令和5年度下期に電験3種(法規分野)で出題された過去問題を解説付きでまとめています。
【問1】保安規程の定めるべき事項
次の文章は、「電気事業法施行規則」に基づく自家用電気工作物を設置する者が保安規程に定めるべき事項の一部に関しての記述である。
a) 自家用電気工作物の工事,維持又は運用に関する業務を管理する者の(ア)に関すること。
b) 自家用電気工作物の工事,維持又は運用に従事する者に対する(イ)に関すること。
c) 自家用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安のための(ウ)及び検査に関すること。
d) 自家用電気工作物の運転又は操作に関すること。
e) 発電所又は蓄電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
f) 災害その他非常の場合に採るべき(エ)に関すること。
g) 自家用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安についての(オ)に関すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 権限及び義務 | 勤務体制 | 巡視,点検 | 指揮命令 | 記録 |
| (2) | 職務及び組織 | 勤務体制 | 整備,補修 | 措置 | 届出 |
| (3) | 権限及び義務 | 保安教育 | 整備,補修 | 指揮命令 | 届出 |
| (4) | 職務及び組織 | 保安教育 | 巡視,点検 | 措置 | 記録 |
| (5) | 権限及び義務 | 勤務体制 | 整備,補修 | 指揮命令 | 記録 |
解説
正解は(4)です。
問題文の記述は、電気事業法施行規則 第50条第3項に基づいています。同条文では、自家用電気工作物を設置する者が保安規程に定めるべき事項が規定されており、以下の通り記載されています。
一 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の(ア)職務及び組織に関すること。
二 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する(イ)保安教育に関すること。
三 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための(ウ)巡視、点検及び検査に関すること。
十 災害その他非常の場合に採るべき(エ)措置に関すること。
十一 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての(オ)記録に関すること。
したがって、正しい組合せは(4)となります。

【問2】電気工事業者の分類
次の文章は,「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に規定されている電気工事業者に関する記述である。
この法律において,「電気工事業」とは、電気工事士法に規定する電気工事を行う事業をいい、「(ア)電気工事業者」とは,経済産業大臣又は(イ)の(ア)を受けて電気工事業を営む者をいう。また、「通知電気工事業者」とは、経済産業大臣又は(イ)に電気工事業の開始の通知を行って、(ウ)に規定する自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいう。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 承認 | 都道府県知事 | 電気工事士法 |
| (2) | 許可 | 産業保安監督部長 | 電気事業法 |
| (3) | 登録 | 都道府県知事 | 電気工事士法 |
| (4) | 承認 | 産業保安監督部長 | 電気事業法 |
| (5) | 登録 | 産業保安監督部長 | 電気工事士法 |
解説
正解は(3)です。
本問題は「電気工事業の業務の適正化に関する法律」の定義からの出題です。
(ア)及び(イ)に関しては、同法第3条にて「電気工事業を営もうとする者は、二以上の産業保安監督部の管轄区域に営業所を設置して当該事業を営もうとする場合にあつては経済産業大臣の、一の産業保安監督部の管轄区域内のみに営業所を設置して当該事業を営もうとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する産業保安監督部長(一の都道府県の区域内のみに営業所を設置して当該事業を営もうとする場合にあつては、当該都道府県知事)の(ア)登録を受けなければならない。」と規定されています。
(ウ)に関しては、同法第17条の2第1項にて「(通知電気工事業者は、)電気工事士法に規定する(ウ)自家用電気工作物のみに係る電気工事業を開始したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣、産業保安監督部長又は都道府県知事に通知しなければならない。」とされています。
したがって、(ア)は「登録」、(イ)は「都道府県知事」、(ウ)は「電気工事士法」となり、正解は(3)です。

【問3】電路の絶縁
次の文章は、「電気設備技術基準」に関する記述である。
電路は、大地から(ア)しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は(イ)による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための(ウ)その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 離隔 | 事故 | 遮断 |
| (2) | 離隔 | 短絡 | 遮断 |
| (3) | 絶縁 | 短絡 | 離隔 |
| (4) | 絶縁 | 混触 | 接地 |
| (5) | 遮断 | 混触 | 接地 |
解説
正解は(4)です。
問題文は、電気設備に関する技術基準を定める省令 第5条(電路の絶縁)の規定そのものです。
同条文には、「電路は、大地から(ア)絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合、又は(イ)混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための(ウ)接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合は、この限りでない。」と記載されています。
よって、(ア)は「絶縁」、(イ)は「混触」、(ウ)は「接地」となり、正解は(4)です。

【問4】高圧の機械器具の施設制限
「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧の機械器具(これに附属する高圧電線であってケーブル以外のものを含む。以下同じ。)の施設について、発電所,蓄電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所以外の場所において、高圧の機械器具を施設することができる場合として、誤っているものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) 人が触れるおそれがないように、機械器具の周囲に適当なさく,へい等を設け 当該さく,へい等の高さと,当該さく,へい等から機械器具の充電部分までの距離との和を5m以上とし、かつ、危険である旨の表示をする場合
(2) 屋内であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する場合
(3) 工場等の構内において、機械器具の周囲に高圧用機械器具である旨の表示をする場合
(4) 機械器具をコンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収め、かつ、充電部分が露出しないように施設する場合
(5) 充電部分が露出しない機械器具を人が接近又は接触しないよう、さく、へい等を設けて施設する場合
解説
正解は(3)です。
高圧の機械器具の施設については、電気設備の技術基準の解釈 第21条(高圧の機械器具の施設)に規定があります。
同条第1項によると、高圧の機械器具を施設できるのは以下のいずれかの場合です。
一 屋内であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する場合
二 人が触れるおそれがないように、周囲に適当なさく、へい等を設け、さく、へい等の高さと充電部分までの距離の和を5m以上とし、危険表示をする場合
三 簡易接触防護措置を施す場合
四 機械器具をコンクリート製の箱又は「D種接地工事」を施した金属製の箱に収め、充電部分が露出しないように施設する場合
五 充電部分が露出しない機械器具を人が接近又は接触しないよう、さく、へい等を設けて施設する場合
選択肢(3)の「単に表示をするだけ」という条件は、解釈の規定を満たしていないため誤りとなります。

【問5】他の電線等との接近又は交差
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、低圧屋内配線が他の低圧屋内配線、弱電流電線等又は水管,ガス管若しくはこれらに類するもの(以下「他の電線等」という。)と(ア)する場合の記述の一部である。
低圧屋内配線が、他の電線等と(ア)することにより、(イ)等によって他の電線等を損傷するおそれがある場合は、低圧屋内配線と他の電線等との離隔距離を規定の値以上としなければならない。ただし、低圧屋内配線と他の電線等との間に絶縁性の隔壁を堅ろうに取り付ける場合、又は低圧屋内配線を保護管に収めて施設する場合は、この限りではない。
また、低圧屋内配線と他の電線等とが(ア)する場合において、(ウ)ときは、上記にかかわらず、離隔距離に関する規定を適用しない。この場合において、低圧屋内配線と他の電線等が接触することによって他の電線等を損傷するおそれがあるときは、接触しないように(エ)をする必要がある。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 接触 | 短絡電流 | 取扱者以外の者が容易に触れることがない | 防火措置 |
| (2) | 接近 | アーク放電 | 他の電線等の管理者の承諾を得た | 防火措置 |
| (3) | 接近 | アーク放電 | 他の電線等の管理者の承諾を得た | 感電防止措置 |
| (4) | 接触 | 短絡電流 | 他の電線等の管理者の承諾を得た | 防火措置 |
| (5) | 接近 | 短絡電流 | 取扱者以外の者が容易に触れることがない | 感電防止措置 |
解説
正解は(2)です。
問題文は、電気設備の技術基準の解釈 第167条(低圧屋内配線と他の屋内配線等との接近又は交差)の規定に基づいています。
同条文では、低圧屋内配線が他の電線等と(ア)接近又は交差する場合、(イ)アーク放電によって他の電線等を損傷するおそれがある場合には離隔距離をとることが求められています。また、(ウ)他の電線等の管理者の承諾を得た場合には離隔距離の規定を適用しないことができますが、その際も損傷のおそれがあるときは接触しないように(エ)防火措置を施す必要があります。
よって、(ア)接近、(イ)アーク放電、(ウ)他の電線等の管理者の承諾を得た、(エ)防火措置となる(2)が正解です。

【問6】足場金具の施設制限
架空電線路の支持物に、取扱者が昇降に使用する足場金具等を地表上 1.8m 未満に施設することができる場合として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき,不適切なものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) 監視装置を施設する場合
(2) 足場金具等が内部に格納できる構造である場合
(3) 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
(4) 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように、さく,へい等を施設する場合
(5) 支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合
解説
正解は(1)です。
架空電線路の支持物の昇塔防止については、電気設備の技術基準の解釈 第61条(架空電線路の支持物の昇塔防止)に規定があります。
原則として足場金具等は地表上1.8m以上に施設しなければなりませんが、以下の場合は例外として1.8m未満への施設が認められます。
一 足場金具等が「内部に格納できる構造」である場合
二 支持物に「昇塔防止のための装置」を施設する場合
三 支持物の周囲に「さく、へい等」を施設する場合
四 支持物を「山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所」に施設する場合
選択肢(1)の「監視装置を施設する場合」は、解釈に定められた例外規定に含まれていないため、不適切です。

【問7】分散型電源の系統連系設備に係る用語
「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する記述として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 単独運転とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に無効電力を供給している状態をいう。
(2) 自立運転とは,分散型電源が,連系している電力系統から解列された状態において,当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいう。
(3) 逆充電とは,分散型電源設置者の構内から,一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。
(4) 受動的方式の単独運転検出装置とは,分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいう。
(5) 能動的方式の単独運転検出装置とは,単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいう。
解説
正解は(2)です。
分散型電源の系統連系に係る用語の定義は、電気設備の技術基準の解釈 第220条に規定されています。
(1) 誤り。単独運転とは、線路負荷に「有効電力」を供給している状態をいいます(第220条第5号)。
(2) 正しい。自立運転の定義(第220条第7号)の通りです。
(3) 誤り。文中の記述は「逆潮流」(第220条第4号)の定義です。逆充電とは、分散型電源のみが電力系統を加圧し、有効電力を供給していない状態をいいます(第220条第6号)。
(4)は「能動的方式の単独運転検出装置」の説明で誤りです。解釈第220条第1項10号のとおり、「受動的方式の単独運転検出装置とは「単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置」です。
(5)は「受動的方式の単独運転検出装置」の説明で誤りです。解釈第220条第1項11号のとおり、「能動的方式の単独運転検出装置とは,分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置」です。

【問8】電気さくの施設制限
次の文章は、「電気設備技術基準」における電気さくの施設の禁止に関する記述である。
電気さく(屋外において裸電線を固定して施設したさくであって、その裸電線に充電して使用するものをいう。)は、施設してはならない。ただし、田畑、牧場,その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するために施設する場合であって、絶縁性がないことを考慮し,(ア)のおそれがないように施設するときは、この限りでない。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における電気さくの施設に関する記述である。
電気さくは、次のa)からf)に適合するものを除き施設しないこと。
a) 田畑,牧場、その他これに類する場所において野獣の侵入又は家畜の脱出を防止するために施設するものであること。
b) 電気さくを施設した場所には、人が見やすいように適当な間隔で(イ)である旨の表示をすること。
c) 電気さくは、電気用品安全法の適用を受ける電気さく用電源装置等から電気の供給を受けるものであること。
d) 電気さくを(ウ)等、人が容易に立ち入る場所に施設する場合は、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
e) 電気さく用電源装置(交流電源から給電されるものに限る。)の電源側に接続する電路の対地電圧は、(エ)V以下であること。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 火災 | 危険 | 山地 | 30 |
| (2) | 断線 | 通電 | 山地 | 150 |
| (3) | 断線 | 危険 | 公道 | 150 |
| (4) | 火災 | 通電 | 山地 | 30 |
| (5) | 感電 | 危険 | 公道 | 30 |
解説
正解は(5)です。
前半の文章は、電気設備に関する技術基準を定める省令 第74条に基づいています。
「(ア)感電のおそれがないように施設するときは、この限りでない。」となります。
後半の文章は、電気設備の技術基準の解釈 第192条(電気さくの施設)に基づいています。
b) 「(イ)危険である旨の表示をすること」
d) 「(ウ)公道等、人が容易に立ち入る場所に施設する場合は……自動的に電路を遮断する装置を施設すること」
e) 「電源側に接続する電路の対地電圧は、(エ)30V以下であること」
したがって、(ア)感電、(イ)危険、(ウ)公道、(エ)30となる(5)が正解です。

【問9】ライティングダクト工事
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、ライティングダクト工事による低圧屋内配線の施設に関する記述として、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) ダクトの支持点間の距離を2m以下で施設した。
(2) 造営材を貫通してダクト相互を接続したため、貫通部の造営材には接触させず、ダクト相互及び電線相互は堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続した。
(3) ダクトの開口部を上に向けたため、人が容易に触れるおそれのないようにし、ダクトの内部に塵埃が侵入し難いように施設した。
(4) 5mのダクトを人が容易に触れるおそれがある場所に施設したため、ダクトにはD種接地工事を施し、電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置は施設しなかった。
(5) ダクトを固定せず使用するため、ダクトは電気用品安全法に適合した附属品でキャブタイヤケーブルに接続して、終端部は堅ろうに閉そくした。
解説
正解は(1)です。
ライティングダクト工事の施設基準は、電気設備の技術基準の解釈 第161条に規定されています。
(1) 第1項第4号にて「ダクトの支持点間の距離は、2m以下とすること。」と規定されており、正しい記述です。
(2) 第1項第3号にて「ダクトは、造営材を貫通して施設しないこと。」と規定されているため、誤りです。
(3) 第1項第1号にて「ダクトの開口部は、下向きに施設すること。」と規定されているため、誤りです。
(4) 第1項第6号ハにて、人が容易に触れるおそれがある場所に施設する場合は、D種接地工事に加え「電路に地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること」が求められているため、誤りです。
(5) 第1項第4号にて「ダクトは、造営材に堅ろうに取り付けること。」と規定されており、固定せず使用することは認められないため、誤りです。

【問10】変流器(CT)の取扱い
次の文章は、計器用変成器の変流器に関する記述である。その記述内容として誤っているものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) 変流器は、一次電流から生じる磁束によって二次電流を発生させる計器用変成器である。
(2) 変流器は、二次側に開閉器やヒューズを設置してはいけない。
(3) 変流器は、通電中に二次側が開放されると変流器に異常電圧が発生し、絶縁が破壊される危険性がある。
(4) 変流器の二次側電路に接続される電流計などの器具を取り替える場合は、二次側を短絡せずに取り外す必要がある。
(5) 変流器の二次側電路には、原則として、使用電圧の区分に応じた接地工事を施す必要がある。
解説
正解は(4)です。
変流器(CT)の取扱いに関する保安上の原則からの出題です。
(1) 変流器の動作原理として正しい記述です。
(2) 二次側が開放状態(断線など)になると危険なため、二次側には開閉器やヒューズを設置してはいけません。正しい記述です。
(3) 二次側が開放されると、一次電流のすべてが励磁電流となり、鉄心が高度に磁気飽和して二次側に非常に高い電圧が発生し、絶縁破壊や焼損を招く恐れがあります。正しい記述です。
(4) 変流器の二次側機器を取り替える際は、二次端子をあらかじめ「短絡」してから取り外す必要があります。短絡せずに取り外すと二次側が開放状態となり非常に危険です。したがって、「短絡せずに取り外す必要がある」とする記述は誤りです。
(5) 電気設備に関する技術基準を定める省令 第11条及び解釈に基づき、計器用変成器の二次側電路には接地工事が必要です。正しい記述です。
【問11】需要設備の高圧地絡保護システム
図は,線間電圧V [V],周波数f [Hz]の中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路及びある需要設備の高圧地絡保護システムを簡易に示した単線図である。高圧配電線路一相の全対地静電容量を $C_1$ [F],需要設備一相の全対地静電容量を $C_2$ [F]とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,図示されていない負荷,線路定数及び配電用変電所の制限抵抗は無視するものとする。

(a) 図の配電線路において,遮断器が「入」の状態で地絡事故点に一線完全地絡事故が発生し地絡電流 $I_g$ [A]が流れた。このとき $I_g$ の大きさを表す式として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,間欠アークによる影響等は無視するものとし,この地絡事故によって遮断器は遮断しないものとする。
(1) $\frac{2}{\sqrt{3}}V\pi f\sqrt{C_1^2+C_2^2}$
(2) $2\sqrt{3}V\pi f\sqrt{C_1^2+C_2^2}$
(3) $\frac{2}{\sqrt{3}}V\pi f(C_1+C_2)$
(4) $2\sqrt{3}V\pi f(C_1+C_2)$
(5) $2\sqrt{3}V\pi f\sqrt{C_1C_2}$
(b) 小問(a)の地絡電流 $I_g$ は高圧配電線路側と需要設備側に分流し,需要設備側に分流した電流は零相変流器を通過して検出される。上記のような需要設備構外の事故に対しても,零相変流器が検出する電流の大きさによっては地絡継電器が不必要に動作する場合があるので注意しなければならない。地絡電流 $I_g$ が高圧配電線路側と需要設備側に分流する割合は $C_1$ と $C_2$ の比によって決まるものとしたとき, $I_g$ のうち需要設備の零相変流器で検出される電流の値[mA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし, $V = 6 600 \text{ V}$ , $f = 60 \text{ Hz}$ , $C_1 = 2.3 \text{ μF}$ , $C_2 = 0.02 \text{ μF}$とする。
(1) 54 (2) 86 (3) 124 (4) 152 (5) 256
解説
正解は(a)が(4)、(b)が(2)です。
(a) 中性点非接地方式の三相3線式電路において、一線地絡時の地絡電流 $I_g$ は、全系統の対地静電容量 $C_0 = C_1 + C_2$ を通じて流れます。相電圧を $E = \frac{V}{\sqrt{3}}$ とすると、地絡電流の大きさは次のように求められます。
$$I_g = 3\omega C_0 E = 3(2\pi f)(C_1 + C_2)\frac{V}{\sqrt{3}} = \sqrt{3} \times 2\pi f(C_1 + C_2)V = 2\sqrt{3}V\pi f(C_1 + C_2)$$
したがって、(4)が正しい式となります。
(b) 事故点が「需要設備構外(配電線側)」にある場合、需要設備の零相変流器(ZCT)で検出される電流 $I_0$ は、需要設備自身の対地静電容量 $C_2$ を通じて流れる充電電流の合計となります。
$$I_0 = 3\omega C_2 E = \sqrt{3} \omega C_2 V = 2\sqrt{3}V\pi f C_2$$
数値を代入します。
$$I_0 = 2 \times \sqrt{3} \times \pi \times 60 \times 0.02 \times 10^{-6} \times 6600$$
$$I_0 \approx 0.08618 \text{ [A]} = 86.18 \text{ [mA]}$$
最も近い値は(2)の86です。

【問12】進相コンデンサ設備の端子電圧と容量
三相3 線式の高圧電路に300 kW,遅れ力率0.6 の三相負荷が接続されている。この負荷と並列に進相コンデンサ設備を接続して力率改善を行うものとする。進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし,直列リアクトルSR のリアクタンス $X_L$ [Ω]は,三相コンデンサSC のリアクタンス $X_C$ [Ω]の6 %とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,高圧電路の線間電圧は6 600 V とし,無効電力によって電圧は変動しないものとする。

(a) 進相コンデンサ設備を高圧電路に接続したときに三相コンデンサ SCの端子電圧の値 [V]として、最も近いものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) 6410 (2) 6 795 (3) 6807 (4) 6995 (5) 7021
(b) 進相コンデンサ設備を負荷と並列に接続し、力率を遅れ 0.6 から遅れ 0.8 に改善した。このとき、この設備の三相コンデンサ SCの容量の値 [kvar] として、最も近いものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) 170 (2) 180 (3) 186 (4) 192 (5) 208
解説
正解は(a)が(5)、(b)が(3)です。
(a) コンデンサのリアクタンスを $X_C$、直列リアクトルのリアクタンスを $X_L$ とします。直列リアクトルがコンデンサの $6\%$ であるとき、 $X_L = 0.06 X_C$ となります。コンデンサの端子電圧 $V_C$ は、回路電圧 $V$ に対して次のように表されます。
$$V_C = \frac{X_C}{X_C – X_L} \times V = \frac{X_C}{X_C – 0.06 X_C} \times V = \frac{1}{0.94} \times 6 600 \approx 7021.3 \text{ [V]}$$
したがって、最も近い値は(5)の7021となります。
(b) まず、力率改善に必要な無効電力(設備全体の容量) $\Delta Q$ を求めます。
負荷の有効電力 $P = 300 \text{ [kW]}$、改善前の力率角を $\theta_1$、改善後の力率角を $\theta_2$ とすると、
$$\Delta Q = P (\tan \theta_1 – \tan \theta_2) = 300 \times \left( \frac{0.8}{0.6} – \frac{0.6}{0.8} \right) = 300 \times (1.333 – 0.75) = 175 \text{ [kvar]}$$
次に、三相コンデンサ SC 単体の容量 $Q_C$ (端子電圧 $V_C$ における実効出力)を求めます。進相コンデンサ設備全体の容量 $\Delta Q$ との関係は、 $\Delta Q = Q_C (1 – 0.06)$ となるため、
$$Q_C = \frac{\Delta Q}{1 – 0.06} = \frac{175}{0.94} \approx 186.2 \text{ [kvar]}$$
したがって、最も近い値は(3)の186となります。

【問13】電気工作物に起因する供給支障事故
(a) 次の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
① 電気事業法第39条(事業用電気工作物の維持)において、事業用電気工作物の損壊により(ア)者又は配電事業者の電気の供給に著しい支障を及ぼさないようにすることが規定されています。
② 「電気関係報告規則」において、(イ)を設置する者は、(ア)の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧(ウ)V以上の(イ)の破損等により(ア)者に供給支障を発生させた場合、産業保安監督部長に報告しなければならない。
③ 高圧配電系統により受電している需要家において、受電設備内の短絡等により高圧配電系統に供給支障が発生した場合、②の報告対象となるのは(エ)である。

| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 一般送配電事業 | 自家用電気工作物 | 6000 | 事故点1又は事故点2 |
| (2) | 送電事業 | 一般用電気工作物 | 6000 | 事故点1 |
| (3) | 一般送配電事業 | 自家用電気工作物 | 3000 | 事故点1又は事故点2 |
| (4) | 送電事業 | 一般用電気工作物 | 3000 | 事故点1 |
| (5) | 一般送配電事業 | 自家用電気工作物 | 3000 | 事故点1 |
解説
正解は(5)です。
① 電気事業法 第39条第2項第3号より、(ア)には「一般送配電事業」が入ります。
② 電気関係報告規則 第3条第1項第4号(供給支障事故)の規定によります。報告対象となるのは、(イ)自家用電気工作物を設置する者が、(ア)一般送配電事業者の電路と接続されている電圧(ウ)3000V以上の工作物の破損等により、(ア)者に供給支障を発生させた場合です。
③ 需要家構内での事故が原因で配電系統全体に影響(波及事故)を及ぼした場合、報告の対象となる事故点は、需要家側の設備である(エ)「事故点1」(例:受電用遮断器やケーブルなど)となります。
これらをすべて満たす組合せは(5)です。

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