A種・B種の電柱の違いについて解説します。
A種とB種の電柱とは
電柱には、A種とB種の2種類があります。A種の電柱にはさらに「A種鉄筋コンクリート柱」と「A種鉄柱」の2種類があります。
同様にB種の電柱にも、「B種鉄筋コンクリート柱」と「B種鉄柱」の2種類があります。
これらは、「電気設備の技術基準の解釈第49条第1項」で以下のように規定されています。
【電線路に係る用語の定義】(省令第1条)
第49条 この解釈において用いる電線路に係る用語であって、次の各号に掲げるものの定義は、当該各号による。
一 想定最大張力 高温季及び低温季の別に、それぞれの季節において想定される最大張力。ただし、異常着雪時想定荷重の計算に用いる場合にあっては、気温0℃の状態で架渉線に着雪荷重と着雪時風圧荷重との合成荷重が加わった場合の張力
二 A種鉄筋コンクリート柱 基礎の強度計算を行わず、根入れ深さを第59条第2項に規定する値以上とすること等により施設する鉄筋コンクリート柱
三 B種鉄筋コンクリート柱 A種鉄筋コンクリート柱以外の鉄筋コンクリート柱
四 複合鉄筋コンクリート柱 鋼管と組み合わせた鉄筋コンクリート柱
五 A種鉄柱 基礎の強度計算を行わず、根入れ深さを第59条第3項に規定する値以上とすること等により施設する鉄柱
六 B種鉄柱 A種鉄柱以外の鉄柱
七 鋼板組立柱 鋼板を管状にして組み立てたものを柱体とする鉄柱
八 鋼管柱 鋼管を柱体とする鉄柱
九 第1次接近状態 架空電線が、他の工作物と接近する場合において、当該架空電線が他の工作物の上方又は側方において、水平距離で3m以上、かつ、架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されることにより、架空電線路の電線の切断、支持物の倒壊等の際に、当該電線が他の工作物に接触するおそれがある状態
十 第2次接近状態 架空電線が他の工作物と接近する場合において、当該架空電線が他の工作物の上方又は側方において水平距離で3m未満に施設される状態
十一 接近状態 第1次接近状態及び第2次接近状態
十二 上部造営材 屋根、ひさし、物干し台その他の人が上部に乗るおそれがある造営材(手すり、さくその他の人が上部に乗るおそれのない部分を除く。)
十三 索道 索道の搬器を含み、索道用支柱を除くものとする。
A種電柱の支持物と基礎の強度
A種電柱の支持物の強度については、「電気設備の技術基準の解釈第59条第2項」で以下のように解釈されています。
【架空電線路の支持物の強度等】(省令第32条第1項)
第59条
<略>2 架空電線路の支持物として使用するA種鉄筋コンクリート柱は、次の各号に適合するものであること。
一 架空電線路の使用電圧及び柱の種類に応じ、59-2表に規定する荷重に耐える強度を有すること。
二 設計荷重及び柱の全長に応じ、根入れ深さを59-3表に規定する値以上として施設すること。
三 水田その他地盤が軟弱な箇所においては、設計荷重は6.87kN以下、全長は16m以下とし、特に堅ろうな根かせを施すこと。
【59-2表】
使用電圧の区分 | 種類 | 荷重 |
---|---|---|
低圧 | 全て | 風圧荷重 |
高圧又は特別高圧 | 複合鉄筋コンクリート柱 | 風圧荷重及び垂直荷重 |
高圧又は特別高圧 | その他のもの | 風圧荷重 |
【59-3表】
設計荷重 | 全長 | 根入れ深さ |
---|---|---|
6.87kN以下 | 15m以下 | 全長の1/6 |
6.87kN以下 | 15mを超え16m以下 | 2.5m |
6.87kN以下 | 16mを超え20m以下 | 2.8m |
6.87kNを超え9.81kN以下 | 14m以上15m以下 | 全長の1/6に0.3mを加えた値 |
6.87kNを超え9.81kN以下 | 15mを超え20m以下 | 2.8m |
9.81kNを超え14.72kN以下 | 14m以上15m以下 | 全長の1/6に0.5mを加えた値 |
9.81kNを超え14.72kN以下 | 15mを超え18m以下 | 3m |
9.81kNを超え14.72kN以下 | 18mを超え20m以下 | 3.2m |
つまり、A種鉄筋コンクリート柱は59-2表で定める値以上の荷重に対して耐える必要があります。
さらに「電気設備の技術基準の解釈の解説」では以下のように解説されています。
59条【架空電線路の支持物の強度等】
〔解 説〕 本条は、架空電線路の支持物の強度等について示している。本条の風圧荷重には、第58条の規程が適用される。<略>
第2項及び第3項は、架空電線路の支持物として使用するA種鉄筋コンクリート柱(→第49条第二号)及びA種鉄柱(→第49条第五号)について規定している。これは、配電線路の支持物のように類似した設備を多数施設する場合、基礎の強度計算を個々に行うことなく、支持物の全長に対する根入れ深さ及び根かせの取付け等によって施設してよいことを示したもので、支持物の強度と種類ごとに、木柱は全て、設計荷重が6.87kN以下では、鋼板組立柱及び鋼管柱は全長が16m以下のもの、鉄筋コンクリート柱は全長が20m以下のもの、設計荷重が6.87kNを超え14.72kN以下では、鉄筋コンクリート柱で全長が14m以上20m以下のものを対象としている。H4基準で、電力中央研究所の実験を踏まえて、設計荷重が14.72kN以下、全長が20m以下の鉄筋コンクリートの根入れを追加した。
A種鉄筋コンクリート柱及びA種鉄柱の施設は、上記のとおり基礎の強度計算は単純化されているが、一方で架空電線路の支持物として使用する場合の支線の施設基準(→第62条、第96条)、架空電線路における径間の制限(→第63条、第70条、第95条)等において条件が付加されているので注意されたい。
次に、A種電柱の基礎の強度については「電気設備の技術基準の解釈第59条第2項」で以下のように解釈されています。
【架空電線路の支持物の基礎の強度等】(省令第32条第1項)
第60条 架空電線路の支持物の基礎の安全率は、この解釈において当該支持物が耐えることと規定された荷重が加わった状態において、2(鉄塔における異常時想定荷重又は異常着雪時想定荷重については、1.33)以上であること。ただし、次の各号のいずれかのものの基礎においては、この限りでない。
一 木柱であって、次により施設するもの
イ 全長が15m以下の場合は、根入れを全長の1/6以上とすること。
ロ 全長が15mを超える場合は、根入れを2.5m以上とすること。
ハ 水田その他地盤が軟弱な箇所では、特に堅ろうな根かせを施すこと。
二 A種鉄筋コンクリート柱
三 A種鉄柱2 前項における基礎の重量の取扱いは、日本電気技術規格委員会規格 JESC E2001(1998)「支持物の基礎自重の取り扱い」の「2.技術的規定」によること。
つまり、「A種鉄筋コンクリート柱」と「A種鉄柱」については、電柱の全長と設計荷重に応じた根入れ(地中に埋設する長さ)を定められた値以上に施設すれば、基礎の強度計算をしなくても良いこととなっています。
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