磁気回路オームの法則とは?計算式と計算問題について解説します。
磁気回路オームの法則
- 磁気抵抗 $R_m$ 、磁束 $\varphi$ 、起磁力 $F$ は以下の関係があります。
$F=R_m \varphi$
- これを磁気回路オームの法則といいます。
- 電流 $I$ が流れている $N$ 巻コイルの起磁力 $F$ [A]は以下の式で計算できます。
$F=NI$
また、 磁路の長さを$L[m]$ 、断面積を $S[m^2]$ 、透磁率を $\mu[H/m]$ とするとき、磁気抵抗 $R_m$ は次式で表せます。
$R_m = \frac{L}{\mu S}$
磁気回路と電気回路の関係性
磁気回路オームの法則は電気回路の場合とは以下のような関係性があります。
電気回路 | 磁気回路 |
---|---|
電源(電池) | 磁石 |
回路(銅線などの導体) | 磁性材(鉄など) |
抵抗(豆電球) | エアギャップ |
電流$I[A]$ | 磁束$\varphi$[Wb] |
電場$E[V/m]$ | 磁場$H$[A/m]) |
電流密度$J=\frac{I}{S}$ | 磁束密度$B=\frac{\varphi}{S}$ |
起電力$V$[V] | 起磁力$F[A]$ |
電気抵抗$R$[Ω]) | 磁気抵抗$ R_m $[H^{-1}] |
導電率$\sigma$ [S/m] | 透磁率$\mu$ [H/m] |
抵抗率$\phi$[Ω・m] | パーミアンス係数$p[H/m]$ |
電気回路オームの法則$V=RI$ | 磁気回路オームの法則$F=R\varphi $ |
ただし、 $L[m]$ は導体の長さ、 $S[m^2]$ は導体の断面積です。
この置換えを覚えておけば、磁気回路オームの法則も思い出しやすくなります。
【例題1】環状鉄心に絶縁電線を巻いて作った磁気回路
[電験3種 理論 平成26年度 問題3 一部改変]
環状鉄心に絶縁電線を巻いて作った磁気回路に関する記述(1)~(5)が正しいか誤っているか答えよ。
(1) 磁気抵抗は,磁束の通りにくさを表している。毎ヘンリー[$H^{−1}$]は,磁気抵抗の単位である。
→正しい。
(2) 電気抵抗が導体断面積に反比例するように,磁気抵抗は,鉄心断面積に反比例する。
→正しい。
(3) 鉄心の透磁率が大きいほど,磁気抵抗は小さくなる。
→正しい。
(4) 起磁力が同じ場合,鉄心の磁気抵抗が大きいほど,鉄心を通る磁束は小さくなる。
→正しい。
(5) 磁気回路における起磁力と磁気抵抗は,電気回路におけるオームの法則の電流と電気抵抗にそれぞれ対応する。
→誤り。起磁力に対応しているのは起電力。
【例題1】環状鉄心に絶縁電線を巻いて作った磁気回路
[電験3種 理論 平成25年度 問題3]
磁界及び磁束に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 1 [m] 当たりの巻数が N の無限に長いソレノイドに電流 I [A] を流すと,ソレノイドの内部には磁界 H=NI [A/m] が生じる。磁界の大きさは,ソレノイドの寸法や内部に存在する物質の種類に影響されない。
→ 正しい。
(2) 均一磁界中において,磁界の方向と直角に置かれた直線状導体に直流電流を流すと,導体には電流の大きさに比例した力が働く。
→ 正しい。
(3) 2 本の平行な直線状導体に反対向きの電流を流すと,導体には導体間距離の 2 乗に反比例した反発力が働く。
→ 誤り。$\mu = \frac{\mu I_A I_B}{2\pi r}$より、導体間距離rに反比例した大きさの反発力が発生する。
(4) フレミングの左手の法則では,親指の向きが導体に働く力の向きを示す。
→ 正しい。
(5) 磁気回路において,透磁率は電気回路の導電率に,磁束は電気回路の電流にそれぞれ対応する。
→ 正しい。
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