【電験3種】太陽電池発電所の使用前自主検査・自己確認の「接地抵抗測定」

電験3種で出題される太陽電池発電所の使用前自主検査・自己確認の「外観検査」についてをまとめました。

【1】使用前自主検査における接地抵抗測定とは

使用前自主検査については「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」にその方法が記載されています。
その中で、外観検査については以下のように記載されています。

(2) 接地抵抗測定

(a) 検査方法
次に示す接地方法に応じて以下の測定方法により接地抵抗値を測定する。
① 機器ごとに接地する「単独接地」;直読式接地抵抗計による測定
② いくつかの接地箇所を連絡して接地する「連接接地」;直読式接地抵抗計による測定
③ 接地線を網状に埋設し、各交流点で連接する「網状(メッシュ)接地」;電圧降下法による測定
なお、連接接地法及びメッシュ接地法により接地されている場合であって、変更の工事の場合は、当該設備と既設接地極・網との導通試験に替えることができる。

(b) 判定基準
接地抵抗値が電技解釈第17条又は第24条第1項第2号で規定された値以下であること。

【2】① 接地抵抗値が電技解釈第17条又は第24条第1項第2号で規定された値以下であること。

判定基準は、以下の「電技解釈第17条又は第24条第1項第2号で規定された値以下」である必要があります。
電技解釈第17条では、A、B、C、D種接地の条件について以下の表のとおり規定されています(条文など詳細は次節以降に掲載)。

種別 接地抵抗値 特徴 接地線
A種接地 10[Ω]以下 使用電圧が高圧以上(特別高圧含む)の電路、避雷器、電気機器(変圧器など)の外箱等などに施す接地。感電等の災害防止用。 直径2.6mm以上の軟銅線(※詳細は電技解釈第17条1項を参照)
B種接地 150/Ig[Ω]以下(漏電遮断器の動作時間が1秒以内なら600/Ig[Ω]、1秒超2秒以内なら300/Ig[Ω]) 高圧又は特別高圧電路と低圧電路の間にある変圧器の低圧側の中性点の1線に施す接地。変圧器の混触(高圧側と低圧側が接触し、高圧が低圧側に流れ込んむこと)時に電圧上昇を抑えるのが目的。 変圧器一次側電圧が15000V以下なら直径2.6mm以上の軟銅線15000V超えなら直径4mm以上の軟銅線(その他、詳細は電技解釈第17条2項を参照)
C種接地 10[Ω]以下(漏電遮断器の動作時間が0.5秒以内なら500Ω以下) 300Vを超える低圧の電気機器外箱等の接地。感電等の災害防止用。 直径1.6mm以上の軟銅線(※詳細は電技解釈第17条3項を参照)
D種接地 100[Ω]以下(漏電遮断器の動作時間が0.5秒以内なら500Ω以下) 300V以下の低圧の電気機器外箱等、高圧計器用変成器の2次側電路の接地。感電等の災害防止用。 直径1.6mm以上の軟銅線(※詳細は電技解釈第17条4項を参照)

Igは、変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の一線地絡電流[A]

【電験3種・法規】「A種、B種、C種、D種接地の違い」「変圧器の混触防止用の接地」と例題
電験三種(法規)における「電気設備の接地」と「A種、B種、C種、D種接地の違い」と例題をまとめました。

電技解釈24条では、高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器に施すB種接地について以下のように規定しています。

【高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設】(省令第12条第1項)
第24条 高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には、次の各号によりB種接地工事を施すこと。
一 次のいずれかの箇所に接地工事を施すこと。(関連省令第10条)
低圧側の中性点
ロ 低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子
ハ 低圧電路が非接地である場合においては、高圧巻線又は特別高圧巻線と低圧巻線との間に設けた金属製の混触防止板
二 接地抵抗値は、第17条第2項第一号の規定にかかわらず、5Ω未満であることを要しない。(関連省令第11条)
三 変圧器が特別高圧電路と低圧電路とを結合するものである場合において、第17条第2項第一号の規定により計
算した値が10を超えるときの接地抵抗値は、10Ω以下であること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。(関連省令第11条)
イ 特別高圧電路の使用電圧が35,000V以下であって、当該特別高圧電路に地絡を生じた際に、1秒以内に自動的にこれを遮断する装置を有する場合
ロ 特別高圧電路が、第108条に規定する特別高圧架空電線路の電路である場合
2 次の各号に掲げる変圧器を施設する場合は、前項の規定によらないことができる。
一 鉄道又は軌道の信号用変圧器
二 電気炉又は電気ボイラーその他の常に電路の一部を大地から絶縁せずに使用する負荷に電気を供給する専用の変圧器
3 第1項第一号イ又はロに規定する箇所に施す接地工事は、次の各号のいずれかにより施設すること。(関連省令第6条、第11条)
一 変圧器の施設箇所ごとに施すこと。
二 土地の状況により、変圧器の施設箇所において第17条第2項第一号に規定する接地抵抗値が得難い場合は、次のいずれかに適合する接地線を施設し、変圧器の施設箇所から200m以内の場所に接地工事を施すこと。
イ 引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用した架空接地線を第66条第1項の規定並びに第68条、第71条から第78条まで及び第80条の低圧架空電線の規定に準じて施設すること。
ロ 地中接地線を第120条及び第125条の地中電線の規定に準じて施設すること。
三 土地の状況により、第一号及び第二号の規定により難いときは、次により共同地線を設けて、2以上の施設箇所に共通のB種接地工事を施すこと。
イ 架空共同地線は、引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用し、第66条第1項の規定、並びに第68条、第71条から第78条まで及び第80条の低圧架空電線の規定に準じて施設すること。
ロ 地中共同地線は、第120条及び第125条の地中電線の規定に準じて施設すること。
ハ 接地工事は、各変圧器を中心とする直径400m以内の地域であって、その変圧器に接続される電線路直下の部分において、各変圧器の両側にあるように施すこと。ただし、その施設箇所において接地工事を施した変圧器については、この限りでない。
ニ 共同地線と大地との間の合成電気抵抗値は、直径1km以内の地域ごとに第17条第2項第一号に規定するB種接地工事の接地抵抗値以下であること。
ホ 各接地工事の接地抵抗値は、接地線を共同地線から切り離した場合において、300Ω以下であること。
四 変圧器が中性点接地式高圧電線路と低圧電路とを結合するものである場合において、土地の状況により、第一号から第三号までの規定により難いときは、次により共同地線を設けて、2以上の施設箇所に共通のB種接地工事を施すこと。
イ 共同地線は、前号イ又はロの規定によること。
ロ 接地工事は、前号ハの規定によること。
ハ 同一支持物に高圧架空電線と低圧架空電線とが施設されている部分においては、接地箇所相互間の距離は、電線路沿いに300m以内であること。
ニ 共同地線と大地との間の合成電気抵抗値は、第17条第2項第一号に規定するB種接地工事の接地抵抗値以下であること。
ホ 各接地工事の接地抵抗値は、接地線を共同地線から切り離した場合において、次の式により計算した値(300Ωを超える場合は、300Ω)以下であること。
R =150n/Ig
R は、接地線と大地との間の電気抵抗(単位:Ω)
Ig は、第17条第2項第二号の規定による1線地絡電流(単位:A)
n は、接地箇所数
4 前項第三号及び第四号の共同地線には、低圧架空電線又は低圧地中電線の1線を兼用することができる。
5 第1項第一号ハの規定により接地工事を施した変圧器に接続する低圧電線を屋外に施設する場合は、次の各号により施設すること。
一 低圧電線は、1構内だけに施設すること。
二 低圧架空電線路又は低圧屋上電線路の電線は、ケーブルであること。
三 低圧架空電線と高圧又は特別高圧の架空電線とは、同一支持物に施設しないこと。ただし、高圧又は特別高圧の架空電線がケーブルである場合は、この限りでない。

上記内容を整理すると、以下表のとおりになります。

一次電圧 二次電圧 二次側結線 接地の仕方
高圧(600V超) 300V以下 デルタ結線 デルタ結線の一端をB種接地
高圧(600V超) 300V以下 スター結線 中性点又はスター結線の一端をB種接地
高圧(600V超) 300V以下 単二、単三 中性点又は端子の一端をB種接地する。
高圧(600V超) 300V超 デルタ結線 混触防止板付変圧器を使用し混触防止板をB種接地(デルタ結線の一端接地は禁止)
高圧(600V超) 300V超 スター結線 中性点をB種接地し、混触防止板付変圧器を使用(スター結線の一端接地は禁止)
高圧(600V超) 300V超 単二 混触防止板付変圧器を使用(電路の一端接地は禁止)
高圧(600V超) 300V超 単二 中性点をB種接地(電路の一端接地は禁止)

【電技解釈第17条1項】A種接地工事

A種接地工事は、電技解釈第17条1項に記載されています。

【接地工事の種類及び施設方法】(省令第11条)
第17条 A種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、10Ω以下であること。
二 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ ハに規定する場合を除き、引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線であること。
ハ 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において可とう性を必要とする部分は、3種クロロプレンキャブタイヤケーブル、3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル、4種クロロプレンキャブタイヤケーブル若しくは4種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルの1心又は多心キャブタイヤケーブルの遮へいその他の金属体であって、断面積が8mm2以上のものであること。

電技解釈17条1項3号は、A種とB種の設置工事において以下のように規定しています。

三 接地極及び接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合は、前号ハの場合、及び発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所において、接地極を第19条第2項第一号の規定に準じて施設する場合を除き、次により施設すること。
イ 接地極は、地下75cm以上の深さに埋設すること。
接地極を鉄柱その他の金属体に近接して施設する場合は、次のいずれかによること。
(イ) 接地極を鉄柱その他の金属体の底面から30cm以上の深さに埋設すること。
(ロ) 接地極を地中でその金属体から1m以上離して埋設すること。
ハ 接地線には、絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)又は通信用ケーブル以外のケーブルを使用すること。ただし、接地線を鉄柱その他の金属体に沿って施設する場合以外の場合には、接地線の地表上60cmを超える部分については、この限りでない。
ニ 接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。
四 接地線は、避雷針用地線を施設してある支持物に施設しないこと。

【電技解釈第17条2項】B種接地工事

B種接地工事は、電技解釈第17条2項に記載されています。

2 B種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、17-1表に規定する値以下であること。
二 17-1表における1線地絡電流Ig は、次のいずれかによること。 (以下略)
三 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ 17-3表に規定するものであること。

【17-1表】

接地工事を施す変圧器の種類(当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により、低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、自動的に高圧又は特別高圧の電路を遮断する装置を設ける場合の遮断時間) 接地抵抗値(Ω)
下記以外の場合 150/Ig
高圧又は35,000V以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合するもの(1秒を超え2秒以下) 300/Ig
高圧又は35,000V以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合するもの(1秒以下) 600/Ig

(備考) Ig は、当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流(単位:A)

(980Pa)混触事故が発生すると、電位上昇(1線地絡電流×接地抵抗)が発生します。
安全のために、(低圧電路の対地電圧の上限値)÷(1線地絡電流)がB種接地抵抗値の上限値となっています。
※低圧電路の対地電圧の上限が150/Igは150V、300/Igは300V、600/Igは600V

区分 接地線
移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において、可とう性を必要とする部分 3種クロロプレンキャブタイヤケーブル、3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル、3種耐燃性エチレンゴムキャブタイヤケーブル、4種クロロプレンキャブタイヤケーブル若しくは4種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルの1心又は多心キャブタイヤケーブルの遮へいその他の金属体であって、断面積が8mm2以上のもの
上記以外の部分であって、接地工事を施す変圧器が高圧電路又は第108条に規定する特別高圧架空電線路の電路と低圧電路とを結合するものである場合 引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線
上記以外の場合 引張強さ2.46kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径4mm以上の軟銅線

【電技解釈第17条3項】C種接地工事

C種接地工事は、電技解釈第17条3項に記載されています。

3 C種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、10Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置
を施設するときは、500Ω)以下であること。
二 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ ハに規定する場合を除き、引張強さ0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径1.6mm以上の軟銅線であること。
ハ 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において、可とう性を必要とする部分は、次のいずれかのものであること。
(イ) 多心コード又は多心キャブタイヤケーブルの1心であって、断面積が0.75mm2以上のもの
(ロ) 可とう性を有する軟銅より線であって、断面積が1.25mm2以上のもの

【電技解釈第17条4項】D種接地工事

D種接地工事は、電技解釈第17条4項に記載されています。

4 D種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、100Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
二 接地線は、第3項第二号の規定に準じること。
5 C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下である場合は、C種接地工事を施したものとみなす。
6 D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が100Ω以下である場合は、D種接地工事を施したものとみなす。

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