電験三種における「電気工事業の業務の適正化に関する法律(電気工事業法)」の攻略ポイントをまとめました。
電気工事業法の出題ポイント
「電気工事業の業務の適正化に関する法律」(以下「電気工事業法」という。)とは、電気工事業を営む者の登録、規制を行い電気保安を確保することを目的とした法令です。
電気工事業を営むには、「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に基づき、電気工事業者の登録等の手続きを行わなければなりません。
登録をせず、無登録の状態で電気工事業を行うことができません。電気工事による事故が発生したり、通報によりそれが発覚すると重いペナルティが課せられる可能性があります。
最近では、発注業者が登録の証拠提示を要件に含めることも多いです。
第一条 この法律は、電気工事業を営む者の登録等及びその業務の規制を行うことにより、その業務の適正な実施を確保し、もつて一般用電気工作物及び自家用電気工作物の保安の確保に資することを目的とする。
(登録)
第三条 電気工事業を営もうとする者(第十七条の二第一項に規定する者を除く。第三項において同じ。)は、二以上の都道府県の区域内に営業所(電気工事の作業の管理を行わない営業所を除く。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとするときは経済産業大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設置してその事業を営もうとするときは当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
2 登録電気工事業者の登録の有効期間は、五年とする。
3 前項の有効期間の満了後引き続き電気工事業を営もうとする者は、更新の登録を受けなければならない。
4 更新の登録の申請があつた場合において、第二項の有効期間の満了の日までにその申請に対する登録又は登録の拒否の処分がなされないときは、従前の登録は、同項の有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なおその効力を有する。
5 前項の場合において、更新の登録がなされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。(登録の申請)
第四条 前条第一項又は第三項の登録を受けようとする者(以下「登録申請者」という。)は、次の事項を記載した登録申請書を経済産業大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 営業所の名称及び所在の場所並びに当該営業所の業務に係る電気工事の種類
三 法人にあつては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)の氏名
四 第十九条第一項に規定する主任電気工事士の氏名(同条第二項の場合においては、その旨及び同項の規定に該当する者の氏名)並びにその者が交付を受けた電気工事士免状の種類及び交付番号
2 前項の登録申請書には、登録申請者が第六条第一項第一号から第五号までに該当しない者であることを誓約する書面その他の経済産業省令で定める書類を添附しなければならない。
【平成26年度問4、2021年度問2出題】
同法第3条、17条2では、電気工事業者の分類について以下のように記述されています。
種別 | 概要 | 要件 |
---|---|---|
①登録電気工事業者 | 建設業許可を受けていない電気工事業者。登録申請の手続きが必要。登録の有効期間は5年間。5年ごとに更新登録を行う必要がある。新規登録、更新ともに登録税が課される。 | 1級電気工事士又は2級電気工事士(3年以上の実務経験必要)を主任電気工事士として置く必要がある。 |
②みなし登録電気工事業者 | 建設業許可を受けている電気工事業者。電気工事業開始の届出が必要。 | 1級電気工事士又は2級電気工事士(3年以上の実務経験必要)を主任電気工事士として置く必要がある。1級電気工事士を主任電気工事士として置く必要がある。 |
③通知電気工事業者 | 自家用電気工作物の電気工事のみを行う電気工事業者。電気工事業開始通知書の提出が必要。 | |
④みなし通知電気工事業者 | 建設業許可を受け自家用電気工作物の電気工事のみを行う電気工事業者。電気工事業開始通知書の提出が必要。 | 1級電気工事士を主任電気工事士として置く必要がある。 |
申請先は以下の2パターンあります。
営業所を2つ以上の都道府県に設置→経済産業大臣
営業所を1つの都道府県に設置→都道府県知事
電気工事業法 第19条-26条では、電気工事業者の業務が以下のように記載されています。
条項 | 概要 |
---|---|
第19条 | 登録電気工事業者は、主任電気工事士(第一種または第二種の電気工事士免状を取得後に3年以上の電気工事の実務経験を有する者)を営業所毎に置くこと。 |
第20条 | 主任電気工事士は職務を誠実に行うこと |
第21条 | 電気工事士でない者を電気工事作業に従事させないこと。 |
第22条 | 電気工事業者でない者に電気工事を請け負わせないこと。 |
第23条 | 電気工事には電気用品安全法に適合した電気用品を用いること。 |
第24条 | 各営業所に測定器具(絶縁抵抗計など)を備えること。 |
第25条 | 各営業所、施工場所に氏名又は名称、登録番号、電気工事の種類等を記載した標識を掲げること。 |
第26条 | 各営業所に必要事項を記載した帳簿を備えて5年間保存すること。 |
【例題】電験3種・法規・令和5年下期 問2
【問題】
次の文章は,「電気工事業の業務の適正化に関する法律」に規定されている電気工事業者に関する記述である。
この法律において,「電気工事業」とは,電気工事士法に規定する電気工事を行う事業をいい,「(ア)電気工事業者」とは,経済産業大臣又は(イ) の(ア)を受けて電気工事業を営む者をいう。また,「通知電気工事業者」とは,経済産業大臣又は(イ)に電気工事業の開始の通知を行って,(ウ)
に規定する自家用電気工作物のみに係る電気工事業を営む者をいう。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
— | (1) | (2) | (3) | (4) | (5) |
---|---|---|---|---|---|
(ア) | 承認 | 許可 | 登録 | 承認 | 登録 |
(イ) | 都道府県知事 | 産業保安監督部長 | 都道府県知事 | 産業保安監督部長 | 産業保安監督部長 |
(ウ) | 電気工事士法 | 電気事業法 | 電気工事士法 | 電気事業法 | 電気工事士法 |
【解答】
以下より、(3)が正解。
(ア)→電気工事業の業務の適正化に関する法律第2条より、「登録電気工事業者」と「通知電気工事業者」が電気工事業法で規定されている。
(イ)→電気工事業の業務の適正化に関する法律第3条第1項より、都道府県の区域内にのみ営業所を設置してその事業を営もうとする登録電気工事業者は当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受ける必要がある。
(ウ)→ 第2条で電気工事士法に規定する電気工事が必要とされている。
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