電験3種(理論)で出題される「RLC共振回路」とは?共振各周波数・電圧拡大作用・選択度Qの仕組みや過去問題について解説します。
RLC直列共振回路

RLC直列回路が共振状態となったとき、RLC共振回路となり、以下の以下の特性をもちます。
① インダクタンスの電圧$V_L[V]$とコンデンサの電圧$V_C[V]$の大きさが等しくなり、合計が0[V]になる。
② 電圧$V$と電流$I$の位相が同じになる。
③ 回路を流れる電流の大きさが最大になる。
④ コイルLとコンデンサCの端子電圧が電源電圧より大きくなる。(電圧拡大作用)
共振状態は、電源電圧の角周波数$w_0$が以下の値になるとき発生します。
$\omega _0=\sqrt{\frac{1}{LC}}$
上式より、共振状態となる電源電圧の周波数$f_0$は以下のとおりです。
$f_0 = \frac{1}{2\pi}{\sqrt{LC}}$
なぜこの値になるかは次節で紹介します。
実効値 [V] ,角周波数 [rad/s] の交流電圧源, [Ω] の抵抗 R ,インダクタンス [H] のコイル L ,静電容量 [F] のコンデンサ C からなる共振回路に関する記述として,正しいものと誤りのものの組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
RLC並列共振回路
インダクタンスを流れる電流$I_L[A]$とコンデンサを流れる電流$I_C[A]$の大きさが等しくなり、合計が0になる($I_L$と$I_C$が$0$になるわけではない)。
共振角周波数の導出
回路全体のインピーダンス$Z$は以下のようになります。
$Z=R+Z_L+Z_C=R+j\omega L+\frac{1}{j\omega C}$
$=R+j\omega L-\frac{j}{\omega C}=R+j(\omega L-\frac{1}{\omega C})$
$R, L, C$は定数なので、インピーダンス$Z$が最小となる条件は虚数項が$0$になるときです。インピーダンス$Z$が最小となるときの角周波数$\omega _0$を共振各周波数といいます。共振状態にあるとき、インピーダンス$Z$は最小(虚数項が0)になるので以下の式が成立します。
$\omega _0L-\frac{1}{\omega _0C}=0$
よって、各周波数$\omega _0$は以下のとおり。
$\omega _0^2=\frac{1}{LC}$
$\omega _0=\sqrt{\frac{1}{LC}}$
共振電流
共振状態の時には、見かけ上のインピーダンス$Z$が抵抗$R$だけになるため電流値が最大になります。このときの電流を共振電流$I_0$といいます。
$I_0=\frac{R}{V}$
電源電圧の角周波数$\omega$が共振角周波数$\omega$から離れるほど、電流値は小さくなります。つまり、共振回路は「特定の角周波数をもつ信号だけを通しやすくするフィルタ」の役割を果たします。共振回路は、無線機やラジオなどの選局にも応用されています。
電圧拡大作用とQ(選択度)
RLC直列共振回路が共振状態になると、電源電圧$V$よりもコイル$L$やコンデンサ$C$の端子電圧$V_L, V_C$の方が大きくなるという現象が発生します。これを「電圧拡大作用」といいます。
| – | 電圧拡大作用の倍率 |
|---|---|
| コイル$L$の端子電圧 | 電源電圧$V$の$\omega LR$倍 |
| コンデンサ$C$の端子電圧 | 電源電圧$V$の$\frac{1}{\omega CR}$倍 |
この倍率を共振回路の「Q(選択度)」といいます。
コイルの場合、分母の巻線抵抗が小さく、分子のインダクタンスが大きいほど、選択度Qは大きくります。
(※実際の回路ではインダクタンスを大きくするために巻数を増やせば、巻線分の抵抗も増えます)
証明
共振電流$I_0$は次のようになります。
$I_0=\frac{V}{R}$
コイル$L$やコンデンサ$C$の端子電圧$V_L, V_C$は次のようになり、先程の倍率が成立します。
$V_L=\omega LI_0=\frac{\omega LV}{R}$
$V_C=\frac{1}{\omega C}I_0=\frac{V}{\omega CR}$
【令和4年度上期・問9・一部改変】直列共振回路の電圧比

図のように、5Ωの抵抗、200 mH のインダクタンスをもつコイル, 20 μF の静電容量をもつコンデンサを直列に接続した回路に周波数 f [Hz] の正弦波交流電圧 E [V] を加えた。周波数 f を回路に流れる電流が最大となるように変化させたとき,コイルの両端の電圧の大きさは抵抗の両端の電圧の大きさの何倍か。
解説
題意より、周波数fのとき、電流が最大となるので、周波数f[Hz] は共振周波数とわかる。よって、共振周波数を求める公式に値を代入する。
$f_0 = \frac{1}{2\pi}\sqrt{LC}}=\frac{1}{2\pi}{\sqrt{(200\times 10^{-3})(20\times 10^{-6}))}}=\frac{250}{\pi}$[Hz]
周波数が求まったので、コイルとコンデンサのリアクタンス$X_L, X_C[Ω]$も求まる。
$X_L=2\pi fL=2\pi \frac{250}{\pi}200\times 10^{-3}=100$[Ω]
$X_C=\frac{1}{2\pi fC}=\frac{1}{2\pi \frac{250}{\pi}20\times 10^{-6}}=100$[Ω]
コイルとコンデンサに流れる電流は同じなので、コイルの両端の電圧$V_L$[V] と抵抗の両端の電圧$V_R$[V]の比はリアクタンスの比となり、20と求まる。
$\frac{V_L}{V_R}=\frac{X_L}{R}=\frac{100}{5}=20$
【平成30年度・問9・一部改変】交流回路の共振現象

交流電圧源の出力電圧を10 Vに保ちながら周波数 [Hz]を変化させるとき,交流電圧源の電流の大きさが最小となる周波数は $\frac{2}{2\sqrt{3}\pi}$ Hz である。このとき,この電流の大きさは5A であり,その位相は電源電圧を基準として同相である。
ただし,電流の向きは図に示す矢印のとおりとする。
解説
($\frac{2}{2\sqrt{3}\pi}$となる理由)
共振周波数の計算式より以下のとおり。
$f=\frac{1}{2\pi \sqrt{LC}}=\frac{1}{2\pi \sqrt{2\times 1.5}}=\frac{2}{2\sqrt{3}\pi}$
(5Aとなる理由)
共振時、インダクタンスとコンデンサの合成リアクタンスは無限大となり、電源からの電流Iはすべて抵抗に流れる。よって、その大きさは以下のとおり。
$I=\frac{10}{1+1}=5 [A]$
(同相となる理由)
電源の出力電流$I$はすべて抵抗$R$に流れるため、電圧と電流は同相となる。
【令和6年度上期・問8】LC共振回路を直列接続したときの共振周波数

図のように、二つのLC直列共振回路 A, Bがあり、それぞれの共振周波数が $f_A \text{ [Hz]}$, $f_B \text{ [Hz]}$ である。これら A, B をさらに直列に接続した場合、全体としての共振周波数が $f_{AB} \text{ [Hz]}$ になった。$f_A$, $f_B$ 及び $f_{AB}$ の大小関係として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (1) | (2) | (3) | (4) | (5) |
|---|---|---|---|---|---|
| 大小関係 | $f_A < f_B < f_{AB}$ | $f_A < f_{AB} < f_B$ | $f_B < f_{AB} < f_A$ | $f_{AB} < f_A < f_B$ | $f_{AB} < f_B < f_A$ |
解説
正解は(3)です。
LC直列回路の共振周波数 $f$ は、インダクタンス $L$、静電容量 $C$ として次式で表されます。
$$f = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}$$
図示された回路定数から、回路Aは $L, C$ であり $f_A = \frac{1}{2\pi\sqrt{LC}}$ となります。回路Bは $2L, C$ であり、共振周波数は以下のようになります。
$$f_B = \frac{1}{2\pi\sqrt{2LC}} \approx 0.707 f_A$$
回路Aと回路Bを直列に接続した全体のインダクタンスは $L_{AB} = L + 2L = 3L$、直列合成静電容量は $C_{AB} = \frac{C \cdot C}{C + C} = \frac{C}{2}$ となります。
全体の共振周波数 $f_{AB}$ は次のように計算されます。
$$f_{AB} = \frac{1}{2\pi\sqrt{3L \cdot \frac{C}{2}}} = \frac{1}{2\pi\sqrt{1.5LC}} \approx 0.816 f_A$$
したがって、大小関係は $f_B < f_{AB} < f_A$ となります。
【令和6年度上期・問13】共振回路の等価回路の変換
図1は,静電容量 $C \text{ [F]}$ のコンデンサとコイルからなる共振回路の等価回路である。このようにコイルに内部抵抗 $r [\Omega]$ が存在する場合は,インダクタンス $L \text{ [H]}$ と抵抗 $r [\Omega]$ の直列回路として表すことができる。この直列回路は,コイルの抵抗 $r [\Omega]$ が,誘導性リアクタンス $\omega L [\Omega]$ に比べて十分小さいものとすると,図2のように,等価抵抗 $R_p [\Omega]$ とインダクタンス $L \text{ [H]}$ の並列回路に変換することができる。このときの等価抵抗 $R_p [\Omega]$ の値を表す式として,正しいのは次のうちどれか。
ただし, $I_c \text{ [A]}$ は電流源の電流を表す。
(※回路図は省略)
(1) $\frac{\omega L}{r}$
(2) $\frac{r}{(\omega L)^2}$
(3) $\frac{(\omega L)^2}{r}$
(4) $\frac{r^2}{\omega L}$
(5) $r(\omega L)^2$
解説
正解は(3)です。
図1の等価回路において、コイル部分(インダクタンス $L$ と抵抗 $r$ の直列回路)のアドミタンス $\dot{Y}_1$ は、次のように表されます。
$\dot{Y}_1 = \frac{1}{r + j\omega L} = \frac{r – j\omega L}{r^2 + (\omega L)^2} = \frac{r}{r^2 + (\omega L)^2} – j\frac{\omega L}{r^2 + (\omega L)^2}$
ここで、 $r$ が $\omega L$ に比べて十分小さい( $r \ll \omega L$ )とすると、 $r^2 + (\omega L)^2 \approx (\omega L)^2$ と近似できるため、アドミタンスは次のようになります。
$\dot{Y}_1 \approx \frac{r}{(\omega L)^2} – j\frac{\omega L}{(\omega L)^2} = \frac{r}{(\omega L)^2} – j\frac{1}{\omega L}$
一方、図2の等価回路におけるコイル部分(等価抵抗 $R_p$ とインダクタンス $L$ の並列回路)のアドミタンス $\dot{Y}_2$ は、次のように表されます。
$\dot{Y}_2 = \frac{1}{R_p} – j\frac{1}{\omega L}$
図1と図2の等価回路が電気的に等価であるためには、両者のアドミタンスの実部が等しくなる必要があります。
$\frac{1}{R_p} = \frac{r}{(\omega L)^2}$
これを $R_p$ について解くと、次のようになります。
$R_p = \frac{(\omega L)^2}{r}$
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