【電験3種・法規】「A種、B種、C種、D種接地の違い」「変圧器の混触防止用の接地」と例題

電験三種(法規)における「電気設備の接地」と「A種、B種、C種、D種接地の違い」と例題をまとめました。

【電技10・11条】電気設備の接地、電気設備の接地の方法(A種、B種、C種、D種)

【参考資料】

省令第10・11条で、以下のように電気設備の接地について記載されています。

(電気設備の接地)
第十条 電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件への損傷を与えるおそれがないよう、接地その他の適切な措置を講じなければならない。ただし、電路に係る部分にあっては、第五条第一項の規定に定めるところによりこれを行わなければならない。

(電気設備の接地の方法)
第十一条 電気設備に接地を施す場合は、電流が安全かつ確実に大地に通ずることができるようにしなければならない。

[R01:問6]
接地には、A種接地、B種接地、C種接地、D種接地の四種類があります。接地の種別と接地抵抗値
その目的によって取るべき種類が決まります。

種別 接地抵抗値 特徴 接地線
A種接地 10[Ω]以下 使用電圧が高圧以上(特別高圧含む)の電路、避雷器、電気機器(変圧器など)の外箱等などに施す接地。感電等の災害防止用。 引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線(※詳細は電技解釈第17条1項を参照)
B種接地 150/Ig[Ω]以下(漏電遮断器の動作時間が1秒以内なら600/Ig[Ω]、1秒超2秒以内なら300/Ig[Ω]) 高圧又は特別高圧電路と低圧電路の間にある変圧器の低圧側の中性点の1線に施す接地。変圧器の混触(高圧側と低圧側が接触し、高圧が低圧側に流れ込んむこと)時に電圧上昇を抑えるのが目的。 引張強さ2.46kN以上の容易に腐食し難い金属線又は変圧器一次側電圧が15000V以下なら直径2.6mm以上の軟銅線15000V超えなら直径4mm以上の軟銅線(その他、詳細は電技解釈第17条2項を参照)
C種接地 10[Ω]以下(漏電遮断器の動作時間が0.5秒以内なら500Ω以下) 300Vを超える低圧の電気機器外箱等の接地。感電等の災害防止用。 直径1.6mm以上の軟銅線(※詳細は電技解釈第17条3項を参照)
D種接地 100[Ω]以下(漏電遮断器の動作時間が0.5秒以内なら500Ω以下) 300V以下の低圧の電気機器外箱等、高圧計器用変成器の2次側電路の接地。感電等の災害防止用。 直径1.6mm以上の軟銅線(※詳細は電技解釈第17条4項を参照)

Igは、変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の一線地絡電流[A]

【電技解釈29条】機械器具の金属製外箱等の接地の原則、および省略できる条件

電技解釈29条では、機械器具の金属製外箱等の接地の原則、および省略できる条件について記載されています。

【機械器具の金属製外箱等の接地】(省令第10条、第11条)
第29条 電路に施設する機械器具の金属製の台及び外箱(以下この条において「金属製外箱等」という。)(外箱
のない変圧器又は計器用変成器にあっては、鉄心)には、使用電圧の区分に応じ、29-1表に規定する接地工事を
施すこと。ただし、外箱を充電して使用する機械器具に人が触れるおそれがないようにさくなどを設けて施設す
る場合又は絶縁台を設けて施設する場合は、この限りでない。

【29-1表】

機械器具の使用電圧の区分 接地工事
低圧 300V以下 D種接地工事
低圧 300V超過 C種接地工事
高圧又は特別高圧 A種接地工事

●省略できる条件[H25:問4出題]

2 機械器具が小出力発電設備である燃料電池発電設備である場合を除き、次の各号のいずれかに該当する場合は、第1項の規定によらないことができる。
交流の対地電圧が150V以下又は直流の使用電圧が300V以下の機械器具を、乾燥した場所に施設する場合
二 低圧用の機械器具を乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合
三 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁の構造の機械器具を施設する場合
四 低圧用の機械器具に電気を供給する電路の電源側に絶縁変圧器(2次側線間電圧300V以下であって、容量が3kVA以下のものに限る。)を施設し、かつ、当該絶縁変圧器の負荷側の電路を接地しない場合
水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流が15mA以下、動作時間が0.1秒以下の電流動作型のものに限る。)を施設する場合
六 金属製外箱等の周囲に適当な絶縁台を設ける場合
七 外箱のない計器用変成器がゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したものである場合
八 低圧用若しくは高圧用の機械器具、第26条に規定する配電用変圧器若しくはこれに接続する電線に施設する機械器具又は第108条に規定する特別高圧架空電線路の電路に施設する機械器具を、木柱その他これに類する絶縁性のものの上であって、人が触れるおそれがない高さに施設する場合
3 高圧ケーブルに接続される高圧用の機械器具の金属製外箱等の接地は、日本電気技術規格委員会規格 JESC E2019(2009)「高圧ケーブルの遮へい層による高圧用の機械器具の鉄台及び外箱の連接接地」の「2.技術的規定」により施設することができる。
4 太陽電池モジュールに接続する直流電路に施設する機械器具であって、使用電圧が300Vを超え450V以下のものの金属製外箱等に施すC種接地工事の接地抵抗値は、次の各号に適合する場合は、第17条弟3項第一号の規定によらず、100Ω以下とすることができる。
一 直流電路は、非接地であること。
二 直流電路に接続する逆変換装置の交流側に、絶縁変圧器を施設すること。
三 太陽電池モジュールの合計出力は、10kW以下であること。
直流電路に機械器具(太陽電池モジュール、第200条第2項第一号ロ及びハに規定する器具、逆変換装置及び避雷器を除く。)を施設しないこと。

【電技解釈第17条1項】A種接地工事

A種接地工事は、電技解釈第17条1項に記載されています。

【接地工事の種類及び施設方法】(省令第11条)
第17条 A種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、10Ω以下であること。
二 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ ハに規定する場合を除き、引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線であること。
ハ 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において可とう性を必要とする部分は、3種クロロプレンキャブタイヤケーブル、3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル、4種クロロプレンキャブタイヤケーブル若しくは4種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルの1心又は多心キャブタイヤケーブルの遮へいその他の金属体であって、断面積が8mm2以上のものであること。

電技解釈17条1項3号は、A種とB種の設置工事において以下のように規定しています。

三 接地極及び接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合は、前号ハの場合、及び発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所において、接地極を第19条第2項第一号の規定に準じて施設する場合を除き、次により施設すること。
イ 接地極は、地下75cm以上の深さに埋設すること。
接地極を鉄柱その他の金属体に近接して施設する場合は、次のいずれかによること。
(イ) 接地極を鉄柱その他の金属体の底面から30cm以上の深さに埋設すること。
(ロ) 接地極を地中でその金属体から1m以上離して埋設すること。
ハ 接地線には、絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く。)又は通信用ケーブル以外のケーブルを使用すること。ただし、接地線を鉄柱その他の金属体に沿って施設する場合以外の場合には、接地線の地表上60cmを超える部分については、この限りでない。
ニ 接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。
四 接地線は、避雷針用地線を施設してある支持物に施設しないこと。

【電技解釈第17条2項】B種接地工事

B種接地工事は、電技解釈第17条2項に記載されています。

2 B種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、17-1表に規定する値以下であること。
二 17-1表における1線地絡電流Ig は、次のいずれかによること。 (以下略)
三 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ 17-3表に規定するものであること。

【17-1表】

接地工事を施す変圧器の種類(当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路と低圧側の電路との混触により、低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、自動的に高圧又は特別高圧の電路を遮断する装置を設ける場合の遮断時間) 接地抵抗値(Ω)
下記以外の場合 150/Ig
高圧又は35,000V以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合するもの(1秒を超え2秒以下) 300/Ig
高圧又は35,000V以下の特別高圧の電路と低圧電路を結合するもの(1秒以下) 600/Ig

(備考) Ig は、当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流(単位:A)

混触事故が発生すると、電位上昇(1線地絡電流×接地抵抗)が発生します。
安全のために、(低圧電路の対地電圧の上限値)÷(1線地絡電流)がB種接地抵抗値の上限値となっています。
※低圧電路の対地電圧の上限が150/Igは150V、300/Igは300V、600/Igは600V

区分 接地線
移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において、可とう性を必要とする部分 3種クロロプレンキャブタイヤケーブル、3種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブル、3種耐燃性エチレンゴムキャブタイヤケーブル、4種クロロプレンキャブタイヤケーブル若しくは4種クロロスルホン化ポリエチレンキャブタイヤケーブルの1心又は多心キャブタイヤケーブルの遮へいその他の金属体であって、断面積が8mm2以上のもの
上記以外の部分であって、接地工事を施す変圧器が高圧電路又は第108条に規定する特別高圧架空電線路の電路と低圧電路とを結合するものである場合 引張強さ1.04kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径2.6mm以上の軟銅線
上記以外の場合 引張強さ2.46kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径4mm以上の軟銅線

【電技解釈第17条3項】C種接地工事

C種接地工事は、電技解釈第17条3項に記載されています。

3 C種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、10Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置
を施設するときは、500Ω)以下であること。
二 接地線は、次に適合するものであること。
イ 故障の際に流れる電流を安全に通じることができるものであること。
ロ ハに規定する場合を除き、引張強さ0.39kN以上の容易に腐食し難い金属線又は直径1.6mm以上の軟銅線であること。
ハ 移動して使用する電気機械器具の金属製外箱等に接地工事を施す場合において、可とう性を必要とする部分は、次のいずれかのものであること。
(イ) 多心コード又は多心キャブタイヤケーブルの1心であって、断面積が0.75mm2以上のもの
(ロ) 可とう性を有する軟銅より線であって、断面積が1.25mm2以上のもの

【解釈第17条4項】D種接地工事

D種接地工事は、電技解釈第17条4項に記載されています。

4 D種接地工事は、次の各号によること。
一 接地抵抗値は、100Ω(低圧電路において、地絡を生じた場合に0.5秒以内に当該電路を自動的に遮断する装置を施設するときは、500Ω)以下であること。
二 接地線は、第3項第二号の規定に準じること。
5 C種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が10Ω以下である場合は、C種接地工事を施したものとみなす。
6 D種接地工事を施す金属体と大地との間の電気抵抗値が100Ω以下である場合は、D種接地工事を施したものとみなす。

D種接地を省略できる条件

【解釈】

第29条
(略)
2 機械器具が小出力発電設備である燃料電池発電設備である場合を除き、次の各号のいずれかに該当する場合は、第1項の規定によらないことができる。
交流の対地電圧が150V以下又は直流の使用電圧が300V以下の機械器具を、乾燥した場所に施設する場合
二 低圧用の機械器具を乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のものの上で取り扱うように施設する場合
三 電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁の構造の機械器具を施設する場合
四 低圧用の機械器具に電気を供給する電路の電源側に絶縁変圧器(2次側線間電圧が300V以下であって、容量が3kVA以下のものに限る。)を施設し、かつ、当該絶縁変圧器の負荷側の電路を接地しない場合
水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流が15mA以下、動作時間が0.1秒以下の電流動作型のものに限る。)を施設する場合
六 金属製外箱等の周囲に適当な絶縁台を設ける場合
七 外箱のない計器用変成器ゴム、合成樹脂その他の絶縁物で被覆したものである場合
八 低圧用若しくは高圧用の機械器具、第26条に規定する配電用変圧器若しくはこれに接続する電線に施設する機械器具又は第108条に規定する特別高圧架空電線路の電路に施設する機械器具を、木柱その他これに類する絶縁性のものの上であって、人が触れるおそれがない高さに施設する場合
(略)

【D種接地が必要な箇所】
・洗濯機、電気温水器等など屋内の水気や湿気の多い環境下で使用する電気器具
・井戸ポンプ、自動販売機等など、屋外で使用する水気や湿気の多い電気器具
・工場等の大型エアコン、工作機器、溶接機等の200Vで使用する電気器具

【解釈18条】工作物の金属体を利用した接地工事(等電位ボンディング)

[R01:問6]
電技解釈18条1項では、工作物の金属体を接地極に利用できることについて記載されています。
例えば、鉄筋コンクリートのビルならば条件を満たせば、その鉄筋コンクリート自体を接地極として利用できます。

【工作物の金属体を利用した接地工事】(省令第11条)
第18条 鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造の建物において、当該建物の鉄骨又は鉄筋その他の金属体(以下この条において「鉄骨等」という。)を、第17条第1項から第4項までに規定する接地工事その他の接地工事に係る共用の接地極に使用する場合には、建物の鉄骨又は鉄筋コンクリートの一部を地中に埋設するとともに、等電位ボンディング(導電性部分間において、その部分間に発生する電位差を軽減するために施す電気的接続をいう。)を施すこと。また、鉄骨等をA種接地工事又はB種接地工事の接地極として使用する場合には、更に次の各号により施設すること。なお、これらの場合において、鉄骨等は、接地抵抗値によらず、共用の接地極として使用することができる。

一 特別高圧又は高圧の機械器具の金属製外箱に施す接地工事の接地線に1線地絡電流が流れた場合において、建物の柱、梁、床、壁等の構造物の導電性部分間に50Vを超える接触電圧(人が複数の導電性部分に同時に接触した場合に発生する導電性部分間の電圧をいう。以下この項において同じ。)が発生しないように、建物の鉄骨又は鉄筋は、相互に電気的に接続されていること。
二 前号に規定する場合において、接地工事を施した電気機械器具又は電気機械器具以外の金属製の機器若しくは設備を施設するときは、これらの金属製部分間又はこれらの金属製部分と建物の柱、梁、床、壁等の構造物の導電性部分間に、50Vを超える接触電圧が発生しないように施設すること。
三 第一号に規定する場合において、当該建物の金属製部分と大地との間又は当該建物及び隣接する建物の外壁の金属製部分間に、50Vを超える接触電圧が発生しないように施設すること。ただし、建物の外壁に金属製部分が露出しないように施設する等の感電防止対策を施す場合は、この限りでない。
四 第一号、第二号及び第三号の規定における1線地絡電流が流れた場合の接触電圧を推定するために用いる接地抵抗値は、実測値又は日本工業規格 JIS T 1022(2006)「病院電気設備の安全基準」の「附属書(参考)建築構造体の接地抵抗の計算」によること。
2 大地との間の電気抵抗値が2Ω以下の値を保っている建物の鉄骨その他の金属体は、これを次の各号に掲げる接地工事の接地極に使用することができる。
一 非接地式高圧電路に施設する機械器具等に施すA種接地工事
二 非接地式高圧電路と低圧電路を結合する変圧器に施すB種接地工事
3 A種接地工事又はB種接地工事を、第1項又は前項の規定により施設する場合における接地線は、第17条第1項第三号(同条第2項第四号で準用する場合を含む。)の規定によらず、第1項の規定により施設する場合にあっては第164条第1項第二号及び第三号の規定、前項の規定により施設する場合にあっては第164条第1項第一号から第三号までの規定に準じて施設することができる。

例題

(問題文)
以下の記述が正しいかどうか答えよ。
①鉄骨造建物物の鉄骨の一部を地中に埋設して電位ボンディングを施し、D種接地工事の接地極に用いた。
→ 正しい。
② 大地との間の電気抵抗値が5Ω以下の値を保っている地中埋設された金属製水道管路を、C種接地工事の接地極に使用した。
→ 2Ω以下でないと用いれないので、誤り。

地中に埋設され,かつ,大地との間の電気抵抗値が 5 Ω 以下の値を保っている金属製水道管路を, C 種接地工事の接地極に使用した。

【電技12・13条、解釈24条】高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設(B種接地)

電技12条では、低圧電路と高圧電路間での混触や、変圧器の低圧側と高圧側で混触が発生した時に、低圧側に高電圧が印加されないよう、変圧器に接地(B種接地)を施すよう規定されています。

(特別高圧電路等と結合する変圧器等の火災等の防止)
第12条 高圧又は特別高圧の電路と低圧の電路とを結合する変圧器は、高圧又は特別高圧の電圧の侵入による低圧側の電気設備の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、当該変圧器における適切な箇所に接地を施さなければならない。ただし、施設の方法又は構造によりやむを得ない場合であって、変圧器から離れた箇所における接地その他の適切な措置を講ずることにより低圧側の電気設備の損傷、感電又は火災のおそれがない場合は、この限りでない。
2 変圧器によって特別高圧の電路に結合される高圧の電路には、特別高圧の電圧の侵入による高圧側の電気設備の損傷、感電又は火災のおそれがないよう、接地を施した放電装置の施設その他の適切な措置を講じなければならない。

電技13条では、変圧器や電路で混触が発生したときに備えて、施設側についても規定されています。

(特別高圧を直接低圧に変成する変圧器の施設制限)
第13条 特別高圧を直接低圧に変成する変圧器は、次の各号のいずれかに掲げる場合を除き、施設してはならない。
一 発電所等公衆が立ち入らない場所に施設する場合
二 混触防止措置が講じられている等危険のおそれがない場合
三 特別高圧側の巻線と低圧側の巻線とが混触した場合に自動的に電路が遮断される装置の施設その他の保安上の適切な措置が講じられている場合

発電所等公衆が立ち入らない場所・・・発電所、変電所など関係者以外が立ち入れない場所
混触防止措置・・・混触防止板や接地など
自動的に電路が遮断される装置・・・遮断装置など

電技解釈24条では、12条のB種接地について具体的に規定されています。

【高圧又は特別高圧と低圧との混触による危険防止施設】(省令第12条第1項)
第24条 高圧電路又は特別高圧電路と低圧電路とを結合する変圧器には、次の各号によりB種接地工事を施すこと。
一 次のいずれかの箇所に接地工事を施すこと。(関連省令第10条)
低圧側の中性点
ロ 低圧電路の使用電圧が300V以下の場合において、接地工事を低圧側の中性点に施し難いときは、低圧側の1端子
低圧電路が非接地である場合においては、高圧巻線又は特別高圧巻線と低圧巻線との間に設けた金属製の混触防止板
二 接地抵抗値は、第17条第2項第一号の規定にかかわらず、5Ω未満であることを要しない。(関連省令第11条)
三 変圧器が特別高圧電路と低圧電路とを結合するものである場合において、第17条第2項第一号の規定により計算した値が10を超えるときの接地抵抗値は、10Ω以下であること。ただし、次のいずれかに該当する場合はこの限りでない。(関連省令第11条)
イ 特別高圧電路の使用電圧が35,000V以下であって、当該特別高圧電路に地絡を生じた際に、1秒以内に自動
的にこれを遮断する装置を有する場合
ロ 特別高圧電路が、第108条に規定する特別高圧架空電線路の電路である場合

2 次の各号に掲げる変圧器を施設する場合は、前項の規定によらないことができる。
一 鉄道又は軌道の信号用変圧器
二 電気炉又は電気ボイラーその他の常に電路の一部を大地から絶縁せずに使用する負荷に電気を供給する専用の変圧器

3 第1項第一号イ又はロに規定する箇所に施す接地工事は、次の各号のいずれかにより施設すること。(関連省令第6条、第11条)
変圧器の施設箇所ごとに施すこと。
土地の状況により、変圧器の施設箇所において第17条第2項第一号に規定する接地抵抗値が得難い場合は、次のいずれかに適合する接地線を施設し、変圧器の施設箇所から200m以内の場所に接地工事を施すこと。
イ 引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用した架空接地線を第66条第1項の規定並びに第68条、第71条から第78条まで及び第80条の低圧架空電線の規定に準じて施設すること。
ロ 地中接地線を第120条及び第125条の地中電線の規定に準じて施設すること。
三 土地の状況により、第一号及び第二号の規定により難いときは、次により共同地線を設けて、2以上の施設箇所に共通のB種接地工事を施すこと。
イ 架空共同地線は、引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用し、第66条第1項の規定、並びに第68条、第71条から第78条まで及び第80条の低圧架空電線の規定に準じて施設すること。
ロ 地中共同地線は、第120条及び第125条の地中電線の規定に準じて施設すること。
ハ 接地工事は、各変圧器を中心とする直径400m以内の地域であって、その変圧器に接続される電線路直下の部分において、各変圧器の両側にあるように施すこと。ただし、その施設箇所において接地工事を施した変圧器については、この限りでない。
ニ 共同地線と大地との間の合成電気抵抗値は、直径1km以内の地域ごとに第17条第2項第一号に規定するB種接地工事の接地抵抗値以下であること。
ホ 各接地工事の接地抵抗値は、接地線を共同地線から切り離した場合において、300Ω以下であること。
四 変圧器が中性点接地式高圧電線路と低圧電路とを結合するものである場合において、土地の状況により、第一号から第三号までの規定により難いときは、次により共同地線を設けて、2以上の施設箇所に共通のB種接地工事を施すこと。
イ 共同地線は、前号イ又はロの規定によること。
ロ 接地工事は、前号ハの規定によること。
ハ 同一支持物に高圧架空電線と低圧架空電線とが施設されている部分においては、接地箇所相互間の距離は、電線路沿いに300m以内であること。
ニ 共同地線と大地との間の合成電気抵抗値は、第17条第2項第一号に規定するB種接地工事の接地抵抗値以下であること。
ホ 各接地工事の接地抵抗値は、接地線を共同地線から切り離した場合において、次の式により計算した値(300Ωを超える場合は、300Ω)以下であること。
R =150n/Ig
R は、接地線と大地との間の電気抵抗(単位:Ω)
Ig は、第17条第2項第二号の規定による1線地絡電流(単位:A)
n は、接地箇所数

4 前項第三号及び第四号の共同地線には、低圧架空電線又は低圧地中電線の1線を兼用することができる。

5 第1項第一号ハの規定により接地工事を施した変圧器に接続する低圧電線を屋外に施設する場合は、次の各号により施設すること。
一 低圧電線は、1構内だけに施設すること。
二 低圧架空電線路又は低圧屋上電線路の電線は、ケーブルであること。
三 低圧架空電線と高圧又は特別高圧の架空電線とは、同一支持物に施設しないこと。ただし、高圧又は特別高圧の架空電線がケーブルである場合は、この限りでない。

電技解釈の解説を元に、解釈の内容をさらに見ていきます。

●第1項第一号
B種接地工事は、変圧器低圧側の中性点におこないますが、低圧電路の使用電圧が300V以下で、変圧器の中性点を接地することが困難な場合、低圧側の一端子を接地することができます。
具体的には以下のようになります。

・変圧器の低圧側が三相200VでΔ(デルタ)結線の場合は、中性点がないので、U-V-W相のうち、V相を接地します。
・変圧器の低圧側が三相400Vの場合は、Y(スター)結線とし、中性点引き出しの仕様として、中性点を接地します。
・変圧器の低圧側が単相三線式200-100Vの場合は、中性点を接地します。

●第3項第一号
接地工事は原則として解説24.3図(a)のように、変圧器の施設箇所ごとで行うこととされています。
つまり、複数の変電所(主変・サブ変)がある場合、B種接地は各変電所に施設します。

●第3項第二号
土地の状況によってその直下で規定の接地抵抗値が得られない場合には、解説24.3図(b)のように、変圧器施設箇所から200m以内の箇所まで接地線を施設して、接地工事を施せばよいとされています。

●第3項第三号では、土地の状況により多数の変圧器の施設箇所にそれぞれ接地工事を施すことが経済的に困難な場合は、解説24.3図(c)のように、共同地線を設けて接地工事を2以上の変圧器の施設箇所で共用しても良いこととし、その施設方法について規定しています。

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