【電験3種・法規】頻出問題「架空電線路の支持物の倒壊防止」の試験対策

電験$3$種法規科目における「架空電線路の支持物の倒壊防止(風圧荷重)および高圧保安工事・連鎖倒壊防止の施設基準」に関する過去問解説です。

架空電線路の支持物の倒壊防止

架空電線路の支持物が暴風等で倒壊すると、公衆への感電危害や大規模な停電事故を招きます。
そのため、法令では想定される最大風圧荷重に対する倒壊防止対策が義務付けられています。
人家連坦地や他工作物への接近箇所では、電線の引張強さや径間を厳しく制限する高圧保安工事が適用されます。
さらに、支持物の連鎖的な倒壊を阻止するための支線施設基準も規定されています。
根拠法令は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$32$条(支持物の倒壊の防止)です。
あわせて「電気設備技術基準の解釈」第$70$条(高圧保安工事)および第$78$条(架空電線路の支持物の倒壊の防止)に基づきます。

倒壊防止および高圧保安工事の技術基準

支持物の設計荷重基準、高圧保安工事の電線・径間要件、および連鎖倒壊防止支線の施設基準を整理した一覧です。

評価区分 法令基準値・施設要件 技術的機構および適用条件 試験における頻出引っかけ
省令第$32$条の風圧荷重 $10$分間平均で風速$40\text{ m/s}$ 想定される最大の自然環境荷重として風速$40\text{ m/s}$の風圧荷重を考慮します。 風速を「$60\text{ m/s}$」やすり替える誤り、「瞬間風速」とする誤り
人家連坦地の風圧緩和 基準風圧荷重の$2$分の$1$ 周辺建物による風速低減効果を考慮し、人家連坦地では風圧荷重を半減できます。 低減割合を「$3$分の$2$」や「$3$分の$1$」とする誤り
高圧保安工事の電線規格 引張強さ$8.01\text{ kN}$以上、直径$5\text{ mm}$以上 断線による地絡や接触危害を防ぐため、通常の高圧電線よりも機械的強度を高めます。 引張強さを「$5.26\text{ kN}$」や「$8.71\text{ kN}$」、太さを「$4\text{ mm}$」とする誤り
高圧保安工事の径間制限 木柱・A種:$100\text{ m}$以下、B種:$150\text{ m}$以下 強風時の電線揺らぎや過大な張力を抑えるため、通常径間(A種$150\text{ m}$、B種$250\text{ m}$)より短縮します。 木柱・A種を「$150\text{ m}$」、B種を「$250\text{ m}$」とする通常径間との混同誤り
連鎖倒壊防止の支線施設 平行方向:$16$基以下ごと、直角方向:$5$基以下ごと 直線路が連続する区間において、$1$基の倒壊が隣接支持物へ連鎖波及することを防ぎます。 平行方向と直角方向の基数基準($16$基と$5$基)を逆に配置する誤り

令和5年上期 問5

問題文

次の文章は,「電気設備技術基準」に基づく支持物の倒壊の防止に関する記述の一部である。

架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は,当該支線に係るものを含む。) は,その支持物が支持する電線等による (ア) ,$10$分間平均で風速 (イ) $\text{m/s}$の風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される地理的条件, (ウ) の変化,振動,衝撃その他の外部環境の影響を考慮し,倒壊のおそれがないよう,安全なものでなければならない。ただし,人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては,その施設場所を考慮して施設する場合は,$10$分間平均で風速 (イ) $\text{m/s}$の風圧荷重の (エ) の風圧荷重を考慮して施設することができる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 引張荷重 60 温度 3分の2
(2) 重量荷重 60 気象 3分の2
(3) 引張荷重 40 気象 2分の1
(4) 重量荷重 60 温度 2分の1
(5) 重量荷重 40 気象 2分の1

解説

解答:(3)

本問は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$32$条(支持物の倒壊の防止)第$1$項からの出題です。
法令では、支持物の材料および構造について次のように規定しています。
支持物が支持する電線等による引張荷重を考慮しなければなりません。
あわせて、$10$分間平均で風速$40\text{ m/s}$の風圧荷重を考慮することが義務付けられます。
さらに、設置場所の地理的条件、気象の変化、振動、衝撃等の影響を考慮します。
倒壊のおそれがないよう、安全な強度を持つ構造が求められます。
ただし、人家連坦地では遮蔽効果を考慮し、風圧荷重を$2$分の$1$に軽減して施設できます。

条文の規定に基づき、各空白箇所の文言および数値を判定します。
(ア)には「引張荷重」が入ります。電線の自重や張力によって支持物に作用する水平偏向荷重を指します。
(イ)には「40」が入ります。基準風速として$10$分間平均で風速$40\text{ m/s}$が定められています。
(ウ)には「気象」が入ります。温度変化、着氷、積雪などの自然気象現象を包括した表現です。
(エ)には「2分の1」が入ります。人家連坦地では遮蔽効果により風圧荷重を半減して設計できます。
したがって、正しい組合せは(3)です。

(1) (イ)が「60」、(ウ)が「温度」、(エ)が「3分の2」となっており規定値と異なるため誤りです。

(2) (ア)が「重量荷重」、(イ)が「60」、(エ)が「3分の2」となっており不適正です。

(3) すべての語句および数値が省令第$32$条第$1$項の規定と合致しており、正解です。

(4) (ア)が「重量荷重」、(イ)が「60」、(ウ)が「温度」となっており誤りです。

(5) (ア)が「重量荷重」となっており、支持物に作用する主たる水平外力規定と矛盾するため誤りです。

令和3年 問6

問題文

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧架空電線に適用される高圧保安工事及び連鎖倒壊防止に関する記述である。

a)電線はケーブルである場合を除き、引張強さ (ア) $\text{kN}$以上のもの又は直径 (イ) $\text{mm}$以上の硬銅線であること。

b)木柱の風圧荷重に対する安全率は、2.0以上であること。

c)支持物に木柱,A種鉄筋コンクリート柱又はA種鉄柱を使用する場合の径間は (ウ) $\text{m}$以下であること。また、支持物にB種鉄筋コンクリート柱又はB種鉄柱を使用する場合の径間は (エ) $\text{m}$以下であること(電線に引張強さ$14.51\text{ kN}$以上のもの又は断面積$38\text{ mm}^2$以上の硬銅より線を使用する場合を除く。)。

d)支持物で直線路が連続している箇所において、連鎖的に倒壊するおそれがある場合は、技術上困難であるときを除き、必要に応じ、$16$基以下ごとに、支線を電線路に平行な方向にその両側に設け、また、$5$基以下ごとに支線を電線路と直角の方向にその両側に設けること。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 8.01 4 100 150
(2) 8.01 5 100 150
(3) 8.01 4 150 250
(4) 5.26 4 150 250
(5) 5.26 5 100 150

解説

解答:(2)

本問は、「電気設備技術基準の解釈」第$70$条(高圧保安工事)第$1$項、および第$78$条(架空電線路の支持物の倒壊の防止)第$1$項からの出題です。
高圧保安工事の技術的基準は次のように定められています。

一 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ$8.01\text{ kN}$以上のもの又は直径$5\text{ mm}$以上の硬銅線であること。
二 支持物に木柱を使用する場合は、風圧荷重に対する安全率は$2.0$(第$1$種高圧保安工事および第$2$種高圧保安工事の規定)以上であること。
三 径間は、支持物の種類に応じて制限されます。
木柱、A種鉄筋コンクリート柱又はA種鉄柱を使用する場合は、$100\text{ m}$以下とします。
B種鉄筋コンクリート柱又はB種鉄柱を使用する場合は、$150\text{ m}$以下とします。
鉄塔を使用する場合は、$400\text{ m}$以下とします。

また、解釈第$78$条第$1$項では支持物の連鎖倒壊防止対策として、電線路に平行な方向の支線を$16$基以下ごと、直角な方向の支線を$5$基以下ごとに施設することが規定されています。
各空欄の数値を照合します。
(ア)には「8.01」が入ります。引張強さの最低基準値です。
(イ)には「5」が入ります。硬銅線の外径基準値は直径$5\text{ mm}$以上です。
(ウ)には「100」が入ります。木柱およびA種支持物の最大径間です。
(エ)には「150」が入ります。B種支持物の最大径間です。
したがって、正しい組合せは(2)です。

(1) (イ)が「4」となっており、低圧架空電線等の基準と混同しているため誤りです。

(2) すべての数値が解釈第$70$条の高圧保安工事基準と完全に合致しており、正解です。

(3) (イ)が「4」、(ウ)が通常径間の「150」、(エ)が通常径間の「250」となっており誤りです。

(4) (ア)が「5.26」、(イ)が「4」、径間が通常径間となっており規定と異なります。

(5) (ア)が「5.26」となっており、低圧架空電線の引張強さ基準と混同しているため誤りです。

令和元年 問4

問題文

次の文章は、「電気設備技術基準」に基づく支持物の倒壊の防止に関する記述の一部である。

架空電線路又は架空電車線路の支持物の材料及び構造(支線を施設する場合は、当該支線に係るものを含む。)は、その支持物が支持する電線等による (ア) ,風速 (イ) $\text{m/s}$の風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される (ウ) の変化,振動、衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。ただし、人家が多く連なっている場所に施設する架空電線路にあっては、その施設場所を考慮して施設する場合は、風速 (イ) $\text{m/s}$の風圧荷重の (エ) の風圧荷重を考慮して施設することができる。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 引張荷重 60 温度 3分の2
(2) 重量荷重 60 気象 3分の2
(3) 引張荷重 40 気象 2分の1
(4) 重量荷重 60 温度 2分の1
(5) 重量荷重 40 気象 2分の1

解説

解答:(3)

本問は、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第$32$条(支持物の倒壊の防止)第$1$項からの出題です。
法令では、支持物の材料および構造の強度要件を定めています。
支持する電線等による引張荷重を考慮することが求められます。
あわせて、風速$40\text{ m/s}$の風圧荷重を考慮しなければなりません。
設置場所で通常想定される気象の変化、振動、衝撃等の影響も考慮対象です。
これらを総合して倒壊のおそれがない安全な構造とします。
ただし、人家連坦地では風圧荷重を$2$分の$1$に軽減して施設することが認められます。

空欄箇所の判定を行います。
(ア)には「引張荷重」が入ります。電線の架線張力により支持物に加わる継続的な外力です。
(イ)には基準風速である「40」が入ります。
(ウ)には「気象」が入ります。温度変化だけでなく着雪や風雨等を含む包括規定です。
(エ)には「2分の1」が入ります。市街地や住宅密集地における風圧低減特例です。
したがって、正しい組合せは(3)です。

(1) (イ)が「60」、(ウ)が「温度」、(エ)が「3分の2」となっており規定値と一致しないため誤りです。

(2) (ア)が「重量荷重」、(イ)が「60」、(エ)が「3分の2」となっており不適正です。

(3) すべての語句および数値が省令第$32$条第$1$項の規定と完全に一致しており、正解です。

(4) (ア)が「重量荷重」、(イ)が「60」となっており誤りです。

(5) (ア)が「重量荷重」となっており、法令で規定された荷重項目と異なるため誤りです。

平成24年 問8

問題文

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、高圧架空電線路の電線の断線、支持物の倒壊等による危険を防止するため必要な場合に行う、高圧保安工事に関する記述の一部である。

a. 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ (ア) $\text{[kN]}$以上のもの又は直径$5\text{ [mm]}$以上の (イ) であること。

b. 木柱の (ウ) 荷重に対する安全率は、1.5以上であること。

c. 径間は、電線に引張強さ (ア) $\text{[kN]}$のもの又は直径$5\text{ [mm]}$の (イ) を使用し、支持物にB種鉄筋コンクリート柱又はB種鉄柱を使用する場合の径間は (エ) $\text{[m]}$以下であること。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

選択肢 (ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 8.71 硬銅線 垂直 100
(2) 8.01 硬銅線 風圧 150
(3) 8.01 高圧絶縁電線 垂直 400
(4) 8.71 高圧絶縁電線 風圧 150
(5) 8.01 硬銅線 風圧 100

解説

解答:(2)

本問は、「電気設備技術基準の解釈」第$70$条(高圧保安工事)第$1$項からの出題です。
条文の各号では高圧保安工事の仕様について次のように規定されています。

一 電線は、ケーブルである場合を除き、引張強さ$8.01\text{ kN}$以上のもの又は直径$5\text{ mm}$以上の硬銅線であること。
二 木柱の風圧荷重に対する安全率は、$1.5$(第$3$種高圧保安工事)以上であること。
三 径間は、支持物の種類に応じて表に規定する値以下であること。
支持物にB種鉄筋コンクリート柱又はB種鉄柱を使用する場合の径間は、$150\text{ m}$以下となります。

各空欄に当てはまる語句および数値を判定します。
(ア)には「8.01」が入ります。引張強さの最低限度値です。
(イ)には「硬銅線」が入ります。直径$5\text{ mm}$以上の硬銅線が要求されます。
(ウ)には「風圧」が入ります。支持物計算において主たる外力となる風圧荷重が対象です。
(エ)には「150」が入ります。B種支持物の制限径間値です。
したがって、正しい組合せは(2)です。

(1) (ア)が「8.71」、(ウ)が「垂直」、(エ)が「100」となっており規定値と異なるため誤りです。

(2) すべての語句および数値が解釈第$70$条第$1$項の規定と厳密に合致しており、正解です。

(3) (イ)が「高圧絶縁電線」、(ウ)が「垂直」、(エ)が「400」となっており不適正です。

(4) (ア)が「8.71」、(イ)が「高圧絶縁電線」となっており規定と矛盾するため誤りです。

(5) (エ)がA種支持物相当の「100」となっており、B種支持物の制限径間と合致しないため誤りです。

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