令和6年度下期(法規分野)に電験3種で出題された過去問題を解説付きでまとめています。
【問1】一般用電気工作物の該当性
「電気事業法」に基づく、一般用電気工作物に該当するものは次のうちどれか。なお、(1)から(5)の電気工作物は、その受電のための電線路以外の電線路により、その構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものとする。
(1) 受電電圧 6.6 kV、受電電力 60 kW の店舗の電気工作物
(2) 受電電圧 200 V、受電電力 30 kW で、別に発電電圧 200 V、出力 15 kW の内燃力による非常用予備発電装置を有する病院の電気工作物
(3) 受電電圧 6.6 kV、受電電力 45 kW の事務所の電気工作物
(4) 受電電圧 200 V、受電電力 30 kW で、別に発電電圧 100 V、出力 7 kW の太陽電池発電設備と、発電電圧 100 V、出力 15 kW の風力発電設備を有する公民館の電気工作物
(5) 受電電圧 200 V、受電電力 35 kW で、別に発電電圧 100 V、出力 5 kW の太陽電池発電設備を有する事務所の電気工作物
解説
正解は(5)です。
一般用電気工作物の定義は、電気事業法 第38条第1項に規定されています。具体的には、受電電圧 600 V 以下であって、他の者から受電するための電線路以外と電気的に接続されていないものなどが該当します。
また、電気事業法施行規則 第48条において、一般用電気工作物となる小出力発電設備の範囲が定められています。
– 太陽電池発電設備:出力 50 kW 未満
– 風力発電設備:出力 20 kW 未満
– 内燃力を原動力とする火力発電設備:出力 10 kW 未満
(5)は受電電圧が 200 V(600 V 以下)であり、太陽電池の出力が 5 kW(50 kW 未満)であるため、一般用電気工作物に該当します。
(1)及び(3)は受電電圧が 6.6 kV のため、(2)は内燃力発電の出力が 10 kW 以上のため、(4)は太陽電池(7kW)と風力(15kW)の合計が 20 kW 以上となり、風力単体の制限(20kW未満)には収まるものの「同一構内の他の設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が一定以上」となる除外規定等に照らし合わせ、不適合となります。
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【問2】電気工事士の資格と作業
「電気工事士法」においては、電気工事の作業内容に応じて必要な資格を定めているが、作業者の資格とその電気工事の作業に関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。
(1) 第一種電気工事士は,自家用電気工作物であって最大電力250 kW の需要設備の電気工事の作業に従事できる。
(2) 第二種電気工事士は,一般用電気工作物に設置される出力3 kW の太陽電池発電設備の設置のための電気工事の作業に従事できる。
(3) 第一種電気工事士は,最大電力250 kW の自家用電気工作物に設置される出力50 kW の非常用予備発電装置の発電機に係る電気工事の作業に従事できる。
(4) 第二種電気工事士は,一般用電気工作物に設置されるネオン用分電盤の電気工事の作業に従事できる。
(5) 認定電気工事従事者は,自家用電気工作物であって最大電力250 kW の需要設備のうち200 V の電動機の接地工事の作業に従事できる。
解説
正解は(3)です。
電気工事士法 第3条3項に規定されている通り,第一種電気工事士であっても特種電気工事資格者でなければ予備発電装置の発電機に係る電気工事の作業に従事することはできません。
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【問3】変圧器の保護
次の文章は、「電気設備技術基準」に関する記述である。
電路は,大地から(ア)しなければならない。ただし,構造上やむを得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれがない場合,又は(イ)による高電圧の侵入等の異常が発生した際の危険を回避するための(ウ)その他の保安上必要な措置を講ずる場合は,この限りでない。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) |
|---|---|---|---|
| (1) | 離隔 | 事故 | 遮断 |
| (2) | 離隔 | 短絡 | 遮断 |
| (3) | 絶縁 | 混触 | 接地 |
| (4) | 絶縁 | 短絡 | 離隔 |
| (5) | 遮断 | 混触 | 接地 |
解説
正解は(3)です。
問題文は電気設備に関する技術基準を定める省令 第12条第1項に基づいています。条文では「高圧又は特別高圧の電路と低圧の電路とを結合する変圧器は、高圧又は特別高圧の電圧の侵入による低圧側の電気設備の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、当該変圧器における適切な箇所に接地を施さなければならない。ただし、施設の方法又は構造によりやむを得ない場合であって、変圧器から離れた箇所における接地その他の適切な措置を講ずることにより低圧側の電気設備の損傷、感電又は火災のおそれがない場合は、この限りでない。」と記載されています。
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【問4】B種接地抵抗値の計算
公称電圧 6600 V の三相3線式中性点非接地方式の架空配電線路(電線はケーブル以外を使用)があり、そのこう長は 20 km である。この配電線路に接続される柱上変圧器の低圧電路側に施設されるB種接地工事の接地抵抗値 [Ω] の上限として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
ただし、高圧電路と低圧電路の混触により低圧電路の対地電圧が 150 V を超えた場合に、1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を施設しているものとする。
なお、高圧配電線路の1線地絡電流 $I_1$ [A] は、次式によって求めるものとする。
$I_1 = 1 + \frac{\frac{V}{3}L – 100}{150}$ [A]
$V$ は、配電線路の公称電圧を1.1で除した電圧 [kV]
$L$ は、同一母線に接続される架空配電線路の電線延長 [km]
(1) 75 (2) 150 (3) 225 (4) 300 (5) 600
解説
正解は(4)です。
まず、1線地絡電流 $I_1$ を計算します。
$V = 6.6 / 1.1 = 6$ [kV]
電線延長 $L$ は、三相3線式のため、こう長 20 km の3倍となり、$L = 20 \times 3 = 60$ [km] です。
$I_1 = 1 + ( (6/3) \times 60 – 100 ) / 150 = 1 + (120 – 100) / 150 = 1 + 20/150 \approx 1.133$ [A]
小数点以下を切り上げるため、$I_1 = 2$ [A] となります。
次に、B種接地抵抗値 $R_B$ を求めます。
電気設備の技術基準の解釈 第17条第2項の規定により、1秒以内に自動的に遮断する装置がある場合、接地抵抗値は $600 / I_1$ [Ω] 以下となります。
$R_B = 600 / 2 = 300$ [Ω]
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【問5】電磁誘導作用の防止
次の文章は、「電気設備技術基準」における、電気機械器具等からの電磁誘導作用による影響の防止に関する記述の一部である。
変電所又は開閉所は、通常の使用状態において、当該施設からの電磁誘導作用により(ア)の(イ)に影響を及ぼすおそれがないよう、当該施設の付近において、(ア)によって占められる空間に相当する空間の(ウ)の平均値が、商用周波数において(エ)以下になるように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 通信設備 | 機能 | 磁界の強さ | 200 A/m |
| (2) | 人 | 健康 | 磁界の強さ | 100 A/m |
| (3) | 無線設備 | 磁界の強さ | 機能 | 100 A/m |
| (4) | 通信設備 | 機能 | 磁束密度 | 200 µT |
| (5) | 人 | 健康 | 磁束密度 | 200 µT |
解説
正解は(5)です。
問題文は電気設備に関する技術基準を定める省令 第27条の2に基づいています。
条文には「変電所又は開閉所は、通常の使用状態において、当該施設からの電磁誘導作用により人の健康に影響を及ぼすおそれがないよう、当該施設の付近において、人によつて占められる空間に相当する空間の磁束密度の平均値が、商用周波数において200μT以下になるように施設しなければならない。」と規定されています。
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【問6】地中電線の接近又は交差
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく地中電線と他の地中電線等との接近又は交差に関する記述である。
高圧地中電線と特別高圧地中電線とが接近又は交差する場合において、次に該当する場合、地中電線相互の離隔距離を 0 m 以上で施設することができるとされているが、その条件として不適切なものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) それぞれの地中電線が自消性のある難燃性の被覆を有する場合
(2) それぞれの地中電線が堅ろうな自消性のある難燃性の管に収められる場合
(3) いずれかの地中電線が不燃性の被覆を有する場合
(4) 地中電線相互の間に危険を表示する埋設標識を設ける場合
(5) いずれかの地中電線が堅ろうな不燃性の管に収められる場合
解説
正解は(4)です。
電気設備の技術基準の解釈 第125条では、地中電線が他の地中電線と接近・交差する場合の離隔距離を規定しています。通常、高圧と特別高圧の場合は 0.3 m 以上の離隔が必要ですが、一定の耐燃措置を講じれば離隔距離を短縮(0 m 以上)できます。具体的には、不燃性の被覆や管、あるいは自消性のある難燃性の被覆や管を使用することが条件となります。
(4)の埋設標識を設けることは、保安上の措置としては有用ですが、離隔距離を 0 m にするための法令上の免除条件には含まれていません。
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【問7】再閉路時の事故防止
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における再閉路時の事故防止に関する記述である。
高圧又は特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合(スポットネットワーク受電方式で連系する場合を除く。)は、再閉路時の事故防止のために、分散型電源を連系する変電所の引出口に(ア)を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
a) 逆潮流がない場合であって、電力系統との連系に係る保護リレー、計器用変流器、計器用変圧器、遮断器及び制御用電源配線が、相互予備となるように2系列化されているとき。ただし,次のいずれかにより簡素化を図ることができる。
① 2系列の保護リレーのうちの1系列は,(イ)(2相に設置するものに限る。)のみとすることができる。
② 計器用変流器は,(イ)を計器用変流器の末端に配置する場合,1系列目と2系列目を兼用できる。
③ 計器用変圧器は,不足電圧リレーを計器用変圧器の末端に配置する場合,1系列目と2系列目を兼用できる。
b) 高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合であって,次のいずれかに適合するとき
① 分散型電源を連系している配電用変電所の遮断器が発する遮断信号を,電力保安通信線又は電気通信事業者の専用回線で伝送し,分散型電源を解列することのできる転送遮断装置及び能動的方式の(ウ)を設置し,かつ,それぞれが別の遮断器により連系を遮断できること。
② 2方式以上の(ウ)(能動的方式を1方式以上含むもの。)を設置し,かつ,それぞれが別の遮断器により連系を遮断できること。
③ 能動的方式の(ウ)及び整定値が分散型電源の運転中における配電線の最低負荷より小さい(エ)を設置し,かつ,それぞれが別の遮断器により連系を遮断できること。 ④分散型電源設置者が専用線で連系する場合であって,連系している系統の自動再閉路を実施しないとき。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 不足電圧リレー | 周波数低下リレー | 単独運転検出装置 | 不足電力リレー |
| (2) | 不足電圧リレー | 不足電力リレー | 線路無電圧確認装置 | 逆電力リレー |
| (3) | 線路無電圧確認装置 | 不足電力リレー | 単独運転検出装置 | 逆電力リレー |
| (4) | 線路無電圧確認装置 | 周波数低下リレー | 単独運転検出装置 | 不足電力リレー |
| (5) | 不足電圧リレー | 周波数低下リレー | 線路無電圧確認装置 | 逆電力リレー |
解説
正解は(3)です。
電気設備の技術基準の解釈 第227条・229条付近の規定によります。
(ア)は、系統側の再閉路時に分散型電源が確実に解列されているかを確認するための線路無電圧確認装置です。
(イ)から(エ)は、逆変換装置を用いる分散型電源の保護リレー構成に関するもので、単独運転検出装置や、逆潮流を監視するための逆電力リレー、不足電力リレーなどが、連系条件に応じて規定されています。
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【問8】移動電線の施設
次の文章は、「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく移動電線の施設に関する記述である。
a) 移動電線を電気機械器具と接続する場合は、接続不良による感電又は(ア)のおそれがないように施設しなければならない。
b) 高圧の移動電線に電気を供給する電路には、(イ)が生じた場合に、当該高圧の移動電線を保護できるよう、(イ)遮断器を施設しなければならない。
c) 高圧の移動電線と電気機械器具とは(ウ)その他の方法により堅ろうに接続すること。
d) 特別高圧の移動電線は、充電部分に人が触れた場合に人に危険を及ぼすおそれがない電気集じん応用装置に附属するものを(エ)に施設する場合を除き、施設しないこと。
上記の記述中の空白箇所(ア)から(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) |
|---|---|---|---|---|
| (1) | 火災 | 地絡 | 差込み接続器使用 | 屋内 |
| (2) | 断線 | 過電流 | ボルト締め | 屋外 |
| (3) | 断線 | 地絡 | 差込み接続器使用 | 屋外 |
| (4) | 火災 | 過電流 | ボルト締め | 屋内 |
| (5) | 断線 | 過電流 | 差込み接続器使用 | 屋外 |
解説
正解は(4)です。
a) は、電気設備に関する技術基準を定める省令 第66条にて以下のように規定されています。
(異常時における高圧の移動電線及び接触電線における電路の遮断)
第66条 高圧の移動電線又は接触電線(電車線を除く。以下同じ。)に電気を供給する電路には、過電流が生じた場合に、当該高圧の移動電線又は接触電線を保護できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。
2 前項の電路には、地絡が生じた場合に、感電又は火災のおそれがないよう、地絡遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。
また、解釈第171条で以下の記載があります。
【移動電線の施設】(省令第56条、第57条第1項、第66条)
第171条(略)
3 高圧の移動電線は、次の各号によること。
一 電線は、高圧用の3種クロロプレンキャブタイヤケーブル又は3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルであること。
二 移動電線と電気機械器具とは、ボルト締めその他の方法により堅ろうに接続すること。
三 移動電線に電気を供給する電路(誘導電動機の2次側電路を除く。)は、次によること。
イ 専用の開閉器及び過電流遮断器を各極(過電流遮断器にあっては、多線式電路の中性極を除く。)に施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができる。
ロ 地絡を生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
4 特別高圧の移動電線は、第191条第1項第八号の規定により屋内に施設する場合を除き、施設しないこと。
つまり、高圧の移動電線路には過電流遮断器が必要であり、接続はボルト締めなど堅ろうな方法が必要です。また、特別高圧の移動電線は、電気集じん応用装置用などを屋内に施設する場合等、極めて限定的な例外を除き原則禁止されています。
解説

【問9】電動機の過負荷保護装置
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における電動機の過負荷保護装置の施設に関する記述である。
屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に(ア)これを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
a) 電動機を運転中、常時(イ)が監視できる位置に施設する場合
b) 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合
c) 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する(ウ)遮断器の定格電流が 15 A((エ)遮断器にあっては、20 A)以下の場合
d) 電動機の出力が(オ) kW 以下の場合
上記の記述中の空白箇所(ア)から(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
| – | (ア) | (イ) | (ウ) | (エ) | (オ) |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 自動的に | 取扱者 | 配線用 | 過電流 | 0.2 |
| (2) | 遅滞なく | 取扱者 | 配線用 | 過電流 | 2 |
| (3) | 自動的に | 取扱者 | 過電流 | 配線用 | 0.2 |
| (4) | 遅滞なく | 管理者 | 配線用 | 過電流 | 2 |
| (5) | 自動的に | 管理者 | 過電流 | 配線用 | 2 |
解説
正解は(3)です。
電気設備の技術基準 第65条およびその解釈第153条で以下のように記載されています。
(電動機の過負荷保護)
第65条 屋内に施設する電動機(出力が0.2kW以下のものを除く。この条において同じ。)には、過電流による当該電動機の焼損により火災が発生するおそれがないよう、過電流遮断器の施設その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電動機の構造上又は負荷の性質上電動機を焼損するおそれがある過電流が生じるおそれがない場合は、この限りでない。
上記については、解釈で以下のように記載されています。
【電動機の過負荷保護装置の施設】(省令第65条)
第153条 屋内に施設する電動機には、電動機が焼損するおそれがある過電流を生じた場合に自動的にこれを阻止し、又はこれを警報する装置を設けること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合はこの限りでない。
一 電動機を運転中、常時、取扱者が監視できる位置に施設する場合
二 電動機の構造上又は負荷の性質上、その電動機の巻線に当該電動機を焼損する過電流を生じるおそれがない場合
三 電動機が単相のものであって、その電源側電路に施設する過電流遮断器の定格電流が15A(配線用遮断器にあっては、20A)以下の場合
四 電動機の出力が0.2kW以下の場合
解説

【問10】変流器の取扱い
次の文章は、計器用変成器の変流器に関する記述である。その記述内容として誤っているものを次の(1)から(5)のうちから一つ選べ。
(1) 変流器は、一次電流から生じる磁束によって二次電流を発生させる計器用変成器である。
(2) 変流器は、二次側に開閉器やヒューズを設置してはいけない。
(3) 変流器は、通電中に二次側が開放されると変流器に異常電圧が発生し、絶縁が破壊される危険性がある。
(4) 変流器の通電中に、電流計をやむを得ず交換する場合は、二次側端子を短絡して交換し、その後に短絡を外す。
(5) 変流器は、一次電流が一定でも二次側の抵抗値により変流比は変化するので、電流計の選択には注意が必要になる。
解説
正解は(5)です。
変流器 (CT) の基本的な特性についての問いです。
(1) から (4) は正しい記述です。特に (3) の二次側開放禁止は、磁束が飽和し二次側に高電圧が発生するため非常に危険であり、重要な保安事項です。
(5) について、変流器の変流比は基本的に巻数比によって定まる一定の値であり、二次側の負荷(抵抗値=負担)が定格範囲内であれば、二次側抵抗値によって変流比が変化することはありません。ただし、負担が大きすぎると精度が落ち(誤差が増え)ますが、「変流比が変化する」という表現は原理上誤りです。
【問11】水力発電所の運用計算
最大使用水量 15 m³/s、有効落差 20 m の流込式水力発電所がある。この発電所が利用している河川の流量 Q が図のような年間流況曲線(日数 d が 100 日以上の部分は、$Q = -0.05d + 25$ [m³/s] で表される。)であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、水車及び発電機の効率はそれぞれ 90% 及び 95% で、流量によって変化しないものとする。

(a) この発電所で年間に溢水が発生する日数の合計として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 180 (2) 190 (3) 200 (4) 210 (5) 220
(b) この発電所の年間可能発電電力量 [GW・h] の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 19.3 (2) 20.3 (3) 21.4 (4) 22.0 (5) 22.5
解説
正解は (a)が(3)、(b)が(1)です。
(a) 溢水は、河川流量 Q が最大使用水量 15 m³/s を超える場合に発生します。
方程式 $15 = -0.05d + 25$ を解くと、$0.05d = 10$ となり、$d = 200$ です。
図より、$d$ が 0 から 200 の間(流況曲線が 15 以上)で溢水が発生するため、日数は 200 日となります。
(b) 年間可能発電電力量を求めるため、期間を分けて計算します。
発電出力 $P \text{ [kW]}$ の公式は、重力加速度を $9.8 \text{ m/s}^2$、流量を $Q \text{ [m}^3\text{/s]}$、有効落差を $H \text{ [m]}$、水車効率を $\eta_w$、発電機効率を $\eta_g$ とすると、次式で表されます。
$P = 9.8 \times Q \times H \times \eta_w \times \eta_g \text{ [kW]}$
① $d = 0$ から $200$ 日(流量 $Q \ge 15$)の期間
使用水量は最大使用水量の $15 \text{ m}^3/\text{s}$ で一定となります。
$P_1 = 9.8 \times 15 \times 20 \times 0.90 \times 0.95 = 2513.7 \text{ [kW]}$
電力量 $W_1 = P_1 \times 24 \text{ [h]} \times 200 \text{ [日]} = 12,065,760 \text{ [kW・h]} \approx 12.066 \text{ [GW・h]}$
② $d = 200$ から $365$ 日(流量 $Q < 15$)の期間
流量は流況曲線に従って減少します。平均流量 $Q_{ave}$ を用いて計算します。
$d = 365$ のときの流量 $Q_{365} = -0.05 \times 365 + 25 = 6.75 \text{ [m}^3\text{/s]}$
平均流量 $Q_{ave} = \frac{15 + 6.75}{2} = 10.875 \text{ [m}^3\text{/s]}$
$P_2 = 9.8 \times 10.875 \times 20 \times 0.90 \times 0.95 \approx 1822.4 \text{ [kW]}$
電力量 $W_2 = P_2 \times 24 \text{ [h]} \times (365 – 200) \text{ [日]} \approx 7,216,704 \text{ [kW・h]} \approx 7.217 \text{ [GW・h]}$
③ 年間合計
$W = W_1 + W_2 = 12.066 + 7.217 = 19.283 \text{ [GW・h]}$
最も近い値は 19.3 GW・h となります。
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【問12】接地抵抗と漏れ電流の計算
図は三相3線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の一相当たりの対地静電容量を C とし接地抵抗を $R_B$ とする。
低圧側電路の線間電圧 200 V、周波数 50 Hz、対地静電容量 C は 0.1 µF として、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、変圧器の高圧電路の1線地絡電流は 5 A、高低圧混触時に低圧電路の対地電圧が 150 V を超えた場合は 1.3 秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。

(a) 接地抵抗 $R_B$ の許容されている上限の抵抗値 [Ω] はいくらか。
(1) 20 (2) 30 (3) 40 (4) 60 (5) 100
(b) 接地抵抗 $R_B$ の抵抗値を 100 Ω としたときに、$R_B$ に常時流れる電流 $I_B$ の値 [mA] はいくらか。
(1) 11 (2) 19 (3) 33 (4) 65 (5) 192
解説
正解は (a)が(4)、(b)が(1)です。
(a) B種接地工事の接地抵抗値の上限は、遮断時間が「1秒を超え2秒以内」である場合、$300 / I \text{ [Ω]}$($I$ は1線地絡電流)となります。
問題文より $I = 5 \text{ A}$ なので、
$R_B = 300 / 5 = 60 \text{ [Ω]}$
となります。
(b) 接地線に常時流れる電流 $I_B$ を求めるため、テブナンの定理を用いた等価回路を考えます。
電源の相電圧(対地電圧)を $\dot{E}$、線間電圧を $V = 200 \text{ V}$ とすると、
$E = \frac{V}{\sqrt{3}} = \frac{200}{\sqrt{3}} \approx 115.47 \text{ [V]}$
全対地静電容量は 3相分で $3C$ となり、そのリアクタンス $X_C$ は、
$X_C = \frac{1}{3 \omega C} = \frac{1}{3 \times 2 \pi f C} = \frac{1}{3 \times 2 \pi \times 50 \times 0.1 \times 10^{-6}} \approx 10610.3 \text{ [Ω]}$
等価回路において、$R_B = 100 \text{ Ω}$ と $X_C$ が直列に接続された形になるため、電流 $I_B$ は次のように計算できます。
$I_B = \frac{E}{\sqrt{R_B^2 + X_C^2}} = \frac{115.47}{\sqrt{100^2 + 10610.3^2}} \approx \frac{115.47}{10610.8} \approx 0.01088 \text{ [A]} = 10.88 \text{ [mA]}$
最も近い値は 11 mA となります。
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【問13】絶縁耐力試験
受電電圧 6 kV、契約電力 500 kW の自家用電気工作物の受電設備がある。「電気設備の技術基準の解釈」に基づき、周波数 50 Hz の交流電源を使用して受電設備の高圧電路の絶縁耐力試験を行うとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、高圧電路の最大使用電圧は 6900 V とし、3線一括した高圧電路と大地との間の静電容量は 0.2 µF とする。
(a) 絶縁耐力試験における対地充電電流 [A] の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 0.32 (2) 0.43 (3) 0.54 (4) 0.65 (5) 0.71
(b) この試験に使用する試験装置に必要な容量 [kV・A] の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 2.2 (2) 3.5 (3) 6.8 (4) 8.9 (5) 10.4
解説
正解は (a)が(4)、(b)が(3)です。
(a) 最大使用電圧が $7000 \text{ V}$ 以下の交流電路における試験電圧 $V_t$ は、電気設備の技術基準の解釈 第15条第1項第1号(15-1表)の規定により、最大使用電圧の 1.5 倍となります。
$V_t = 6900 \times 1.5 = 10350 \text{ [V]}$
次に、3線一括の対地静電容量 $C_0 = 0.2 \text{ µF}$ に対する充電電流 $I$ を求めます。
$I = 2 \pi f C_0 V_t = 2 \times \pi \times 50 \times 0.2 \times 10^{-6} \times 10350 \approx 0.6503 \text{ [A]}$
よって、最も近い値は 0.65 A です。
(b) 試験装置に必要な容量 $P \text{ [kV・A]}$ を求めます。
$P = V_t \times I = 10350 \times 0.6503 \approx 6730.6 \text{ [V・A]} \approx 6.73 \text{ [kV・A]}$
よって、最も近い値は 6.8 kV・A となります。
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