【電験3種・法規】「電気工事士法」の出題範囲と攻略ポイント

電験3種の法規「電気工事法」の出題範囲とポイントについてまとめました。

【1-2条】目的、用語の定義

【H29:問2】
電気工事士法第1-2条では、目的と用語の定義が定められています。

第1条 この法律は、電気工事の作業に従事する者の資格及び義務を定め、もつて電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的とする。

(用語の定義)
第2条 この法律において「一般用電気工作物」とは、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第38条第1項に規定する一般用電気工作物をいう。
2 この法律において「自家用電気工作物」とは、電気事業法第三十八条第三項に規定する自家用電気工作物(発電所、変電所、最大電力500kW以上の需要設備(電気を使用するために、その使用の場所と同一の構内(発電所又は変電所の構内を除く。)に設置する電気工作物(同法第二条第一項第十八号に規定する電気工作物をいう。)の総合体をいう。)その他の経済産業省令で定めるものを除く。)をいう。
3 この法律において「電気工事」とは、一般用電気工作物又は自家用電気工作物を設置し、又は変更する工事をいう。ただし、政令で定める軽微な工事を除く。
4 この法律において「電気工事士」とは、次条第一項に規定する第一種電気工事士及び同条第二項に規定する第二種電気工事士をいう。

【施行規則1条の2】

(自家用電気工作物から除かれる電気工作物)
第一条の二 法第二条第二項の経済産業省令で定める自家用電気工作物は、発電所、変電所、最大電力五百キロワット以上の需要設備、送電線路(発電所相互間、変電所相互間又は発電所と変電所との間の電線路(専ら通信の用に供するものを除く。以下同じ。)及びこれに附属する開閉所その他の電気工作物をいう。)及び保安通信設備とする。

補足

電気工事士法(2条及び施行規則1条の2)に基づく自家用電気工作物とは、「電気事業法に規定する自家用電気工作物から、発電所、変電所、需要設備(最大電力500kW以上)、送電線路保安通信設備を除いたもの」と定義されています。
(電気事業法に基づく自家用電気工作物の定義より、範囲が狭くなっています)

これにより、需要設備(最大電力500kW以上)は電気工事士法の規制対象外となり、電気事業法に基づく主任技術者による保安監督は必要になりますが、電気工事に従事する者の電気工事士免状の保有は不要になります。
一方、需要設備(最大電力500kW未満)については電気工事士法の規制対象となるため、電気工事士法の中で免状が必要とされている電気工事にtるいては、電気工事士免状の保有が必要になります。

【電気工事法とは】第一条の解釈(目的)
電気工事法とは?第一条の解釈(目的)についてまとめました。

【3条】電気工事士等(資格の種類)

【H29:問2】[H26:問3]
電気工事に従事する資格の種類としては次のものがあります。

資格名 従事することのできる電気工事
第一種電気工事士 最大電力500kW未満の需要設備及び一般電気工作物の電気工事(ネオン用の設備及び非常用予備発電装置の電気工事を除く
第二種電気工事士 一般用電気工作物の電気工事(※高圧受電したビルの低圧部分であっても自家用電気工作物に該当するため、第二種種電気工事士では電気工事できず、第一種電気工事士もしくは認定電気工事従事者も資格が必要となる)
認定電気工事従事者 最大電力500kW未満の需要設備のうち600V以下で使用する電気工作物(例えば高圧で受電し低圧に変換されたあとの100V又は200Vの配線、負荷設備等)の電気工事
特殊電気工事資格者 最大電力500kWの需要設備のうち、ネオン用の設備又は非常用予備発電装置の電気工事

●参考:「電気工事士等の従事範囲

※自家用電気工作物の地中電線用の管を設置する作業は「電気工事士の資格を持っていない」場合でも従事可能

【電気工事法 第三条】電気工事士等の解釈
電気工事法とは?第三条(電気工事士等)の解釈についてまとめました。

【5条】電気工事士等の義務

(電気工事士等の義務)
第5条 電気工事士、特種電気工事資格者又は認定電気工事従事者は、一般用電気工作物に係る電気工事の作業に従事するときは電気事業法第五十六条第一項の経済産業省令で定める技術基準に、自家用電気工作物に係る電気工事の作業(第三条第一項及び第三項の経済産業省令で定める作業を除く。)に従事するときは同法第三十九条第一項の主務省令で定める技術基準に適合するようにその作業をしなければならない。
2 電気工事士、特種電気工事資格者又は認定電気工事従事者は、前項の電気工事の作業に従事するときは、電気工事士免状、特種電気工事資格者認定証又は認定電気工事従事者認定証を携帯していなければならない。

電気工事法第5条(電気工事士等の義務)で課せられた3つの義務をまとめると次の通りです。

義務 概要
①電気工事士免状の携帯義務 電気工事作業に従事する際、「免状 or 認定証」を携帯しないといけない。(車の運転免許と同じ)
②技術基準に適合するように作業する義務 「電気設備に関する技術基準を定める省令(電気設備技術基準)に適合」させて電気工事作業に従事しないといけない
③電気用品安全法に適合した電気用品を使う義務 「電気用品安全法に定める適正な表示がされた電気用品」を用いて電気工事作業に従事しないといけない
【電気工事法 第5条】電気工事士等の義務
電気工事法 第5条における「電気工事士等の義務」の解釈についてまとめました。

【電気工事士免状】第2種電気工事士

第2種電気工事士の免状の主な取扱は次の通りです。

項目 概要
記載事項 ①免状の種類 ②免状の交付番号 ③交付年月日 ④氏名 ⑤生年月日
交付・再交付 免状の交付・再交付には、「申請書」「必要書類」を都道府県知事に提出する必要あり(最初に交付してもらう時、免状を紛失・破損した場合に申請)
書き換え申請 免状を交付した都道府県知事に免状の書き換えを申請する必要(住所は免状に手書きなので、住所変更では申請の必要なし
返納 法令違反等により、免状の返納を命ぜられたときは、遅滞なく返納を命じた都道府県知事に返納する必要あり。
【電気工事法 第4条】電気工事士免状
電気工事法 第4条における「電気工事士免状」についてまとめました。

【電気工事士】免状が不要な作業

「軽微な作業」は、免状が不要な作業となります。
例えば以下のようなものがあります。

電気工事士の免状が不要な工事
1 電圧600V以下で使用する接続器(差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットなど)、または電圧600V以下で使用する開閉器(ナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチなど)にコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事
2 電圧600V以下で使用する電動機などの電気機器(配線器具を除く)、または電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線をねじ止めする工事
3 電圧600V以下で使用する電力量計、電流制限器、ヒューズを付け外しする工事
4 電鈴、インターホン、火災感知器、豆電球などに使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下)の二次側の配線工事
5 電線を支持する柱、腕木などを設置・変更する工事
6 地中電線用の暗きょまたは管を設置・変更する工事

【電気工事士】免状が必要な作業

軽微な作業に含まれない下記のものは、電気工事士にしかできない作業となります。

電気工事士の免状が必要な工事
電線相互を接続する作業
がいしに電線を付け外しする作業
電線を直接造営材などに付け外しする作業
電線管、線樋 、ダクトなどに電線を収める作業
配線器具を造営材などに付け外しする作業。又はこれに電線を接続する作業
電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業
電線、電線管、線樋 、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を付け外しする作業
金属製の電線管、線樋 、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に付け外しする作業
配電盤を造営材に付け外しする作業
接地線を自家用電気工作物に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業
電圧600Vを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業
【電気工事士法施行規則第1・2条】電気工事士免状が必要・不要な工事
電気工事士法により定められている「電気工事士でないとできない工事」「電気工事士でなくてもできる軽微な工事」についてまとめました。

【例題】

【問1】
電気工事士法において、一般用電気工作物の工事又は作業で電気工事士でなければ従事できないものは次のうちどれか。
①インターホーンの施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36 V以下)の二次側の配線をする。
②電線を支持する柱、腕木を設置する。
③電圧600 V以下で使用する電力量計を取り付ける。
④電線管とボックスを接続する。

【解1】
電気工事士でなければできない工事は、電線管とボックスを接続する工事なので、正解は4番です。

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