隔月点検の場合に低圧絶縁監視装置の設定値を50mAとする理由

隔月点検の場合に低圧絶縁監視装置の設定値を50mAとする理由について解説します。

低圧絶縁監視装置とは

低圧絶縁監視装置は、電気回路の絶縁状態を常時監視し、漏電が発生した際に警報を発する装置です。主に工場やビルなどの受変電設備において、停電させずに絶縁劣化を検知する目的で使用されます。検出方式には主に次の3種類があります。

Io方式

零相変流器(ZCT)を用いて、電路に流れるすべての漏れ電流($I_{o}$)を測定する方式です。仕組みが単純で安価ですが、対地静電容量に起因する漏れ電流($Ioc$)を区別できません。そのため、配線が長い場合や電子機器が多い環境では、絶縁が悪化していなくても測定値が上昇し、誤報が発生しやすいという課題があります。

Ior方式(主流)

全漏れ電流($I_0=I_{0c}+I_{or}$)の中から、絶縁劣化に直結する抵抗成分の漏れ電流($I_{0r}$)のみを抽出して監視する方式です。電流だけでなく線圧も測定し、電圧位相を基準として電流の位相差を演算し、静電容量成分の影響を排除します。

インバータ機器が普及している現代の設備において、真の絶縁状態を正確に把握できるため、最も広く採用されています。

Igr方式

電路に特定の低周波監視信号を注入し、その信号の戻り具合から対地絶縁抵抗を測定する方式です。電圧位相を基準にする必要がないため、電圧端子の取り出しが困難な場所や、静電容量が極めて大きく$I_{or}$方式でも精度が確保しにくい特殊な環境で活用されます。信号注入用の設備が必要になるため、他の方式に比べてシステムが複雑になる傾向があります。

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外部委託承認制度における隔月点検の条件

電気主任技術者の外部委託承認制度を使用する場合、原則として毎月1回以上、使用中の電気工作物の点検および測定を実施する必要があります。
設備容量が100kVAを超える場合は、【点検頻度告示】第4条第8号より、以下の要件を全て満たせば、月次点検を隔月一回以上とすることができます。

  • 柱上に設置した高圧変圧器がないもの
  • 高圧負荷開閉器(キュービクル内に設置するものを除く。)に可燃性絶縁油を使用していないもの
  • 保安上の責任分界点又はこれに近い箇所に地絡保護継電器付高圧交流負荷開閉器又は地絡遮断器が設置されているもの
  • 責任分界点から主遮断装置の間に電力需給用計器用変成器、地絡保護継電器用変成器、受電電圧確認用変成器、主遮断器用開閉状態表示変成器及び主遮断器操作用変成器以外の変成器がないもの
  • 低圧電路の絶縁状態の適確な監視が可能な装置を有する需要設備 or 非常用照明設備、消防設備、昇降機その他の非常時に使用する設備への電路以外の低圧電路に漏電遮断器が設置してある需要設備

低圧絶縁監視装置の設定値を50mAとする理由

主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」で低圧電路の絶縁状態の適確な監視が可能な装置(低圧絶縁監視装置)について以下のように規定されています。

(委託契約書に明記された者による保安管理業務の実施等)
(7)
<略>
低圧電路の絶縁状況の適確な監視が可能な装置を有する需要設備については、警報発生時(警報動作電流(設定の上限値は50mAとする。)以上の漏えい電流が発生している旨の警報(以下「漏えい警報」という。)を連続して5分以上受信した場合又は5分未満の漏えい警報を繰り返し受信した場合をいう。以下同じ。)に、次のイ及びロに掲げる処置を行うこと。
イ 電気管理技術者等が、警報発生の原因を調査し、適切な措置を行う。
ロ 電気管理技術者等が、警報発生時の受信の記録を3年間保存する。

これが、低圧絶縁監視装置の設定値を50mAとする理由です。

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