁油の加圧によりボイドの発生を抑制して絶縁強度を確保するための給油設備が必要である。

(2) CV ケーブルは,絶縁体として架橋ポリエチレンを使用したケーブルである。架橋ポリエチレンは,ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とすることで,熱可塑性を大幅に向上させた絶縁材料である。

(3) CV ケーブルは,OF ケーブルと比較して給油設備が不要であり,保守性に優れている。一方で,水トリーの発生による絶縁劣化があるため,CV ケーブルには金属シースや遮水層を設ける場合がある。

(4) CVT ケーブルは,単心CV ケーブル3 条をより合わせたトリプレックス形CV ケーブルであり,3 心共通シース形CV ケーブルと比較してケーブルの熱抵抗が小さいため電流容量を大きくできるとともに,ケーブルの接続作業性がよい。

(5) OF ケーブルは,油圧の常時監視によって金属シースや鋼管の欠陥,外傷などに起因する漏油を検知することで,油圧の異常低下による絶縁破壊事故の未然防止を図ることができる。

解説

正解は(2)です。

地中電力ケーブルの種類と特徴に関する問題です。

(2) CVケーブルの絶縁体である架橋ポリエチレンは、ポリエチレンの分子を架橋反応によって網目状に結合したものです。これにより、熱で溶けやすい性質である\<strong>「熱可塑性(ねつかそせい)」が抑制され、\<strong>熱に強い「耐熱性」や「耐熱変形性」が大幅に向上します。記述の「熱可塑性を大幅に向上させた」という部分は誤りです。

【電験3種・電力】配電線路と高圧受電設備に関する試験対策と過去問題
電験3種(電力)で出題される「配電線路と高圧受電設備」に関する試験対策および過去問題を解説します。

## 【令和7年度上期・問12】架空電線路の実長

ある架空電線路の支持点間は200m, たるみは3.0mである。この架空電線路の電線と単位長さあたりの重量が同じ電線を用い、この架空電線路と同じ水平方向の引張強さで支持点間 240m を架線する。このときの電線の実長 L [m] として、最も近いものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。ただし、いずれの架空電線路においても二つの支持点の高さは同一とする。

(1) 240.04
(2) 240.05
(3) 240.14
(4) 240.21
(5) 240.25

### 解説

正解は(4)です。

電線のたるみ $D$ [m] と実長 $L$ [m] の公式を用いて計算します。

まず、たるみ $D$ は、荷重 $W$、径間 $S$、水平張力 $T$ を用いて以下の式で表されます。
$$D = \frac{W S^2}{8 T}$$

問題文より、荷重 $W$ と水平張力 $T$ が等しいため、たるみ $D$ は径間の2乗 $S^2$ に比例します。
新しい径間 $S_2 = 240 \text{ m}$ におけるたるみ $D_2$ は
$$D_2 = D_1 \times \left( \frac{S_2}{S_1} \right)^2 = 3.0 \times \left( \frac{240}{200} \right)^2 = 3.0 \times 1.44 = 4.32 \quad [\text{m}]$$
となります。

次に、実長 $L$ の公式
$$L = S + \frac{8 D^2}{3 S}$$

に代入すると、求める実長 $L_2$ は
$$L_2 = 240 + \frac{8 \times 4.32^2}{3 \times 240} \approx 240 + 0.207 = 240.207 \quad [\text{m}]$$
となり、最も近い値は240.21となります。

【電験3種・法規と電力】「電線の張力」「支線の張力」「風圧荷重」の計算問題対策
電験三種(法規と電力)で出題される「電線の張力」「支線の張力」「風圧荷重」の計算問題対策について解説します。

## 【令和7年度上期・問13】力率変化と有効電力の比

三相3線式配電線により遅れ力率 70%, $W_1$ [kW]の負荷に電力を供給している。負荷が遅れ力率91%, $W_2$ [kW]に変化したが線路損失は変わらなかった。$W_2$ は $W_1$ の何倍か。最も近いものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。ただし,負荷の端子電圧は変わらないものとする。

(1) 0.77
(2) 1.3
(3) 2.3
(4) 1.1
(5) 1.7

### 解説

正解は(2)です。

三相3線式配電線の線路損失 $P_l$ と有効電力 $P$、力率 $\cos\theta$ の関係式を用いて計算します。

線路損失 $P_l$ は以下の式で表されます。
$$P_l = \frac{R P^2}{V_r^2 \cos^2\theta}$$

問題文より、線路損失 $P_l$、線路抵抗 $R$、受電端電圧 $V_r$ が一定であるため、式中の $P / \cos\theta$ の値が一定である必要があります。
$$\frac{W_1}{\cos\theta_1} = \frac{W_2}{\cos\theta_2}$$
$$\frac{W_2}{W_1} = \frac{\cos\theta_2}{\cos\theta_1} = \frac{0.91}{0.70} = 1.3$$

したがって、 $W_2$ は $W_1$ の1.3倍となります。

【電験3種・電力】電線路の電圧降下、損失、フェランチ効果の試験対策と過去問題を解説
電験3種(電力)で出題される電線路の電圧降下、損失、フェランチ効果の試験対策と過去問題を解説します。

## 【令和7年度上期・問14】六ふっ化硫黄 (SF6) ガスの性質

六ふっ化硫黄 ($\text{SF}_6$) ガスに関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) アーク放電の消弧能力は、空気よりも優れている。
(2) 比重は空気よりも大きく、化学的に安定した不燃性のガスであるが、特有の臭いがある。
(3) オゾン層への影響は無視できるが、地球温暖化への影響が大きいガスである。
(4) ガス遮断器やガス絶縁変圧器の絶縁媒体として利用される。
(5) 絶縁破壊電圧は、同じ圧力の空気と比較すると高い。

### 解説

正解は(2)です。

$\text{SF}_6$ ガスの物理的・化学的性質に関する問題です。

(2) $\text{SF}_6$ ガスは、無色・無臭・無毒のガスです。「特有の臭いがある」という記述は誤りです。

その他の選択肢は、$\text{SF}_6$ ガスの特徴として正しい記述です。
(1) 消弧能力は空気の100倍程度あり、非常に優れています。
(3) 温室効果が非常に高く、地球温暖化への影響が大きいため、使用・回収には注意が払われています。
(4) 高い絶縁・消弧性能から、ガス遮断器(GCB)やガス絶縁変圧器、ガス絶縁開閉装置(GIS)に広く利用されています。
(5) 絶縁耐力は、同じ圧力の空気の2~3倍程度あります。

【電験3種・電力】変電所に関する試験対策と過去問題を解説
電験3種(電力)で出題される「変電所」の試験対策と過去問題を解説します。

## 【令和7年度上期・問15】調整池式水力発電所の運用計算

図の流況曲線を持つ河川の全流量を使用できる調整池式水力発電所において、発電所の使用流量 $[\text{m}^3/\text{s}]$ と調整池の有効貯水容量 $[\text{m}^3]$ について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 1日単位の調整運転を行う場合、上記流況曲線の渇水量 $8\text{ m}^3/\text{s}$ において、1日に6時間の運転を可能とする最大の使用流量 $[\text{m}^3/\text{s}]$ と、当該時間外に調整池に流入する貯水量 $[\text{m}^3]$ の組合せとして、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ここで、当該6時間の最大使用流量での運転以外の時間は、水車・発電機を停止して調整池に河川の全流量を貯水するものとする。

最大使用流量 $[\text{m}^3/\text{s}]$ 貯水量 $[\text{m}^3]$
(1) 22.8 410 400
(2) 28.8 518 400
(3) 34.8 518 400
(4) 28.8 410 400
(5) 32.0 518 400

(b) 上記流況曲線で200日以上発生する流量において、小問(a)の最大使用流量で1日8時間の運転を可能とするための有効貯水容量 $[\text{m}^3]$ として、最も小さいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 420 000
(2) 500 000
(3) 440 000
(4) 460 000
(5) 520 000

解説

(a) 正解は(5)です。

まず、渇水量 $8\text{ m}^3/\text{s}$ のときに1日(24時間)で調整池に流入する総水量を計算します。
$$Q_{total} = 8 \times 24 \times 3600 \quad [\text{m}^3]$$

この全量を6時間の運転で使用する場合の最大使用流量 $Q_p$ は
$$Q_p = \frac{8 \times 24}{6} = 32.0 \quad [\text{m}^3/\text{s}]$$
となります。

次に、運転時間(6時間)以外の停止時間(18時間)に調整池に流入する貯水量を求めます。
$$V = 8 \times 18 \times 3600 = 518,400 \quad [\text{m}^3]$$
したがって、(5)が正しい組合せとなります。

(b) 正解は(5)です。

図の流況曲線より、200日のときの河川流量は $14\text{ m}^3/\text{s}$ と読み取れます。
小問(a)で求めた $Q_p = 32.0\text{ m}^3/\text{s}$ で、1日8時間運転する場合に必要となる有効貯水容量を計算します。
調整池が最も水を必要とするのは運転時間中であり、この間に池から持ち出される水量は「使用流量と流入流量の差」に時間を掛けたものになります。
$$V_{eff} = (32.0 – 14) \times 8 \times 3600 = 18 \times 28800 = 518,400 \quad [\text{m}^3]$$
選択肢の中で、この容量を満たす最小のものは $520,000$ となり、(5)が選ばれます。

【令和7年度上期・問16】変圧器二次側線路の三相短絡計算

変電所に設置された一次電圧 $66\text{ kV}$、二次電圧 $22\text{ kV}$、容量 $50\text{ MVA}$ の三相変圧器に、$22\text{ kV}$ の無負荷の線路が接続されている。その線路が、変電所から負荷側 $500\text{ m}$ の地点で三相短絡を生じた。
三相変圧器の結線は、一次側と二次側がY-Y結線となっている。
ただし、一次側からみた変圧器の1相当たりの抵抗は $0.05 \Omega$、リアクタンスは $7 \Omega$、故障が発生した線路の1線当たりのインピーダンスは $(0.20 + j0.45) \Omega/\text{km}$ とし、変圧器一次電圧側の線路インピーダンス及びその他の値は無視するものとする。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 短絡電流の値 $[\text{kA}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 21.8
(2) 10.5
(3) 12.6
(4) 6.5
(5) 17.3

(b) 短絡前に、$22\text{ kV}$ に保たれていた三相変圧器の母線の線間電圧は、三相短絡故障したとき、何 $\text{kV}$ に低下するか。電圧の値 $[\text{kV}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 8.70
(2) 2.72
(3) 5.37
(4) 1.34
(5) 4.71

解説

(a) 正解は(3)です。

計算を二次側($22\text{ kV}$ 基準)で行うため、一次側からみた変圧器のインピーダンスを二次側に換算します。巻数比 $a = 66 / 22 = 3$ です。
二次側換算の抵抗 $r_{tr} = 0.05 / a^2 = 0.05 / 9 \approx 0.00556 \Omega$
二次側換算のリアクタンス $x_{tr} = 7 / a^2 = 7 / 9 \approx 0.7778 \Omega$

次に、故障点までの線路インピーダンス($500\text{ m} = 0.5\text{ km}$)を求めます。
$r_l = 0.20 \times 0.5 = 0.1 \Omega$
$x_l = 0.45 \times 0.5 = 0.225 \Omega$

全インピーダンス $\dot{Z}$ は
$$\dot{Z} = (r_{tr} + r_l) + j(x_{tr} + x_l) = (0.00556 + 0.1) + j(0.7778 + 0.225) = 0.10556 + j1.0028 \Omega$$
絶対値 $Z = \sqrt{0.10556^2 + 1.0028^2} \approx 1.0083 \Omega$

二次側の相電圧 $E = 22000 / \sqrt{3} \approx 12702 \text{ V}$ より、短絡電流 $I_s$ は
$$I_s = \frac{E}{Z} = \frac{12702}{1.0083} \approx 12597 \text{ A} \approx 12.6 \text{ kA}$$
となります。

(b) 正解は(3)です。

変圧器の母線(二次側端子)の対地電圧 $\dot{V}b$ は、短絡電流と線路インピーダンスの積で求められます。
$$V_b = I_s \times \sqrt{r_l^2 + x_l^2} = 12597 \times \sqrt{0.1^2 + 0.225^2} = 12597 \times 0.2462 \approx 3101.4 \text{ V}$$
これを線間電圧に直すと
$$V
{b,line} = \sqrt{3} \times 3101.4 \approx 5372 \text{ V} \approx 5.37 \text{ kV}$$
となります。

【電験3種・電力と法規】%Z(パーセントインピーダンス)の計算方法と試験問題対策
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【令和7年度上期・問17】変圧器の増設負荷と力率改善

定格容量 $750\text{ kVA}$ の三相変圧器に遅れ力率 $0.9$ の三相負荷 $500\text{ kW}$ が接続されている。
この三相変圧器に新たに遅れ力率 $0.8$ の三相負荷 $200\text{ kW}$ を接続する場合、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 負荷を追加した後の無効電力の値 $[\text{kvar}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 472
(2) 525
(3) 339
(4) 392
(5) 610

(b) この変圧器の過負荷運転を回避するために、変圧器の二次側に設置が必要な最小の電力用コンデンサ容量の値 $[\text{kvar}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 70
(2) 256
(3) 203
(4) 123
(5) 50

解説

(a) 正解は(4)です。

それぞれの負荷の無効電力を求めます。
負荷1($500\text{ kW}$、力率 $0.9$):
$$Q_1 = 500 \times \tan(\arccos 0.9) = 500 \times \frac{\sqrt{1-0.9^2}}{0.9} \approx 500 \times 0.4843 \approx 242.2 \text{ kvar}$$
負荷2($200\text{ kW}$、力率 $0.8$):
$$Q_2 = 200 \times \tan(\arccos 0.8) = 200 \times \frac{0.6}{0.8} = 150 \text{ kvar}$$

負荷追加後の合計無効電力 $Q$ は
$$Q = Q_1 + Q_2 = 242.2 + 150 = 392.2 \text{ kvar}$$
となり、最も近い値は $392$ です。

(b) 正解は(4)です。

負荷追加後の合計有効電力 $P = 500 + 200 = 700 \text{ kW}$ です。
変圧器の定格容量 $S = 750\text{ kVA}$ を超えないために許容される最大無効電力 $Q_{max}$ を求めます。
$$Q_{max} = \sqrt{S^2 – P^2} = \sqrt{750^2 – 700^2} = \sqrt{562500 – 490000} = \sqrt{72500} \approx 269.3 \text{ kvar}$$

現在の無効電力 $Q = 392.2 \text{ kvar}$ を $Q_{max} = 269.3 \text{ kvar}$ まで減らすために必要なコンデンサ容量 $Q_c$ は
$$Q_c = Q – Q_{max} = 392.2 – 269.3 = 122.9 \text{ kvar}$$
となり、最も近い値は $123$ です。

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