【電験3種】法規「分散型電源の系統連系設備 」の攻略ポイント

電験3種・法規「分散型電源の系統連系設備 」の攻略のポイントをまとめました。

【解釈220条】分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義

電技解釈220-228条で、「分散型電源の系統連系設備」について具体的に記載されています。
よく出てくるので注意が必要です。

【分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義】(省令第1条)[R01:問9]
第220条 この解釈において用いる分散型電源の系統連系設備に係る用語であって、次の各号に掲げるものの定義は、当該各号による。
発電設備等 発電設備又は電力貯蔵装置であって、常用電源の停電時又は電圧低下発生時にのみ使用する非常用予備電源以外のもの
分散型電源 電気事業法(昭和39年法律第170号)第38条第4項第四号に掲げる事業を営む者以外の者が設置
する発電設備等であって、一般送配電事業者が運用する電力系統に連系するもの
解列 電力系統から切り離すこと。
逆潮流 分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れ
単独運転 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態
逆充電 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、分散型電源のみが、連系している電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態
自立運転 分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態
線路無電圧確認装置 電線路の電圧の有無を確認するための装置
転送遮断装置 遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し、別の構内に設置された遮断器を動作させる装置
受動的方式の単独運転検出装置 単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
十一 能動的方式の単独運転検出装置 分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
十二 スポットネットワーク受電方式 2以上の特別高圧配電線(スポットネットワーク配電線)で受電し、各回線に設置した受電変圧器を介して2次側電路をネットワーク母線で並列接続した受電方式
十三 二次励磁制御巻線形誘導発電機 二次巻線の交流励磁電流を周波数制御することにより可変速運転を行う巻線形誘導発電機

「潮流」と「逆潮流」の意味は以下の動画がわかりやすいです。

「単独運転」「逆充電」「自立運転」の意味は以下の動画がわかりやすいです。

【解釈225条】一般送配電事業者との間の電話設備の施設

【一般送配電事業者との間の電話設備の施設】(省令第4条、第50条第1項)
第225条 高圧又は特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合(スポットネットワーク受電方式で連系する場合を含む。)は、分散型電源設置者の技術員駐在箇所等と電力系統を運用する一般送配電事業者の営業所等との間に、次の各号のいずれかの電話設備を施設すること。
一 電力保安通信用電話設備
二 電気通信事業者の専用回線電話
三 次に適合する場合は、一般加入電話又は携帯電話等
イ 高圧又は35,000V以下の特別高圧で連系する場合(スポットネットワーク受電方式で連系する場合を含む。)であること。
ロ 一般加入電話又は携帯電話等は、次に適合するものであること。
(イ) 分散型電源設置者側の交換機を介さずに直接技術員との通話が可能な方式(交換機を介する代表番号方式ではなく、直接技術員駐在箇所へつながる単番方式)であること。
(ロ) 話中の場合に割り込みが可能な方式であること。
(ハ) 停電時においても通話可能なものであること。
ハ 災害時等において通信機能の障害により当該一般送配電事業者と連絡が取れない場合には、当該一般送配
電事業者との連絡が取れるまでの間、分散型電源設置者において発電設備等の解列又は運転を停止すること。

【解釈226条】低圧連系時の施設要件

【低圧連系時の施設要件】(省令第14条、第20条)
第226条 単相3線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合において、負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときは、分散型電源を施設した構内の電路であって、負荷及び分散型電源の並列点よりも系統側に、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設すること。
2 低圧の電力系統に逆変換装置を用いずに分散型電源を連系する場合は、逆潮流を生じさせないこと。

【解釈227条】低圧連系時の系統連系用保護装置

【低圧連系時の系統連系用保護装置】(省令第14条、第15条、第20条、第44条第1項)[H29:問9]
第227条 低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、次の各号により、異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を施設すること。
一 次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること。
イ 分散型電源の異常又は故障
ロ 連系している電力系統の短絡事故、地絡事故又は高低圧混触事故
ハ 分散型電源の単独運転又は逆充電
二 一般送配電事業者が運用する電力系統において再閉路が行われる場合は、当該再閉路時に、分散型電源が当該電力系統から解列されていること。
三 保護リレー等は、次によること。
イ 227-1表に規定する保護リレー等を受電点その他異常の検出が可能な場所に設置すること。

【解釈228条】高圧連系時の施設要件

[令和5年度上期 問7より出題]

【高圧連系時の施設要件】(省令第18条第1項、第20条)
第228条 高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、分散型電源を連系する配電用変電所の配電用変圧器において、逆向きの潮流を生じさせないこと。ただし、当該配電用変電所に保護装置を施設する等の方法により分散型電源と電力系統との協調をとることができる場合は、この限りではない。

逆向きの潮流とは、逆潮流のことです。

【解釈229条】高圧連系時の系統連系用保護装置

【高圧連系時の系統連系用保護装置】(省令第14条、第15条、第20条、第44条第1項)
第229条 高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、次の各号により、異常時に分散型電源を自動的に解列するための装置を施設すること。
一 次に掲げる異常を保護リレー等により検出し、分散型電源を自動的に解列すること。
イ 分散型電源の異常又は故障
ロ 連系している電力系統の短絡事故又は地絡事故
ハ 分散型電源の単独運転
二 一般送配電事業者が運用する電力系統において再閉路が行われる場合は、当該再閉路時に、分散型電源が当該電力系統から解列されていること。
(略)
四 分散型電源の解列は、次によること。
イ 次のいずれかで解列すること。
(イ) 受電用遮断器
(ロ) 分散型電源の出力端に設置する遮断器又はこれと同等の機能を有する装置
(ハ) 分散型電源の連絡用遮断器
(ニ) 母線連絡用遮断器
ロ 前号ロの規定により複数の相に保護リレーを設置する場合は、いずれかの相で異常を検出した場合に解列すること。

【例題】令和5年下期 問7 分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する論説問題

「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に係る用語の定義に関する記述として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 単独運転とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に無効電力を供給している状態をいう。

(2) 自立運転とは,分散型電源が,連系している電力系統から解列された状態において,当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいう。

(3) 逆充電とは,分散型電源設置者の構内から,一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。

(4) 受動的方式の単独運転検出装置とは,分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいう。

(5) 能動的方式の単独運転検出装置とは,単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置をいう。

【解答】
(2)が解釈第220条第1項7号のとおりで正しい。
(1)は誤りで、解釈第220条第1項5号のとおり、単独運転は線路負荷に無効電力でなく「有効電力を供給している状態」です。
(3)は逆潮流の説明となっており、誤りです。解釈第220条第1項6号のとおり、逆充電は分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,分散型電源のみが,連系している電力系統を加圧し、かつ当該電力系統へ有効電力を供給していない状態」です。
(4)は「能動的方式の単独運転検出装置」の説明で誤りです。解釈第220条第1項10号のとおり、「受動的方式の単独運転検出装置とは「単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置」です。
(5)は「受動的方式の単独運転検出装置」の説明で誤りです。解釈第220条第1項11号のとおり、「能動的方式の単独運転検出装置とは,分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき,単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により,単独運転状態を検出する装置」です。

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