【RL直列回路】時定数、電流、電圧、ラプラス変換

RL直列回路と時定数の関係についてまとめました。

【RL直列回路】時定数τ=L/R

時定数\tauとは、緩和時間とも呼ばれ、回路の応答の速さを表す数値です。
時定数\tauと回路の応答の速さは「反比例」の関係にあります。
RL直列回路に流れる電流I、抵抗にかかる電圧V_R、コイルにかかる電圧V_Lと時定数\tauの関係は次式で表せます。

(1)   \begin{eqnarray*} i(t)&=& \frac{V_i}{R} (1-V_i^{-\frac{R}{L}t})\\ V_R(t)&=& V_i (1-V_i^{-\frac{R}{L}t})\\ V_L(t)&=& V_i^{-\frac{R}{L}t}\\ \tau&=& \frac{L}{R} \end{eqnarray*}

パラメータ 内容
V_i 入力電圧
R 抵抗値
L コイルのインダクタンス
V_R 抵抗Rにかかる電圧
V_L コイルLにかかる電圧
\tau 時定数(別名:緩和時間, 立ち上がり時間に比例)。定常状態の約63.2%まで到達する時間。

抵抗Rが大きくなると立ち上がり・下がり時間(定常状態に達するまでの時間)は短くなります。
逆にコイルのインダクタンスLが大きくなると立ち上がり・下がり時間(定常状態に達するまでの時間)は長くなります。

この関係は物理的に以下の意味をもちます.

抵抗が大きい・・・電流があまり流れず、コイルで電流に比例して発生する磁束も少しになるため, 電流変化も小さく定常状態にすぐに落ち着く(時定数は抵抗に反比例)
インダクタンスが大きい・・・コイルでインダクタンスに比例して磁束も多く発生するため, 電流変化も大きくなり定常状態に落ち着くのに時間がかかる(時定数はインダクタンスに比例)

一方, RC直列回路では, 時定数と抵抗は比例するので物理的な意味で理解するのも大事です.

【RC直列回路とは】時定数、電流、電圧、ラプラス変換
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【電流】計算式とグラフ

【RL直列回路】

図のようなRL直列回路のコイルの電流式はつぎのようになります。

(2)   \begin{eqnarray*} i(t)&=& \frac{V_i}{R} (1-V_i^{-\frac{R}{L}t})\\ \tau&=&\frac{L}{R} \end{eqnarray*}

電流の式をグラフにすると以下のようになります。

電流は時間t=00となります。
そして、時間が経過して定常状態になると\frac{V_i}{R}になります。
抵抗Rが大きくなると立ち上がり時間(定常状態に達するまでの時間)は短くなります。
逆にコイルのインダクタンスLが大きくなると立ち上がり時間(定常状態に達するまでの時間)は長くなります。

【RL直列回路】電流とグラフ
この記事では、RL直列回路の電流とグラフについてまとめました。

【抵抗電圧】計算式とグラフ


下図のようなRL直列回路の過渡応答の電圧式はつぎのようになります。

(3)   \begin{eqnarray*} V_R(t)&=&V_i (1-V_i^{-\frac{R}{L}t})\\ \tau&=&\frac{L}{R} \end{eqnarray*}

電圧式をグラフにすると以下のようになります。

抵抗にかかる電圧は時間0で0となります。
そして、時間が経過して定常状態になると入力電圧と等価(V_R=V_i)になります。
抵抗Rが大きくなると立ち上がり時間(定常状態に達するまでの時間)は短くなります。
逆にコイルのインダクタンスLが大きくなると立ち上がり時間(定常状態に達するまでの時間)は長くなります。

【RL直列回路】抵抗の電圧とグラフ
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【コイル電圧】計算式とグラフ


下図のようなRL直列回路のコイルの電圧式はつぎのようになります。

(4)   \begin{eqnarray*} V_L(t)&=&V_i^{-\frac{R}{L}t}\\ \tau&=&\frac{L}{R} \end{eqnarray*}

電圧式をグラフにすると以下のようになります。

抵抗にかかる電圧は時間t=0V_iとなります。
そして、時間が経過して定常状態になると0になります。
抵抗Rが大きくなると立ち上がり時間(定常状態に達するまでの時間)は短くなります。
逆にコイルのインダクタンスLが大きくなると立ち上がり時間(定常状態に達するまでの時間)は長くなります。

【RL直列回路】コイルの電圧とグラフ
この記事では、RL直列回路のコイルの電圧式とグラフを求める方法についてまとめました。

【ラプラス変換】計算式の導出


V_i:入力電圧、R:抵抗値、L:コイルのインダクタンス、V_R:抵抗Rにかかる電圧、V_L:コイルLにかかる電圧、i:回路全体に流れる電流値)
RL直列回路の過渡応答の式をラプラス変換を用いて導出します。

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キルヒホッフの定理より次式が成立します。

(5)   \begin{eqnarray*} V_i = L\frac{di(t)}{dt} + Ri(t) \end{eqnarray*}

上式をラプラス変換すると

(6)   \begin{eqnarray*} \frac{V_i}{s} = sLI(s)+ RI(s)=\frac{I(s)}{Ls+R} \end{eqnarray*}

となります。(V_iはステップ応答)
この式を電流I(S)について変形すると

(7)   \begin{eqnarray*} I(s)&=&\frac{V_i}{s(Ls+ R)}=\frac{\frac{V_i}{L}}{s(s+ \frac{R}{L})}=\frac{\frac{RV_i}{L}}{Rs(s+ \frac{R}{L})}\\ &=& \frac{V_i}{R} \left[ \frac{\frac{R}{L}}{s(s+\frac{R}{L})}\right]\\ &=& \frac{V_i}{R} \left[ \frac{\frac{R}{L}}{s(s+\frac{R}{L})}\right] \end{eqnarray*}

となります。ここで、上式を逆ラプラス変換すると回路全体に流れる電流i(t)

(8)   \begin{eqnarray*} i(t) =\frac{V_i}{R} (1-V_i^{-\frac{R}{L}t}) \end{eqnarray*}

となります。(時間が経つと電荷はV_i/Rに収束)
抵抗Rにかかる電圧V_R(t)

(9)   \begin{eqnarray*} V_R(t)=RI(t)=V_i (1-V_i^{-\frac{R}{L}t}) \end{eqnarray*}

となります。(時間が経つと入力電圧V_iに収束)

コイルLにかかる電圧V_L(t)はキルヒホッフの法則より

(10)   \begin{eqnarray*} V_L(t)=V_i-V_R(t)V_i^{-\frac{R}{L}t} \end{eqnarray*}

となります。(証明終わり)

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