電験3種(理論)で出題される「オペアンプ(増幅回路)とは?試験対策と過去問題について解説します。
反転増幅回路(逆相増幅回路)

演算増幅器は、入力端子に加えられた信号の「差動成分」を高い利得で増幅する回路である。演算増幅器の入力インピーダンスは非常に大きいため、入力端子電流はほぼ0とみなしてよい。一方、出力インピーダンスは非常に小さいため、出力端子電圧は負荷による影響を受けやすい。さらに、演算増幅器は利得が非常に大きいため、抵抗などの部品を用いて負帰還をかけたときに安定した有限の電圧利得が得られる。
オペアンプを用いた最も単純な反転増幅回路は以下の通りです。
上記の回路の入力電圧を$V_o$とするとき、出力電圧$V_i$は以下のとおりです。
$$V_o = -\frac{R_2}{R_1}V_i $$
この式からもわかるとおり、入力電圧$V_i$が反転して増幅された形で出力電圧$V_o$を得ることが出来ます。
非反転増幅回路(正相増幅回路)
オペアンプを用いた最も単純な非反転増幅回路は以下の通りです。

上記の回路の入力電圧を$V_o$とするとき、出力電圧$V_i$は以下のとおり。
$$V_o=\frac{R_1+R_2}{R_1}V_i$$
この式からもわかるとおり、入力電圧$V_i$が増幅された形で出力電圧$V_o$を得ることが出来ます。
例題
R1=Rのとき、電圧増幅度Av=V0/Vi=3とするためにはR2をいくらにすれば良いか。
解答
以下のとおり、R2=2Rとすれば良い。
$$\frac{V_o}{V_i}=\frac{R_1+R_2}{R_1}=\frac{R+R_2}{R}=3$$
$$R_2 = 2R$$

微分回路
オペアンプを用いた最も単純な微分回路は以下の通りです。

上記の回路の入力電圧を$V_o$とするとき、出力電圧$V_i$は以下のようになります。
$$V_o=-CR\frac{dV_i}{dt}$$
この式からもわかるとおり、入力電圧$V_i$が時間微分された形で出力電圧$V_o$を得ることが出来ます。
| パラメータ | 内容 |
|---|---|
| $V_i$ | 入力電圧 |
| $V_o$ | 出力電圧 |
| $R$ | 抵抗値 |
| $C$ | コンデンサの静電容量 |
積分回路
オペアンプを用いた最も単純な積分回路は以下の通りです。

上記の回路の入力電圧を$V_o$とするとき、出力電圧$V_i$は
$$V_o=-\frac{1}{CR}\int V_idt$$
となります。この式からもわかるとおり、入力電圧$V_i$が時間積分された形で出力電圧$V_o$を得ることが出来ます。
| パラメータ | 内容 |
|---|---|
| $V_i$ | 入力電圧 |
| $V_o$ | 出力電圧 |
| $R$ | 抵抗値 |
| $C$ | コンデンサの静電容量 |
ボルテージホロワ回路

ボルテージホロワ回路は、入力電圧と出力電圧が等しくなる回路です。
非反転増幅回路の抵抗R1を開放(∞Ω)にし、抵抗R2を短絡(0Ω)すると、入力電圧と出力電圧が等しくなり、ボルテージホロワ回路となります。
インピーダンス変換や回路の分離などに用いられます。
負帰還増幅回路

・電圧増幅度Avが1より十分大きい場合、増幅回路の利得は帰還率βで制御でき、電源電圧の変動抑制や、増幅回路でのノイズ抑制ができ、安定的となります。
・増幅回路の利得が一定となる帯域幅が大きくなります。
・負帰還増幅回路全体の利得は、負帰還をかけない増幅回路の利得よりも低下します。
①vβ≧1 ②Avβの位相角が0のとき、発振を継続します(発振回路となる)。
$(v_i-\beta v_o)A_v=v_o $
$\frac{v_o}{v_i}=\frac{A_v}{1+A_v\beta}$
AV>>1とすると以下のようになります。
$\frac{v_o}{v_i}=\frac{A_v}{1+A_v\beta}\simeq \frac{1}{\beta}$
【令和6年度下期・問18】演算増幅器の特性と直流増幅回路
演算増幅器(オペアンプ)について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 演算増幅器の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
| – | (1) | (2) | (3) | (4) | (5) |
|---|---|---|---|---|---|
| 記述 | アナログICの一種である。 | 入力インピーダンスが小さくて出力インピーダンスが大きい。 | 反転並びに非反転の二つの入力端子と一つの出力端子がある。 | 入力端子間の電圧のみを増幅して出力する。 | 増幅度が非常に大きい。 |
(b) 図1及び図2のような直流増幅回路がある。それぞれの出力電圧 $V_{o1}$、$V_{o2}$ の値 $\text{[V]}$ の組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、演算増幅器は理想的なものとし、$V_{i1}=0.6 \text{ V}$ 及び $V_{i2}=0.45 \text{ V}$ は直流の入力電圧である。
| – | (1) | (2) | (3) | (4) | (5) |
|---|---|---|---|---|---|
| $V_{o1}$ | 6.6 | 6.6 | -6.6 | -4.5 | 4.5 |
| $V_{o2}$ | -3.0 | 3.0 | 3.0 | 9.0 | -9.0 |
解説
正解は(a)-(2)、(b)-(1)です。
(a) 理想的な演算増幅器(オペアンプ)の特徴は、入力インピーダンスが非常に大きく(無限大)、出力インピーダンスが非常に小さい(ゼロ)ことです。したがって、「入力インピーダンスが小さくて出力インピーダンスが大きい」としている(2)の記述が誤りです。
(b)図1の回路は非反転増幅回路です。
非反転増幅回路の電圧増幅度 $A_{v1}$ は、入力側の抵抗 $R_1=10 \text{ k}\Omega$、帰還抵抗 $R_f=100 \text{ k}\Omega$ とすると、次式で求められます。
$$A_{v1} = 1 + \frac{R_f}{R_1} = 1 + \frac{100}{10} = 11$$
出力電圧 $V_{o1}$ は、
$$V_{o1} = A_{v1} V_{i1} = 11 \times 0.6 = 6.6 \text{ [V]}$$
図2の回路は反転増幅回路です。
反転増幅回路の電圧増幅度 $A_{v2}$ は、入力側の抵抗 $R_2=30 \text{ k}\Omega$、帰還抵抗 $R_f=200 \text{ k}\Omega$ とすると、次式で求められます。
$$A_{v2} = -\frac{R_f}{R_2} = -\frac{200}{30} \approx -6.667$$
出力電圧 $V_{o2}$ は、
$$V_{o2} = A_{v2} V_{i2} = -\frac{200}{30} \times 0.45 = -3.0 \text{ [V]}$$
したがって、$V_{o1} = 6.6 \text{ V}$、$V_{o2} = -3.0 \text{ V}$ となる(1)が正解です。
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