【電験3種・法規】変圧器の保護装置「比率差動リレー」「ブッフホルツリレー」「圧力リレー」の違い

電験3種(法規分野)で出題される変圧器の保護装置「比率差動リレー」「ブッフホルツリレー」「圧力リレー」の違いについて解説します。

特別高圧の変圧器の保護装置

特別高圧の変圧器には、バンク容量に応じて自動遮断装置や警報装置の設置が必要になります。

変圧器のバンク容量 動作条件 装置の種類
5,000kVA以上10,000kVA未満 変圧器内部故障 自動遮断装置又は警報装置
10,000kVA以上 同上 自動遮断装置
※「バンク容量」とは「電気設備の技術基準の解釈の解説」で以下のように解説されています。

保護装置の施設を変圧器ごとにではなく、バンク容量により示したのは、特別高圧用変圧器は通常三相結線で使用されるので、三相結線したものを一つの単位としたものであるが、V結線の場合は、2台の合計容量の86.6%をもってバンク容量とすべきであり、単相結線で使用されるものは1台の容量をもってバンク容量とする。なお、2バンクの変圧器群を1次側、2次側とも並列して使用し、遮断器を共用するもの等のように、常に1単位として使用されるものでは、1バンクとして解釈する。

根拠は「電気設備の技術基準の解釈」(以下、「解釈」という)第43条第1項で以下ページで別途解説しています。

【電験3種・法規】特別高圧の変圧器及び調相設備の保護装置
電験3種(法規分野)で出題される「特別高圧の変圧器及び調相設備の保護装置」について解説します。

変圧器の保護装置として使われる「比率差動リレー」「ブッフホルツリレー」「圧力リレー」の違いをまとめると、以下表のとおりです。

項目 比率差動リレー(電気的保護) ブッフホルツリレー(機械的保護) 衝撃圧力リレー(機械的保護)
検出対象 主に変圧器内部の短絡(相間短絡)や地絡故障 変圧器内部の軽微な異常(局所過熱)から重大な故障(アーク) 変圧器内部の重大な故障(激しいアーク放電)
検出原理 変圧器の一次側と二次側の電流の差(不平衡電流)を電気的に検出する。 内部故障による絶縁油の分解ガス(軽故障・警報)や、激しい油流(重故障・遮断)を機械的に検出する。 内部故障による急激な油圧の上昇(圧力波・衝撃圧)を機械的に検出する。
設置場所 変圧器の外部(制御盤内など)に設置され、各相のカレントトランス(CT)と接続される。 変圧器本体とコンサベータ(油密タンク)を結ぶ連絡配管の途中に設置される。 変圧器本体のタンク壁面または上部に直接設置される。
動作速度 非常に高速(電気的なため瞬時に動作) 故障の程度による(ガス蓄積は緩やか、激しい油流は高速) 非常に高速(圧力波の伝播を捉えるため、ブッフホルツの油流検出より早い)
主な役割 電気的な異常を検知して瞬時に遮断する。 内部故障の初期症状(ガス発生)を捉えて警告、または重大故障時に遮断する。 急激な圧力上昇によるタンクの破損・破裂を防ぐために高速で遮断する。

「比率差動リレー」の仕組み

変圧器の事故において高い頻度で発生するのが巻線間短絡事故です。巻線間短絡事故は一般的な過電流リレーや地絡リレーでは検出が困難であるため、対策として下図のような「比率差動リレー」が用いられます。

比率差動継電器は、変圧器の一次側と二次側の電流を変流器($\text{CT}$)を介して検出し、両者の差分が動作コイルに流れる構造となってい求ます。通常時は、一次側と二次側の電流バランスが保たれているため、動作コイルに流れる電流がほぼ零(電流の差分がほとんどない)となります。一方で、変圧器の内部に異常が発生した際、一次側と二次側の電流のバランスが崩れて両者の差分が大きくなるため、動作コイルに流れる電流も大きくなります。

実際には一次側と二次側における$\text{CT}$の特性の違いや計測誤差などがあるため、正常時であっても動作コイルに流れる電流を厳密に零とすることはできません。そこで、これらの誤差による誤動作を防ぐために抑制コイルが設けられています。この抑制コイルには、通常時のわずかな不平衡電流を相殺するだけでなく、外部事故が発生した際の大電流によって生じる誤動作を確実に防止するという重要な役割もあります。

「ブッフホルツリレー」と「衝撃圧力リレー」の仕組み

ブッフホルツリレー

ブッフホルツリレーは、油入変圧器の本体タンクとコンサベータ(油の膨張・収縮を吸収するタンク)を結ぶ連絡配管の途中に設置される機械式のリレーです。変圧器の内部で巻線間短絡や絶縁破壊などの異常が発生すると、そのアーク熱によって周囲の絶縁油が分解され、水素や一酸化炭素などの「分解ガス」が発生します。また、事故が深刻な場合は、急激な熱膨張によって激しい「油流」が生じます。内部のフロート(浮子)やフラップ(受衝板)を用いて、これらガスと油流の2つの現象を段階的に検出します。比較的軽微な異常によってガスが緩やかに発生した場合は、リレー上部に溜まるガスをフロートが検知して「警報」を発します。一方で、重大な事故により激しい油流が発生した場合は、フラップがその勢いを検知して変圧器を系統から切り離す「遮断」信号を出力します。

「比率差動継電器」にような電気的な保護リレーでは捉えにくい、事故の初期兆候である微量なガス発生まで感度良く検出できる点が、ブッフホルツリレーの大きな特徴です。

衝撃圧力リレー

衝撃圧力リレーは、油入変圧器の本体タンクの側壁や上部などに直接設置される機械式のリレーです。変圧器の内部で深刻な短絡や地絡などの重大事故が発生すると、アーク放電の激しいエネルギーによって瞬時に大量の分解ガスが発生し、タンク内の油圧が急激に上昇します。衝撃圧力リレーは、この急激な圧力変化(圧力波)を検出して動作します。

このリレーの内部には、圧力を感知するベローズ(蛇腹状の圧力検出器)やマイクロスイッチなどが組み込まれています。変圧器の温度変化などに伴う緩やかな圧力変動に対しては、リレー内部の小さな均圧穴などを通して圧力を逃がす構造になっているため動作しません。しかし、内部事故時のように一定以上の急峻な圧力上昇(衝撃圧)が到達した瞬間にのみベローズが変位し、変圧器を系統から切り離すための遮断信号を出力します。

ブッフホルツリレーがガスの蓄積や配管内の油流を待って動作するのに対し、衝撃圧力リレーは油中を音速で伝播する圧力波を直接捉えるため、重大事故に対して極めて高速に動作し、変圧器タンクの致命的な破損や破裂を未然に防ぐことができる点が大きな特徴です。

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