【電験3種・電力】火力発電所の燃料と環境問題に関する試験問題対策

火力発電所の燃料と環境問題に関する試験問題対策についてまとめました。

汽力発電の燃料と環境対策

種別 環境コスト 費用コスト
石炭
石油
LNG

廃棄物の対策

  • 硫黄酸化物(SOx)の対策
    • 硫黄分の含有量が少ないLNG等の燃料を使用
    • 硫黄酸化物を粉状の石灰と水の混合液に吸収させる煙「排煙脱硫装置」を煙道に設置する。
  • 窒素酸化物(NOx)の対策
    • 窒素分の含有量が少ない燃料を使用する
    • 燃焼温度を低くする
    • 燃焼用空気の酸素濃度を低くする
    • 窒素酸化物を触媒とアンモニアを利用し, 窒素と水に分解する排煙脱硝装を設置する。
  • 煤塵の対策
    • 燃料と空気を適切に混合する
    • 煤塵をマイナスに帯電させ、煤塵の粒子をプラス極に集めて除去する「電気集塵器」を設置する。
  • 電気集じん装置
    • 火力発電所で発生する灰じんなどの微粒子を除去する装置。
    • 集じん電極である平板電極の間に放電電極である線電極を置いた構造である。
    • 電極間の高電圧によって発生したコロナ放電により放電負極で生じた負イオン(マイナス)で微粒子(煤塵)を帯電させ、クーロン力によって集じん電極で捕集する。
    • 集じん電極に付着した微粒子は集じん電極を槌で叩いて取り除く。
  • 接触還元法
    • 排ガス中にアンモニアを注入し、触媒上で窒素酸化物を窒素に分解する。
  • 湿式石灰石(石灰)-石こう法
    • 石灰と水との混合液で排ガス中の硫黄酸化物を吸収・除去し,副生品として石こうを回収する。
  • 二段燃焼法
    • 燃焼用空気を二段階に分けて供給し,燃料過剰で一次燃焼させ、二次燃焼域で不足分の空気を供給させ,窒素酸化物の生成を抑制する。
  • 排ガス混合(再循環)法
    • 燃焼用空気に排ガスの一部を再循環、混合することで燃焼用空気の酸素濃度が下がり燃焼温度を下げることで窒素酸化物の生成を抑制する。
      • (注意)酸素濃度が下がるため、ボイラーでの燃焼温度も下がる点に注意。(過去出題)。
  • 総発熱量
    • 燃料を完全燃焼させたときに発生する熱量
    • 総発熱量[kJ] = 燃料消費量[kg] × 燃料発熱量[kJ/kg]

理論空気量

  • 理論空気量
    • 燃料を完全燃焼させるのに必要な最低限の空気量。
  • 原子量
    • 1mol($6.02\times 10^23$個)の質量。
    • 体積は22.4L
    • 炭素$C$は12gで1molとなる(Cの原子量は12のため)。
    • 水素$H$は2gで1molとなる(Hの原子量は1だが、気体$H_2$の原子量は2のため)。
    • 酸素$O_2$は32gで1molとなる(Oの原子量は16だが、気体$O_2$の原子量は32のため)。
  • $C+O_2$→$CO_2$
    • 炭素$C$、酸素$O_2$、二酸化炭素$CO_2$はそれぞれ1[mol]
    • 1[mol]の 炭素$C$の質量は12[g]、1[mol]の酸素$O_2$の質量は32[g]、1[mol]の二酸化炭素$CO_2$の質量は44[g]
  • $2H_2+O_2$→$2H_2O$
    • 水素$H_2$は2[mol]、酸素$O_2$は[mol]、水$H_2O$は2[mol]
    • 2[mol]の水$H_2$の質量は4[g]、1[mol]の酸素$O_2$の質量は32[g]、2[mol]の水$H_2O$の質量は36[g]
    • 参考
    • $1[L] = 0.001[m^3]$
    • $1000[L] = 1[m^3]$

【例題1】燃料を完全燃焼させるのに必要な理論空気量

問題

炭素$C$が90%、水素$H_2$が10%含まれる燃料1[t]=1000[kg]を使うときの理論空気量を求めよ。

解答

  • 題意より、燃料中の炭素Cの質量$M_C$、水素$H_2$の質量$M_H$は以下のとおり。

$M_C=1000 \times 0.9 =900$[kg]

$M_H=1000 \times 0.1 =100$[kg]

  • 炭素Cは質量12[g]で1[mol]なので、炭素Cの質量が$M_C$のときのモル数$N_C$は以下のとおり。

$N_{MC}=\frac{900}{0.012}=0.75 \times 10^5$[mol]

  • ここで、「$C+O_2$→$CO_2$」より、炭素が燃料して二酸化炭素となるときの$C$と$O_2$の「モル比は1:1」なので、質量$M_C$の炭素Cが燃焼するときの酸素のモル数$N_{OC}$は$0.75 \times 10^5$[mol]となる。

  • 水素$H_2$は質量2[g]で1[mol]なので、水素$H_2$の質量が$M_H$のときのモル数$N_{MH}$は以下のとおり。

$N_H=\frac{100}{0.002}=0.5 \times 10^5$[mol]

  • ここで、「$2H_2+O_2$→$2H_2O$」より、水素が燃料して水となるときの$H_2$と$O_2$の「モル比は2:1」なので、質量$M_H$の水素$H_2$が燃焼するときの酸素のモル数$N_{OC}$は$0.25 \times 10^5$[mol]となる。
  • よって、質量$M_C$の炭素Cが90%、質量$M_H$の水素$H_2$が10%含まれる燃料1[t]を完全燃焼するのに必要な酸素のモル数$N_O$は以下のとおり。

$N_O=N_{OC} + N_{OH}=1.0 \times 10^5$[mol]

  • 1molの体積は22.4Lなので、モル数$N_O$の酸素$O_2$の体積$V_{NO}$は以下のとおり。

$V_{NO} = 22.4N_O=22.4 \times 10^5[L] = 22.4 \times 10^2[m^3]$

  • 空気中の酸素濃度は20%なので、必要な空気量$V_{N}$は以下のとおり。

$V_{N} = \frac{V_{NO}}{0.2}= 112 \times 10^2[m^3]$

【例題1】燃料使用量と空気量の計算

以下の仕様の汽力発電所があるとき、以下①②を計算せよ

  • ①定格出力にで24時間運転したときに消費する燃料質量$B_s[t]$
  • ②そのとき使用する燃料を完全燃焼させるために必要な理論空気量の値 $A_o[m^3]$を求めよ。
    • ※理論空気量:燃料を完全に燃焼するために必要な最小限の空気量(標準状態における体積)
  • 仕様
    • 定格出力P = 600 MW
    • 定格出力時の発電端効率$\eta =42[%]$
  • 条件
    • 重油の発熱量$H=44000[kJ/kg]$
    • 重油の化学成分は質量比で炭素85%、水素15%
    • 水素の原子量を1、炭素の原子量を12、酸素の原子量を16、空気の酸素濃度を21%とし、重油の燃焼反応は次のとおりである。
      • $C+O_2$→$CO_2$
      • $2H_2+O_2$→$2H_2O$
    • ※潜熱の影響は無視できる
    • ※$1[mol]$の気体標準状態の体積は$22.4[L]=0.0224[m^3]$とする。
    • ※$1[kmol]$の気体標準状態の体積は$22.4[L]=22.4[m^3]$とする。

①の解説

定格出力にて24時間運転した時の発電量$W_s[kWh]$は以下のとおり。

$ W_s = 600\times 10^3 \times 24 = 14400[kWh]$

発電量$W_s[kWh]$の単位を熱量$Q_s[kJ]$に変換すると以下のとおり。

$ Q_s = W_s \times 3600 = 51840000[kJ]$

定格出力にて24時間運転するために必要な熱量$Q_i [kJ]$は以下のとおり。

$Q_i = \frac{Q_g}{0.42}=1.234 \times 10^{11} [kJ]$

  • よって、必要な重油質量$B_s=2805[t]$と求まる。

$B_s = \frac{Q_s [kJ]}{H [kJ/kg]}=\frac{1.234 \times 10^{11}}{44000} = 2805000[kg] = 2805[t]$

②の解説

題意より、重油の化学成分は質量比で炭素85%、水素15%であるから、使用した燃料の炭素の質量$M_C$及び水素の質量$M_H$が求まる。

$M_C=2805 \times 10^3 \times 0.85 = 2384 \times 10^3$ [kg]

$M_H=2805 \times 10^3 \times 0.15 = 421 \times 10^3$ [kg]

題意より、 「炭素の原子量12、酸素の原子量16、燃焼時の化学反応式は$C+O_2$→$CO_2$」なので、使用した燃料の炭素質量$M_C$[kg]を燃焼するために必要な酸素量$O_C[m^3]$は、以下のとおり計算できる。

$O_C = \frac{M_C}{0.012} \times 22.4 = 4.45 \times 10^6 [m^3]$

題意より、「水素の原子量を1、酸素の原子量を16、水素燃焼時の化学反応式は$2H_2+O_2$→$2H_2O$」なので、使用した燃料の水素質量$M_H$[kg]を燃焼するために必要な酸素量$O_H[m^3]$は、以下のとおり計算できる。

$O_H = \frac{1}{2}\times\frac{M_H}{0.002} 22.4 = 2.36 \times 10^6 [m^3]$

よって、理論空気量$A_o[m^3]$が求まる。

$A_0 = \frac{O_C+O_H}{0.21}=32.4\times 10^6$$[m^3]$

【例題】燃焼計算

以下の仕様で運転する石炭火力発電所がある。潜熱の影響は無視するとき、以下の①②を求めよ。

①定格出力にて1日運転したときに消費する燃料重量M[t]

②二酸化炭素の重量の値[t]

定格出力200:MW
石炭の発熱量:28000 kJ/kg
定格出力時の発電端熱効率:36 %
※石炭の化学成分は重量比で炭素70%、水素他30%、炭素の原子量を12、酸素の原子量を16とし、炭素の酸化反応は「C+O2→CO2」とする。

①の解説

1秒あたりの発熱量Qは以下のようになる。

$Q=2800\frac{M}{24\cdot 3600}$ [kg/s]

「発電量 = 発熱量Q × 効率」なのでを掛けたものに等しいから、

$2000000=0.36Q = 0.36\cdot 2800\frac{M}{24\cdot 3600}$ [kg/s]

$M=1714.3$[t]

②の解説

題意より、燃料重量のうち炭素の重量$M_C$は、以下のとおり計算できる。

$M_C=0.7M=1714.3$[t]

炭素Cの原子量が12、二酸化炭素CO2の原子量が44であるから、二酸化炭素の重量$M_{CO2}$は以下のとおり。

$M_{CO2} = 1200\times 4\frac{44}{12}=4400$[t]

【令和7年下期・問15】火力発電所の発電端効率と二酸化炭素発生量

最大出力 $600 \text{ MW}$ の重油専焼火力発電所がある。重油の発熱量は $44,000 \text{ kJ/kg}$ で、潜熱は無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) $45,000 \text{ MW}\cdot\text{h}$ の電力量を発生するために使用された重油消費量が $9.1 \times 10^3 \text{ t}$ であるときの発電端効率の値 $[\text{\%}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 37.8
(2) 38.7
(3) 39.6
(4) 40.5
(5) 41.4

(b) 最大出力で24時間運転した場合の発電端効率が $45.0 \text{ \%}$ であるとき、発生する二酸化炭素量の値 $[\text{t}]$ として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
なお、重油の化学成分は重量比で炭素 $85.0 \text{ \%}$、水素 $15.0 \text{ \%}$、原子量は炭素 12、酸素 16とする。炭素の酸化反応は次のとおりである。
$\text{C} + \text{O}_2 \rightarrow \text{CO}_2$

(1) $6.83 \times 10^2$
(2) $6.83 \times 10^3$
(3) $8.16 \times 10^3$
(4) $9.18 \times 10^3$
(5) $1.08 \times 10^4$

解説

(a)の正解は(4)、(b)の正解は(3)です。

(a) 発電端効率の計算

消費された重油の持つ全熱エネルギー $Q$ $[\text{kJ}]$ を求めます。
重油消費量 $M = 9.1 \times 10^3 \text{ t} = 9.1 \times 10^6 \text{ kg}$

$$ Q = M \times 44,000 = 9.1 \times 10^6 \times 44,000 = 4.004 \times 10^{11} \text{ [kJ]} $$

発生した電気エネルギー $E_k$ $[\text{kJ}]$ を求めます。
$1 \text{ kW}\cdot\text{h} = 3,600 \text{ kJ}$ であるため、
発生電力量 $E = 45,000 \text{ MW}\cdot\text{h} = 45 \times 10^6 \text{ kW}\cdot\text{h}$

$$ E_k = E \times 3,600 = 45 \times 10^6 \times 3,600 = 1.62 \times 10^{11} \text{ [kJ]} $$

発電端効率 $\eta$ は、投入した熱エネルギーに対する発生した電気エネルギーの割合です。

$$ \eta = \frac{E_k}{Q} \times 100 = \frac{1.62 \times 10^{11}}{4.004 \times 10^{11}} \times 100 \approx 40.46 \text{ [\%]} $$

したがって、最も近い(4)が正解となります。

(b) 二酸化炭素発生量の計算

最大出力($600 \text{ MW}$)で24時間運転したときの発生電力量 $E_{24}$ $[\text{kW}\cdot\text{h}]$ を求めます。

$$ E_{24} = 600 \times 10^3 \times 24 = 14.4 \times 10^6 \text{ [kW}\cdot\text{h]} $$

この電気エネルギーを $\text{kJ}$ に換算します。

$$ E_{kJ} = 14.4 \times 10^6 \times 3,600 = 5.184 \times 10^{10} \text{ [kJ]} $$

発電端効率 $\eta’$ が $45.0 \text{ \%}$ であるため、必要な熱エネルギー $Q_{24}$ $[\text{kJ}]$ は以下のようになります。

$$ Q_{24} = \frac{E_{kJ}}{0.45} = \frac{5.184 \times 10^{10}}{0.45} = 1.152 \times 10^{11} \text{ [kJ]} $$

消費される重油の質量 $M_{24}$ $[\text{kg}]$ を求めます。

$$ M_{24} = \frac{Q_{24}}{44,000} = \frac{1.152 \times 10^{11}}{44,000} \approx 2.618 \times 10^6 \text{ [kg]} = 2,618 \text{ [t]} $$

重油中の炭素(C)の含有率は $85.0 \text{ \%}$ であるため、消費された炭素の質量 $M_c$ $[\text{t}]$ は、

$$ M_c = 2,618 \times 0.85 = 2,225.3 \text{ [t]} $$

炭素が燃焼して二酸化炭素( $\text{CO}_2$ )になる反応において、原子量は $\text{C} = 12$、$\text{O} = 16$ なので、$\text{CO}_2$ の分子量は $12 + 16 \times 2 = 44$ となります。つまり、$12 \text{ t}$ の炭素から $44 \text{ t}$ の二酸化炭素が発生します。
よって、発生する二酸化炭素量は以下のようになります。

$$ M_{\text{CO}_2} = M_c \times \frac{44}{12} = 2,225.3 \times \frac{44}{12} \approx 8,159 \text{ [t]} = 8.16 \times 10^3 \text{ [t]} $$

したがって、最も近い(3)が正解となります。

関連ページ

【電験3種】電力分野の試験対策と過去問題を徹底解説
電験3種(電力分野)で出題される問題の試験対策と過去問題を徹底解説します。
電験3種の試験対策・問題解説集
電験3種の試験対策・問題集についてをまとめました。

コメント