電気事業法で定義されている電気工作物とは?該当するもの, しないものについて例外と注意事項をまとめました。
【電気事業法とは】電気工作物に該当するもの, しないもの
電気事業法とは、「電気事業」「電気工作物」の保安の確保について定められている法律です。
全文は「電気事業法 – e-Gov法令検索」で閲覧できます。
電気事業法の目的は、第一条に記載されています。
第一条 この法律は、電気事業の運営を適正かつ合理的ならしめることによつて、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする。
この「電気工作物」とは、発電、送電、配電等で使用される電気の使用のために設置する電気設備のことです。 次の①②については電気工作物には該当しませんので電気事業法の適用外となります(①②に該当しない電気設備が電気工作物となります).
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電気工作物でない物① | 人が加工したものを工作物というため、天然の川などをそのまま用いて発電している場合は電気工作物とはなりません(人工のダムなどを建築して発電していれば電気工作物です)。 |
電気工作物でない物② | ・電車、船舶、自動車、航空機・・・他の法律で規制されるため対象外 ・電圧30V未満の電気的設備(※電圧30V以上の回路と接続されている場合を除く)・・・危険性が低いため |
電気工作物でない物③ | 工場の製造用機械(加工機など)や、一般家庭の家電(冷蔵庫など)は「電気の使用のために設置する」ではなく「電気を使用する」物ですので、電気工作物には該当しません。一般家庭だと受電設備からコンセントまでが電気工作物となります。 |
ただし, ①②ともに例外があります.それについては次節で紹介します.
【電気事業法施行令 第一条】電気工作物から除かれる工作物
電気事業法施行令 第一条では, 「電気工作物から除かれる工作物」について記載されています.
電気事業法施行令
(電気工作物から除かれる工作物)
第一条 電気事業法(以下「法」という。)第二条第一項第十八号の政令で定める工作物は、次のとおりとする。
一 鉄道営業法(明治三十三年法律第六十五号)、軌道法(大正十年法律第七十六号)若しくは鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)が適用され若しくは準用される車両若しくは搬器、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)が適用される船舶、陸上自衛隊の使用する船舶(水陸両用車両を含む。)若しくは海上自衛隊の使用する船舶又は道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車に設置される工作物であつて、これらの車両、搬器、船舶及び自動車以外の場所に設置される電気的設備に電気を供給するためのもの以外のもの
二 航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)第二条第一項に規定する航空機に設置される工作物
三 前二号に掲げるもののほか、電圧三十ボルト未満の電気的設備であつて、電圧三十ボルト以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340CO0000000206
下線部2箇所が特に注意するポイントです.
注意点 | 概要 |
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ポイント① | 「これらの車両、搬器、船舶及び自動車以外の場所に設置される電気的設備に電気を供給するためのもの以外のもの」という記載です. 例えば, 停電時などに電気自動車に搭載されている蓄電池から自宅の受電設備に電気を供給することができるものがあります.この場合, 「電気自動車に搭載されている蓄電池や発電機は電気工作物扱い」となります. |
ポイント② | 「電圧三十ボルト以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの」という記載です. 例えば, 25Vの電気設備では電気工作物ではありません. しかし,「電気設備に変圧器(25V/100V)を接続し, 100Vコンセントなどの電源設備に接続すると電気工作物扱い」となります. |
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