【電験3種・法規】電気保安法人とは?法人のマネージメントシステムなどを解説

電気保安法人のマネージメントシステムについて解説します。

電気保安法人とは?

電気保安法人(でんきほあんほうじん)とは、自家用電気工作物の電気保安に関する業務を設置者からの外部委託を受けて行うことが認められた日本の法人です。

電気事業法では、事業者が設置する事業用電気工作物(自家用電気工作物を含む)の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、原則として主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任することが定められています。

しかし、事業用電気工作物の内、以下のような自家用電気工作物の施設を設置する事業場については、電気保安法人もしくは電気管理技術者に保安業務を委託し、経済産業大臣(または産業保安監督部長)の承認を受けることで、主任技術者を選任しないことができます(電気事業法施行規則第52条2項)。

  • 7000V以下で受電する需要設備
  • 出力2000kW未満の発電所(太陽電池発電所は5000kW未満)
  • 600V以下配電線路を管理する事業場

など

これを外部委託承認(もしくは不選任)といいます。

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電気保安法人のマネージメントシステムとは

電気保安法人の要件は、「電気事業法施行規則」および「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」で定められています。

施行規則第52条の2

電気事業法施行規則第52条の2第2号ニで以下のように記載されています。

規則第52条の2 前条第二項又は第三項の要件は、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ、当該各号に定める要件とする。
(略)
 二 法人
  イ 前条第二項又は第三項の承認の申請に係る事業場(以下「申請事業場」という。)の保安管理業務に従事する者(以下「保安業務従事者」という。)が前号イ及びロの要件に該当していること。
  ロ 別に告示する機械器具を有していること。
  ハ 保安業務従事者であって申請事業場を担当する者(以下「保安業務担当者」という。)ごとに、担当する事業場の種類及び規模に応じて別に告示する算定方法で算定した値が別に告示する値未満であること。
  ニ 保安管理業務を遂行するための体制が、保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。
  ホ 次条第五項の規定により取り消された承認に係る委託契約の相手方で、その取消しの日から二年を経過しない者でないこと。ただし、その取消しにつき、委託契約の相手方の責めに帰することができないときは、この限りでない。
  ヘ 次条第五項の規定による取消しにつき責めに任ずべき者であって、その取消しの日から二年を経過しないものを保安管理業務に従事させていないこと。

内規4.

主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」4.で、電気保安法人のマネージメントシステムについて以下のように記載されています。

(法人のマネジメントシステム)
4.

<略>

 (4)規則第52条の2第2号ニについては、保安管理業務の計画的かつ確実な遂行に支障が生じないことを担保するため、保安管理業務の内容の適切性及び実効性について厳格に審査することとする。承認にあたっては、次の項目の全てが満たされていることを要することとし、これらの項目については、法人の社内規程等に明確かつ具体的に規定されており、点検を含む保安管理業務の適切な実施に確実に反映されることが担保されていることを要することとする。

  ① 保安業務従事者は規則第52条第2項の承認の申請に係る委託契約の相手方の法人(以下本項において「法人」という。)の役員又は従業員であること。

  ② 法人は、保安管理業務の遂行体制を構築し、保安業務担当者が明確な責任の下に保安管理業務を実施すること。また、あらかじめ定められた間隔で保安管理業務のレビューを行い適切な改善を図ること。

  ③ 保安業務担当者は、保安管理業務以外の職務(電気工作物の保安に関するものを除く。)を兼務しないこと。

  ④ 保安業務担当者は事業場の点検を自ら行うこと。ただし、保安業務担当者が保安業務従事者に事業場の点検を行わせる場合は、次に掲げる要件の全てに該当すること。
   イ 保安業務担当者が自らの職務上の指揮命令関係にある保安業務従事者に適切に指示して点検を行わせるとともに、点検の結果に関する報告が当該保安業務従事者から的確に行われる体制となっていること。
   ロ 保安業務担当者が点検を指示した保安業務従事者との業務の分担内容が明確になっていること。その際、保安業務担当者が自らは保安業務従事者の監督を行うこととして、事業場の点検の大部分を保安業務従事者に行わせるなど、自ら実施する保安管理業務の内容が形式的なものとなっていないこと。このため、保安業務担当者に係る勤務体制等について厳格に審査を行う
   ハ 特定の保安業務従事者に著しく偏って点検を行わせることとなっていないこと。このため、保安業務従事者が保安業務担当者から指示を受けて点検する事業場については、告示第3条第3項の値(以下「告示の値」という。)を当該保安業務担当者から職務上の指揮命令関係にある保安業務従事者の総数で除した値又は告示の値に0.2を乗じた値いずれか小さい方の値を超えないこと。
   ニ 保安業務従事者は、複数の保安業務担当者から点検の指示を受けないこと。

社内規程等に規定するだけでは駄目

電気主任技術者制度に関するQ&A」で以下のように記載されています。

3.7 電気保安法人のマネジメントシステム
該当箇所:電気事業法施行規則第52条の2第2号ニ

Q.法人のマネジメントシステムは、社内規程等に規定さえされていれば、規則第52条の2第2号ニの規定を満たしているのでしょうか?
A.規則第52条の2第2号ニに規定する保安管理業務を遂行するための体制が、審査により明らかに機能しないことが判明し、実態上も実質的に機能していないのであれば、満たしているとは言えません。

電気保安法人になれる法人

(法人のマネジメントシステム)
4.(4)規則第52条の2第2号ニについては、保安管理業務の計画的かつ確実な遂行に支障が生じないことを担保するため、保安管理業務の内容の適切性及び実効性について厳格に審査することとする。承認にあたっては、次の項目の全てが満たされていることを要することとし、これらの項目については、法人の社内規程等に明確かつ具体的に規定されており、点検を含む保安管理業務の適切な実施に確実に反映されることが担保されていることを要することとする。

上記については、「電気主任技術者制度に関するQ&A」で以下のように補足説明されています。

該当箇所:内規4.(4)
Q.法人は、既存の法人でも保安管理業務部門が独立していればどのような法人でも良いのでしょうか?
A.法令に基づき設立された法人であれば特に業種による制限はありません

Q.協同組合組織もここでいう法人となりますか?また、法人であると認められる場合、組合員が保安業務従事者となって問題はありませんか?
A.法令に基づき設立された法人である協同組合(協同組合は中小企業等協同組合法に基づき設立されています)は法人として扱うことになります。その場合、法人の構成員であって組合員の場合は当該組合に雇用されていないため保安業務従事者とは認められません

Q.法人は契約書等で法人名以外の名称を使用する事は、認められますか?
A.法人名以外の名称(法人格を有しない任意の団体名)は認められません

Q.有限責任事業組合はここでいう法人となりますか?
A.法人格がないため、法人として扱うことはできません

Q.合同会社もここでいう法人となりますか?また、法人であると認められる場合、社員が保安業務従事者となって問題はありませんか?
A.法令に基づき設立された法人である合同会社は法人として扱うことになります。その場合、法人の業務を執行する社員(個人に限ります。)は、保安業務従事者になることが可能です。

Q.法人のマネジメントシステムの単位は、1法人につき1マネジメントシステムでしょうか?地域、組織ごとに分割可能でしょうか?
A.保安管理業務に係るマネジメントについて、保安管理業務の統制を本部で一括して行っているのか、支部毎に任されているかなどで、法人毎にマネジメントシステムの単位は変わることもあり得るため、一律1法人1マネジメントシステムとする必要は必ずしもありません

保安管理業務を行う従業員の雇用形態

(法人のマネジメントシステム)
4.(4)① 保安業務従事者は規則第52条第2項の承認の申請に係る委託契約の相手方の法人(以下本項において「法人」という。)の役員又は従業員であること。

電気主任技術者制度に関するQ&A」で以下のように記載されています。

当箇所:内規4.(4)①
Q.保安管理業務を行う従業員は、正社員で無くてはなりませんか?雇用形態は?(保険等の関係もあり、パートとかではダメなのか?)確認方法は?
A.法人の従業員であることが担保された雇用形態が必要であり、保安管理業務の適確な遂行に支障を及ぼすおそれ(委託契約期間を満たさない期間の短期契約社員を保安業務担当者とする等)がないことが必要です。なお、確認のため、雇用証明書を添付していただきます。

保安管理業務のレビューを行う間隔と間隔と内容

(法人のマネジメントシステム)
4.(4)② 法人は、保安管理業務の遂行体制を構築し、保安業務担当者が明確な責任の下に保安管理業務を実施すること。また、あらかじめ定められた間隔で保安管理業務のレビューを行い適切な改善を図ること。

電気主任技術者制度に関するQ&A」で以下のように記載されています。

該当箇所:内規4.(4)②
Q.法人の保安管理業務について、レビューを行う間隔は法人任せで良いでしょうか?「適切な改善を図る」とは、どれだけ改善すれば適切でしょうか?
A.レビューを行うことを社内規定等に明確かつ具体的に規定することが必要であり、レビューを行う間隔やその内容は、法人が自主的に定めるべきものです。

保安管理業務以外の職務

(法人のマネジメントシステム)
4.(4)③ 保安業務担当者は、保安管理業務以外の職務(電気工作物の保安に関するものを除く。)を兼務しないこと。

電気主任技術者制度に関するQ&A」で以下のように記載されています。

該当箇所:内規4.(4)③
Q.保安管理業務以外の職務とは? 点検以外に竣工検査とか年次点検作業及びそれを補助する作業も保安管理業務の中に含まれるのでしょうか? これらの作業に従事する者にも保安業務従事者としての要件が要求されるのでしょうか?
A.事業用電気工作物の工事、維持、及び運用に関する保安の監督が保安管理業務となりますので、それ以外が保安管理業務以外となります。一般的に竣工検査や年次点検作業は、保安規程で定められているため、保安管理業務に含まれます
また、これらの作業を行うに当たって、保安業務従事者の指示の下に補助作業を行う者には、保安業務従事者としての要件は課されません

Q.電気工作物の保安に関する職務とは?
A.電気工作物の検査、事故防止のための工事(点検・試験の結果、至急修理・改修が必要なもの)や事故・災害時の応急処置として行う工事などが電気工作物の保安に関する職務となります。

Q.「保安業務担当者は保安管理業務以外の職務(電気工作物の保安に関するものを除く。)を兼務しないこと」とありますが、担当を持たない保安業務従事者は、他の職務を兼務しても良いのでしょうか?
A.兼職規制の対象は、あくまでも事業場を担当する保安業務担当者となります。

保安業務担当者の点検

4.(4)ロ 保安業務担当者が点検を指示した保安業務従事者との業務の分担内容が明確になっていること。その際、保安業務担当者が自らは保安業務従事者の監督を行うこととして、事業場の点検の大部分を保安業務従事者に行わせるなど、自ら実施する保安管理業務の内容が形式的なものとなっていないこと。このため、保安業務担当者に係る勤務体制等について厳格に審査を行う

該当箇所:内規4.(4)④ロ
Q.ある事業場において、保安業務担当者が審査基準(3)④の要件を満たした上で1名の保安業務従事者に点検を命じたとき、その保安業務従事者は自らも点検しながら他の者に点検作業を手伝ってもらうことは可能でしょうか?
A.可能です。

Q.上記の場合、手伝う者はどのような要件を要しますか?
A.特に要件はありませんが、保安業務従事者の監督の下、作業を行う必要があります。

保安業務担当者の点検

4.(4)④ ハ 特定の保安業務従事者に著しく偏って点検を行わせることとなっていないこと。このため、保安業務従事者が保安業務担当者から指示を受けて点検する事業場については、告示第3条第3項の値(以下「告示の値」という。)を当該保安業務担当者から職務上の指揮命令関係にある保安業務従事者の総数で除した値又は告示の値に0.2を乗じた値いずれか小さい方の値を超えないこと。

該当箇所:内規4.(4)④ハ
Q.保安業務担当者の指揮命令下に、6名の保安業務従事者がおり、常に2名体制で点検することとなっている場合、各保安業務従事者には何点分まで点検を行わせることが可能でしょうか?
①5.5 (33/6=5.5)
②6.6(ペアで1人として33/3=11。小さい方をとって6.6)
A.保安業務担当者の指揮命令下にある者はあくまでも6名であることから、①となります。

Q.保安業務担当者の指揮命令下にある保安業務従事者の換算係数を算定する際、小規模高圧需要設備を換算係数から除くことが可能でしょうか?
A.告示第3条に準じて、保安業務従事者ごとに小規模高圧需要設備を10件まで換算係数から除くことが可能です。

Q.法人のマネジメントシステムについて(3)④ハで「特定の保安業務従事者に著しく偏って点検を行わせることとなっていないこと。」とありますが、一般的なピラミッド型の組織であって下図のような指揮命令関係にある場合、C担当者がB担当者の事業場を点検することは可能でしょうか。可能である場合、A担当者がB担当者に点検指揮した事業場(斜線)について、B担当者がその事業場(斜線)の点検をさらにC担当者に指揮することができますか。(※印の矢印)

A. 職務上の指揮命令関係から判断して、B担当者の指示のもとC担当者が従事者として、B担当者の事業場を点検することは可能です。しかし、A担当者の指示を受けたB担当者がさらにC担当者に指示をして、A担当者の事業場をC担当者に点検させようとすることは、A担当者が自らの職務上の指揮命令関係にないC担当者に指示を行うことになるため、認められません。

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