電験3種(理論)で出題される半導体、ダイオード、真性半導体、n型半導体、p型半導体の試験対策と過去問題について解説します。
半導体とは
半導体とは、電気を通しやすい「導体」と電気を通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質で、以下の特徴をもちます。
代表的な半導体物質としてはシリコンがあり、半導体製品の多くがシリコンを元にして作られています。
半導体の抵抗率はだいたい$10^{-4}$~$10^{6}$[Ω・m]で、温度が高くなると小さくなります。
また、半導体には、大別して真性半導体、n型半導体、p型半導体があります。
真性半導体
- 熱を加えると、抵抗率が減少する(導電性が向上)。
- n形半導体のキャリアは正孔より自由電子の方が多い。
- 不純物がほとんど無い、純粋な半導体結晶や化合物半導体で構成された半導体です。
- 単元素の半導体:ゲルマニウム(Ge)及びシリコン(Si)
- 化合物半導体:インジウムリン(InP)やガリウムヒ素(GaAs)
- 拡散電流の大きさはそのキャリヤの濃度勾配に比例する(キャリヤが動くことで電流が流れる)
- 真性半導体に不純物を加えるとキャリヤの濃度は変わり、電流が流れやすくなるため、抵抗率は低下する。
- 光や熱を加えると、電子-正孔対ができ、電流が流れやすくなる。
- 半導体に電界を加えると、電界の大きさに比例したドリフト電流が流れる。
不純物半導体
真性半導体に3価や5価の不純物を混ぜたもので、電子や正孔が移動することで真性半導体よりも導電率は良くなる。
n型半導体
電荷を運ぶキャリアとして自由電子が使われる半導体です(多数キャリアが電子となる半導体) 。真性半導体に、5価元素(リン、ヒ素)を不純物(ドナー)として添加すると出来ます(nはnegative[負]の意味)。
p型半導体
電荷を運ぶキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体です(正孔が多数キャリアとなる半導体)。真性半導体に、3価元素(ホウ素、アルミニウム)を不純物(アクセプタ)として添加すると出来ます(pはpositive[正]の意味)。
pn接合ダイオード
順電圧を加えると、電流はアノード(p形半導体)からカソード(n形半導体)に移動します。電子の移動方向は電流と逆であるため、カソードからアノードへ移動します。つまり、キャリアの密度差により「正孔」および「電子」が次のように移動します。
正孔・・・p型領域からn型領域へ移動
電子・・・n型領域からp型領域へ移動(拡散)
ダイオードの整流作用
ダイオードに交流電流を流すと、順方向に電流が流れ、逆方向には流れないようにすることで、流れる方向を片方のみに制限でき、整流器として用いられます。
太陽電池
半導体の光電効果を利用して、太陽光の光エネルギーから電気エネルギーを生成します。p形半導体とn形半導体を接合(pn接合)して太陽電池を作るため、ダイオードと構造が同じです。太陽電池に太陽光が当たると、半導体の中で負の電気をもつ電子と正の電気をもつ正孔が対になって生成され,電子はn形半導体の側に、 正孔はp形半導体側に、それぞれ引き寄せられます。その結果、p形半導体に付けられた電極がプラス極、n形に付けられた電極がマイナス極となるように起電力が生じます。両電極間に負荷抵抗を接続すると太陽電池から取り出された電力が負荷抵抗で消費されるため、 負荷抵抗を接続する前に比べて太陽電池の温度は低くなります。
発光ダイオード(LED)
pn接合ダイオードのpn接合領域に逆電圧を加え、電流を流すことで光エネルギーに変換され、材料に応じた色を発光します。
レーザダイオード
p形層、活性層、n形層の3層構造で、前後の面は半導体結晶による自然な反射鏡になっている。レーザダイオードに順電流を流すと、活性層の自由電子が正孔と再結合して消滅するとき光を放出する。この光が二つの反射鏡の間に閉じ込められることで、二次放出が起き、同じ波長の光が多量に生じ、外部にその一部が出力される。光の特別な波長だけが共振状態となって二次放出が誘起されるので、強い同位相のコヒーレントな光が得られる。
可変容量ダイオード(バリキャップ)
「逆方向電圧V」が加わると、静電容量が変化するダイオードです(逆電圧が大きいほど、静電容量が小さくな)。 p形半導体とn形半導体を接合すると、p形半導体のキャリヤとn形半導体のキャリヤがpn接合面付近で拡散し、互いに結合すると消滅して「空乏層」 と呼ばれるキャリヤがほとんど存在しない領域が生じます。可変容量ダイオードに逆方向電圧Vを印加し、その大きさを大きくすると、空乏層の領域の幅dが広くなり、静電容量の値は小さくなる。この特性を利用して可変容量ダイオードは「無線通信の同調回路」 などに用いられている。
ホール効果
電流Iに対して垂直な方向に磁界Hを加えると、電流Iと磁界Hに対して垂直な方向に起電力E(=電界)が発生します。
この現象をホール効果といいます。
【令和4年度下期・問15・一部改変】ダイオードの印加電圧の向き
次の文章は,それぞれのダイオードについて述べたものである。
a.可変容量ダイオードは、通信機器の同調回路などに用いられる。このダイオードは、 pn接合に逆方向電圧を加えて使用するものである。
b. pn 接合に逆方向電圧を加え、その値を大きくしていくと、降伏現象が起きる。この降伏電圧付近では,流れる電流が変化しても接合両端の電圧はほぼ一定に保たれる。定電圧ダイオードは,この性質を利用して所定の定電圧を得るようにつくられたダイオードである。
c.レーザダイオードは光通信や光情報機器の光源として利用され、pn接合に順方向電圧を加えて使用するものである。
【令和7年度上期・問11】ホール素子の動作原理
次の文章は、図1及び図2に示す原理図を用いてホール素子の動作原理について述べたものである。
図1に示すように、p形半導体に直流電流 $I \text{ [A]}$ を流し、半導体の表面に対して垂直に下から上向きに磁束密度 $B \text{ [T]}$ の平等磁界を半導体に加えると、半導体内の正孔は進路を曲げられ、電極①には (ア) 電荷、電極②には (イ) 電荷が分布し、半導体の内部に電界が生じる。また、図2のn形半導体の場合は、電界の方向はp形半導体の場合と (ウ) である。この電界により、電極①-②間にホール電圧 $V_H \text{ [V]}$ が発生し、それは直流電流 $I \text{ [A]}$ にほぼ (エ) する。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 負 | 正 | 同じ | 反比例 |
| (2) | 正 | 負 | 同じ | 反比例 |
| (3) | 負 | 正 | 同じ | 比例 |
| (4) | 負 | 正 | 反対 | 比例 |
| (5) | 正 | 負 | 反対 | 比例 |
解説
正解は(4)です。
p形半導体では、正孔(正電荷)が電流の方向に動きます。フレミングの左手の法則により、右向きの速度と上向きの磁界から受ける力は電極②側を向きます。したがって、②に正、①に負の電荷が分布します。
n形半導体では、電子(負電荷)が電流と逆方向(左)に動きます。左向きの速度、上向きの磁界により、負電荷が受ける力はやはり電極②側を向きます。したがって②が負、①が正になり、電界の向きはp形と反対になります。
ホール電圧 $V_H$ は $V_H = R_H \frac{BI}{d}$ で表され、電流 $I$ に比例します。



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