【電験3種・電力】誘導障害とは?静電誘導障害と電磁誘導障害の違いや仕組み・対策方法などを解説

電験3種(電力分野)で出題される誘導障害とは?静電誘導障害と電磁誘導障害の違いや仕組み・対策方法などを解説します。

誘導障害とは?

誘導障害とは、架空送電線と通信線路とが長距離にわたって接近交差していると、通信線路に対して電圧が誘導され、通信設備やその取扱者に危害を及ぼすなどの障害が生じることです。誘導障害には「静電誘導障害」と「電磁誘導障害」の2種類があります。。

静電誘導障害

静電誘導障害は、架空送電線路の電圧により、架空送電線路と通信線路間の静電容量(キャパシタンス)を介して通信線路に誘導電圧を発生させます。

送電線各相の対地電圧は、$\dot{E}_a, \dot{E}_b, \dot{E}_c$、通信線の電位(求める誘導電圧は** $\dot{E}_0$、各相と通信線間の相互静電容量は $C_a, C_b, C_c$、通信線と大地間の対地静電容量は$C_0$とします。

送電線(各相)から通信線へ流れる電流(各コンデンサを流れる電流)を考えます。各相と通信線の間の電位差に、各アドミッタンス ($j\omega C$) を掛けます。

$\dot{I}_a = j\omega C_a (\dot{E}_a – \dot{E}_0)$
$\dot{I}_b = j\omega C_b (\dot{E}_b – \dot{E}_0)$
$\dot{I}_c = j\omega C_c (\dot{E}_c – \dot{E}_0)$

通信線と大地の電位差は $\dot{E}_0 – 0$ なので、通信線から大地へ流れる電流は以下のようになります。

$\dot{I}_0 = j\omega C_0 \dot{E}_0$

通信線に流れ込む電流の合計は、通信線から大地へ逃げる電流と等しくなります。

$$\dot{I}_a + \dot{I}_b + \dot{I}_c = \dot{I}_0$$

これを上記の電流の式に置き換えると、以下のようになります。

$$j\omega C_a (\dot{E}_a – \dot{E}_0) + j\omega C_b (\dot{E}_b – \dot{E}_0) + j\omega C_c (\dot{E}_c – \dot{E}_0) = j\omega C_0 \dot{E}_0$$

両辺を $j\omega$ で割り、括弧を展開して整理していきます。

$$C_a \dot{E}_a – C_a \dot{E}_0 + C_b \dot{E}_b – C_b \dot{E}_0 + C_c \dot{E}_c – C_c \dot{E}_0 = C_0 \dot{E}_0$$

$\dot{E}_0$ を含む項を右辺にまとめます。

$$C_a \dot{E}_a + C_b \dot{E}_b + C_c \dot{E}_c = C_0 \dot{E}_0 + C_a \dot{E}_0 + C_b \dot{E}_0 + C_c \dot{E}_0$$

$\dot{E}_0$ で括ります。

$$C_a \dot{E}_a + C_b \dot{E}_b + C_c \dot{E}_c = (C_a + C_b + C_c + C_0) \dot{E}_0$$

$\dot{E}_0$ について解きます。

$$\dot{E}_0 = \frac{C_a \dot{E}_a + C_b \dot{E}_b + C_c \dot{E}_c}{C_a + C_b + C_c + C_0}$$

送電線が完全に「ねん架」されている理想的な状態では、$C_a = C_b = C_c = C$ となります。
このとき、分子は次のようになります。
$$C(\dot{E}_a + \dot{E}_b + \dot{E}_c)$$
三相交流の各電圧のベクトル和は 0 ($\dot{E}_a + \dot{E}_b + \dot{E}_c = 0$)であるため、$\dot{E}_0 = 0$ となり、誘導障害は発生しません。

電磁誘導障害

線地絡事故が発生すると、大きな地絡電流(零相電流)が大地を帰路として流れるため、送電線と通信線との間の相互インダクタンス $M$ を通じて非常に高い電圧が通信線路に発生します。これを「電磁誘導電圧」といいます。通信線に発生する電磁誘導電圧を $\dot{V}_0$ とすると、以下の式になります。

$$\dot{V}_0 = j\omega ML (\dot{I}_a + \dot{I}_b + \dot{I}_c) = = 2\pi f M L (\dot{I}_a + \dot{I}_b + \dot{I}_c)$$

$f$:電源周波数($\omega = 2\pi f$)
$M$:送電線と通信線間の単位長さあたりの相互インダクタンス
$L$:送電線と通信線の並行区間長

送電線の三相が平衡していれば電流の合計 $\dot{I}_a + \dot{I}_b + \dot{I}_c$ は 0 になるため、通信線路に現れる誘導電圧は発生しません(0Vとなる)。

静電誘導障害及び電磁誘導障害の防止対策

  • 送電線をねん架する。
  • 送電線と通信線の離隔距離を大きくする。
  • 送電線と通信線の間に遮へい線(導電率の大きい地線)を布設する。
  • 通信線に遮へい層のあるケーブルを採用する。
  • 通信線に光ファイバケーブルを採用する。

電磁誘導障害の防止対策

  • 電力系統の中性点接地抵抗を高くする
  • 送電系統の保護継電方式に高速遮断方式を採用する。(故障電流を迅速に遮断)。
  • 中性点接地方式に消弧リアクトル接地方式を採用する。

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