【電験3種】法規「電気関係報告規則 第3条 事故報告」の攻略ポイント

電験3種試験における法規・「電気関係報告規則」での「事故報告」の攻略ポイントについてまとめました。

第3条 事故報告

「電気関係報告規則 第3条 事故報告」に関連する法令等は以下のとおりです。

分類 関係法令等
法律 電気事業法
政令(施行令) 電気事業法施行令
省令(施行規則) 電気事業法施行規則電気関係報告規則
告示・訓令・通達 電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について(内規)電気事業法の解説主要電気工作物を構成する設備を定める告示 など

電気関係報告規則とは, 電気事業法の規定に基づいて, 経済産業大臣が制定した命令(省令)の1つです。
電気事業法 第106条, 電気関係報告規則 第3条で、電気工作物で事故が発生したときは「電気事業者」or「自家用電気工作物の設置者」は管轄エリアの産業保安監督部長に報告を行う必要があります。

種別 概要
電話等での報告(24時間以内) 事故発生(感電死傷、電気火災など)を知った時から「24時間以内」可能な限り速やかに、事故の「発生日時」「場所」「事故が発生した電気工作物」「事故の概要」について、「電話」などで「産業保安監督部長」に報告する必要があります。
報告書の提出(30日以内) 事故の発生を知った日から起算して30日以内に報告書を提出する必要があります。

例えば, 関東東北産業保安監督部の管轄エリアにある電気工作物で事故が発生した場合, 関東東北産業保安監督部長へ電子メール、電話、FAX等で報告する義務があります。 その後、事故発生を知った日から起算して30日以内に事故原因や再発防止策などを記載した報告書(詳報)を作成して提出する義務があります。

報告が必要な主な事故は以下のとおりです(関東東北産業保安監督部HPより引用)。

1 感電又は破損事故若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(治療のため入院した場合に限る。)
2 電気火災事故(工作物にあっては、その半焼以上(20%以上)の場合に限る。)
3 主要電気工作物の破損事故
4 電気事業者に供給支障を発生させた事故(波及事故)

具体的には, 「電気関係報告規則 第3条」と「電気関係報告規則第3条及び第3条の2の運用について(内規)(以下、「内規」)」に記載されています。

【電気関係報告規則】

(事故報告)
第3条 電気事業者(法第三十八条第四項各号に掲げる事業を営む者に限る。以下この条において同じ。)又は自家用電気工作物を設置する者は、電気事業者にあつては電気事業の用に供する電気工作物(原子力発電工作物を除く。以下この項において同じ。)に関して、自家用電気工作物を設置する者にあつては自家用電気工作物((省略))に関して、次の表の事故の欄に掲げる事故が発生したときは、それぞれ同表の報告先の欄に掲げる者に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の欄に掲げる者が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。

事故 報告先(電気事業者) 報告先(自家用電気工作物を設置する者)
1 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。) 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
2 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。) 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
3 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
4 次に掲げるものに属する主要電気工作物の破損事故
イ 出力90万kW未満の水力発電所
ロ 火力発電所(汽力、ガスタービン(出力1000kW以上のものに限る。)、内燃力(出力1万kW以上のものに限る。)、これら以外を原動力とするもの又は二以上の原動力を組み合わせたものを原動力とするものをいう。以下同じ。)における発電設備(発電機及びその発電機と一体となつて発電の用に供される原動力設備並びに電気設備の総合体をいう。以下同じ。)(ハに掲げるものを除く。)
ハ 火力発電所における汽力又は汽力を含む二以上の原動力を組み合わせたものを原動力とする発電設備であつて、出力1000kW未満のもの(ボイラーに係るものを除く。)
ニ 出力500kW以上の燃料電池発電所
ホ 出力50kW以上の太陽電池発電所
ヘ 出力20kW以上の風力発電所
ト 電圧17万V以上(構内以外の場所から伝送される電気を変成するために設置する変圧器その他の電気工作物の総合体であつて、構内以外の場所に伝送するためのもの以外のものにあつては10万V以上)30万V未満の変電所(容量30万kVA以上若しくは出力30万kW以上の周波数変換機器又は出力10万kW以上の整流機器を設置するものを除く。)
チ 電圧17万V以上30万V未満の送電線路(直流のものを除く。)
リ 電圧1万V以上の需要設備(自家用電気工作物を設置する者に限る。)
電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
5 次に掲げるものに属する主要電気工作物の破損事故(第一号、第三号及び第八号から第十号までに掲げるものを除く。)
イ 出力90万kW以上の水力発電所
ロ 電圧30万V以上の変電所又は容量30万kVA以上若しくは出力30万kW以上の周波数変換機器若しくは出力10万kW以上の整流機器を設置する変電所
ハ 電圧30万V(直流にあつては電圧17万V)以上の送電線路
経済産業大臣 経済産業大臣
6 水力発電所、火力発電所、燃料電池発電所、太陽電池発電所又は風力発電所に属する出力10万kW以上の発電設備に係る7日間以上の発電支障事故 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
7 供給支障電力が7000kW以上7万kW未満供給支障事故であつて、その支障時間が1時間以上のもの、又は供給支障電力が7万kW以上10万kW未満の供給支障事故であつて、その支障時間が10分以上のもの(第九号及び第十一号に掲げるものを除く。) 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
8 供給支障電力が10万kW以上の供給支障事故であつて、その支障時間が10分以上のもの(第十号及び第十一号に掲げるものを除く。) 経済産業大臣
9 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより他の電気事業者に供給支障電力が7000kW以上7万kW未満の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が1時間以上のもの、又は供給支障電力が7万kW以上10万kW未満の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が10分以上のもの 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
10 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより他の電気事業者に供給支障電力が10万kW以上の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が10分以上のもの 経済産業大臣
11 一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物、配電事業者の配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3000V以上自家用電気工作物破損又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者配電事業者又は特定送配電事業者供給支障を発生させた事故[電験3種 R2法規 問11出題]詳細と例題はこちら 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
12 ダムによつて貯留された流水が当該ダムの洪水吐きから異常に放流された事故 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長
13 第一号から前号までの事故以外の事故であつて、電気工作物に係る社会的に影響を及ぼした事故 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長 電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長

※2022年4月から「11 供給支障事故」に配電事業者の電気工作物についても追記されました。

2 前項の規定による報告は、事故の発生を知つた時から24時間以内可能な限り速やかに事故の発生の日時及び場所、事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について、電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知つた日から起算して30日以内に様式第十三の報告書を提出して行わなければならない。ただし、前項の表第4号ハに掲げるもの又は同表第7号から第12号に掲げるもののうち当該事故の原因が自然現象であるものについては、同様式の報告書の提出を要しない

つまり、上記表に該当する事故が発生した場合、速報(24時間以内)報告書提出(30日以内)が必要となります。
例外として、第4号ハ(火力発電所の主要電気工作物の破損事故)、第7号から第12号(供給支障事故、ダム放流の事故)のうち雷や台風等の自然現象が原因で発生した場合は、速報(24時間以内)のみ必要となります。

【内規】感電等の電気工作物に係る死傷事故

内規で、「第3条第1項第1号 感電等の電気工作物に係る死傷事故」については以下のように説明されています。

【第3条第1項第1号】感電等の電気工作物に係る死傷事故

一 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しない
ことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。)

(1)目的
感電等のその他電気工作物に係る死傷事故は、法目的である「公共の安全の確保」の観点か重要なものであることから、報告を求めるものである。

(2)語句・文章の解釈
① 「感電により人が死傷した事故」:充電している電気工作物や、当該箇所からの漏電又は誘導によって充電された工作物等に体が触れたり、あるいは電気工作物に接近して閃絡を起こしたりすることで、体内に電流が流れ、又は、アークが発生し、直接それが原因で死傷(アークによる火傷等も含む。)した事故又は電撃のショックで心臓麻痺を起こしたり、体の自由を失って高所から墜落したりすることなどにより死傷した事故をいう。
② 「誤操作若しくは操作しないこと」:主として、電気工作物の操作員のヒューマンエラーによる事故の発生を想定し、「誤操作」とは、機器の操作手順書等に記載されている本来の当該機器の操作手順と異なる操作を行うことをいう。「操作しないこと」とは、例えば機器の誤動作阻止のための操作をしないことや点検後の復旧作業において規定の手順どおりなされていない状態のままにしておくなど、本来機器があるべき状態に操作しないことをいう。ただし、単に、操作員のヒューマンエラーに起因するものだけでなく、組織的な判断・対応等の場合(例えば、マニュアルの不整備による事故等。)も対象になり得る。
③ 「入院した場合に限る。」:電気による感電負傷の場合は、一般的な熱傷等による火傷等と異なり、電気工作物の接地状況や使用場所の環境、充電部に接触した人の着衣の状況等によって、体内を通過する電流の大きさや通過経路等が異なり、それらに応じて人体への影響が異なるという特徴を有する。また、感電による人体への影響は、体表面の損傷の程度では重症度が判断できないこと、時間の経過とともに局所の損傷が拡大するという特徴も有することなどから、加療期間ではなく、入院という行為を事故報告の対象としたものである。

(3)運用上の留意点
電気工作物の事故を原因とする死亡や、傷害の治療等を目的とした入院であることが明らかでない場合は、原則、医師の診断結果により判断することとする。また、医師の診断結果が得られない場合は、当該事故の状況を客観的に調査の上、判断することとする。なお、医師の診断書等により、経過観察、検査等を目的とした入院であることが明らかな場合は、報告を要しない
② 事業用電気工作物の事故の詳報の提出に際しては、医師の診断書に傷害の治療に要する期間が記載されている場合には、当該期間を記載することが好ましい。

【内規】電気火災事故

内規で、「第3条第1項第2号 電気火災事故」については以下のように説明されています。

【第3条第1項第2号】電気火災事故
二 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。)

(1)目的
電気工作物が原因で火災が発生し、電気工作物以外の物件や他人の財産に損害を与えた場合に、これを調査し、その防止対策を講ずる必要があることから、報告を求めるものである。

(2)語句・文章の解釈
① 「電気火災事故」:発電機、電線路、変圧器、配線等に漏電、短絡、閃絡等の電気的異常状態が発生し、それによる発熱、発火が原因で、建造物車両その他の工作物山林等火災を起こしたものをいう。
② 「工作物」:人工的に製作し、地上、地中、水上又は水中に設置したもの。
③ 「半焼」:火災による損壊の程度が工作物(建物については延床面積)の20%以上70%未満であること(内閣府の「災害に係る住宅等の被害認定基準検討委員会」で検討された「災害の被害認定基準について(平成13年6月28日府政防第518号)」に準ずる。)。

(3)運用上の留意点
火災の発生時には、その程度が「半焼以上」であることを電気事業者又は自家用電気工作物設置者が直ちに判断することが困難な場合もある。判断に迷う場合は、鎮火後の状況を確認し、「半焼以上」であることを確認し、当該火災の原因が電気工作物に起因するものと判明した時点を「事故の発生を知った時」と解することとする。また、当該電気工作物設置者自ら「半焼以上」であることを確認できない場合、消防署が「半焼以上」と判断することをもって、当該事故の火災の程度を「半焼以上」と判断することとする。
なお、電気工作物それ自体の火災のみの場合は、それが電気工作物自身の欠陥からの発火であっても、本号でいう「電気火災事故」としては扱わず、電気工作物の「破損事故」として扱う。

【内規】電気工作物に係る物損等事故

【第3条第1項第3号】電気工作物に係る物損等事故
三 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、
他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故

(1)目的
電気工作物の破損や電気工作物の操作員のヒューマンエラーにより、第三者の物件に損傷や機能の喪失を与えた事故は、法目的である「公共の安全の確保」の観点から重要なものであり、電気工作物の保守管理運営の面で十分検討し対策を立てる必要があるため、報告を求めるものである。

(2)語句・文章の解釈
① 「他の物件」:事故を発生させた電気事業者又は自家用電気工作物設置者及び関係事業者でない第三者の物件のことをいう。
② 「他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故 」:電気工作物の破損又は電気工作物の操作員のヒューマンエラーにより、第三者の物件に対して本来の機能を損なわせるなどの被害を与えた事故のことをいい、例えば、以下の事故が挙げられる。
イ 電気工作物の事故に伴う異常電圧によって、広範囲にわたる供給先の電化製品等の損壊
ロ 支持物の傾斜、折損等による家屋等の損壊
ハ 太陽電池モジュール又は架台、風車のブレード等の構外への飛散等
ニ 電気工作物の破損等に伴う土砂崩れ等による道路等の閉塞、交通の著しい阻害等
③ ②の場合、自然現象(台風、大雪、豪雨、地震等)を起因とした電気工作物の破損等に伴う他物損事故も対象となるが、電気事業者又は自家用電気工作物設置者が事故の発生を防止するための対策を講じることが合理的に達成不可能な事故については対象から除くことができ、例えば、以下の事故が挙げられる。
イ 落雷が電路を通過し、直接、工場や家庭内での製品、機器等の異常や不良に至ったもの
ロ 停電に伴う製品、機器等の異常や不良等に至ったもの
ハ 飛来物、浮遊物、倒木、土砂崩れ等による電気工作物の破損に伴う2次被害
ニ 車の衝突事故による電柱倒壊等に伴う2次被害
ホ 電気的若しくは磁気的な影響による異常電圧等(開閉過電圧や誘電電圧等)により、他の電気工作物の異常や不良に至ったもの

(3)運用上の留意点
本号では、電気工作物の破損又は電気工作物の操作員のヒューマンエラーにより被害を与えたことが明らかになった時を「事故の発生を知った時」と解する。なお、当該電気工作物設置者が被害に対する適切な措置や対策を早期に講ずべき責務があることに留意すること。

【内規】主要電気工作物の破損事故

内規で、「第3条 第1項第4号、第5号 主要電気工作物の破損事故」以下のとおり記載されています。

【電気関係報告規則 第3条第1項第4号、第5号】

4 次に掲げるものに属する主要電気工作物の破損事故
イ 出力90万kW未満の水力発電所
ロ 火力発電所(汽力、ガスタービン(出力1000kW以上のものに限る。)、内燃力(出力1万kW以上のものに限る。)、これら以外を原動力とするもの又は二以上の原動力を組み合わせたものを原動力とするものをいう。以下同じ。)における発電設備(発電機及びその発電機と一体となつて発電の用に供される原動力設備並びに電気設備の総合体をいう。以下同じ。)(ハに掲げるものを除く。)
ハ 火力発電所における汽力又は汽力を含む二以上の原動力を組み合わせたものを原動力とする発電設備であつて、出力1000kW未満のもの(ボイラーに係るものを除く。)
ニ 出力500kW以上の燃料電池発電所
ホ 出力50kW以上の太陽電池発電所
ヘ 出力20kW以上の風力発電所
ト 電圧17万V以上(構内以外の場所から伝送される電気を変成するために設置する変圧器その他の電気工作物の総合体であつて、構内以外の場所に伝送するためのもの以外のものにあつては10万V以上)30万V未満の変電所(容量30万kVA以上若しくは出力30万kW以上の周波数変換機器又は出力10万kW以上の整流機器を設置するものを除く。)
チ 電圧17万V以上30万V未満の送電線路(直流のものを除く。)
リ 電圧1万V以上の需要設備(自家用電気工作物を設置する者に限る。)

5 次に掲げるものに属する主要電気工作物の破損事故(第一号、第三号及び第八号から第十号までに掲げるものを除く。)
イ 出力90万kW以上の水力発電所
ロ 電圧30万V以上の変電所又は容量30万kVA以上若しくは出力30万kW以上の周波数変換機器若しくは出力10万kW以上の整流機器を設置する変電所
ハ 電圧30万V(直流にあつては電圧17万V)以上の送電線路

(1)目的
主要電気工作物の破損事故が発生すれば、当該施設の機能に重大な影響を及ぼすばかりでなく、関連施設への重大な影響、復旧の遅れ、供給支障事故を誘発するおそれがあるため、当該事故の原因を究明し、再発防止策を図るために報告を求めるものである。

(2)語句・文章の解釈
① 「主要電気工作物」:規則第1条第2項第4号に掲げているものをいう。主要電気工作物は、発電所等の運転、維持又は保安対策上必要不可欠な電気工作物として定めているものであり、工事計画認可又は届出が必要な電気工作物を基本としている。同項第4号に規定しているとおり、主要電気工作物は、別に告示する(平成28年経済産業省告示第238号)「主設備」から構成されている。

② 「破損事故」:規則第1条第2項第6号に掲げるものをいい、電気工作物が変形、損傷若しくは破壊、火災又は絶縁劣化若しくは絶縁破壊が原因で、当該電気工作物の機能が低下又は喪失したことにより、「直ちに、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること」又は「その使用が不可能となり、若しくはその使用を中止すること」をいう。

③ 「直ちに、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること」:
例えば、電気工作物の機能低下が、運転中において想定されている機能低下の範囲を超えて急激に起きた場合であって、当該電気工作物の自動停止機能により運転が自動停止した場合、又は、操作員が緊急に手動停止した場合をいい、例えば以下の事故が挙げられる。
イ 落雷による太陽電池又はその附属設備の焼損
ロ 逆変換装置等の損傷に伴う運転停止

④ 「その使用が不可能となり、若しくはその使用を中止すること」:例えば、以下の事故が挙げられる。
イ 発電所の燃料貯蔵タンクにおいて、その貯蔵機能に支障が生じた結果、その使用が不可能となったこと、又は、その使用を中止することをいう。
ロ 太陽電池発電設備の支持物の倒壊・折損
ハ 水没による太陽電池モジュールや逆変換装置等の損傷に起因する太陽電池発電設備の停止
ニ 風車のブレードの折損
ホ 風車の支持物の倒壊

⑤ 主要電気工作物の破損事故の対象とならない例として以下の場合が挙げられる。
イ 停止を伴う点検中に不具合が発生した場合
ロ 運転中又は使用中の電気工作物に機能低下が認められた場合であって、補修(当該設備、機器の補修のための計画的な運転停止を含む。)により機能を回復可能な場合

(3)運用上の留意点
① 主要電気工作物の破損事故は、当該主要電気工作物の使用を開始して以降の事故を対象とす
る。したがって、当該電気工作物の工事中、試充電中又は試運転中に発生した破損については、破損事故とは解さない。また、設備、機器の停止を伴う点検中に発見した当該設備、機器の不具合は、主要電気工作物の破損事故 の報告対象とはしない。

自然現象に起因する事故であって、十分な保安実績が有り、事故発生後の対処方法として、早期に部品交換、原型復旧、機能回復を行う等の方法が十分に確立している場合、事業用電気工作物の詳報は、再発防止策の欄を除いたものを提出することで足りることとする。なお、当該事故の例としては、以下の場合が挙げられる。
イ 台風等の際に飛来物により送電線が断線した場合
ロ 洪水により発電所が流出した場合

補足

「主要電気工作物を構成する設備」の定義は「主要電気工作物を構成する設備を定める告示」に記載されています(縦書きで読みづらいため、横書きの表に直してみました)。つまり、この告示の条件を満たす設備が破損した場合、事故報告の対象となります。

【内規】発電支障事故

【第3条第1項第6号】発電支障事故

六 水力発電所、火力発電所、燃料電池発電所、太陽電池発電所又は風力発電所に属する出力10万kW以上の発電設備に係る七日間以上の発電支障事故

(1)目的
電気の安定供給確保等の観点から、発電設備の保安状況の把握が重要であることから、報告を求めるものである。

(2)語句・文章の解釈
① 「発電支障事故」:規則第1条第2項第11号に掲げる「発電所の電気工作物の故障、損傷、破損、欠陥又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより当該発電所の発電設備が直ちに運転が停止し、又はその運転を停止しなければならなくなること」をいい、例えば、以下の事故が挙げられる。
イ 石炭のサイロ、ベルトコンベア若しくはミル又は動力用・制御用ケーブル等の電気系統の破損や火災
ロ 保護装置の誤動作や故障
ハ 発電機やタービンの異常振動ニ 燃焼器の異常
ホ 蒸気系統、油循環系統、冷却水系統、水素・炭酸ガス系統等のバルブ・ストレーナー等の閉塞や漏洩
ヘ 取水口や復水器の異常
ト 運転員の操作ミス

② 「発電設備が直ちに運転が停止し、又はその運転を停止しなければならなくなること」:【第1項第4号、第5号】主要電気工作物の破損事故(2)③と同じ。

③ 「七日間以上」:発電支障期間は、発電停止日から運転可能になった日までをいい、運転可能となった後に、電気事業者又は自家用電気工作物設置者の判断で運転を行わなかった期間は含まない。

④ 発電支障事故の対象とする電気工作物は、一般送配電事業者が維持し、及び運用する電線路その他の電気工作物に電線路に接続し、かつ、専ら発電事業の用に供するための発電設備(単一の発電設備の出力が10万キロワット以上であるものに限る。)を対象とする。

(3)運用上の留意点
① 発電支障事故は、発電設備の営業運転を開始して以降の事故を対象とする。したがって、電気工作物の工事中、試充電中又は試運転中に発生した事故は、発電支障事故とは解さない。また、発電設備の停止を伴う点検中に発見した設備、機器の不具合については発電支障事故の対象としない。その他、保安停止や、流木、土砂、くらげ等の流入及び除去作業に伴う発電停止も対象外とする。

② 事業用電気工作物の詳報の提出に際し、他施設での同種の事故の発生防止策の検討に資すると思われる場合のみ、再発防止策の欄の記載を要することとし、例えば、以下の場合が挙げられる。
イ 誤操作により単一の事故が起因であったものの、その拡大を防げずに複数の系に影響を及ぼしたもの
ロ 最新の技術を用いた設備で発生した事故であって、過去に同様の事故が発生していない又は少ないものハ 同一の箇所に同一の条件で過去に複数回事故が発生したものの、十分な対策が取られていないもの(設備の運用方針として事故後早期に部品交換をする前提であるもの、又は、これまでの知見に基づき対処方法が確立しているものを除く。)

【内規】供給支障事故

【第3条第1項第7号、第8号】供給支障事故

七 供給支障電力が7000kW以上7万kW未満の供給支障事故であつて、その供給支障時間が1時間以上のもの、又は供給支障電力が7000kW以上10万kW未満の供給支障事故であつて、その供給支障時間が10分以上のもの(第九号及び第十一号に掲げるものを除く。)
” 供給支障電力が10万kW以上の供給支障事故であつて、その供給支障時間が10分以上のもの(第十号及び第十一号に掲げるものを除く。)

(1)目的
供給支障事故は、人身や物件に対して被害を及ぼさない場合であっても、我が国が電力に大きく依存していることに鑑み、広範な停電の発生等が発生した場合には、社会的に重大な影響を及ぼすおそれが大きいことから、報告を求めるものである。

(2)語句・文章の解釈
① 「供給支障事故」:規則第1条第2項第8号に掲げる「破損事故又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより電気の使用者(当該電気工作物を管理する者を除く。)に対し、電気の供給が停止し、又は電気の使用を緊急に制限することをいう。ただし、電路が自動的に再閉路されることにより電気の供給の停止が終了した場合を除く。」ことをいう。
イ ここにいう供給支障とは、電気の使用者が受電可能な状態で、かつ、電気を使おうとしているにもかかわらず、電気事業者の電気工作物の破損事故又は電気工作物の操作員のヒューマンエラーにより、電気の使用者が電気の供給を停止又は使用の制限を余儀なくされた場合をいう。
ロ 電気の使用者に対し、停電、使用の制限をする場合としては、
(イ) 法令の規定に基づく経済産業大臣の指示による場合
(ロ) 異常渇水等の自然現象が原因であって電気の需給上やむを得ない場合
(ハ) 電気事業者の電気工作物に不具合が生じ、又は不具合が生ずるおそれがある場合
(ニ) 電気事業者の電気工作物の修繕、変更その他工事上やむを得ない場合
(ホ) 非常災害の場合
(ヘ) 電気の使用者の責めとなる理由により保安上の危険がある場合
(ト) その他、電気供給約款に定められた項目に電気の使用者が違反した場合があり、これらについては電気供給約款に細かく定められている。この中で本規則でいう供給支障事故は、(ハ)の場合が該当するが、(ハ)の後段の予防停電は、電気の使用者に対し、停電することについて了解を求め、認知させてから実施するのが原則であり、この場合には、供給支障事故とはみなさない。
ハ 電路が一旦遮断された後に、低速度再閉路も含めて自動的に再閉路が成功したとき、又は自動的に系統切替が成功したときは、供給支障事故とはみなさない
ニ 規則第1条第2項第8号中「当該電気工作物を管理する者を除く。」とあるのは、自家用電気工作物に事故があって、その事故による支障が電気事業者に波及したことにより、当該自家用電気工作物設置者への電気の供給が停止又は使用が制限された場合には、それは供給支障とはみなさないという意味である。すなわち、専用線で受電している自家用電気工作物設置者の場合、自家用構内の事故のため、一般送配電事業者の変電所の引出口遮断器がトリップして停電しても、これは供給支障事故とはみなさない。

② 「供給支障電力」:規則第1条第2項第9号に掲げている「供給支障事故が発生した場合において、電気の使用者に対し、電気の供給が停止し、又は電気の使用を制限する直前と直後との供給電力の差」をいう。
イ 供給支障電力の算定は、事故の直前と直後の供給電力の差を取ることを定めており、事故により停電した場合には、事故直前の供給電力が供給支障電力となる。個々の供給支障電力を算定するのは、発変電所にある需要電力の計量地点ごとに、停電又は制限した電力を測定するが、計量の困難な場合は事故前後の潮流の変化や総需要計から総合的に推定する。事故によっては、供給支障の及ぶ範囲が2以上のフィーダー又は2以上の変電所にわたる場合があるが、この場合の供給支障電力は、それぞれの停電又は制限した電力の合計で表す。ただし、自家用電気工作物からの波及事故の場合には、事故の原因になった自家用電気工作物の受電電力はこの停電又は制限した電力の合計には含まない。
ロ 変電所で何らかの原因により電位差が発生して電圧接地警報が作動し、事故原因がどの回線で発生したかを発見するために、給電操作として各回線の遮断器を順次一時的に開閉してみることがある。このように事故の原因となった箇所を検出することを目的として送電線を開放する場合は、事故回線でなければ直ちに閉路するので、供給支障電力には含めないこととする。
ハ 供給支障事故の復旧の途上、再び同じ地区に供給支障事故が発生した場合は、いずれか大きい方の供給支障電力をとるものとする。

③ 「供給支障時間」:規則第1条第2項第10号に掲げる「供給支障事故が発生した時から、電気の供給の停止又は使用の制限が終了した時までの時間」をいう。なお、規則第3条第1項第7号又は第8号に掲げる供給支障電力を一旦超過した供給支障事故は、当該供給支障電力を超過した時間から、当該供給支障が解消されたときまでの時間を、供給支障時間という。ただし、配電線路に係る供給支障事故については、当該配電線路の発電所又は変電所の引出口遮断器が投入されたときに、当該配電線路に係る供給支障が終了したものとのとみなす。
イ 供給支障時間は、供給支障が発生してから供給能力が回復し、必要な電気の送配電が可能になって、電気の使用者に対する電気の供給が通常どおり行われるまでの時間をいう。ここで、電気の使用者に対して電気の供給を開始する又は電気の使用の制限を解除する場合、電気の使用者の都合で受電しないときは、当該使用者の受電用遮断器まで電気を供給した時又は当該使用者に対し供給能力が回復していつでも供給できることを通知した時をもって、供給の停止又は使用の制限が終了した時とみなすことができる。
ロ 変電所や送電線路の電源側の事故時に隣接バンクなど他系統へ系統切替をしたときもイと同様の扱いとすることができる。

(3)運用上の留意点
台風、高潮、豪雨、津波、地震、落雷、雪等の自然災害に起因する供給支障事故は、規則第3条第2項ただし書の規定のとおり、事業用電気工作物の事故の詳報の対象とはしない。

【内規】波及事故

【第3条第1項第9号、第10号、第11号】他者への波及事故
九 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより他の電気事業者に供給支障電力が7000kW以上7万kW未満の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が1時間以上のもの、又は供給支障電力が7万kW以上10万kW未満の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が10分以上のもの
十 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより他の電気事業者に供給支障電力が10万kW以上の供給支障を発生させた事故であつて、その支障時間が10分以上のもの
十一 一般送配電事業者の一般送配電事業の用に供する電気工作物、配電事業者の配電事業の用に供する電気工作物又は特定送配電事業者の特定送配電事業の用に供する電気工作物と電気的に接続されている電圧3000V以上の自家用電気工作物の破損事故又は自家用電気工作物の誤操作若しくは自家用電気工作物を操作しないことにより一般送配電事業者、配電事業者又は特定送配電事業者に供給支障を発生させた事故

(1)目的
一般送配電事業者間、配電事業者間、一般送配電事業者及び配電事業者間又は発電事業者から他の電気事業者への波及事故を規定したものであり、例えば、大規模発電所が脱落したり、基幹系送電系統を通じた電気事故の波及により大規模な供給支障を誘発したりするおそれがある。このため、電気事業者相互の協調のあり方等を検討する必要から、電気事業者から報告を求めるものである(規則第3条第1項第9号及び第10号)。一方、自家用電気工作物設置者については、その数も多く、自社の電気事故が他の電気事業者に波及しないよう、受電設備の保守、管理及び電気事業者と自家用電気工作物設置者との相互の協調のあり方等を検討する必要があるため、電圧3000V以上の電圧で受電する自家用電気工作物設置者から報告を求めるものである(規則第3条第1項第11号)。

(2)運用上の留意点
① 電気事故は、本来、事故を発生させた側に責任があることが原則であり、発生した事故は設置者自身の施設内に留めるのが原則であることから、各種保護装置や遮断器を設置して波及事故防止対策を講じている。しかしながら、当該装置等が有効に機能しなかった場合など波及事故が発生した場合は、発端となった事故を発生させた電気事業者又は自家用電気工作物設置者から報告を求める。ただし、一般送配電事業又は配電事業の用に供する配電線路等が自動的に再閉路に成功した場合を除く。

② 規則第3条第1項の表第9号又は同表第10号に規定する他社へ供給支障を発生させた事故の供給支障電力の大きさ及び供給支障時間の長さについては、第7号、第8号に規定する供給支障事故に準ずる。

③ 災害時等における緊急的な送電措置として地域独立系統の運用が行われる。地域独立系統内における系統側と需要側の保護協調を維持した中での運用ができない状況における波及事故については、報告の対象からは除く。

【内規】主要電気工作物の破損事故(一般用電気工作物)

【第3条の2第1項第4号】主要電気工作物の破損事故

四 一般用電気工作物に属する主要電気工作物の破損事故

(1)目的
主要電気工作物の破損事故が発生すれば、当該施設の機能に重大な影響を及ぼすばかりでな
く、関連施設への重大な影響や復旧の遅れが懸念されるため、当該事故の原因を究明し、再発
防止策を図るために報告を求めるものである。
(2)語句・文章の解釈
① 「主要電気工作物」:規則第1条第2項第4号に掲げているものをいい、別に告示する
(平成28年経済産業省告示第238号)「主設備」から構成されている。
② 「破損事故」:規則第1条第2項第6号に掲げるものをいい、電気工作物が変形、損傷若しくは破壊、火災又は絶縁劣化若しくは絶縁破壊が原因で、当該電気工作物の機能が低下又は喪失したことにより、「直ちに、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること」又は「その使用が不可能となり、若しくはその使用を中止すること」をいう。
③ 「直ちに、その運転が停止し、若しくはその運転を停止しなければならなくなること」:
例えば、電気工作物の機能低下が、運転中において想定されている機能低下の範囲を超えて急激に起きた場合であって、当該電気工作物の自動停止機能により運転が自動停止した場合又は緊急に手動停止した場合をいい、例えば以下の事故が挙げられる。
イ 落雷による太陽電池又はその附属設備の焼損
ロ 逆変換装置等の損傷に伴う運転停止
④ 「その使用が不可能となり、若しくはその使用を中止すること」:例えば、以下の事故が挙げられる。
イ 太陽電池モジュールの半壊以上の損壊
具体的には、破損の程度が太陽電池モジュール面積の20%以上であること(内閣府の「災害に係る住宅等の被害認定基準検討委員会」で検討された「災害の被害認定基準について(平成13年6月28日府政防第518号)」の半壊に準ずる。)。
ロ 太陽電池発電設備の支持物の損傷による架台の倒壊
ハ 水没による太陽電池モジュールや逆変換装置等の損傷に起因する太陽電池発電設備の停止
ニ 風車のブレードの折損
ホ 風車の支持物の倒壊
⑤ 主要電気工作物の破損事故の対象とならない例として以下の場合が挙げられる。
イ 停止を伴う点検中に不具合が発生した場合
ロ 運転中又は使用中の電気工作物に機能低下が認められた場合であって、補修(当該設備、機器の補修のための計画的な運転停止を含む。)により機能を回復可能な場合

(3)運用上の留意点
主要電気工作物の破損事故は、当該主要電気工作物の使用を開始して以降の事故を対象とす
る。したがって、当該電気工作物の工事中、試充電中又は試運転中に発生した破損について
は、破損事故とは解さない。また、設備、機器の停止を伴う点検中に発見した当該設備、機
器の不具合は、主要電気工作物の破損事故の報告対象とはしない。

ポイント1

事業用電気工作物とは違い、一般用電気工作物の太陽発電設備では、太陽電池モジュールは半壊以上(面積の20%以上)の損壊で報告対象となるとされています。

ポイント2

「電気関係報告規則 第3条の2」では、2021年4月1日から電気事業法第38条第2項で定める小出力発電設備のうち、太陽電池発電設備(10kW)や風力発電(出力20kW以上)も報告対象になっています(小出力発電設備の一部が報告対象になっています)。
これは、小出力の太陽電池発電設備でも事故が多発しているためです。

第三条の二 一般用電気工作物(小出力発電設備(太陽電池発電設備(出力十キロワット以上のものに限る。)及び風力発電設備に限る。)に限る。以下この条において同じ。)の所有者又は占有者は、次の各号に掲げる事故が発生したときは、一般用電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の産業保安監督部長が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。
一 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。)
二 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。)
三 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故
四 一般用電気工作物に属する主要電気工作物の破損事故
2 前項の規定による報告は、事故の発生を知つた時から二十四時間以内可能な限り速やかに氏名、事故の発生の日時及び場所、事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について、電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知つた日から起算して三十日以内に当該事故の詳細を記載した報告書を提出して行わなければならない。

経産省のホームページで詳細なQ&A集が公表されています。

【例題】事故報告に該当するか否か

事象 解説
① 低圧で電力会社の系統と連携する太陽電池発電設備(出力30kW)において、PCS(出力30kW)が破損し、異常停止により発電を停止した 「電気関係報告規則 第3条の2」と「主要電気工作物を構成する設備を定める告示 第4号の2」より、太陽電池発電設備(出力10kW以上、50kW未満)の場合、太陽電池モジュール(10kW以上)、支持物、逆変換装置(10kVA以上のPCSなど)などが破損すると、「一般用電気工作物に属する主要電気工作物の破損事故」に該当するため報告対象となる
② 高圧で電力会社の系統と連携する太陽電池発電所(出力60kW)において、PCS6台(合計出力60kW)のうちPCS4台(40kW)が破損し、異常停止により発電を停止した 「電気関係報告規則 第3条」と「主要電気工作物を構成する設備を定める告示 第4号」より、太陽電池発電所(出力50kW以上)の場合、太陽電池モジュール(50kW以上)、支持物、逆変換装置(50kVA以上のPCSなど)などが破損すると、「主要電気工作物の破損事故」に該当するため報告対象となる。今回破損したPCS4台の合計出力は40kWであり、報告対象の条件である50kVAを下回っているため報告対象外
③ 高圧で受電する工場の屋上に設置された太陽電池発電設備(出力20kW)において、PCS(出力20kW)が破損し、異常停止により発電を停止した。再起動しようと試みたが、再起動できなかった。 高圧受電設備であるため、50kW未満の太陽電池発電設備であっても事業用電気工作物扱いとなる。よって、「電気関係報告規則 第3条」と「主要電気工作物を構成する設備を定める告示 第4号」より、太陽電池発電所(出力50kW以上)の場合、太陽電池モジュール(50kW以上)、支持物、逆変換装置(50kVA以上のPCSなど)などが破損すると、「主要電気工作物の破損事故」に該当するため報告対象となる。破損したPCSの出力は20kWであり、報告対象の条件である50kVAを下回っているため報告対象外
台風の飛来物により送電線路の高圧機器で短絡が発生し、供給支障電力が9000kW、供給支障時間が150分の供給支障が生じた。この場合、報告対象となるか。 第3条第1項第7号より「供給支障電力が7000kW以上7万kW未満の供給支障事故であつて、その供給支障時間が1時間以上」の場合、報告対象となる。よって、報告対象である
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