【電験3種・電力】水力発電所の特徴、水路式・ダム式・ダム水路式の違い、ダムの種類

電験3種(電力)で出題される水力発電所の特徴、水路式・ダム式・ダム水路式の違い、ダムの種類について試験対策と過去問題を解説します。

水力発電所の特徴

水力発電所には、他の発電方式と比較して一般的に以下の特徴があります。

  • 短時間で起動・停止できる
  • 耐用年数が長い
  • エネルギー変換効率が高い
  • 日本における水力発電の近年の発電電力量の比率は約10%程度
  • 日本の多くの水力発電所は、水車や発電機の始動・運転・停止などの操作が遠隔監視制御方式で行われ、発電所は無人化されている。

落差を得る方法で分類

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落差を得る方法による水力発電所の分類は以下のとおり。

水路式

自然にある河川の勾配から落差を得ます。川の上流に低い堰(取水ダム)を作って取水し、本来の河川ルートとは異なる水路により落差が得られるところまで水を導き発電します。河川は緩やかな勾配が多いですが、水路を使って短い水平距離で大きな落差を得ることで発電出力を上げることができます。流れ込み式と組み合わされることが多いです。

ダム式

ダムを建設して落差を得ます。ダムで河川をせき止めて池を造り、ダム直下にある発電所との落差を利用して発電する。貯水池式と調整池式と組み合わされることが多いです。ダムの両岸に頑丈な地盤が必要で、水路式よりも建設コストが高い

ダム水路式

自然にある河川の勾配と、建設したダムの両方で落差を得ます(水路式とダム式の両方)。両方の特性を兼ね備えた地点に適しています。水路式、ダム式単独に比べて、より大きな落差を得ることができます。貯水池式、調整池式および揚水式と組み合わされることが多いです。

流量を得る方法で分類

流量の利用方法による水力発電所の分類は以下のとおり。

流込み式

水路式発電所で、河川の自然の流れをそのまま利用。流量を調整できないため、季節や雨量等により発電量が変わる。

調整池式

数日程度の貯水をできる調整池を持つダム(水路)式。電力需要が小さいときは流量を抑え、電力需要のピーク時に流量を増やし、発電量を調整する。

貯水池式

調整池よりも容量の大きい貯水池をもつダム(水路)式。容量が大きいため、調整池式よりも長期間の需要変動に応じて発電量を調整できる。

揚水式

上部調整池と下部調整池を持つ。夜間休祭日等の軽負荷時に発電電動機で水を下部調整池から上部調整池まで揚水し、昼間の重負荷時に発電することで、負荷を平準化できる。

ダムの種類

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重力式コンクリートダム

コンクリート製のダム本体の重さで水圧を支える。体積が大きくなるが、単純な構造で日本で最も多いダム

中空重力式ダム

重力式コンクリートダムのうち、ダム本体の堤体の一部が中空になっているもの。(コンクリートの使用量を少なくするため)

ロックフィルダム

岩石、砂利、アスファルト、粘土などを積み上げて透水ゾーン、半遮水ゾーン、遮水ゾーンを構成することで貯水するダム。コンクリートダムより地盤への荷重が小さく、ダムは大きくなるが、資材の運搬が困難で建設地付近に岩石や砂利が多い場所に適している。建設できる地盤の選択肢が広い利点があるが、堤体上に洪水吐などの放流設備を作れないため、堤体と異なる位置に放流設備と、放流設備を作れる地盤が必要。

アースダム

土壌を主材料としたダムであって、灌漑(かんがい)用の池などを作るのに適している。基礎の地質が強固である必要はない(電験3種で過去出題)。

表面遮水型ダム

貯水池側にアスファルトやコンクリートなどの人工の遮水壁を持ち、堤体は透水性のある岩石により構成されるダム。

取水ダム

水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムで。ダムの高さは低く、越流形コンクリートダムなどが用いられている。

コンバインダム

重力式コンクリートダムとフィルダムの組み合わせで作られる複合ダム。

アーチ式ダム

水圧を支えるように堤体をアーチ型に作るダム。堤体を薄くできるためコンクリートの量を節減できるが、両岸の幅が狭くてアーチを支える強固な岩盤、高い建設技術が必要となる。代表例は「黒部ダム」。高度経済成長期以降、建設費の割合は材料費より人件費が多くなったため、あまり作られなくなった。

バットレスダム

水をせき止めるための鉄筋コンクリート製の遮水板と、その遮水板を支える擁壁からなるダム。

均一型ダム

堤体の大部分が粒の細かい土砂で造られるダムで、高さは30m程度と比較的低いものが造られます。

水力発電所の各種設備

取水口

取水ダムの側部等に設置される。水力発電に用いる水を河川や池から取り入れる入り口。取水口には、水路中にゴミが流れ込まないよう、前面にスクリーン(格子状の網)が設置されます。

沈砂池(ちんさち)

取水した水の流速を低下させて土砂を沈下させ、土砂が流れ込まないようにする。沈下して溜まった土砂を排出するための沈砂ゲートや揚砂装置などの付帯設備がある。

洪水吐、余水吐

ダムや貯水槽に設置される設備で、余分な水量を河川に戻す。鉄管や開きょトンネルなどが用いられる。排出するためのゲート(洪水吐、余水吐ゲート)がある。

導水路(取水路)

取水口から水槽(ヘッドタンク、上水槽)まで水を導く水路。水車が使用する水量を調整(発電量を調整)するために、導水路の末端(水圧管入口)に設けられる設備。

サージタンク(水圧調整用水槽)

導水路と水圧管との間に設置される、水撃作用の発生による影響を緩和するための水槽。

  • 水車を緊急停止(発電の緊急停止)時など、使用水量が急激に変化したときに水撃作用の発生を防止する役割をもつ。水撃作用が発生すると、水車等が水圧で損傷する。水撃作用は、水圧管が長く水車案内羽根あるいは入口弁の閉鎖時間が短いほど、大きくなる。サージタンクにはその構造・動作によって、差動式、小孔式、水室式などの種類があるが、いずれも密閉構造である。

    単動式サージタンク

    太い管を水圧管に接続した単純なもの。

    差動式サージタンク

    単胴の中にライザと呼ばれる管を設け、断面積の違いによる水面の上下の時間の違いを利用して吸収する。

    小孔式サージタンク

    サージタンクの入口を狭くし、抵抗損も吸収できる。

    水室式サージタンク

    サージタンクに水室を設けることで、水位の上昇も抑えられる。

    水圧管

    「ヘッドタンク、サージタンク」〜「水車」の間にある管路。鉄管が用いられるのが一般的で、伸縮継手(水温や気圧変化の影響による伸縮対策)、空気管・空気弁(管内が真空になるのを防止)といった付帯設備がある。

    水車弁(入口弁)

    水車の入口に設置される弁。水車を停止させるとき、弁を閉じて水を遮断する。流量の調整は行わないので、発電中は全開する。

    放水路

    水車で使用した水が放水される水路。

    揚水発電所

    ポンプ水車式

    発電電動機とポンプと水車を兼用できるポンプ水車を利用したもの。国内で最も主流な方式。

    タンデム式

    発電機と電動機を共用し、同一軸に水車とポンプをそれぞれ直結した方式。

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