【電験3種・法規】 1線地絡電流、B種接地抵抗、D種接地抵抗の試験対策と過去問題

電験3種(法規)で出題される「1線地絡電流」「B種接地抵抗」「D種接地抵抗」の計算の仕組み、試験対策と過去問題を解説します。

B・D種接地抵抗の許容値

以下表は、解釈17条の「17-1表」から抜粋・要約したB種およびD種接地抵抗値の許容値です。

種別 接地抵抗値 特徴 接地線
B種接地 150/Ig[Ω]以下(漏電遮断器の動作時間が1秒以内なら600/Ig[Ω]、1秒超え2秒以内なら300/Ig[Ω]) 高圧又は特別高圧電路と低圧電路の間にある変圧器の低圧側の中性点の1線に施す接地。変圧器の混触(高圧側と低圧側が接触し、高圧が低圧側に流れ込んむこと)時に電圧上昇を抑えるのが目的。 変圧器一次側電圧が15000V以下なら直径2.6mm以上の軟銅線15000V超えなら直径4mm以上の軟銅線(その他、詳細は電技解釈第17条2項を参照)
D種接地 100[Ω]以下(漏電遮断器の動作時間が0.5秒以内なら500Ω以下) 300V以下の低圧の電気機器外箱等、高圧計器用変成器の2次側電路の接地。感電等の災害防止用。 直径1.6mm以上の軟銅線(※詳細は電技解釈第17条4項を参照)
特別高圧と特別高圧の間の変圧器」「特別高圧と高圧の間の変圧器」「高圧と高圧の間の変圧器」にはB種接地抵抗は施しません。例えば、「22kVと10kVの間にある変圧器」や「6.6kVと3.3kVの間にある変圧器」にはB種接地抵抗は施行する必要はありません。
【電験3種・法規】「A種、B種、C種、D種接地の違い」「変圧器の混触防止用の接地」と例題
電験三種(法規)における「電気設備の接地」と「A種、B種、C種、D種接地の違い」と例題をまとめました。

B種接地抵抗の役割

B種接地抵抗には、主に以下3つの役割があります。

① 変圧器一次側(高圧電路)と二次側(低圧電路)が接触(混触)した際、低圧側の電位上昇を抑制
② 変圧器二次側(低圧電路)で一線地絡が生じた際、健全相の電位上昇を抑制
③ 変圧器二次側(低圧電路)の地絡継電器・漏電遮断器の確実な動作

変圧器混触時の電位上昇抑制

変圧器の内部故障により、一次側と二次側の混触(接触)が発生したとき、B種接地抵抗が無ければ、下図のように低圧電路の対地電圧は一次側と同じ$\frac{6600}{\sqrt{3}} V$となってしまいます。

変圧器の二次側にB種接地の抵抗値が$R_B$があるとき、以下図のように一線地絡電流$I_g$が電源(高圧) → 変圧器一次側 → 変圧器二次側 → B種接地抵抗 → 大地 → 電源(高圧)を循環して流れます。

電源(高圧)は、一般的には「変電所の配電用変圧器のインピーダンス + 配電線インピーダンス」となります。つまり、変圧器の混触時、許容値を満たすB種接地が二次側にされていれば、分圧により$R_B$が小さいほど低圧電路側に発生する対地電圧は低下します。

B種接地抵抗$R_B$と浮動静電容量$C_s$は上図のように直列回路となります。低圧側の対地電圧上昇 $V_e$ は、以下の式で決まります。

$$V_e = I_g \times R_B$$

($I_g$: 1線地絡電流 [A]、 $R_B$: B種接地抵抗値 [$\Omega$])

この $V_e$ を、低圧機器の絶縁が耐えられる、あるいは人体への危険が少ない範囲(原則 150V以下)に抑えるように $R_B$ の上限値が定められています。つまり、

$$150 \geq I_g \times R_B$$
$$R_B \leq \frac{150}{I_g} $$

となります。遮断装置の性能(1秒〜2秒以内遮断)に応じて、B種接地抵抗値$R_B$の許容値が大きくなるのは、低圧電路の上昇を300Vや600Vまで緩和していることになります。これは、「高速に遮断すれば危険な時間を短縮できるから」という理由になります。つまり、高性能な遮断装置(PASやSOG)が付いていて、1秒や2秒という短時間で電気を切れるのであれば、「一瞬ならもう少し電圧が上がっても大丈夫だろう」と考え、B種接地抵抗値の制限が緩くなります。

漏電遮断器の動作時間が1秒超2秒以内の場合は以下のとおりです。

$$ R_B \leq \frac{600}{I_g} [\Omega] $$

漏電遮断器の動作時間が1秒以内の場合は以下のとおり。

$$ R_B \leq \frac{600}{I_g} [\Omega] $$

低圧電路で一線地絡が生じた際の健全相の電位上昇抑制

低圧電路一線地絡(一本の線が地面に触れる)したとき、B種接地がなければ健全相(事故を起こしていない他の電線)の対地電圧が、相電圧から線間電圧($\sqrt{3} = $ 約1.73倍)まで跳ね上がります。B種接地抵抗があることで中性点(または一端子)の電位が地球に固定されているため、一線地絡が起きても健全相の対地電圧の変動を最小限に抑え、機器の絶縁破壊(二次被害)を防ぐことができます。

低圧電路の地絡継電器・漏電遮断器の確実な動作

漏電遮断器(ELCB)などが漏電検知するためには、「電気が地面を通って帰ってくるルート」が必要です。負荷機器で漏電が発生すると、電流は機器の外箱(D種接地など)から地面へ流れ出し、**B種接地線を通って変圧器へと戻っていきます。もしB種接地がなければ(あるいは抵抗値が高すぎると)、このループが完成せず、十分な地絡電流が流れません。その結果、漏電遮断器が動作不良を起こし、感電事故や火災を見逃してしまうリスクが生じます。

1線地絡電流の計算

1線地絡電流$I_g$は、実測値か以下の式(解釈17条の「17-2表」)で求めます。(電験3種試験では問題で与えられるので暗記不要)。

$$ I_g=1+\frac{\frac{V’}{3}L-100}{150}+\frac{\frac{V’}{3}L’-1}{2}$$
$I_g$:1線地絡電流[A]・・・小数点以下切り上げ。2未満の場合は2になる。
$V’$:公称電圧÷1.1[kV]
$L$:同一母線に接続される高圧電路の電線延長(ケーブルを除く)[m]
$L’$:同一母線に接続される高圧電路の線路延長(ケーブルに限る)[m]

【練習問題1】柱上変圧器のB種接地抵抗値

公称電圧6.6[kV]の変電所母線に接続された中性点非接地式架空配電線路(三相3線式のこう長は100[km]、単相2線式のこう長は20[km])がある。
この配電線路に接続される柱上変圧器の低圧側に施設されるB種接地工事の抵抗値は何[Ω]以下とする必要があるか。
ここで、変電所引出口の遮断装置は、高低圧電路の混触時に1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を有している。

解説

題意から$L, L’, V’$は以下のとおり。

$$V’=\frac{6.6}{1.1}=6 [kV]$$
$$L=(100\cdot 3)+(20\cdot 2)=340 [km]$$
$$L’=0$$
※ケーブルはないため、$L’$は0となる

よって、一線地絡電流は以下のとおり、切り上げて5[A]となる。

$$ I=1+\frac{\frac{6}{3}\times 340-100}{150}=4.87 [A]$$

ここで、「変電所引出口の遮断装置は、高低圧電路の混触時に1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を有している。」という条件より、B種接地工事に必要な接地抵抗値は以下の計算により、120[Ω]以下と求まる。

$$ R_{B}=\frac{600}{I}=\frac{600}{5}=120 [\Omega] $$

【練習問題2】一線地絡電流とB種接地抵抗値の計算

公称電圧6.6kVの三相3線式中性点非接地方式高圧電線路がある。
同一母線に接続される高圧配電線路の内訳が以下のとき、各問に答えよ。

・架空配電線路(絶縁電線)が3回線(こう長15km)
・地中配電線路(ケーブル)が2回線(こう長3km)

(問1)電線延長Lはいくらか。
(問2)線路延長L’はいくらか。
(問3)高圧配電線路の1線地絡電流はいくらか。
(4)変圧器に施すB種接地工事の接地抵抗の許容値はいくらか。
(※高低圧電路の混触時に1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を有している)

解説1

L=こう長×回線数×電線の本数=15×3×3=135km

※架空配電線の電線長は、電線1本毎に分けて敷設するため、それぞれに静電容量が発生します。そのため、架空配電線の電線長は敷設長に電線の本数を掛ける(3を掛ける)必要があります。

解説2

L’=こう長×回線数=3×2=6km

※地中配電線に代表されるケーブル長は、その構造上3心一括で敷設されるので、静電容量も3心一括で考えることができるため、単純に敷設長と同じとなります(架空配電線のように電線の本数を掛けない)。

解説3

一線地絡電流は以下のとおり、切り上げて8[A]となる。

$$I=1+\frac{\frac{6}{3}(135-100)}{150}+\frac{\frac{6}{3}(6-1)}{2}=7.6 [A]$$

解説4

注釈(高低圧電路の混触時に1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を有している)」より、B種接地抵抗の許容値は以下の計算式から75[Ω]となる。

$$R_{B}=\frac{600}{I}=\frac{600}{8}=75 [\Omega]$$

【練習問題3】D種接地抵抗値の計算(B種が既知)

変圧器(B種接地抵抗値:75Ω)によって、高圧電路と接続されている使用電圧100Vの低圧電路がある。
低圧電路に施設された電動機に完全地絡事故が発生した場合の金属製外箱の対地電圧を25V以下にしたいときの、金属製外箱のD種接地抵抗値の許容値(上限値)を求めよ。

解説

完全地絡事故時の1線地絡電流を$I_g [A]$とすると、キルヒホッフの第一法則から以下のとおり求まる。

$$ E_0=R_BI_g+R_DI_g $$
$$ 100=R_BI_g+25 $$
$$ 100=75I_g+25 $$
$$ I_g = 1$$

よって、$I_g$が求まれば、D種接地抵抗の許容値$R_D$も求まる。

$$ R_D\cdot Ig=25 $$
$$ R_D=25 $$

つまり、電圧と抵抗値は比例するため、B種接地抵抗値が75Ωなら、D種接地抵抗値は25Ω以下にすれば、対地電圧は25V以下となる。

D種接地工事は、感電等の危険防止のために300V以下の低圧用機器の金属製外箱や鉄台に施す接地工事です。B種接地抵抗値とセットで、対地電圧やD種接地抵抗値を求める問題がよく出ます。

【練習問題4】B種及びD種接地抵抗値

単相変圧器の低圧側電路に施設された金属製外箱に入った使用電圧200[V]の電動機Mがある。
高圧電路の1線地絡電流を10[A]とし、変圧器の低圧側の中性点に施したB種接地工事の接地抵抗値$R_B$は、高低圧混触時に中性点の対地電位が150[V]になるような値とする。
また、電動機の端子付近で1線の充電部が金属製外箱に接触して完全地絡状態となった場合を想定し、当該外箱の対地電位が25[V]以下となるようにD種接地抵抗$R_D$を施設する。この場合、$R_B$と$R_D$の許容値はいくらになるか。

解説

高圧電路の1線地絡電流を 10[A]とし、B種接地抵抗値は、高低圧混触時に中性点の対地電位が150[V]になるような値とするとある。よって、$R_B$の許容値は以下のとおり15Ωとわかる。

$$R_B=\frac{150}{10}=15$$

次に、電動機の完全地絡状態時の地絡電流$I_g$は以下のようになる。

$$I_g=\frac{100}{R_B+R_D}=\frac{100}{15+R_D}$$

電動機の金属製外箱の対地電圧をV[V]が25[V]以下となるとき、以下の式を満たす。

$$V=I_gR_D=\frac{100}{15+R_D}R_D \leq 25 $$

上式を整理すると、$R_D$の許容値は5Ωとわかる。

$$R_D \leq 5$$

【練習問題5】B種及びD種接地抵抗値

以下の①〜③の条件の電気設備について、以下の問に答えよ。
①変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧100[V]の低圧分電盤(D種接地された金属製外箱で、電動機用)がある。
②変圧器の高圧側電路の1線地絡電流が5[A]で、B種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」の許容最大値$R_B$の1/2以下になるよう基準値を定めて管理している。
③変圧器の高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150[V]を超えた場合に、0.7秒で高圧電路を自動的に遮断する遮断器が設置されている。

【問1】変圧器の低圧側に施されたB種接地抵抗値[Ω]の基準値Ebを求めよ。

【問2】低圧分電盤(金属製外箱)で地絡事故が発生した場合、低圧分電盤に触れた人体に流れる電流$I_H$を5[mA]以下としたい。
そのために必要なD種接地抵抗値$R_D$[Ω]の上限値を求めよ。
なお、人体の抵抗値$R_H=6000$[Ω]とする。

解説1

B種接地抵抗値の許容最大値は以下のとおり120[Ω]とわかる。

$$R_B=\frac{600}{5}=120$$

題意より、基準値は$R_B$の1/2なので、60[Ω]となる。

解説2

題意より、地絡して人体が金属製外箱に触れているときの状態は以下の図のようになる。

$E_0$:使用電圧
$V$:対地電圧
$R_B$:B種接地抵抗値
$R_D$:D種接地抵抗値
$R_H$:人体の抵抗値
$I_H$:人体に流れる電流値

このとき、2つの閉回路についてキルヒホッフの法則式を立てる。

閉回路①

$$E_0=100=R_DI_D+R_B(I_D+I_H)$$
$$100=R_DI_D+60(I_D+0.005)$$
$$R_DI_D+60I_D=99.7$$

閉回路②

$$R_DI_D=R_HI_H$$
$$R_DI_D=6000*0.005=30$$

閉回路①②の式から$I_D$と$R_B$を求める。
まずは閉回路②の式を①へ代入すると$I_D$が求まる。

$$30+60I_D=99.7$$
$$I_D=\frac{39.7}{30}$$

$I_D$を閉回路②の式に代入すれば$R_D$が約49Ωと求まる。

$$R_D=\frac{60}{I_D}=\frac{1800}{39.7}=49$$

【令和6年度上期・問13】B種接及びD種接地抵抗値

変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧 100 V の金属製外箱を有する空調機がある。
この変圧器の B 種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された空調機の金属製外箱の D 種接地抵抗値に関して,次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし,次の条件によるものとする。
(ア)変圧器の高圧側の電路の 1 線地絡電流は 5 A で, B 種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」で許容されている最高限度の 1/3 に維持されている。
(イ)変圧器の高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が 150 V を超えた場合に, 0.8 秒で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている。

(a) 変圧器の低圧側に施された B 種接地工事の接地抵抗値 [Ω] の値として,最も近いのは次のうちどれか。
 (1)  10   (2)  20   (3)  30   (4)  40   (5)  50

(b) 空調機に地絡事故が発生した場合,空調機の金属製外箱に触れた人体に流れる電流を 10 mA 以下としたい。このための空調機の金属製外箱に施す D 種接地工事の接地抵抗値 [Ω] の上限値として,最も近いのは次のうちどれか。
ただし,人体の電気抵抗値は 6 000 Ω とする。
 (1)  10   (2)  15   (3)  20   (4)  30   (5)  60

追加:

【(a)の解答】
削除: 題意より、変圧器の高圧側の電路の1線地絡電流$Ig=5[A]$であり、「混触時に低圧電路の対地電圧が150[V]を超えた場合に1秒以下で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている」ため、B種接地抵抗値の許容値$R_B$は120[Ω]と求まる。

$$ R_{B}=\frac{600}{I_g}=\frac{600}{5}=120$$

ここで、題意(ア)に「許容されている最高限度の1/3に維持されている。」とあることから、答えは$120\times\frac{1}{3}=40$[Ω]となる。

【令和6年度下期・問12】接地抵抗と漏れ電流の計算

図は三相3線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の一相当たりの対地静電容量を C とし接地抵抗を $R_B$ とする。
低圧側電路の線間電圧 200 V、周波数 50 Hz、対地静電容量 C は 0.1 µF として、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、変圧器の高圧電路の1線地絡電流は 5 A、高低圧混触時に低圧電路の対地電圧が 150 V を超えた場合は 1.3 秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。

(a) 接地抵抗 $R_B$ の許容されている上限の抵抗値 [Ω] はいくらか。
(1) 20 (2) 30 (3) 40 (4) 60 (5) 100

(b) 接地抵抗 $R_B$ の抵抗値を 100 Ω としたときに、$R_B$ に常時流れる電流 $I_B$ の値 [mA] はいくらか。
(1) 11 (2) 19 (3) 33 (4) 65 (5) 192

解説

正解は (a)が(4)、(b)が(1)です。

(a) B種接地工事の接地抵抗値の上限は、遮断時間が「1秒を超え2秒以内」である場合、$300 / I \text{ [Ω]}$($I$ は1線地絡電流)となります。

問題文より $I = 5 \text{ A}$ なので、

$R_B = 300 / 5 = 60 \text{ [Ω]}$

となります。

(b) 接地線に常時流れる電流 $I_B$ を求めるため、テブナンの定理を用いた等価回路を考えます。
電源の相電圧(対地電圧)を $\dot{E}$、線間電圧を $V = 200 \text{ V}$ とすると、

$E = \frac{V}{\sqrt{3}} = \frac{200}{\sqrt{3}} \approx 115.47 \text{ [V]}$

全対地静電容量は 3相分で $3C$ となり、そのリアクタンス $X_C$ は、
$X_C = \frac{1}{3 \omega C} = \frac{1}{3 \times 2 \pi f C} = \frac{1}{3 \times 2 \pi \times 50 \times 0.1 \times 10^{-6}} \approx 10610.3 \text{ [Ω]}$

等価回路において、$R_B = 100 \text{ Ω}$ と $X_C$ が直列に接続された形になるため、電流 $I_B$ は次のように計算できます。

$I_B = \frac{E}{\sqrt{R_B^2 + X_C^2}} = \frac{115.47}{\sqrt{100^2 + 10610.3^2}} \approx \frac{115.47}{10610.8} \approx 0.01088 \text{ [A]} = 10.88 \text{ [mA]}$

最も近い値は 11 mA となります。

【令和5年度下期・問11】需要設備の高圧地絡保護システム

図は,線間電圧V [V],周波数f [Hz]の中性点非接地方式の三相3線式高圧配電線路及びある需要設備の高圧地絡保護システムを簡易に示した単線図である。高圧配電線路一相の全対地静電容量を $C_1$ [F],需要設備一相の全対地静電容量を $C_2$ [F]とするとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし,図示されていない負荷,線路定数及び配電用変電所の制限抵抗は無視するものとする。

(a) 図の配電線路において,遮断器が「入」の状態で地絡事故点に一線完全地絡事故が発生し地絡電流 $I_g$ [A]が流れた。このとき $I_g$ の大きさを表す式として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし,間欠アークによる影響等は無視するものとし,この地絡事故によって遮断器は遮断しないものとする。

(1) $\frac{2}{\sqrt{3}}V\pi f\sqrt{C_1^2+C_2^2}$
(2) $2\sqrt{3}V\pi f\sqrt{C_1^2+C_2^2}$
(3) $\frac{2}{\sqrt{3}}V\pi f(C_1+C_2)$
(4) $2\sqrt{3}V\pi f(C_1+C_2)$
(5) $2\sqrt{3}V\pi f\sqrt{C_1C_2}$

(b) 小問(a)の地絡電流 $I_g$ は高圧配電線路側と需要設備側に分流し,需要設備側に分流した電流は零相変流器を通過して検出される。上記のような需要設備構外の事故に対しても,零相変流器が検出する電流の大きさによっては地絡継電器が不必要に動作する場合があるので注意しなければならない。地絡電流 $I_g$ が高圧配電線路側と需要設備側に分流する割合は $C_1$ と $C_2$ の比によって決まるものとしたとき, $I_g$ のうち需要設備の零相変流器で検出される電流の値[mA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし, $V = 6 600 \text{ V}$ , $f = 60 \text{ Hz}$ , $C_1 = 2.3 \text{ μF}$ , $C_2 = 0.02 \text{ μF}$とする。

(1) 54 (2) 86 (3) 124 (4) 152 (5) 256

解説

正解は(a)が(4)、(b)が(2)です。

(a) 中性点非接地方式の三相3線式電路において、一線地絡時の地絡電流 $I_g$ は、全系統の対地静電容量 $C_0 = C_1 + C_2$ を通じて流れます。相電圧を $E = \frac{V}{\sqrt{3}}$ とすると、地絡電流の大きさは次のように求められます。

$$I_g = 3\omega C_0 E = 3(2\pi f)(C_1 + C_2)\frac{V}{\sqrt{3}} = \sqrt{3} \times 2\pi f(C_1 + C_2)V = 2\sqrt{3}V\pi f(C_1 + C_2)$$

したがって、(4)が正しい式となります。

(b) 事故点が「需要設備構外(配電線側)」にある場合、需要設備の零相変流器(ZCT)で検出される電流 $I_0$ は、需要設備自身の対地静電容量 $C_2$ を通じて流れる充電電流の合計となります。

$$I_0 = 3\omega C_2 E = \sqrt{3} \omega C_2 V = 2\sqrt{3}V\pi f C_2$$

数値を代入します。

$$I_0 = 2 \times \sqrt{3} \times \pi \times 60 \times 0.02 \times 10^{-6} \times 6600$$
$$I_0 \approx 0.08618 \text{ [A]} = 86.18 \text{ [mA]}$$

最も近い値は(2)の86です。

【令和5年度上期・問12】変圧器のB種接地抵抗と漏えい電流

変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された、対地静電容量を有する単相2線式の低圧電路がある。この低圧電路に施設された変圧器のB種接地抵抗値及び低圧電路と大地との間の絶縁性能に関して、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、次の条件によるものとする。
(ア) 変圧器の高圧側電路の1線地絡電流は5Aとする。
(イ) 高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合は1.3秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。

(a) 変圧器に施された、接地抵抗 $R_{B}$ の抵抗値について「電気設備技術基準の解釈」で許容されている上限の抵抗値[Ω]として、最も近いものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) 20
(2) 30
(3) 40
(4) 60
(5) 100

(b) 接地抵抗 $R_{B}$ の抵抗値を100Ωとしたときに、$R_{B}$ に常時流れる電流 $I_{B}$ の値[mA]として、最も近いものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
ただし、記載以外のインピーダンスは無視するものとする。
(1) 11
(2) 19
(3) 33
(4) 65
(5) 192

解説

(a)の正解は(4)、(b)の正解は(1)です。

(a) B種接地工事の接地抵抗値 $R_{B}$ の上限は、電気設備の技術基準の解釈 第17条第2項第1号(17-1表)の規定に基づきます。

問題文の条件(1秒を超え2秒以内に自動遮断する装置がある場合)では、接地抵抗値の上限は次式で求められます。

$$ R_{B} = \frac{300}{I_{g}} $$

ここで、1線地絡電流 $I_{g} = 5$ A であるため、

$$ R_{B} = \frac{300}{5} = 60 \text{ [Ω]} $$

(b) B種接地工事の接地線に常時流れる電流 $I_{B}$(漏えい電流)を求めます。
低圧側電路は三相3線式 200V であり、1端子が接地されています。接地されていない残り2線の対地電圧はそれぞれ線間電圧と同じ 200V となります。それぞれの線から対地静電容量 $C$ を通じて流れる電流のベクトル和が $I_{B}$ となります。
2つの電流の位相差は $60^\circ$ となるため、その合成値は $\sqrt{3} \times (\text{1線分の充電電流})$ となります。あるいは、中性点からの電圧 $V_{p} = \frac{200}{\sqrt{3}}$ V を基準としたテブナンの等価回路(対地静電容量 $3C$)から求めることもできます。

$$ I_{B} \fallingdotseq \frac{200}{\sqrt{3}} \times \omega \times 3C $$

$$ I_{B} = \frac{200}{\sqrt{3}} \times (2 \pi \times 50) \times (3 \times 0.1 \times 10^{-6}) $$

$$ I_{B} \fallingdotseq 200 \times \sqrt{3} \times \pi \times 50 \times 0.1 \times 10^{-6} \fallingdotseq 0.01088 \text{ [A]} $$

これを mA 単位に直すと 約 11 mA となります。

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