電験3種における電気関係報告規則の出題ポイントについてまとめました。
【106条】報告の徴収(電気関係報告規則など)
電気事業法 第106条では、以下のとおり「報告の徴収」について記載されています。
(報告の徴収)
第106条 主務大臣は、第三十九条、第四十条、第四十七条、第四十九条及び第五十条の規定の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、原子力を原動力とする発電用の電気工作物(以下「原子力発電工作物」という。)を設置する者に対し、その原子力発電工作物の保安に係る業務の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。
2 主務大臣は、前項の規定によるもののほか、同項の規定により原子力発電工作物を設置する者に対し報告又は資料の提出をさせた場合において、原子力発電工作物の保安を確保するため特に必要があると認めるときは、第三十九条、第四十条、第四十七条、第四十九条及び第五十条の規定の施行に必要な限度において、当該原子力発電工作物の保守点検を行つた事業者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出をさせることができる。
3 経済産業大臣は、第一項の規定によるもののほか、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、小売電気事業者等、一般送配電事業者、送電事業者、特定送配電事業者又は発電事業者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。
4 経済産業大臣は、第二十二条の三から第二十三条の三まで又は第二十七条の十一の三から第二十七条の十一の六までの規定の施行に必要な限度において、第二十二条の三第一項に規定する特定関係事業者(小売電気事業者等、一般送配電事業者、送電事業者、特定送配電事業者及び発電事業者を除く。次項及び次条第三項において「一般送配電事業者の特定関係事業者」という。)又は第二十七条の十一の三第一項に規定する特定関係事業者(小売電気事業者等、一般送配電事業者、送電事業者、特定送配電事業者及び発電事業者を除く。次項及び次条第三項において「送電事業者の特定関係事業者」という。)に対し、必要な事項の報告又は資料の提出をさせることができる。
5 経済産業大臣は、第三項の規定により一般送配電事業者又は送電事業者に対し報告又は資料の提出をさせた場合において、電気供給事業者間の適正な競争関係を確保するため特に必要があると認めるときは、第二十三条第二項又は第二十七条の十一の四第二項の規定の施行に必要な限度において、当該一般送配電事業者の特定関係事業者等(一般送配電事業者の特定関係事業者を除く。)又は送電事業者の特定関係事業者等(送電事業者の特定関係事業者を除く。)に対し、必要な事項の報告又は資料の提出をさせることができる。
6 経済産業大臣は、第一項の規定によるもののほか、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、自家用電気工作物を設置する者、自家用電気工作物の保守点検を行つた事業者又は登録調査機関に対し、その業務の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。
7 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、一般用電気工作物(小出力発電設備に限る。)の所有者又は占有者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出をさせることができる。
8 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、推進機関に対し、その業務又は経理の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。
9 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、登録安全管理審査機関に対し、その業務又は経理の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。
10 経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、指定試験機関又は卸電力取引所に対し、その業務又は経理の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。
【3条】事故報告
「電気関係報告規則 第3条 事故報告」に関連する法令等は以下のとおりです。
分類 | 関係法令等 |
---|---|
法律 | ●電気事業法 |
政令(施行令) | ●電気事業法施行令 |
省令(施行規則) | ●電気事業法施行規則、電気関係報告規則 |
告示・訓令・通達 | 電気事業法の解説、主要電気工作物を構成する設備を定める告示 など |
電気関係報告規則とは, 電気事業法の規定に基づいて, 経済産業大臣が制定した命令(省令)の1つです。
電気事業法 第106条, 電気関係報告規則 第3条で、電気工作物で事故が発生したときは「電気事業者」or「自家用電気工作物の設置者」は管轄エリアの産業保安監督部長に報告を行う必要があります。
種別 | 概要 |
---|---|
電話等での報告(24時間以内) | 事故発生(感電死傷、電気火災など)を知った時から「24時間以内」可能な限り速やかに、事故の「発生日時」「場所」「事故が発生した電気工作物」「事故の概要」について、「電話」などで「産業保安監督部長」に報告する必要があります。 |
報告書の提出(30日以内) | 事故の発生を知った日から起算して30日以内に報告書を提出する必要があります。 |
例えば、関東東北産業保安監督部の管轄エリアにある電気工作物で事故が発生した場合、関東東北産業保安監督部長へ電子メール、電話、FAX等で報告する義務があります。 その後、事故発生を知った日から起算して30日以内に事故原因や再発防止策などを記載した報告書(詳報)を作成して提出する義務があります。
報告が必要な主な事故は以下のとおりです(関東東北産業保安監督部HPより引用)。
– | – |
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1 | 感電又は破損事故若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(治療のため入院した場合に限る。) |
2 | 電気火災事故(工作物にあっては、その半焼以上(20%以上)の場合に限る。) |
3 | 主要電気工作物の破損事故 |
4 | 電気事業者に供給支障を発生させた事故(波及事故) |
具体的には, 「電気関係報告規則 第3条」と「電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について(内規)(以下、「内規」)」に記載されています。
【電気関係報告規則】
(事故報告)
第3条 電気事業者(法第三十八条第四項各号に掲げる事業を営む者に限る。以下この条において同じ。)又は自家用電気工作物を設置する者は、電気事業者にあつては電気事業の用に供する電気工作物(原子力発電工作物を除く。以下この項において同じ。)に関して、自家用電気工作物を設置する者にあつては自家用電気工作物((省略))に関して、次の表の事故の欄に掲げる事故が発生したときは、それぞれ同表の報告先の欄に掲げる者に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の欄に掲げる者が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。
事故 | 報告先(電気事業者) | 報告先(自家用電気工作物を設置する者) |
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1 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。) | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
2 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。) | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
3 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
4 次に掲げるものに属する主要電気工作物の破損事故 イ 出力90万kW未満の水力発電所 ロ 火力発電所(汽力、ガスタービン(出力1000kW以上のものに限る。)、内燃力(出力1万kW以上のものに限る。)、これら以外を原動力とするもの又は二以上の原動力を組み合わせたものを原動力とするものをいう。以下同じ。)における発電設備(発電機及びその発電機と一体となつて発電の用に供される原動力設備並びに電気設備の総合体をいう。以下同じ。)(ハに掲げるものを除く。) ハ 火力発電所における汽力又は汽力を含む二以上の原動力を組み合わせたものを原動力とする発電設備であつて、出力1000kW未満のもの(ボイラーに係るものを除く。) ニ 出力500kW以上の燃料電池発電所 ホ 出力50kW以上の太陽電池発電所 ヘ 出力20kW以上の風力発電所 ト 電圧17万V以上(構内以外の場所から伝送される電気を変成するために設置する変圧器その他の電気工作物の総合体であつて、構内以外の場所に伝送するためのもの以外のものにあつては10万V以上)30万V未満の変電所(容量30万kVA以上若しくは出力30万kW以上の周波数変換機器又は出力10万kW以上の整流機器を設置するものを除く。) チ 電圧17万V以上30万V未満の送電線路(直流のものを除く。) リ 電圧1万V以上の需要設備(自家用電気工作物を設置する者に限る。) |
電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
5 次に掲げるものに属する主要電気工作物の破損事故(第一号、第三号及び第八号から第十号までに掲げるものを除く。) イ 出力90万kW以上の水力発電所 ロ 電圧30万V以上の変電所又は容量30万kVA以上若しくは出力30万kW以上の周波数変換機器若しくは出力10万kW以上の整流機器を設置する変電所 ハ 電圧30万V(直流にあつては電圧17万V)以上の送電線路 |
経済産業大臣 | 経済産業大臣 |
6 水力発電所、火力発電所、燃料電池発電所、太陽電池発電所又は風力発電所に属する出力10万kW以上の発電設備に係る7日間以上の発電支障事故 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
7 供給支障電力が7000kW以上7万kW未満の供給支障事故であつて、その支障時間が1時間以上のもの、又は供給支障電力が7万kW以上10万kW未満の供給支障事故であつて、その支障時間が10分以上のもの(第九号及び第十一号に掲げるものを除く。) | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | ー |
8 供給支障電力が10万kW以上の供給支障事故であつて、その支障時間が10分以上のもの(第十号及び第十一号に掲げるものを除く。) | 経済産業大臣 | ー |
9 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより他の電気事業者に供給支障電力が7000kW以上7万kW未満の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が1時間以上のもの、又は供給支障電力が7万kW以上10万kW未満の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が10分以上のもの | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | ー |
10 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより他の電気事業者に供給支障電力が10万kW以上の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が10分以上のもの | 経済産業大臣 | ー |
11 一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3000V以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故[電験3種 R2法規 問11出題]詳細と例題はこちら | ー | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
12 ダムによつて貯留された流水が当該ダムの洪水吐きから異常に放流された事故 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
13 第一号から前号までの事故以外の事故であつて、電気工作物に係る社会的に影響を及ぼした事故 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 | 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 |
2 前項の規定による報告は、事故の発生を知つた時から24時間以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所、事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について、電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知つた日から起算して30日以内に様式第十三の報告書を提出して行わなければならない。ただし、前項の表第4号ハに掲げるもの又は同表第7号から第12号に掲げるもののうち当該事故の原因が自然現象であるものについては、同様式の報告書の提出を要しない。
つまり、上記表に該当する事故が発生した場合、速報(24時間以内)と報告書提出(30日以内)が必要となります。
例外として、第4号ハ(火力発電所の主要電気工作物の破損事故)、第7号から第12号(供給支障事故、ダム放流の事故)のうち雷や台風等の自然現象が原因で発生した場合は、速報(24時間以内)のみ必要となります。
【4条】公害防止等に関する届出
(公害防止等に関する届出)
第四条 電気事業者又は自家用電気工作物を設置する者は、次の表の届出を要する場合の欄に掲げる場合には、同表の届出期限及び届出事項に掲げるところに従い、同表の届出先の欄に掲げる者へ届け出なければならない。ただし、当該届出に係る電気工作物が原子力発電所に属するものである場合並びに同表の第一号から第四号まで、第五号の二及び第六号に掲げる場合であつて、法第四十七条第一項の認可又は法第四十八条第一項の規定による届出を必要とする工事に係る場合には、この限りでない。(表略)
【4条の2】ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物に関する届出(通称、「PCBの届出」)
(ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物に関する届出)
第四条の二 ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物を現に設置している又は予備として有している者(以下この条において「ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物設置者等」という。)は、次の表の上欄に掲げる場合には、同表の中欄に掲げる様式により、同表の下欄に掲げる期限までに、当該ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物を設置している又は予備として有している場所を管轄する産業保安監督部長(次項において「管轄産業保安監督部長」という。)へ届け出なければならない。
届出を要する場合 | 様式番号 | 届出期限 |
---|---|---|
一 ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物を現に設置している又は予備として有していることが新たに判明した場合(直ちに、当該ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物を廃止し、第三号の届出をする場合を除く。) | 様式第十三の二 | 判明した後遅滞なく |
二 ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物設置者等の氏名若しくは住所(法人にあつては当該ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物を設置している又は予備として有している事業場の名称又は所在地)に変更があつた場合又は当該ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物の設置若しくは予備の別に変更があつた場合 | 様式第十三の三 | 変更の後遅滞なく |
三 ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物を廃止した場合 | 様式第十三の四 | 廃止の後遅滞なく |
四 ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物の破損その他の事故が発生し、ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油が構内以外に排出された、又は地下に浸透した場合 | 様式第十三の五 | 事故の発生後可能な限り速やかに |
2 高濃度ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物を現に設置している又は予備として有している者は、高濃度ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物について、毎年度の管理の状況(以下この条において「管理状況」という。)を翌年度の六月三十日までに、様式第十三の六により、管轄産業保安監督部長へ届け出なければならない。また、直近に届け出た管理状況に記載した高濃度ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物を廃止する予定の年月を変更する場合には、遅滞なく、変更後の管理状況を管轄産業保安監督部長へ届け出なければならない。
【5条】自家用電気工作物を設置する者の発電所の出力の変更等の報告(出力変更、廃止報告)
[H26:問2]
(自家用電気工作物を設置する者の発電所の出力の変更等の報告)
第5条 自家用電気工作物(原子力発電工作物を除く。)を設置する者は、次の場合は、遅滞なく、その旨を当該自家用電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。
一 発電所若しくは変電所の出力又は送電線路若しくは配電線路の電圧を変更した場合(法第四十七条第一項若しくは第二項の認可を受け、又は法第四十八条第一項の規定による届出をした工事に伴い変更した場合を除く。)
二 発電所、変電所その他の自家用電気工作物を設置する事業場又は送電線路若しくは配電線路を廃止した場合
出力・電圧変更
自家用電気工作物(需要設備、発電所、変電所、送電線路等)の出力・電圧を変更した場合、 報告規則5条1項より、産業保安監督部長へ届出する必要があります。
様式は特に定められていませんが、実際には各産業保安監督部のHPに様式例、記載例、説明が公開されているのでそれに従って届出する形になります(各産業保安監督部によって様式や説明が微妙に異なっていました)。
【関東東北産業保安監督部】
以下ページで「発電所の出力変更報告書」という様式例がありました。
●自家用電気工作物の手続き様式(関東東北産業保安監督部HP)
【中部近畿産業保安監督部】
以下ページで「発電所(変電所)の出力変更報告書」という様式例がありました。
●自家用電気工作物 様式集(中部近畿産業保安監督部HP)
廃止報告
自家用電気工作物(需要設備、発電所、変電所、送電線路等)を廃止した場合、 報告規則5条2項より、産業保安監督部長へ届出する必要があります。
様式は特に定められていませんが、実際には各産業保安監督部のHPに様式例、記載例、説明が公開されているのでそれに従って届出する形になります(各産業保安監督部によって様式や説明が微妙に異なっていました)。
【関東東北産業保安監督部】
以下ページで「需要設備の廃止報告書」「発電所の廃止報告書」「ばい煙(騒音・振動)発生施設廃止報告書」の3種類の様式例がありました。
●自家用電気工作物の手続き様式(関東東北産業保安監督部HP)
【中部近畿産業保安監督部】
以下ページで「自家用電気工作物廃止報告書(需要設備の廃止)」と「自家用電気工作物廃止報告書(需要設備及び発電所の廃止)(発電所の廃止)」の2種類の様式例がありました。
●自家用電気工作物 様式集(中部近畿産業保安監督部HP)
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