電験3種で出題される太陽電池発電所の使用前自主検査・自己確認の「外観検査」についてをまとめました。
- 【1】使用前自主検査における外観検査とは
- 【2】① 中性点直接接地式電路に接続する変圧器には、油流出防止設備が施設されていること。(電技第19条第10項)
- 【3】② 必要な箇所に所定の接地が行われていること。(電技解釈第17条~第19条、第21条、第22条、第24条、第25条、第27条~第29条、第37条)
- 【4】③ 高圧又は特別高圧用の機械器具の充電部が、取扱者が容易に触れないように施設されていること。(電技解釈第21条、第22条)
- 【5】④ アークを発生する器具と可燃性物質との離隔が十分であること。(電技解釈第23条)
- 【6】⑤ 高圧又は特別高圧電路中の過電流遮断器の開閉状態が容易に確認できること。(電技解釈第34条)
- 【7】⑥ 高圧及び特別高圧の電路において電線及び電気機械器具を保護するため必要な箇所に過電流遮断器が施設されていること。(電技解釈第34条、第35条)
- 【8】⑦ 高圧及び特別高圧の電路に地絡を生じた時に自動的に電路を遮断する装置が必要な箇所に施設されていること。(電技解釈第36条)
- 【9】⑧ 太陽電池発電所の高圧及び特別高圧の電路において、架空電線の引込口及び引出口又はこれに近接する箇所に避雷器が施設されていること。(電技解釈第37条)
- 【10】⑨ 太陽電池発電所の周囲に、柵、塀等が施設されており、出入口に施錠装置及び立入禁止表示が施設されていること。(電技解釈第38条)
- 【11】⑩ 太陽電池発電所の周囲の柵、塀等の高さと柵、塀等から特別高圧の充電部までの距離との和が規定値以上であること。(電技解釈第38条)
- 【12】⑪ ガス絶縁機器等の圧力容器が規定どおり施設されていること。(電技解釈第40条)
- 【13】⑫ 発電機、特別高圧用の変圧器、電力用コンデンサ又は分路リアクトル及び調相機に必要な保護装置が施設されていること。(電技解釈第42条、第43条)
- 【14】⑬ 検査の対象となる電気工作物が工事計画書の記載事項どおりに施設されていること。
【1】使用前自主検査における外観検査とは
使用前自主検査については「使用前自主検査及び使用前自己確認の方法の解釈」にその方法が記載されています。
その中で、外観検査については以下のように記載されています。
(1) 外観検査
(a) 検査方法
検査対象となる電気工作物の設置状況について、工事の計画に従って工事が行われていること及
び電技に適合していることを目視により確認する。なお、判定基準の②、③、④、⑩、⑪、⑬を確認する場合は書類等によって確認することもできる。(b) 判定基準
① 中性点直接接地式電路に接続する変圧器には、油流出防止設備が施設されていること。(電技第19条第10項)
② 必要な箇所に所定の接地が行われていること。(電技解釈第17条~第19条、第21条、第22条、第24条、第25条、第27条~第29条、第37条)
③ 高圧又は特別高圧用の機械器具の充電部が、取扱者が容易に触れないように施設されていること。(電技解釈第21条、第22条)
④ アークを発生する器具と可燃性物質との離隔が十分であること。(電技解釈第23条)
⑤ 高圧又は特別高圧電路中の過電流遮断器の開閉状態が容易に確認できること。(電技解釈第34条)
⑥ 高圧及び特別高圧の電路において電線及び電気機械器具を保護するため必要な箇所に過電流遮断器が施設されていること。(電技解釈第34条、第35条)
⑦ 高圧及び特別高圧の電路に地絡を生じた時に自動的に電路を遮断する装置が必要な箇所に施設されていること。(電技解釈第36条)
⑧ 太陽電池発電所の高圧及び特別高圧の電路において、架空電線の引込口及び引出口又はこれに近接する箇所に避雷器が施設されていること。(電技解釈第37条)
⑨ 太陽電池発電所の周囲に、柵、塀等が施設されており、出入口に施錠装置及び立入禁止表示が施設されていること。(電技解釈第38条)
⑩ 太陽電池発電所の周囲の柵、塀等の高さと柵、塀等から特別高圧の充電部までの距離との和が規定値以上であること。(電技解釈第38条)
⑪ ガス絶縁機器等の圧力容器が規定どおり施設されていること。(電技解釈第40条)
⑫ 発電機、特別高圧用の変圧器、電力用コンデンサ又は分路リアクトル及び調相機に必要な保護装置が施設されていること。(電技解釈第42条、第43条)
⑬ 検査の対象となる電気工作物が工事計画書の記載事項どおりに施設されていること。
【2】① 中性点直接接地式電路に接続する変圧器には、油流出防止設備が施設されていること。(電技第19条第10項)
①の外観検査について見ていきます。
① 中性点直接接地式電路に接続する変圧器には、油流出防止設備が施設されていること。(電技第19条第10項)
電技19条では、「公害等の防止」について以下のとおり規定されています。
10項では、変圧器の絶縁油(冷却用のもので、地絡電流などによるアーク放電で変圧器の容器が破損すると漏洩して環境汚損につながる恐れがある)の漏洩防止について以下のとおり規定されています。
(公害等の防止)
第十九条 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十一号)第四条第一項及び第二項の規定は、変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に設置する電気設備又は電力保安通信設備に附属する電気設備について準用する。
(略)
10 中性点直接接地式電路に接続する変圧器を設置する箇所には、絶縁油の構外への流出及び地下への浸透を防止するための措置が施されていなければならない。
(略)
電気設備に関する技術基準を定める省令の解説(以下、「電技解説」)では10項について以下のように解説されています。
第10項 本項では、170kVを超える中性点直接接地式電路に施設するような大型変圧器の絶縁油が万一の内部事故あるいはブッシング事故等により漏油し、構外流出にまで発展した場合の影響は小さくないので、特別高圧の中性点直接接地式電路に接続する変圧器を対象に絶縁油の流出防止設備の施設について定めている。中性点直接接地式電路に接続する変圧器を対象としたのは、その地絡電流が他の非接地式あるいは抵抗(リアクトル)接地式に比較して著しく大きいため、地絡事故等のアークエネルギーによって、タンク破損から大量の漏油事故に発展するケースが考えられるためである。地下への浸透防止を規定したのは、漏油が地下浸透から構外にまで流出するのを防止しようとするものであり、地下への浸透を防ぐため変圧器周囲のバラス敷きの下をアスファルト、あるいはコンクリート等で遮へいする必要がある。なお、地盤が粘土質であって、万一漏油しても、汚染した層を最悪時で30日以内に搬出処理すれば絶縁油の地下浸透から構外流出(地下水の汚染を含む。)にまで発展するおそれのない場所については、特別に遮へいする必要はない。油流出防止装置の目的は、変圧器タンクあるいはブッシング等の破損により漏油が構外にまで流出するのを防止することであり、油流出防止設備の収容容量としては、対象変圧器の油量の50%と所要消火放水量(公共消防車が到着するまでの初期消火用の所要水量と公共消防車の放水所要水量40m3の合計)を収容できる容量以上とする。なお、油流出防止装置の具体的な設計・施工方法については日本電気技術規格委員会規格 JESC E0012(2002)「変電所等における防火対策指針」((社)日本電気協会電気技術規定 JEAG5002-2001)を参照されたい。
つまり、「中性点直接接地式電路に接続する変圧器」が対象となっているのは、他の非接地式あるいは抵抗(リアクトル)接地式と比較して地絡電流が著しく大きいため、地絡事故等が発生した際に、そのアークエネルギーによって、タンク破損から大量の漏油事故に発展するケースが考えられるためとされています。
【3】② 必要な箇所に所定の接地が行われていること。(電技解釈第17条~第19条、第21条、第22条、第24条、第25条、第27条~第29条、第37条)
② 必要な箇所に所定の接地が行われていること。(電技解釈第17条~第19条、第21条、第22条、第24条、第25条、第27条~第29条、第37条)
【4】③ 高圧又は特別高圧用の機械器具の充電部が、取扱者が容易に触れないように施設されていること。(電技解釈第21条、第22条)
③ 高圧又は特別高圧用の機械器具の充電部が、取扱者が容易に触れないように施設されていること。(電技解釈第21条、第22条)
電技9条1項の「接触による感電防止」のうち「高圧」については、電技解釈21条に具体的に規定されいます。
【高圧の機械器具の施設】(省令第9条第1項)
第21条 高圧の機械器具(これに附属する高圧電線であってケーブル以外のものを含む。以下この条において同じ。)は、次の各号のいずれかにより施設すること。ただし、発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設する場合はこの限りでない。
一 屋内であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設すること。
二 次により施設すること。ただし、工場等の構内においては、ロ及びハの規定によらないことができる。
イ 人が触れるおそれがないように、機械器具の周囲に適当なさく、へい等を設けること。
ロ イの規定により施設するさく、へい等の高さと、当該さく、へい等から機械器具の充電部分までの距離との和を5m以上とすること。
ハ 危険である旨の表示をすること。
三 機械器具に附属する高圧電線にケーブル又は引下げ用高圧絶縁電線を使用し、機械器具を人が触れるおそれがないように地表上4.5m(市街地外においては4m)以上の高さに施設すること。
四 機械器具をコンクリート製の箱又はD種接地工事を施した金属製の箱に収め、かつ、充電部分が露出しないように施設すること。
五 充電部分が露出しない機械器具を、次のいずれかにより施設すること。
イ 簡易接触防護措置を施すこと。
ロ 温度上昇により、又は故障の際に、その近傍の大地との間に生じる電位差により、人若しくは家畜又は他の工作物に危険のおそれがないように施設すること。
電技9条1項の「接触による感電防止」のうち「特別高圧」についての解釈として、電技解釈22条に具体的に規定されています。
【特別高圧の機械器具の施設】(省令第9条第1項)
第22条 特別高圧の機械器具(これに附属する特別高圧電線であって、ケーブル以外のものを含む。以下この条において同じ。)は、次の各号のいずれかにより施設すること。ただし、発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設する場合、又は第191条第1項第二号ただし書若しくは第194条第1項の規定により施設する場合はこの限りでない。
一 屋内であって、取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設すること。
二 次により施設すること。
イ 人が触れるおそれがないように、機械器具の周囲に適当なさくを設けること。
ロ イの規定により施設するさくの高さと、当該さくから機械器具の充電部分までの距離との和を、22-1表に規定する値以上とすること。
ハ 危険である旨の表示をすること。
三 機械器具を地表上5m以上の高さに施設し、充電部分の地表上の高さを22-1表に規定する値以上とし、かつ、人が触れるおそれがないように施設すること。
【22-1表】
使用電圧の区分 | さくの高さとさくから充電部分までの距離との和又は地表上の高さ |
---|---|
35,000V以下 | 5m |
35,000Vを超え160,000V以下 | 6m |
160,000V超過 | (6+c)m |
(備考) cは、使用電圧と160,000Vの差を10,000Vで除した値(小数点以下を切り上げる。)に0.12を乗じたもの
(以下省略)
【5】④ アークを発生する器具と可燃性物質との離隔が十分であること。(電技解釈第23条)
④ アークを発生する器具と可燃性物質との離隔が十分であること。(電技解釈第23条)
【6】⑤ 高圧又は特別高圧電路中の過電流遮断器の開閉状態が容易に確認できること。(電技解釈第34条)
⑤ 高圧又は特別高圧電路中の過電流遮断器の開閉状態が容易に確認できること。(電技解釈第34条)
【7】⑥ 高圧及び特別高圧の電路において電線及び電気機械器具を保護するため必要な箇所に過電流遮断器が施設されていること。(電技解釈第34条、第35条)
⑥ 高圧及び特別高圧の電路において電線及び電気機械器具を保護するため必要な箇所に過電流遮断器が施設されていること。(電技解釈第34条、第35条)
【8】⑦ 高圧及び特別高圧の電路に地絡を生じた時に自動的に電路を遮断する装置が必要な箇所に施設されていること。(電技解釈第36条)
⑦ 高圧及び特別高圧の電路に地絡を生じた時に自動的に電路を遮断する装置が必要な箇所に施設されていること。(電技解釈第36条)
【9】⑧ 太陽電池発電所の高圧及び特別高圧の電路において、架空電線の引込口及び引出口又はこれに近接する箇所に避雷器が施設されていること。(電技解釈第37条)
⑧ 太陽電池発電所の高圧及び特別高圧の電路において、架空電線の引込口及び引出口又はこれに近接する箇所に避雷器が施設されていること。(電技解釈第37条)
【10】⑨ 太陽電池発電所の周囲に、柵、塀等が施設されており、出入口に施錠装置及び立入禁止表示が施設されていること。(電技解釈第38条)
⑨ 太陽電池発電所の周囲に、柵、塀等が施設されており、出入口に施錠装置及び立入禁止表示が施設されていること。(電技解釈第38条)
【11】⑩ 太陽電池発電所の周囲の柵、塀等の高さと柵、塀等から特別高圧の充電部までの距離との和が規定値以上であること。(電技解釈第38条)
⑩ 太陽電池発電所の周囲の柵、塀等の高さと柵、塀等から特別高圧の充電部までの距離との和が規定値以上であること。(電技解釈第38条)
【12】⑪ ガス絶縁機器等の圧力容器が規定どおり施設されていること。(電技解釈第40条)
⑪ ガス絶縁機器等の圧力容器が規定どおり施設されていること。(電技解釈第40条)
【13】⑫ 発電機、特別高圧用の変圧器、電力用コンデンサ又は分路リアクトル及び調相機に必要な保護装置が施設されていること。(電技解釈第42条、第43条)
⑫ 発電機、特別高圧用の変圧器、電力用コンデンサ又は分路リアクトル及び調相機に必要な保護装置が施設されていること。(電技解釈第42条、第43条)
【14】⑬ 検査の対象となる電気工作物が工事計画書の記載事項どおりに施設されていること。
⑬ 検査の対象となる電気工作物が工事計画書の記載事項どおりに施設されていること。
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