200V三相3線式の負荷容量$P[W]$、電流$I[A]$、力率$\cos\theta$に応じた遮断器(ブレーカー)の選定目安について解説します。
三相3線式の電力と電流の基本式
200V三相3線式の回路において、負荷容量$P[W]$、線間電圧$V[V]$、線電流$I[A]$、力率$\cos\theta$の関係は以下の式で表されます。
$P = \sqrt{3} V I \cos\theta$
これを電流$I$を求める式に変形すると、次のようになります。
$I = \frac{P}{\sqrt{3} V \cos\theta}$
200V三相3線式の公称電圧$V = 200[V]$、$\sqrt{3} \approx 1.73$なので、上記に代入すると以下のとおりです。
$I = \frac{P}{\sqrt{3} \times 200 \times \cos\theta} \approx \frac{P}{346 \times \cos\theta}$
力率による電流値の変化
負荷容量が同じであっても、力率が変われば流れる電流値$I$は大きく異なります。
① 力率が100%($\cos\theta = 1.0$)の場合、電流値$I$は
$I = \frac{10000}{\sqrt{3} \times 200 \times 1.0} \approx 28.9 [A]$
となります。
② 力率が80%($\cos\theta = 0.8$)の場合、電流値$I$は
$I = \frac{10000}{\sqrt{3} \times 200 \times 0.8} \approx 36.1 [A]$
となります。このように、力率が低下すると同じ出力を得るために必要な電流が増大します。遮断器(ブレーカー)選定の際は、接続する機器の定格力率を確認することが重要です。
効率を考慮する場合(電動機など)
電動機(モーター)などの場合、軸出力$P[W]$に対して電気的な入力には効率$\eta$が関わります。この場合の電流計算式は以下の通りです。
$I = \frac{P}{\sqrt{3} V \cos\theta \eta}$
効率が加味される分、流れる電流はさらに大きくなります。遮断器(ブレーカー)の選定や電線の太さを決める設計では、これらの数値を正確に把握することが欠かせません。
| 条件 | 電流への影響 | 理由 |
|---|---|---|
| 効率 $\eta$ が低い | 電流が増える | 機器内部の熱損失などを補うために、より多くの電力が必要になるため |
| 力率 $\cos\theta$ が低い | 電流が増える | 仕事に寄与しない無効電流が増え、電線に流れるトータルの電流が大きくなるため |
計算例
電動機の場合、銘板に記載されている出力$P$は「軸出力(仕事として取り出せるエネルギー)」を指します。実際に電源から取り込む電流を求めるには、内部での損失(効率$\eta$)と、位相のズレ(力率$\cos\theta$)の両方を加味する必要があります。
例:三相200V、定格出力3.7kW、力率80%、効率85%の電動機の場合、電流$I$は
$I = \frac{3700}{\sqrt{3} \times 200 \times 0.8 \times 0.85} \approx 15.7 [A]$
となります。
遮断器(ブレーカー)の選定目安
ブレーカーを選定する際は、計算された定格電流$I$に対して、以下の点に注意する必要があります。
定格電流の余裕
ブレーカーの定格電流は、負荷の定格電流よりも大きいものを選びます。一般的には、連続して流れる電流がブレーカー定格の80%程度に収まるように選定するのが望ましいとされています。
始動電流への対応
電動機負荷の場合、起動時に定格の5倍〜7倍程度の「始動電流」が流れます。通常の配線用遮断器(MCCB)では、この短時間の過電流でトリップしないような動作特性(モーター保護用など)を持つものを選定するか、容量を一段階上げる検討が必要です。
三相3線式200Vでの簡易目安表
以下表は、力率を一般的な85%と仮定した場合の推奨ブレーカー容量を一覧にしたものです。
| 負荷容量 [kW] | 計算電流 [A] | 推奨ブレーカー容量 [A] |
|---|---|---|
| 2 | 6.8 | 15 |
| 3 | 10.2 | 20 |
| 5 | 17.0 | 30 |
| 7.5 | 25.5 | 40 |
| 10 | 34.0 | 50 |
実際の選定にあたっては、機器の仕様書および内線規程に基づいた設計を行ってください。
関連コンテンツ


コメント