電験3種における電気関係報告規則 第3条 「他者への波及事故」の例題をまとめました。
【電気関係報告規則 3条】波及事故
電験3種の令和2年度法規「問11」で本条項が出題されています。本ページではその対策としてポイントを整理しています。
電気関係報告規則 第3条 11項では以下のように記載されています。
【電気関係報告規則】
第3条
十一 一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3000V以上の自家用電気工作物の破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故
これは、自家用電気工作物(電圧3,000V以上の電圧で受電する需要家の受電設備)が破損や誤操作により、電力会社の送電系統を通じて他の需要家へ波及事故を起こした場合を想定したものです。
このような事故を起こした場合、自家用電気工作物設置者が産業保安監督部へ報告をする義務があります。
求めるものである(規則第3条第1項第11号)。
ただし、「一般送配電事業の用に供する配電線路等が自動的に再閉路に成功した場合を除く」と「電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について(内規)」に記載されています。
【例題】波及事故及び再閉路成功時と失敗時の違い
例えば、上記の場合、以下のフローになります。
– | 概要 |
---|---|
1 | 需要家Aの事故点②もしくは③で地絡事故が発生(事故点1で地絡事故が発生した場合、責任分界点の外なので需要家でなく電力会社の責任となります) |
2 | 遮断器A①、遮断器A②で遮断できずに地絡電流が流れ続けた場合、送電線にある電力会社の遮断器C①、遮断器C②が開く |
3 | 遮断器C①、遮断器C②の間にある需要家Aと需要家Bが停電になる |
4 | 1分後、遮断器C①、遮断器C②が閉じる(再閉路) |
4.1 | 遮断器A①や遮断器A②の遮断保護が正常に働いていて、地絡電流が流れなければ、再閉路成功となり報告対象とならない。 |
4.2 | 遮断器A①や遮断器A②の遮断保護が働かず地絡電流が再び流れたら送電線にある電力会社の遮断器C①、遮断器C②が開き、需要家Aと需要家Bが停電になるので、再閉路失敗で事故報告対象となる。 |
事故発生時に、その影響(他の需要家が停電しないよう)の最小化にするため、送電線(系統)に近い需要家の遮断器を先に動作させるように保護リレーの「継電器動作特性曲線」を設定します。
このような保護リレーの方式を「保護協調」といいます。
また、事故電流は事故点に向かって流れるため、地絡の発生箇所が零相変流器より負荷側か電源側かを判別するためには、その方向を確認できる地絡方向継電器が有効となります。
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