低圧・高圧架空ケーブルにD種接地が必要な理由について解説します。
低圧・高圧架空ケーブルのメッセンジャーワイヤーにD種接地が必要な理由
「電気設備の技術基準の解釈」(以下、「解釈」という)第67条第1項第四号に以下のような記載があります。
【低高圧架空電線路の架空ケーブルによる施設】(省令第6条、第21条第1項)
第67条 低圧架空電線又は高圧架空電線にケーブルを使用する場合は、次の各号によること。
一 次のいずれかの方法により施設すること。
イ ケーブルをハンガーによりちょう架用線に支持する方法
ロ ケーブルをちょう架用線に接触させ、その上に容易に腐食し難い金属テープ等を20cm以下の間隔でらせん
状に巻き付ける方法
ハ ちょう架用線をケーブルの外装に堅ろうに取り付けて施設する方法
ニ ちょう架用線とケーブルをより合わせて施設する方法
ホ 高圧架空電線において、ケーブルに半導電性外装ちょう架用高圧ケーブルを使用し、ケーブルを金属製のちょう架用線に接触させ、その上に容易に腐食し難い金属テープ等を6cm以下の間隔でらせん状に巻き付ける
方法二 高圧架空電線を前号イの方法により施設する場合は、ハンガーの間隔は50cm以下であること。
三 ちょう架用線は、引張強さ5.93kN以上のもの又は断面積22mm2以上の亜鉛めっき鉄より線であること。
四 ちょう架用線及びケーブルの被覆に使用する金属体には、D種接地工事を施すこと。ただし、低圧架空電線にケーブルを使用する場合において、ちょう架用線に絶縁電線又はこれと同等以上の絶縁効力のあるものを使用するときは、ちょう架用線にD種接地工事を施さないことができる。(関連省令第10条、第11条)
上記の「ちょう架用線」とは一般的に「メッセンジャーワイヤー」のことを指します。
解釈第67条第1項第四号については、「電気設備の技術基準の解釈の解説」で以下のように解説されています。
第67条【低高圧架空電線路の架空ケーブルによる施設】
〔解 説〕 本条は、架空電線にケーブルを使用する工事は、ケーブル以外の電線を使用する場合と施工方法に大きな差異があるため、S34工規で規定されたものである。架空ケーブル工事に使用するケーブルは、低圧用のものは第9条に、高圧用のものは第10条に規定されているケーブル(第65条第2項、第3項に示すものを除く。)を使用する必要がある。<略>
第四号では、ちょう架用線には、ケーブルの被覆の損傷により、ちょう架用線が充電される場合の危険防止のため、D種接地工事を施す必要があることを示している。ただし書は、ちょう架用線に絶縁電線を使用する場合には、接地を行ったのと同等の効果があることから、S57基準で、このような場合には使用電圧が低圧のものに限り接地工事を省略できることとした。なお、ただし書の「これと同等以上の絶縁効力のあるもの」とは、ちょう架用線を絶縁物でコーティングしたものを使用することを考慮したものである。
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