【電験3種・理論】三相交流のY-Y結線(スター-スター)とは?線間電圧の大きさが相電圧の√3倍になる理由など解説

電験3種(理論分野)で出題される「三相交流のY-Y結線(スター-スター)とは?線間電圧の大きさが相電圧の√3倍になる理由などについて詳しく解説します。

Y-Y結線(スター・スター)とは

Y結線(スター結線)とは、三相交流回路において3つの相の片端を1点(中性点)で接続する方式です。電源側と負荷側の双方がこの結線である場合をY-Y結線と呼びます。

解説を正確に進めるため、以下の表記ルールを統一します。
ドットあり($\dot{V}$):フェーザ(複素数)。大きさだけでなく位相(向き)の情報を含む。
ドットなし($V$):実効値。複素数の絶対値 $|\dot{V}|$ を表し、電圧の大きさのみを指す。

電源が対称三相交流(各相の電圧の大きさが$E$で等しく、位相が $120^\circ$ ずつずれている状態)であり、かつ負荷が平衡負荷(各相のインピーダンス $Z$ がすべて等しい)である場合、以下の関係が成立します。

項目 関係式 特徴・説明
電圧 $V = \sqrt{3} E = \sqrt{3} ZI$ 線間電圧 $V$ は「電源側の相電圧 $E$」と「負荷側の相電圧降下$ZI$」 の $\sqrt{3}$ 倍になります。位相は相電圧より $30^\circ$ 進みます。
電流 線電流=相電流 線電流 と相電流 は常に$I$となって等しくなります。(直列回路のため)
三相電力 $P = 3 E I \cos \theta = \sqrt{3} V I \cos \theta$ 3つの負荷で消費される全電力 $P$ は、1相分の消費電力の3倍となります。

$\cos \theta$:力率

平衡負荷の場合、各相の電流のベクトル和が $0$ となり、中性点間に電位差が生じません。そのため、負荷には電源の相電圧がそのまま加わります。
電源側と負荷側それぞれの中心点(中性点)を電線で結ぶことも可能で(4線式)、これにより電圧のバランスを安定させることができます。一般的な配電や、家庭用の単相負荷をバランスよく接続する場合などに適しています。

線間電圧と相電圧の関係

スター結線において、線間電圧(端子間の電圧)と電源側の相電圧(各相の電圧)の関係を導出します。

フェーザによる定義

キルヒホッフの第2法則(電圧則)より、線間電圧 $\dot{V}_{ab}$ は $a$ 相と $b$ 相の電位差として定義されます。

$$\dot{V}_{ab} = \dot{E}_a – \dot{E}_b$$

ここで、平衡三相交流の各相電圧(実効値を $E$ とする)を基準の $a$ 相から定義すると以下のようになります。

$$\dot{E}_a = E(\cos 0^\circ + j \sin 0^\circ) = E$$

$$\dot{E}_b = E(\cos(-120^\circ) + j \sin(-120^\circ)) = E \left( -\frac{1}{2} – j\frac{\sqrt{3}}{2} \right)$$

線間電圧のフェーザ計算

定義式に代入して計算を進めます。

$$\dot{V}_{ab} = \dot{E}_a – \dot{E}_b$$

$$\dot{V}_{ab} = E – E \left( -\frac{1}{2} – j\frac{\sqrt{3}}{2} \right)$$

$$\dot{V}_{ab} = E \left( 1 + \frac{1}{2} + j\frac{\sqrt{3}}{2} \right) = E \left( \frac{3}{2} + j\frac{\sqrt{3}}{2} \right)$$

これを極形式(大きさ $\angle$ 位相)で表すため、指数形式への変換を考慮します。

大きさ(実効値)の導出

線間電圧の実効値を $V$ とすると、複素数の絶対値計算より

$$V = |\dot{V}_{ab}| = \sqrt{\left( \frac{3}{2} E \right)^2 + \left( \frac{\sqrt{3}}{2} E \right)^2}$$
$$V = E \sqrt{\frac{9}{4} + \frac{3}{4}} = E \sqrt{\frac{12}{4}} = \sqrt{3} E$$

線間電圧の大きさ $V$ は、相電圧 $E$ の $\sqrt{3}$ 倍である。

位相の関係

線間電圧 $\dot{V}_{ab}$ の偏角(位相)$\theta$ を求めます。

$$\tan \theta = \frac{\text{虚部}}{\text{実部}} = \frac{\frac{\sqrt{3}}{2} E}{\frac{3}{2} E} = \frac{\sqrt{3}}{3} = \frac{1}{\sqrt{3}}$$

これより、$\theta = 30^\circ$ となります。

線間電圧の位相は、基準となる相電圧よりも $30^\circ$ 進む。

負荷側の相電圧

負荷側もY結線であるため、1つの負荷(一相分)の両端にかかる電圧 $V_p$ は、線路の端子と負荷の中性点の間の電圧になるため、電源側の相電圧と等しくなります。よって、負荷の相電圧 $V_p$ は線間電圧 $V$ に対して以下の関係になります。
$$V_p = \frac{V}{\sqrt{3}}$$

線電流と相電流の関係

スター結線では、電源から出ていく線路と負荷の各相が直列につながっています。

線電流 ($\dot{I}_a, \dot{I}_b, \dot{I}_c$)**:電線を流れる電流
相電流:負荷の内部($\dot{Z}_a$ など)を流れる電流

図を見るとわかる通り、一本道なのでこれらは等しくなります。(線電 = 相電流)

負荷のインピーダンスを $\dot{Z_a}$ とすると、相電流(=線電流) $\dot{I}_a$ は次の式で求められます。

$$\dot{I}_a = \frac{\dot{E}_a}{\dot{Z}}$$

試験で「線間電圧 $V$」が与えられている場合は、一度相電圧 $E = \frac{V}{\sqrt{3}}$ に変換してから計算するのが鉄則です。

三相電力の計算

負荷で消費される全電力 $P$ は、1相分の電力($E I \cos \theta$)の3倍になります。
相電圧・相電流を用いる場合、全電力 $P$ は以下の計算式で求めます。

$$P = 3 E I \cos \theta$$

線間電圧・線電流を用いる場合、 $E = \frac{V}{\sqrt{3}}$ を代入すると、

$$P = \sqrt{3} V I \cos \theta$$

となります。

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