電気事業法における電気工作物の種類とは?「一般用電気工作物」「事業用電気工作物」「自家用電気工作物」「電気事業の要に供する電気工作物」「小規模事業用電気工作物」の違いについて詳しく解説します。
法38条(電気工作物の定義)
電気事業法第38条は、電気工作物の定義が書かれている重要な条文です。
第38条 この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物であつて、構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するものをいう。ただし、小規模発電設備(低圧(経済産業省令で定める電圧以下の電圧をいう。第一号において同じ。)の電気に係る発電用の電気工作物であつて、経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するものを除く。
一 電気を使用するための電気工作物であつて、低圧受電電線路(当該電気工作物を設置する場所と同一の構内において低圧の電気を他の者から受電し、又は他の者に受電させるための電線路をいう。次号ロ及び第三項第一号ロにおいて同じ。)以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
二 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの
イ 出力が経済産業省令で定める出力未満のものであること。
ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
三 前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの
2 この法律において「事業用電気工作物」とは、一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
3 この法律において「小規模事業用電気工作物」とは、事業用電気工作物のうち、次に掲げる電気工作物であつて、構内に設置するものをいう。ただし、第一項ただし書に規定するものを除く。
一 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの
イ 出力が第一項第二号イの経済産業省令で定める出力以上のものであること。
ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
二 前号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの
4 この法律において「自家用電気工作物」とは、次に掲げる事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
一 一般送配電事業
二 送電事業
三 配電事業
四 特定送配電事業
五 発電事業であつて、その事業の用に供する発電等用電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの
法第38条の解説
電気事業法の解説をもとに、上記条文について解説します。
本条は、電気工作物の区分について定義しています。電気工作物は、大きく「一般用電気工作物」と「事業用電気工作物」の二つに分類されます。まず第1項で「一般用電気工作物」の範囲を定義し、第2項で一般用電気工作物以外の電気工作物を「事業用電気工作物」として定義しています。したがって、一般用電気工作物の範囲が第1項の要件により決定されることから、この要件から外れる電気工作物が事業用電気工作物となります。
次に、第3項により「小規模事業用電気工作物」、第4項により「自家用電気工作物」が事業用電気工作物の一部として定義されています。
「一般用電気工作物」の解説
電気事業法の解説をもとに解説します。
「一般用電気工作物」とは、概括的に言えば、小規模建築物の屋内配電設備及び比較的出力の小さい発電設備等がこれに該当し、具体的には法第38条第1項第1号から第3号に規定されています。
第38条 この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物であつて、構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するものをいう。ただし、小規模発電設備(低圧(経済産業省令で定める電圧以下の電圧をいう。第一号において同じ。)の電気に係る発電用の電気工作物であつて、経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するものを除く。
一 電気を使用するための電気工作物であつて、低圧受電電線路(当該電気工作物を設置する場所と同一の構内において低圧の電気を他の者から受電し、又は他の者に受電させるための電線路をいう。次号ロ及び第三項第一号ロにおいて同じ。)以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
二 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの
イ 出力が経済産業省令で定める出力未満のものであること。
ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
三 前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの<略>
ただし書は、一般用電気工作物から除かれる二つのケースとして、第2項に規定する小規模発電設備以外の発電設備と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)に設置するもの、及び爆発性又は引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所であって経済産業省令で定めるものに設置するものを規定しています。
一般用電気工作物は「電気を使用するための電気工作物」と「小規模発電設備」であって、
①一の構内にあるものであること、
②一定電圧以下のものであること、
③一般用電気工作物以外の発電設備と同一の構内に設置されるものでないこと、
④爆発性又は引火性の物が存在する場所に設置されるものでないこと、
⑤一定の条件の電線路以外の電線路により構内以外の場所(以下「構外」という。)と接続されるものでないこと、
という5つの条件が設けられているのは、安全性の高いものを一般用電気工作物とし、これに対する規制を事業用電気工作物の規制に比べて緩やかにするためです。①の条件は、電気工作物が一の構内以外に存在する場合は公衆に対する保安上の危険度が高くなるためです。②の条件は、電気的安全性の高いものであることを意味します。③の条件は、危険度の高い電気工作物と同一の構内に設置される場合は、その一般用電気工作物の保安は、より危険度の高い事業用電気工作物と一体的に考えるべきとの考え方によります。④の条件は、電気工作物の設置される場所自体の危険度が高い場合は除くということです。⑤の条件は、電気工作物が複数の電線路により構外と接続され、当該電気工作物が電気の通過点となる場合を除くということです。
また、他者との責任分界点(受電点)が構内にないものは一般用電気工作物から除くとの整理がされています。第1項第1号において規定されているものは、①構外の電線路と接続される電気を使用するための電気工作物のみ(通常の一般家屋のような場合)、②構外の電線路と接続される電気を使用するための電気工作物及び小規模発電設備(一般家屋に発電機が設置されるような場合)です。第1号括弧書きにおける小規模発電設備の設置者については明確な規定はないですが、電気を使用するための電気工作物の設置者と同一と考えるのが一般的です。なお、設置者とは電気工作物の維持・管理を行い得る主体のことをいい、必ずしも所有者と一致するとは限りません(例えば、所有者が異なる場合であっても、当事者間の契約行為等により、電気工作物一体としての維持・管理がなされるものについては、同一の設置者により維持・管理がなされるものと解釈される)。
第1項第3号は、「前二号に準ずるものとして経済産業省令で定めるもの」と規定されています。
これは、平成7年改正前においては一般用電気工作物は電気を使用するための電気工作物のみであったため、前述の5つの条件を法律において容易に規定することができたが、平成7年改正において小出力発電設備(現在の小規模発電設備)が一般用電気工作物に追加され、法律において一般用電気工作物の概念の全体集合を網羅的に規定すると条文が極めて複雑になることから、代表的かつ基本的なケースとして第1号と第2号を規定することとし、これに準ずるケースは経済産業省令において規定することとしたものです。ただし、現在のところ、この条項に相応する具体例が存在しないため、経済産業省令には特段の定めは設けられていません
「受電」とは
「受電」とは、構外の電線路から電気の供給を受けることをいいます。なお、「受電」について、小規模発電設備が設置される場合は構内の電気工作物から構外の電線路へ電気を送り出すこと(いわゆる「逆潮流」)があり得りますが、電気を使用するための電気工作物が存在する場合は通常は構外の電線路から受電することとなるため、このように一時的な逆潮流がある場合も「受電」に該当すると解釈されます。
第1項第2号において規定されているものは、①構外の電線路と接続される小規模発電設備のみ(発電機単体が設置される場合)、②構外の電線路と接続されない小規模発電設備及び電気を使用するための電気工作物(電気設備が構内で完結している場合(いわゆるスタンドアローン))、③通常逆潮流により構外の電線路と接続される小規模発電設備及び電気を使用するための電気工作物(家屋に発電機が設置され通常逆潮流するような場合)です。第1号と同様、第2号括弧書きにおける電気を使用するための電気工作物の設置者については明確な規定はないですが、小規模発電設備の設置者と同一と考えるのが一般的です。なお、設置者が必ずしも電気工作物の所有者と一致するとは限らないという点についても、第1号と同様です。
「構内」とは
「構内」については定義規定はないですが、柵、塀、堀等によって明確に区切られており、一般人が自由に立ち入ることがない区域をいいます。一方、第1項括弧書きの「これに準ずる区域内」とは、柵、塀、堀等によって明確に区切られていないが、土地の状況、例えばその周囲が河川、崖、山地等があって、柵、塀、堀等によって区切られている場合と同様に一般人がほとんど立ち入ることがないような区域内をいいます。
「他の者」とは
「他の者」とは、ほとんどの場合は一般送配電事業者又は特定送配電事業者であるが、第27条の30第1項の許可を受けて特定供給を行う者である場合もある。「経済産業省令で定める電圧」は、施行規則第48条第2項に規定されており、「600V」とされています。「電気的に接続」とは、具体的には、電線路が直接に接続されたり、変圧器、インバータ等によって接続されることをいいます。
第1項ただし書の前段
第1項ただし書の前段は、「小規模発電設備以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの」を一般用電気工作物から除く旨の規定です。小規模発電設備より規模の大きい発電機は、その構造上かつ機能上危険度が高いと考えられますが、その同一の構内にある電気工作物は、多くは当該発電機と接続されているため、危険性という点からは当該発電機と一体的に考えるべきものであるからです。第1項ただし書の後段は、「爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所であって、経済産業省令で定める場所に設置するもの」を除く旨の規定です。この規定の趣旨は、爆発性又は引火性の物が存在するため電気によるアーク・スパーク、過熱等によりそれらの物が爆発したり、燃焼したりするおそれが多い場所であって、経済産業省令で定める場所に設置する電気工作物は特に危険であるので、これを一般用電気工作物から除外したものです。具体的には、施行規則第48条第1項において、火薬類取締法第2条第1項に規定される火薬類(煙火を除く。)を製造する事業場、及び鉱山保安法施行規則が適用される鉱山のうち、同規則第1条第2項第8号に規定する石炭坑に設置される電気工作物が、一般用電気工作物から除かれています。
「小規模事業用電気工作物」とは
第38条
<略>
3 この法律において「小規模事業用電気工作物」とは、事業用電気工作物のうち、次に掲げる電気工作物であつて、構内に設置するものをいう。ただし、第一項ただし書に規定するものを除く。
一 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの
イ 出力が第一項第二号イの経済産業省令で定める出力以上のものであること。
ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。
二 前号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの<略>
第3項は、小規模事業用電気工作物を定義しており、構造上かつ機能上安全性が高く比較的出力の小さい発電設備がこれに該当します。「経済産業省令で定めるもの」は、施行規則第48条第4項に規定されており、
①出力50kW未満の太陽電池発電設備
②出力20kW未満の風力発電設備
③出力20kW未満の水力発電設備であって最大使用水量が毎秒1立方メートル未満のもの(ダムを伴うものを除く。)又は特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの
④出力10kW未満の内燃力を原動力とする火力発電設備
⑤出力10kW未満の燃料電池発電設備であって、固体高分子型又は固体酸化物型であり、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が0.1MPa(液体燃料を通ずる部分にあっては、1.0MPa)未満のもの又は道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第2条第2項に規定する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)に設置される燃料電池発電設備(当422該自動車の動力源として用いる電気を発電するものであって、圧縮水素ガスを燃料とするものに限る。)であって、道路運送車両の保安基準(昭和26年運輸省令第67号)第17条第1項及び第17条の2第5項の基準に適合するもの
⑥発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第51号)第73条の2第1項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力10kW未満のもの
とされています。
「自家用電気工作物」とは
第38条
<略>
4 この法律において「自家用電気工作物」とは、次に掲げる事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。
一 一般送配電事業
二 送電事業
三 配電事業
四 特定送配電事業
五 発電事業であつて、その事業の用に供する発電等用電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの
第4項は、「自家用電気工作物」の定義を定めています。自家用電気工作物は「①一般送配電事業、②送電事業、③特定送配電事業及び④発電事業であって、その事業の用に供する発電用の電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの」の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物」であり、言い替えれば一般送配電事業、送電事業、特定送配電事業及び主務省令で定める要件に該当する発電事業の用に供する事業用電気工作物以外の事業用電気工作物です。電気工作物は大きく「一般用電気工作物」と「事業用電気工作物」の二つに区分されるが、自家用電気工作物に該当するものについては、その電気工作物の規模等が千差万別であるので、このような実態と設置者の経済的負担を考慮して保安上支障がないと認められ、経済産業大臣の許可を受けた場合には主任技術者免状の交付を受けていない者のうちからでも主任技術者を選任できるという特例(第43条第2項)等があることに鑑み、条文規定上の分かり易さから便宜的に自家用電気工作物を定義したものです。
「電気工作物」とは
「電気工作物」は第2条第1項第18号に定められており、
①発電のために設置する工作物、
②変電のために設置する工作物、
③送電のために設置する工作物、
④配電のために設置する工作物、
⑤電気の使用のために設置する工作物
の五種類が規定されているが、電気工作物の保安規制は同一の目的を持ったものを保安の単位とすることが合理的である。すなわち、同一の設置目的である電気的に一体の電気工作物については物理的部分ごとに分割して保安を論じることは実態上不合理であり、一体の電気工作物として扱うことが妥当であることから、保安の単位は、単に上記①~⑤の分類による設備の部分的な物理的形態だけでなく、その設置目的にも依存すると解することが妥当と考えられる。したがって、一般用電気工作物と事業用電気工作物の区分の解釈において、例えば、大規模発電所の制御棟が物理的には低圧受電設備であっても、その制御棟の機能は発電所の運転に直接に関係することから、制御棟のみを一般用電気工作物とすることは電気保安の観点からは合理的ではなく、当該制御棟は発電設備の一部として事業用電気工作物とすることが適当である。同様に、地中配電線の排水ポンプの電源として使用される小出力の発電設備は、一般用電気工作物ではなく配電設備の一部であり事業用電気工作物となります。
施行規則第48条
電気事業法施行規則第48条で以下のように規定されています。
(一般用電気工作物の範囲)
第48条 法第38条第1項ただし書の経済産業省令で定める電圧は、600Vとする。
2 法第三十八条第一項ただし書の経済産業省令で定める発電用の電気工作物は、次のとおりとする。ただし、次の各号に定める設備であって、同一の構内に設置する次の各号に定める他の設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が50kW以上となるものを除く。
一 太陽電池発電設備であって出力50kW未満のもの
二 風力発電設備であって出力20kW未満のもの
三 次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力20kW未満のもの
イ 最大使用水量が毎秒$1m^3$未満のもの(ダムを伴うものを除く。)
ロ 特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの
四 内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力10kW未満のもの
五 次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力10kW未満のもの
イ 固体高分子型又は固体酸化物型の燃料電池発電設備であって、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が0.1MPa(液体燃料を通ずる部分にあっては、1.0MPa)未満のもの
ロ 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)に設置される燃料電池発電設備(当該自動車の動力源として用いる電気を発電するものであって、圧縮水素ガスを燃料とするものに限る。)であって、道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第十七条第一項及び第十七条の二第五項の基準に適合するもの
六 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十一号)第七十三条の二第一項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力10kW未満のもの
3 法第38条第1項ただし書の経済産業省令で定める場所は、次のとおりとする。
一 火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二条第一項に規定する火薬類(煙火を除く。)を製造する事業場
二 鉱山保安法施行規則(平成十六年経済産業省令第九十六号)が適用される鉱山のうち、同令第一条第二項第八号に規定する石炭坑
4 法第38条第1項第2号イの経済産業省令で定める出力は、次の各号に掲げる設備の区分に応じ、当該各号に定める出力とする。
一 太陽電池発電設備 10kW(二以上の太陽電池発電設備を同一構内に、かつ、電気的に接続して設置する場合にあっては、当該太陽電池発電設備の出力の合計が10kW)
二 風力発電設備 0kW
三 第2項第3号イ又はロに該当する水力発電設備 20kW
四 内燃力を原動力とする火力発電設備 10kW
五 第2項第5号イ又はロに該当する燃料電池発電設備 10kW
六 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令第73条の2第1項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備 10kW
「小規模事業用電気工作物」は「自家用電気工作物」の一部
従来、電気事業法で規定されていた「小出力発電設備」は、令和5年3月20日の制度改正により「小規模発電設備」と名称が変わりました。出力20kW未満の風力発電設備および出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備については、新たに新設された「小規模事業用電気工作物」として扱われれます。ここで、小規模事業用電気工作物は自家用電気工作物となります(経済産業省に確認済)。制度が改正されたばかりで、「小規模事業用電気工作物」と「自家用電気工作物」は別区分のように紹介している資料やHPが多いので注意が必要です。「小規模事業用電気工作物」は「自家用電気工作物」であるため、技術基準適合維持義務の対象となり、さらに使用前自己確認および基礎情報届出が義務化されました。なお、改正以前は600V未満かつ高圧設備と電気的に接続されていない「小出力発電設備」は「一般用電気工作物」として扱われていたため、技術基準適合維持義務の対象外でした。
【参考文献】
小出力発電設備の一部が、新たな類型
各電気工作物の関係性
法第38条では、電気工作物の定義として、「一般用電気工作物」「事業用電気工作物」「自家用電気工作物」「電気事業の用に供する電気工作物」「小規模事業用電気工作物」「小規模発電設備」といった様々なカテゴリが登場しました。
まとめ
電気事業法第38条の内容を整理すると、電気工作物は大別して「一般用電気工作物」「事業用電気工作物」の2つがあります。
| 種別 | 概要 |
|---|---|
| 一般用電気工作物 | 低圧受電設備(600V以下かつ、受電のための電線路以外の電線路によって構外の電気工作物と電気的に接続されていないもの) ※住宅、小規模店舗の受電設備など |
| 事業用電気工作物 | 一般用電気工作物以外の電気工作物。 |
「事業用電気工作物」は「自家用電気工作物」と「電気事業の用に供する電気工作物」の2つにわかれます。
| 種別 | 概要 |
|---|---|
| 電気事業の用に供する電気工作物 | ①一般送配電事業 ②送電事業 ③特定送配電事業 ④発電事業であって、その事業の用に供する発電用の電気工作物が主務省令で定める要件に該当するもの のいずれかに該当するもの。具体的には、大規模な発電所、電力会社の変電所や送電線設備、電力用保安通信設備など(*1) |
| 自家用電気工作物 | 「一般用電気工作物」と「電気事業の用に供する電気工作物」以外の電気工作物。具体的には、中小規模の発電所、需要設備(600Vを超えるの受電設備をもつ工場やビルなど)。令和5年3月20日より新設された小規模事業用電気工作物(風力発電設備および出力10kW以上の太陽電池発電設備)も自家用電気工作物に該当する。 |
*1 発電設備の合計で最大電力200万kW(沖縄電力株式会社は10万kW)以下の発電事業の発電設備等は「自家用電気工作物」に該当する。

それぞれの関係性を整理したものが以下図になります。
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低圧受電でも自家用電気工作物扱いとなるもの
低圧受電設備(600V以下)のうち次の条件のいずれかを満たす場合、「自家用電気工作物(事業用電気工作物)」扱いとなります。
| – | 「事業用電気工作物」扱いとなる条件 |
|---|---|
| 1 | 構外にある電気工作物と電気的に接続される場合(受電用は除く) |
| 2 | 構内の発電設備が「小出力発電設備以外の発電設備」である場合(例えば、高出力60kWの太陽電池発電設備を同一構内に施設した場合、一般用電気工作物とならない) |
| 3 | 爆発性 or 引火性のもの(火薬類など)がある場合 ※工場やビルなどの大規模設備に多い |
※高圧受電するものは、受電電力の容量、需要場所の業種にかかわらず、すべて事業用電気工作物となります。
小規模発電設備とは、以下のものです。
| 種別 | 出力 |
|---|---|
| 太陽電池発電設備 | 50kW未満 |
| 風力発電設備、水力発電設備 | 20kW未満 |
| 内燃力発電設備、燃料電池発電設備、スターリングエンジン発電設備 | 10kW未満 |
※発電電圧600V以下
※設備の合計出力が50kW以上となる場合を除く(例えば太陽電池発電設備40kW、風力発電設備が10kWが2つとも同じ構内にあった場合、合計50kW以上となるため小出力発電設備扱いとならない)
【令和6年度下期・問1】一般用電気工作物の該当性
「電気事業法」に基づく、一般用電気工作物に該当するものは次のうちどれか。なお、(1)から(5)の電気工作物は、その受電のための電線路以外の電線路により、その構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものとする。
(1) 受電電圧 6.6 kV、受電電力 60 kW の店舗の電気工作物
(2) 受電電圧 200 V、受電電力 30 kW で、別に発電電圧 200 V、出力 15 kW の内燃力による非常用予備発電装置を有する病院の電気工作物
(3) 受電電圧 6.6 kV、受電電力 45 kW の事務所の電気工作物
(4) 受電電圧 200 V、受電電力 30 kW で、別に発電電圧 100 V、出力 7 kW の太陽電池発電設備と、発電電圧 100 V、出力 15 kW の風力発電設備を有する公民館の電気工作物
(5) 受電電圧 200 V、受電電力 35 kW で、別に発電電圧 100 V、出力 5 kW の太陽電池発電設備を有する事務所の電気工作物
解説
正解は(5)です。
一般用電気工作物の定義は、電気事業法 第38条第1項に規定されています。具体的には、受電電圧 600 V 以下であって、他の者から受電するための電線路以外と電気的に接続されていないものなどが該当します。
また、電気事業法施行規則 第48条において、一般用電気工作物となる小出力発電設備の範囲が定められています。
– 太陽電池発電設備:出力 50 kW 未満
– 風力発電設備:出力 20 kW 未満
– 内燃力を原動力とする火力発電設備:出力 10 kW 未満
(5)は受電電圧が 200 V(600 V 以下)であり、太陽電池の出力が 5 kW(50 kW 未満)であるため、一般用電気工作物に該当します。
(1)及び(3)は受電電圧が 6.6 kV のため、(2)は内燃力発電の出力が 10 kW 以上のため、(4)は太陽電池(7kW)と風力(15kW)の合計が 20 kW 以上となり、風力単体の制限(20kW未満)には収まるものの「同一構内の他の設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が一定以上」となる除外規定等に照らし合わせ、不適合となります。
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